2023年11月15日

第4回突撃インタビュー!「Pekoe開発のやり方について聞いてみた」

更新日:11月15日

Pekoeのサポートを担当している聴覚障がいを持つ当事者の木下がPekoeに関わる人たちにインタビューをしていくコーナーの第4回目です。

Pekoe(ペコ)の開発は普段どのようなやり方で進めているのか。聞いてみたシリーズ第4回はPekoeの実装をしている同じリコーグループの開発会社である、リコーITソリューションズの福士さん、荒堀さんにPekoeを起動しながらインタビューして記事にしました。

オンラインでのインタビュー風景

インタビュアー

木下健悟:株式会社リコー Pekoeチーム サポート担当。聴覚障がいを持つ当事者。
生後まもなく薬剤により両耳とも聞こえなくなり重度用補聴器を装用している。コミュニケーション手段は口話、手話、筆談、音声認識アプリをシーンによって使い分けている

インタビューイ

福士精一郎:リコーITソリューションズ株式会社 リコーメンバーと一緒にPekoeの開発を担当。以前はリコーのオンラインストレージサービスquanpや、360°カメラTHETAのアプリケーション開発などの経験がある。

荒堀佑太:リコーITソリューションズ株式会社 リコーメンバーと一緒にPekoeの開発を担当。以前は360°カメラTHETAのアプリケーション開発や、ヘルスケア関連のソフトウエア開発経験がある。

リコーITソリューションズ株式会社:リコーグループにおける国内でのソフトウエア開発機能を担う会社として1982年に設立。オフィスや現場で働く人の業務課題を解決するデジタルサービスを中心に開発を行っています。[公式HP]

– Pekoeの開発は少ない人数で効率よく行っている

木下
お二人がPekoeの開発に参加したのはいつごろになりますか?

福士:
2021年の10月からなのでもう2年になります。

荒堀
福士さんより1か月あとの2021年の11月からです。

木下:
もうすぐ一緒に始めてから丸2年になるのですね。お二人の役割を教えてください。

福士:
Pekoeのプロダクトオーナーである岩田さんが決めた機能仕様に対し、システム全体を決めている真野さんと相談しながら、どういう実装にするかを決めて、実際に手を動かすという役割です。

 岩田についてはこちらを参照(https://pekoe.ricoh/blog/174
 真野についてはこちらを参照(https://pekoe.ricoh/blog/361

荒堀:
このスプリント(※1)で決めた計画に沿って、自分たちはプロダクトオーナーの意向をくみ取りながら、どうすれば予定通りに開発できるかを考えて、実装をしていくということをしています。

(※1)スプリント:一定の作業量を完了させるための、短く区切られた期間のこと。Pekoeチームでは2週間を一つのスプリントとして開発しています。

木下:
だれがどの機能を担当するかは、どうやって決めているのですか?

荒堀:
基本的には、これ自分がやります!といって手を上げる感じで決めています。主に実装するのは、真野さん、福士さん、自分の3人なので、その3人で決めています。

福士:
スプリントの最初のほうはどの機能もまだ担当が決まっていないので、相談してから決めることが多いです。スプリントの後半になってきて、すべての機能を予定通り終わらせるのが難しそうだとなってくると、得意な人が得意なところをやって、他の人がその人がやっていたところを他の人が担当するという連携をして、開発効率を高めるという工夫をしています。

木下:
納期通りに終わるように、担当を途中から得意な人に変えて、効率よく進めるという工夫をしているのですね。

福士:
そうです。でも得意なところばかりやりすぎると、その人が何かあったときに他の人が担当できなくなってチームとして困ってしまいます。なので、最近フロントエンドばかりやっているので、今回はバックエンドの機能追加をやってみようというように、いろいろなところを分担するようにして、スキルが偏らないようにしています。

木下:
みんながどこでも担当できるような形で開発しながらも、きちんとスケジュール通りにやれるような工夫もされているのですね。

– Pekoeの開発が新人の育成にも貢献!

木下:
リコーITソリューションズの新人の方がPekoeチームに来ていた(※2)ことがありましたが、開発が忙しい中で新人さんの育成というのはどのようにやられていましたか?

(※2)リコーITソリューションズでは、新人のスキルアップのため、先輩社員をコーチャーとしてつけて教育を行うシステムがあります。Pekoeチームの荒堀さんもコーチャーとして新人を教育する担当になり、Pekoeの開発を通して教育を行いました。

荒堀:
新人の方の育成期間は3か月しかなかったので、どういうことができるようになってほしいかというのを、先輩社員として目標を立て、計画を作りました。

木下:
具体的にはどういうことを目標にしたのですか?

荒堀:
基本的なプログラミングのスキルだけでなく、PekoeはWebの技術を使っているので、Webのコードが書けるようになるとか、プロダクトオーナーからお客様の要望を機能仕様にしたものを聞いて、それを実装する時の仕様の調整や交渉ができるようになるというところを目指しました。

また、チームで開発をしているので、そのチームに対して自分の進捗報告がきちんとできるように一般的なビジネススキルも身につけてもらいました。

木下:
3か月コーチャーをしてみてどうでしたか?

荒堀:
Pekoeの開発チームは普段から協力的だというのもあったので、新人の方がスキル向上できるようなOJTができたのでは、と思います。(具体的には、バージョンアップのダイアログ表示について、ケース分けの設計から文言の提案まで実施してもらいました。)

木下:
ありがとうございます。新人の方がPekoeチームで学んだことを、今の仕事で活かしていてくれたらうれしいなと思います。

– Pekoeを使ったリモートの仕事は聞こえる人にも便利に

木下:
Pekoeがあれば聞こえない人ともリモートで仕事ができるようになりました。リコーITソリューションズのお二人はリコーのPekoeメンバーと一緒に仕事をしていますが、普段開発メンバーはリアルで集まることがあるのですか?

福士:
ほとんどリアルはなくて、普段はリモートでの開発ばかりです。

荒堀:
ただ新人さんを指導するOJTの期間は週の半分ぐらいは出社していました。やはり新人さんだと、普段の仕事の仕方がわからないので、なるべく対面で業務を行っていました。

木下:
自分たちはコロナ前から仕事をしているので大体の雰囲気がわかりますが、新人さんだとそこは大変でしょうね。荒堀さんはちゃんと対面でOJTしていたと聞いて安心しました。

福士:
以前だとチャット専用ツールを使ってやり取りしていましたが、今はテレビ会議が標準になったので相手の顔も見られるようになって、Pekoeのような文字起こしもできるようになりました。すべて伝えたいことをチャットで入れなくてもよくなったのでリモートでの仕事が楽になったと思います。

木下:
聞こえる人にも文字起こしが役に立つということがわかってよかったです。

– 便利になったというお客様の声が一番の励み

木下:
Pekoeの開発をやっていて面白かった、よかったということはありますか?

福士:
追加した機能を使ってくれて、便利になったと言ってもらえることが開発者にとって一番の喜びです。手動スクリーンショットや、話者設定、変換枠を可変にする対応などを行って、実際に使ってみて、「うれしい」といっていただいたとき、こちらもすごくうれしかったです。

木下:
クイック置換の対応で誤変換の修正もすごく便利になりました。この前支社という文字が何度も「死者」とでてしまい、すごく困りましたが、クイック置換で「死者」を「支社」とクイック置換して事なきを得ることができました。

木下:
Pekoeは聴覚障がい者向けという商品名ですが、これについてはどのように感じていますか?

福士:
最近企業ではSDGs というところをとても意識しているので、特にSDGsでも「働きがい」というところに自分たちが貢献できる開発ができているところがいいなと思っています。

荒堀:
社会貢献的な面で役に立てているという実感はありますし、周りからもそういう反応をもらうことが多いです。

木下:
聞こえない人たちが仕事をするときに本当に役に立っていると思います。お客様にも活用してもらっていて、もっと働く聴覚障がい者が増えていくといいなと思います。

– 聞こえない人がもっと便利に使えるように

木下:
お二人の中で、こういう機能があったらいいな、というのはありますか?

福士:
耳が不自由なひとでも、「今ちょっと聞きたいんですけど!」と会話に割り込めるような何かがあるといいのかなとおもいました。例えば画面全体に割り込めるスタンプとかよさそうです。「自分がいるぞ!」という主張ができる機能があるといいと思います。

いまのPekoeには「わかりません」やチャット機能はありますが、それに気が付いてもらえない時があるので、もっと強くアピールできる機能があるとよさそうだなと思いました。

木下:
本当にそうですね。お客様からもチャットをもっと目立たせてほしい、音が鳴ってほしいという要望がありました。これは今後検討していきたいと思います。

荒堀:
以前から話は出ていますが、チャットに画像も送れると、文字だけでは伝えられないようなことも伝えられるようになるのではと思いました。

福士:
確かに、口頭での議論だけではうまく伝わらない時に、絵を描いて、それを送れると便利ですね。

木下:
Pekoeは今文字だけを送っていますが、画像も送れるようになるともっと伝えやすくなりそうですね。ご意見ありがとうございました!

インタビューを終えて

お客様からの要望をどんどん機能追加してくれるお二人から、お客様が使って便利になったといってもらうのが一番うれしい、とのコメントをもらうことができました。これからもPekoeはお客様がもっと使いやすくなるように、また聴覚障がいの方が働きやすくなるように進化していきます。福士さん、荒堀さん、お話ありがとうございました。

(インタビュアー:木下)


Pekoeは無料でお試しいただけます。
ぜひみなさまもトライアルをご検討ください。

■Pekoe公式ホームページ
https://www.pekoe.ricoh/

■トライアル申し込み
https://www.pekoe.ricoh/trial

※この記事では、聴覚障害ではなく聴覚障がい表記に統一しています。