聴覚障害者に職場でできる配慮とは?障害者雇用への理解を深めて働きやすい環境づくりを!

聴覚障害に関すること
#聴覚障害
SNS
Follow us
Twitter
障害者雇用をイメージした画像

一般雇用とは別枠で、企業や自治体などが障害のある人を雇用する「障害者雇用」が進められています。

これから障害者雇用を進めていく企業では、

「聴覚障害者には職場でどのような配慮ができるのか?」

と、疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

そこで本記事では、障害者雇用への理解を深めて働きやすい環境づくりをするための配慮やコミュニケーションのポイントを解説します。

職場でのトラブルを防ぐために、聴覚障害者の仕事をサポートできるコミュニケーションツールなどを積極的に活用し職場づくりにお役立てください。

\聴覚障がい者向け音声認識ツール/

企業に求められる合理的配慮とは?

障害のある人とそうでない人の機会や待遇を平等に確保し、支障となっている事情を改善・調整するための措置が、企業に求められる合理的配慮です。

「改正障害者雇用促進法」の施行により、事業主には障害のある人への合理的配慮の提供が義務付けられるようになりました。

雇用における合理的配慮を考えるうえで大切なことは、配慮の内容は、障害の程度や周りの環境、配慮をおこなう側の状況により変わるということです。

それぞれの特性や職場の状況を考慮し、どのような配慮が必要なのかを障害がある人と企業、周りの人たちが話し合って決めていくことが大切になります。

合理的配慮をおこなうことが、相互理解を生み出し、共生社会の実現につながっていくと考えられています。

合理的配慮ができていないと罰則がある?

障害者が継続して勤務できることが重要であるという考えのもとで法整備がされているため、罰則規定などは設けていません。

合理的配慮ができていないからといって、罰則があるわけではありません。

しかし、提供義務などに違反した事業者に対しては、助言や指導、勧告といった行政の指導が入り、雇用管理の改善が促されます。

このような行政の改善指導・勧告に対しては、事業者による報告が求められています。

雇用管理に関する報告をしない、または虚偽の報告をした場合は、20万円以下の過料支払いが発生するので注意が必要です。

参考記事:内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律についてのよくあるご質問と回答<国民向け>」

企業が理解しておくべき障害者雇用促進法とは?

企業が障害者を雇用するうえで大切なのは「障害者雇用促進法」を理解しておくことです。

障害者雇用促進法は、障害者の職業の安定をはかることを目的とした法律で、障害者雇用に取り組む社会的意義や守るべき義務があり、違反した際には罰則を課せられることもあります。

障害者を雇用するためには、ポイントを押さえ、問題点を解決していくことが必要です。

すでに取り組みを進めている企業事例や障害者雇用促進法の具体的な施策や改正点などは、以下の記事を参考にしてみてください。

関連記事:障害者雇用促進法をわかりやすく解説!制定の目的や最新の改正点・企業が取り組むべき施策とは?

聴覚障害者のためにできる職場での配慮とは?

聴覚障害者への配慮をイメージした画像

合理的配慮の内容や程度は、配慮を求める本人と周りの環境、事業者側の状況などにより変わります。

さまざまな場面や障害の程度に応じて、企業は働く障害者に対してできる限りの配慮が必要です。

聴覚障害者のためにできる職場の配慮のポイントは以下の6つです。

  • 面接での配慮
  • 業務遂行のための配慮
  • テレワークでの配慮
  • プレゼンテーションでの配慮
  • コミュニケーションでの配慮
  • その他にできる物理的な配慮

双方が納得できる合理的配慮を実現するには、お互いによく話し合い、合意を形成していくことが大切です。

これから障害者雇用をする際には、以下のようなポイントをぜひ参考にしてみてください。

面接での配慮

聴覚障害者との面接では、聞こえの程度によってコミュニケーションをどのようにとるのかあらかじめ決めておく必要があります。

採用後のトラブルがないように、正しい聞き取りをしてミスマッチにならないようにすることが大切です。

対面でおこなうほかにも、最近ではオンライン面接を採用している企業も多くなりました。

相手の障害についての特性を把握したうえで、面接時のコミュニケーション方法を確立しておく必要があります。

コミュニケーションのとり方は、聴覚障害者個人によって異なるため、双方が質問にスムーズに答えられる環境を準備しておきましょう。

どのような場合でも聴覚障害者とスムーズにやり取りができるように、以下の記事を参考に準備を進めてみてください。

関連記事:聴覚障害者の面接で企業ができる配慮は?必要な準備や質問内容もまとめて紹介!

業務遂行のための配慮

企業が障害者を雇用するうえで、本人が希望する配慮を、当事者と企業側の双方で十分に話し合うことが重要です。

業務遂行のための配慮は、企業の過重な負担にならない範囲でおこなう必要があります。

マンパワーや資金力、スペースなどの都合で、事業者に過大な負担がかかる場合は、無理に実行する必要はありません。

実現不可能な場合は、本人になぜできないのかを説明したうえで次の策を講じる努力が求められます。

採用後の配慮内容が決定しても、配属される現場との情報共有がなされていないと、うまく実行されないことがあります。

上司や同僚が替わるたびに、合理的配慮に関する引継ぎがなされず、現場の理解が得られなくなると、本人から何度も説明しなければならないことも起こりうるでしょう。

業務遂行をスムーズにおこなうために、社内で合理的配慮の引継ぎに関するルールを作成し、現場で理解を広げることが大切です。

テレワークでの配慮

聴覚障害者がテレワークをする際には、音声情報の取得やコミュニケーションで困ることが多くあるので配慮しなければいけません。

パソコンなどのエラー音や通知音が聞こえない・マイクの通信状況が確認できない・研修の動画に字幕が付いていないと内容がわからないなどの音声情報に関して起こる問題に対しては、事前の環境整備が必要です。

コミュニケーションのやり取りでスムーズにいかない点は、オンライン会議での他者の発言がわからない・自分の発言が相手に伝わらないなどが考えられます。

聴覚障害者のなかには、発話が困難な人も一定数いるため、オンライン会議では発言ができない場合を想定したチャット機能などの使用が効果的です。

会議に参加しやすいよう会議進行のルールを事前に決めたり、各自が発言しやすい場の雰囲気づくりをするなど、コミュ二ケーションの工夫や配慮をおこなう必要があります。

テレワークでの障害者への配慮は以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:聴覚障害者のテレワークに必要な配慮や企業の課題は?メリット・デメリットも解説

プレゼンテーションでの配慮

プレゼンテーションの進行側の配慮で、聴覚障害者も周りの人と同じようにプレゼンテーションや会議に参加できます。

聴覚障害者の席は前の方にしたり、照明を明るくするなど、まずは環境を整えることがポイントです。

補聴器や視覚だけでは情報を補いきれない場合もあるので、プレゼンテーション用の資料を準備したり、スライドや動画には大きめの字幕をつけることもいいでしょう。

プレゼンテーションをおこなう際には、手話通訳者をつけるのもひとつの方法です。

参加する聴覚障害者の聞こえの程度によってどの方法を採用するのか、プレゼンテーションを円滑に進めるためのポイントは以下の記事でも解説しているのでご確認ください。

関連記事:聴覚障害者へのプレゼンテーションでできる配慮は?円滑に進めるためのポイントも解説!

コミュニケーションでの配慮

聴覚障害者は職場でのコミュニケーションでストレスを抱えることが多いです。

わからないことを質問するタイミングや、何度も聞き返すことが申し訳ないと感じるなど、業務にも支障をきたす可能性があります。

特に、複数人での会話を聞き取れないなどの悩みも多く、ほかの社員とのコミュニーションをとれずに疎外感を感じることも少なくありません。

まずは、それぞれの聞こえの程度を理解して、手話や筆談など、職場ではどのコミュニケーションがベストなのか話し合う必要があります。

職場のレイアウトなどを見直したり、必要であればコミュニケーションツールを導入するのも効果的です。

聴覚障害者が仕事でどのようなストレスを感じやすいのか、環境を整えるためのポイントは以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:聴覚障害者が職場で抱えるコミュニケーションの悩みは?理解しておきたい3つのポイントも解説!

その他にできる物理的な配慮

ここまでご紹介した聴覚障害者への配慮のほかにも、物理的な配慮が必要な場面もあります。

たとえば、聴覚障害者は在宅時に、電話(FAX)の着信・来客時のインターフォン・火災報知器・アラームなどは屋内信号装置によって理解します。

このような生活音に反応して、光や振動または臭い(わさび臭)によって知らせてくれる装置です。

状況に応じて、職場でもこのような物理的な配慮が必要です。

聴覚障害者が日常生活に必要な配慮などは以下の記事もご確認ください。

関連記事:聴覚障害者に必要なものは?日常的に必要な装置や求めている配慮も徹底解説!

聴覚障害者のためにできる職場での配慮は、それぞれの場面に応じて内容を精査することでスムーズに取り入れやすくなるでしょう。

実際に一緒に働くことを想定して、より具体的に配慮の内容を決めておくことで、入社後のトラブルを回避できます。

障害者だけが困難を抱えて働くのではなく、企業の側だけが重い負担を強いられるのでもなく、お互いが理解し尊重し合い、ともに生きていくという考え方が大切です。

\聴覚障がい者向け音声認識ツール/

職場では聴覚障害者とのトラブルが起こりやすい?

障害者雇用が進むなかで、職場では聴覚障害者とのトラブルが起こっている事例もあります。

その多くは、コミュニケーションがうまくとれないことが要因と考えられます。

たとえば、障害の有無に関わらず、気になる点は注意する必要がありますが、障害者にはなんとなく問題点を注意しづらいと感じる人も少なくありません。

しかし、障害者にだけ特別な対応をすると、障害者自身も周囲もストレスを感じてしまうので、改善すべき点は、他の社員と同じように本人に伝えるべきです。

このほかにも、仕事の評価をしづらい点も懸念されます。

仕事における能力での適正な評価であっても、耳が聞こえないことで差別されていると不満を感じる聴覚障害者もいるようです。

このように、些細なことが要因で大きなトラブルに発展すると離職につながるケースもあるので、防止策や配慮は事前に職場で共有しておくことが大切です。

聴覚障害者のいる職場で起こりやすいトラブルは以下の記事でご確認ください。

関連記事:聴覚障害者のいる職場で起こりやすいトラブルとは?企業ができる防止策や配慮を解説!

聴覚障害者が仕事で抱えやすいストレスは?

聴覚障害者が抱えるストレスをイメージした画像

聴覚障害者は仕事でどのようなストレスを抱えやすいのか、職場で共有しておく必要があります。

さらに聴覚障害者自身もどのような点で困っているのか、どういったことでストレスを感じるのかを知ることが大切です。

自分自身の状態を知ることが、働きやすい職場や、やりたい仕事を見つけるための大きなヒントになります。

具体的には、複数人での会話や会議についていけない、話のスピードが早すぎて理解できないなどがあります。

このほかにも、相手にうまく伝えられないなどコミュニケーションに関わる点でストレスを多く感じる傾向です。

ストレスは精神的な疾患にも影響しますし、離職に至るケースも多くあります。

聴覚障害者が抱えるストレスを職場全体で理解するためには、専門家に相談したり社内研修を実施するなども有効的です。

対策や配慮は以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:聴覚障害者が抱える仕事のストレスや悩みは?離職理由や対策も解説!

聴覚障害者が働きやすい業務がある?

聴覚障害者のなかには会話が苦手な方もいるので、接客が多い職種や営業をするためには多くの努力と時間が必要です。

しかし、接客や電話対応などが含まれない職種であれば、どのような職にも就くことができます。

特に事務職や専門職など、屋内でおこなえるデスクワークが適しています。

補聴器を使っている場合は、騒々しい場所での聞き取りが困難になるので、できるだけ静かな環境のほうが働きやすいでしょう。

事務職系は書類の作成・管理やデータ入力などのパソコンを使う業務、軽作業系は倉庫や工場内での荷物の仕分けや、製造ラインでの検品作業などがあります。

採用した際の配属では、それぞれの特性やスキルに合わせた業務に従事することで、職場への定着にもつながります。

企業に求められる配慮は、以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:聴覚障害者の雇用率は?離職理由や定着のために企業に求められる配慮も徹底解説!

職場での聴覚障害者とのコミュニケーションで意識したいことは?

ほとんどの聴覚障害者は、周囲とのコミュニケーションに難しさを感じています。

職場での聴覚障害者とのコミュニケーションでは、職場全体でどのようにしたらお互いのやり取りがスムーズにできるのかを意識することが大切です。

聴覚障害者のなかでも、難聴者は音声言語を話せることが多いため、外見から障害があると気付かれづらい傾向があります。

背後などから声をかけられても気付かず、無視されたと誤解されるケースもあるようです。

職場での聴覚障害者とのコミュニケーションでは、話す前に注意を引いたり、しっかり正面を見て話す、ゆっくり丁寧に伝えることを意識するようにしましょう。

回りくどい言い方をしないようにシンプルに伝える、身振りを加えたジェスチャーを取り入れるなども効果的です。

さらに聴覚と視覚の両方から情報を伝えることで、相手は雰囲気や表情から言葉を理解しやすくなります。

難聴者とコミュニケーションをとる際のコツは以下の記事を参考にして見てください。

関連記事:難聴者とコミュニケーションをとる際のコツは?すれ違う原因や難聴者の悩みも解説!

聴覚障害者の仕事をサポートできる「Pekoe」

聴覚障害者の仕事をサポートできるツールとしておすすめなのが、チームの情報共有や複数人での意見交換もしやすくなる「Pekoe(ペコ)」です。

Pekoeはリアルタイムの会話を文字変換するWindows対応の音声認識ソフトなので、聴覚障害者を含めた複数人でのミーティングなどに向いています。

音声が間違って変換されたときは、気付いた人がその場ですぐに修正できます。

この修正機能によって、会話の認識のズレが減り、効率的に仕事を進められるのがメリットです。

Pekoeにはチャット機能も備わっているため、会議だけではなく日常的なチャットツールとしても活用できます。

聴覚障害者も意見や質問がしやすくなるのと同時に、会話の内容も残るので、記録としてあとから見返せるのも便利です。

公式サイトからアプリをダウンロード後、アカウント登録をするだけで簡単に使えるので、まずはチームトライアルから無料で試してみてください。

\聴覚障がい者向け音声認識ツール/

まとめ

今回は、聴覚障害者に職場でできる配慮や障害者雇用への理解を深めるためのポイントをご紹介しました。

仕事や日常生活で、聴覚障害者はコミュニケーションで多くのストレスを感じています。

聴覚障害者が働きやすい職場環境を整えるには、事前に準備をしたり用途に応じて新しいツールを取り入れることが大切です。

職場全体で障害に対しての理解を深め、コミュニケーションの方法を工夫し、便利なサービスを積極的に導入することで定着率を高めることができます。

これから聴覚障害者の採用をする企業の方はぜひ参考にしてみてください。