聴覚障害者の面接で企業ができる配慮は?必要な準備や質問内容もまとめて紹介!

聴覚障害に関すること
#聴覚障害
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インクルーシブな企業文化を目指すなかで、聴覚障害者を雇用する企業が増えています。

企業が聴覚障害者を雇用しようとするとき、面接ではどのような配慮や準備をおこなえばいいのでしょうか。

また、一緒に働くために確認しておくべきことや、聞いてはいけない内容も気になりますよね。

この記事では、聴覚障害者の面接において必要な準備や質問内容など、配慮すべき点をまとめてご紹介します。

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聴覚障害者との面接にはどんな準備が必要?

聴覚障害者との面接では、一般的な面接と同様、採用後に双方で相違がないよう、しっかりと確認すべきことを事前にまとめて準備しておくことが重要です。

そのため、相手の聴覚障害についての特性を把握したうえで、面接時のコミュニケーション方法を確立しておく必要があります。

コミュニケーションのとり方は、聴覚障害者個人によって異なるため、双方が質問にスムーズに答えられる環境を準備しておきましょう。

選考基準をきちんと定めておく

聴覚障害者を採用する際は、周囲とのコミュニケーション方法やどのような仕事ができるのかなどを考慮したうえで、適材かどうかを判断します。

障害者を雇用する場合、受け入れ体制や適切な環境を整えることができなければ、採用しても長期的に働いてもらえない可能性があります。

聴覚障害者が長期的に仕事を続けるためには、本人の要望を聞くだけではなく、社内で関わる社員からの理解やサポートが欠かせません。

聴覚障害者といっても聞こえ方には差があり、対応が可能な仕事も人によって異なるため、受け入れる職場に合った人材を採用することが大切です。

配属予定の部署に確認をとりながら、適切に採用を判断できるように選考基準を社内で定めておきましょう。

必要な配慮を事前に確認する

聴覚障害は音が聞こえなかったり、聞こえづらかったりする障害です。

障害の程度や障害者になった時期によって、できることやコミュニケーション方法が異なるため、必要な配慮を事前に確認しておきましょう。

例えば、手話でなければコミュニケーションをとれない人もいれば、手話ができない聴覚障害者もいます。

手話によるコミュニケーションが必要な場合には、手話通訳者の配置が必要です。

また、補聴器の使用などによって音が聞き取れる場合でも、周囲の環境が騒がしければ聞き取りが難しくなります。

できるだけ話を聞き取りやすい静かな場所に席を設けるなどの配慮が必要です。

お互いに相違がないよう、わかりづらい場合は筆談を併用するのがおすすめです。

聴覚障害者が職場に定着するための配慮については、下記のリンク先でも詳しくご紹介しているので参考にしてください。

関連記事:聴覚障害者の雇用率は?離職理由や定着のために企業に求められる配慮も徹底解説!

聴覚障害者の面接で配慮したい4つのポイント

聴覚障害者の面接では、伝達ミスや勘違いが起こらないよう、配慮したい4つのポイントがあります。

  • 面接日程などの連絡はEメールや文書でおこなう
  • 説明資料やパワーポイントを用意しておく
  • 筆談や手話でのやり取りをおこなえるようにする
  • 円滑にコミュニケーションをとれるツールを準備しておく

一般的な面接と同様に、会ってみて初めて気付くことも多いかもしれません。

面接では採用する側が対象者に質問するだけではなく、対象者にも社内や仕事内容を正しく知ってもらうための工夫が必要です。

面接日程などの連絡はEメールや文書でおこなう

聴覚障害者との連絡は、Eメールや文書でおこないます。

耳が聞こえづらい場合、対面では聞き取りができる人でも、一般的な電話での通話は難しい状況です。

面接日程や場所などを正しく伝えるためには、Eメールや文書で伝えると確実に伝わり、時間もかかりません。

説明資料やパワーポイントを用意しておく

実際に面接するときに、企業側から詳細について説明が必要なときは、あらかじめ説明資料やパワーポイントを用意しておくと伝わりやすくなります。

資料やパワーポイントに沿って説明しますが、説明する人は必ず対象者の正面の位置に座るようにしましょう。

聴覚障害者が音声による会話を聞き取る際は、耳からの情報に加えて、相手の口元の動きから言葉を読み取る「口話」という方法を併用する場合があります。

あらかじめ説明資料やパワーポイントを用意した場合でも、対象者にきちんと内容が伝わるように、普段よりも「ゆっくり」「はっきり」を意識して話します。

筆談や手話でのやり取りをおこなえるようにする

聴覚障害者のなかでも、人生の途中で聴力を失った「中途失聴者」や、音を聞き取りづらい「難聴者」のほとんどは、発話に音声言語を使います。

聴覚障害者には、発話している人の口元の動きから会話を理解する人もいますが、それでも読み取りづらい言葉があります。

日本語には多くの単語があるため、例えば「うち」「つち」のように文字数と母音が一緒の単語は読み取りが困難です。

特に仕事上の会話の場合は、ビジネス用語や専門用語を使うケースも増えるため、対象者の状況によっては筆談や手話でのやり取りをおこなえるようにしましょう。

手話をはじめ、聴覚障害者とのコミュニケーションのポイントをご紹介している記事もありますので、そちらもあわせてご覧ください。

関連記事:耳が不自由な人とのコミュニケーションは?大切ポイントを押さえ便利なツールも活用しよう!

円滑にコミュニケーションをとれるツールを準備しておく

筆談や手話など、状況に応じてコミュニケーション方法を検討することが重要ですが、円滑にコミュニケーションをとれるツールを準備しておくと便利です。

近年は、パソコンやスマートフォンで使える聴覚障害者向けの音声認識アプリがあり、さまざまなシーンで役立っています。

音声認識アプリとは、話している音声言語を聞き取って文字化してくれるものです。

無料で使用できるアプリも多くありますが、変換の精度などはアプリによって異なるため、試してみて使いやすいものを選んでおきましょう。

音声認識アプリは補助的に使用するアイテムとして、誤った言葉に変換されていないかなど、確認しながら活用するのがおすすめです。

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Web面接の場合にできる準備や配慮は?

聴覚障害者のWEB面接での配慮をイメージした画像

近年はリモートという形での働き方も定着しつつあるため、Web面接を取り入れる企業が増えています。

聴覚障害者対象のWeb面接をおこなう場合にできる準備や配慮には、どのようなものがあるのでしょうか。

Web面接では、テレビ電話のように画面に顔を映して会話します。

通信回線やパソコンの状態などによっては、会話が聞き取りづらくなる可能性があります。

聴覚障害者の場合は、対象者が聞き取りづらいことを意識して「はっきり」「ゆっくり」話すことを心がけましょう。

口話で言葉を読み取る人もいるため、対象者に口の形がしっかりと見えるように配慮が必要になります。

また、文字起こし機能があるアプリを使うと、リアルタイムで会話を文字化してくれるため、会話しやすくなるのでおすすめです。

Zoomには文字起こし機能もある?

Web面接に使える代表的なアプリにZoomがあります。

リモートでの仕事で使用されている人も多いと思いますが、Zoomにも文字起こし機能があるのは、ご存じでしょうか。

以前は、英語のみに対応していましたが、2022年9月にリリースされたβ版から日本語にも対応しています。

聴覚障害者との面接では、画面の右側にチャットのように文字を表示させる「フルトランスクリプト」という文字起こし機能を使うと、会話をサポートしてくれます。

特に聴覚障害者が口話を取り入れている場合は、読み取りづらかった言葉を前後の会話の流れから予測することがあるので、文字起こし機能があると理解しやすくなります。

また、フルトランスクリプト機能は文字起こしした内容をデータとして残しておけるのも魅力です。

ただ、誤った文字に変換されている場合に修正ができないため、正しく文字起こしされているかの確認が必要となります。

下記のリンク先では、Zoomの文字起こし機能についてご紹介しています。

関連記事:Zoomの文字起こしは日本語でできる?機能や設定方法・注意点もわかりやすく解説!

聴覚障害者の面接でしておくべき質問内容とは?

聴覚障害者との面接をおこなう前には、事前準備として、面接でしておくべき質問内容もまとめておきましょう。

聴覚障害者の場合は、一般的な面接と同じように「スキル」「意欲」「協調性」などをチェックするほか、障害の状況を把握するための質問も重要です。

個々の障害の状況によって必要な配慮が異なるため、面接では、どのような配慮が必要なのかを知るのと同時に、会社としてそれに対応できるのかも判断する必要があります。

  • 障害に関すること
  • 職務遂行に関すること
  • 職場環境や生活に関すること
  • 前職がある場合の退職理由

以上の4つのポイントに考慮した質問内容を準備しておきましょう。

障害に関すること

聴覚障害者といっても、障害者になった時期や程度によって、聞こえ方やコミュニケーション方法には差があります。

例えば、生まれたときから音がまったく聞こえない「ろう者」は手話を使いますが、音声言語を習得した難聴者や中途失聴者の多くは手話を使えません。

可能なコミュニケーション方法を把握するためには、障害に関することを確認する必要があります。

聴覚障害者を雇用するうえで、周囲とのコミュニケーション方法や、必要な配慮を確立することは最も重要な課題です。

聴覚障害者のなかには、配慮に関する要望をなかなか切り出せない人もいるので、障害に関して話ながら提案する形で話を進めるとスムーズです。

職務遂行に関すること

雇用するうえで、取得している資格をはじめ、職務遂行に関する質問は必須です。

職務遂行に関することは、資格だけではなく、これまでの経験やその仕事を進めるうえで工夫していたことなどを聞くと、効率よく仕事を進められる人材なのかどうかを判断する材料になります。

これまで、どのような仕事の経験があるのかや、周囲とのやりとりの方法などを確認するようにしましょう。

適切な配慮をおこない聴覚障害者の職場定着に取り組むだけではなく、配属先に合った人材を選ぶうえでも大切です。

職場環境や生活に関すること

聴覚障害は音が聞き取りづらいだけではなく、それにともなってコミュニケーションのとりづらさや情報収集のしづらさを感じていることがあります。

それらの不便を解消できるよう適切な配慮をおこなうためにも、職場環境や生活に関して個々に聞き取りをすることが大切です。

社内でのコミュニケーションがうまくいかないと、仕事が捗らないばかりか孤立感を感じてしまいます。

例えば、耳が聞こえていればたまたま聞こえてきた話題にも入れますが、聴覚障害者の場合は、意図して自分で話しかけるか、相手から話しかけてもらえないと会話ができません。

また、複数人が同時に話す場所での聞き取りはとても苦手です。

職場の雰囲気や環境を整えることは仕事を継続的に続けるうえで重要な要素なので、関わる社員すべてが対象者に対しての理解を深め、適切な配慮を見極める必要があります。

前職がある場合の退職理由

面接する聴覚障害者に前職がある場合は、退職理由を知ることも適切な配慮をおこなうために役立ちます。

聴覚障害者が退職する理由には、前職が対象者に合ってない職種だった、社内でのコミュニケーション不足により仕事や人間関係に大きなストレスを感じたなどが多いです。

聴覚障害者は、電話での応対や、複数の人が集まる会議などでの聞き取りが苦手です。

また、背後など視角に入らない位置から急に話しかけられても、障害がない人と同様には対応できないため、それらに対する配慮がない環境では持続的に働くことが難しくなります。

対象者の前職の退職理由を知ることは、適切な配慮をおこなううえで大切なことです。

聴覚障害者の離職理由や対策について解説している記事がありますので、参考にしてください。

関連記事:聴覚障害者が抱える仕事のストレスや悩みは?離職理由や対策も解説!

聴覚障害者の面接で聞いてはいけないことがある?

聴覚障害者に聞いてはいけない質問をイメージした画像

聴覚障害者の面接では、聞いてはいけないことがあります。

一般的な面接と同様に、基本的人権を傷つけるなど、仕事には直接関係のない項目については、聞くべきではありません。

  • 本籍や家族に関わる項目
  • 住宅環境や生活状況に関する項目
  • 信仰する宗教や支持する政党などに関する項目

以上に挙げた項目は一例ですが、仕事をするうえで確認する必要のない個人的な情報を含むことや、本来は自由であるべきことについて聞くのは好ましくありません。

適切な配属先や配慮を施すために、一般的な面接よりも確認すべき項目は増えますが、人権を傷つけないようにしましょう。

聴覚障害者のために企業ができるトラブル防止策とは?

聴覚障害者を雇用する場合、起きやすいトラブルがあります。

企業ができるトラブル防止策にはどのようなものがあるのでしょうか。

聴覚障害者は音を聞き取りづらいことから、周囲とコミュニケーションがとれないことがトラブルにつながることも少なくありません。

トラブル防止策として、コミュニケーションのとり方を工夫するのもひとつの方法です。

コミュニケーションのほかにも、聴覚障害者が企業側から受けた評価に対して不満を感じる場合もありますし、逆に企業側が評価するのを難しいと感じる場合もあります。

下記のリンク先では、トラブルを防止する方法として、企業ができる対策や配慮についてご紹介しているので参考にしてください。

関連記事:聴覚障害者のいる職場で起こりやすいトラブルとは?企業ができる防止策や配慮を解説!

聴覚障害者との面接時のコミュニケーションを円滑にする「Pekoe」

聴覚障害者との面接時には、面接する側も円滑なコミュニケーションを図れるのかが気になりますよね。

聴覚障害者とのコミュニケーションには、筆談や手話などが有効ですが、さらに聴覚障害者向けのコミュニケーションサービスを取り入れるのも方法のひとつです。

聴覚障害者向けコミュニケーションサービス「Pekoe(ペコ)」は、アプリをダウンロードするだけで使用できます。

複数人での会話にも対応できる音声認識ツールで、聴覚障害者との面接時のスムーズなコミュニケーションにも役立てられます。

チャット機能も備わっていてURLを共有すれば誰でも参加できるので、社内のコミュニケーションツールとしてもおすすめです。

トライアル期間中なら無料でお試しできますので、ぜひご利用ください。

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まとめ

聴覚障害者を雇用する場合も、適切な面接をおこない、企業に適した人材を雇い入れられるかが鍵です。

この記事では、聴覚障害者の面接時に配慮すべきことや、必要な質問などについてご紹介しました。

聴覚障害者の雇用を定着させるためには、面接時に互いに相違がないように、さまざまな点について話し合う必要があります。

面接する際は、この記事を参考に環境を整えるだけではなく、必要な質問を準備しておくなど、適切な面接がおこなえるよう配慮しましょう。