更新日:2025年3月5日

情報保障は何をすればよい?

情報保障とは?

「情報保障」という言葉をご存知でしょうか?

聴覚障がい者や視覚がい者にとって、「障がいのない人と同じように情報を得られない」ことが大きなハンディキャップとなっています。誰もが平等に本来得られるべき情報を保障することを「情報保障」といいます。

イベントやWebセミナーなど、障がいがない人は何も考えずとも参加でき情報を得られます。しかし聴覚障がいなどがある方は話している内容をその場で理解することが難しい場合があります。障がいのある方から相談を受けた際には、イベント運営者が情報を平等に伝える方法を検討し、当事者と相談しながら適切な対応を行うことが重要です。これはアクセシビリティの観点からもとても大切な取り組みです。

イベントに参加したい聴覚障がい者の困りごと

聴覚障がいのある方はどのようなことに困るのでしょうか?会場でスクリーンに資料を投影しながら話を進める講演イベントを例にあげてみましょう。

登壇者が何を話しているか全く分からない

投影されている資料に書かれていることは分かりますが、話されていることが分かりません。補聴器を使用している方でも、会場内の雑音や環境音の影響で、明瞭に聞き取ることは困難です。

②会場のアナウンスなどが聞こえない

聞きとれないのは登壇者の声だけではありません。「10分休憩に入ります」といったアナウンスに始まり、お手洗いの場所の案内などちょっとした情報を聞き取ることも難しいのです。

③自分で情報保障ツールを使っていいのか分からない

音声認識アプリなどを用いて、自力で会場の音声を文字化しようと試みる方もいます。しかし、登壇者の声を無断に認識させることで、著作権などに抵触しないか心配されることがあります。また、こういった問い合わせをすること自体が、聞こえないことによるハードルとなり、結果としてイベントに参加の妨げになっています。

聴覚障がい者への情報保障の選択肢

聴覚障がい者への情報保障には様々な選択肢があります。聴覚障がい者への情報保障は一概にまとめることができるものではなく、主なコミュニケーション手段や会場の環境などを考慮して適切な方法を選ぶことが大切です。ここでは、手話通訳、要約筆記、音声認識による情報保障についてご紹介します。

手話通訳

手話通訳とは、手話を第一言語とするろう者や、主に手話をコミュニケーション手段とする中途失聴者や難聴者と、手話を知らない人との間で通訳することを指します。会議や講演、学校や職場でのミーティング、医療機関での診察、法廷での証言など、様々な場面で活躍しています。

得意なところ苦手なところ
視覚的なコミュニケーション: 手話は視覚的な言語であり、表情やジェスチャーを使って感情やニュアンスを的確に伝えることができます。
リアルタイム性: 手話通訳者がいれば、きめ細かいリアルタイムでのコミュニケーションが可能です。

視覚的制約: 視覚に依存するため、暗い場所や視界が遮られる環境では利用が難しいです。
通訳者の不足: 手話通訳者の数が限られており、特に専門的な場面での通訳が難しいことがあります。
地域差: 手話には地域ごとに異なる方言があり、異なる地域の手話使用者同士ではコミュニケーションが困難な場合もあります。

②要約筆記

要約筆記とは、話し手の言葉を聞き、その内容を短くまとめて文字にする技術です。これは、聴覚障がい者や難聴者がその場の話の内容を理解できるように支援するための方法です。

得意なところ苦手なところ
文字による情報提供: 聴覚障がい者が音声情報を文字で受け取ることで、内容を理解しやすくなります。
専門的な情報保障: 法廷など専門的な場面での情報保障に適しています。
柔軟性: 手書きやパソコンを使った要約筆記があり、状況に応じて使い分けることが可能です。
速度の限界: 話の進行速度に対して、要約筆記が追いつかない場合があります。
情報の振れ幅: 要約筆記者には専門的なスキルと知識が求められます。要点だけをまとめるのか、できるだけ詳細に伝えるのかという判断が必要であり、事前のすり合わせが必要です。

③音声認識

音声認識による情報保障は、音声をリアルタイムでテキストに変換し、聴覚障がい者や難聴者がその場の話の内容を理解できるように支援する技術です。

得意なところ苦手なところ
リアルタイム性: 音声をテキストに変換することで、会議の議事録作成やリアルタイムの字幕表示が迅速に行えます。
自動化: 人手を介さずに自動で音声をテキスト化できるため、コスト削減や効率化に寄与します。
広範な適用: 多くのデバイスやアプリケーションで利用可能であり、様々な場面での情報保障が可能です。
認識精度の限界: 方言や専門用語、話者の発音の違いに対応しきれない場合があり、誤認識が発生することがあります。
話者識別の難しさ: 複数の話者がいる場合、誰が話しているのかを正確に識別するのが難しいことがあります。
環境依存: 騒がしい環境では音声認識の精度が低下することがあります。

情報保障は組み合わせるほど分かりやすい

これまでに、手話通訳、要約筆記、音声認識という情報保障の手段をご紹介しました。それぞれには得意な点と苦手な点があり、また、聴覚障がい者にとって最適な情報保障の手段は一人ひとり異なります。例えば、50代頃に聞こえなくなった中途失聴者にとっては、手話よりも音声認識や要約筆記といった文字情報が理解しやすい場合があります。生まれた時から音が聞こえず、ろう者として育ってきた方には、手話が最も理解しやすい手段となることが多いです。このように、求められる情報保障の形は状況や個人によって異なります。

まとめ

聴覚障がい者への情報保障は、イベント運営において重要です。情報保障とは、聴覚障がい者が健常者と同じように情報を得られるようにする取り組みを指します。彼らは、登壇者の話が聞こえない、会場のアナウンスが分からないなど、さまざまな困りごとを抱えています。

情報保障の手段には、手話通訳、要約筆記、音声認識などがあります。それぞれの方法には利点と課題があり、状況に応じて適切な手段を選ぶことが大切です。またこれらを組み合わせることで、より効果的な情報保障が実現できます。

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