聴覚障害者の平均年収は?障害者雇用と一般雇用の違いや給料が安いといわれる理由も解説!

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障害者雇用が進み、企業で働く障害者の方が増えています。

現在、正社員として働いていて、これからキャリアアップしたいと考えている聴覚障害者の方のなかには、

「障害をもっていると年収が低いのか?」

「障害者雇用と一般雇用の違いはどのようなところか?」

などの疑問をお持ちの方も多いかもしれません。

そこで本記事では、聴覚障害者の平均年収や就職率、離職率など詳しく解説していきます。

障害者雇用と一般雇用の違いや、給料を増やす方法を紹介していくので、今後のキャリアアップ、職業選びで参考にしてみてください。

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聴覚障害者の平均年収は?

厚生労働省が平成30年度に発表した障害者雇用実態調査によると、聴覚障害者の平均年収は約250万円です。

ダイバーシティが推進されているなか、聴覚障害者の社会進出も進み、多くの職場で活躍している方が増えています。

職場で配慮を受けながらも、週30時間以上のフルタイムで働く聴覚障害者も多いです。

聴覚障害があっても、デスクワークや軽作業などができる方も多く、ほかの障害よりも、比較的長い時間働けることから年収も上がっています。

障害者の年収の中央値

障害者の年収の中央値は、障害によって大きく異なります。

  • 身体障害者 258万円
  • 知的障害者 140万円
  • 精神障害者 150万円

中央値でみると、身体障害者の年収は精神・知的障害者よりも100万円ほど高いですが、働く時間の違いが大きな理由と考えられます。

障害者雇用の月収とボーナスの平均額

障害者雇用の月収は、以下のとおりです。

  • 身体障害者 21万5千円
  • 知的障害者 11万7千円
  • 精神障害者 12万5千円

ボーナスの平均額は大手企業で2.0ヵ月〜2.5ヵ月分、中小企業では1ヵ月〜2ヵ月分くらいとされています。

雇用形態や業種、職種によっても変わるので、あくまでも目安として参考にしてください。

参考記事:平成 30 年度障害者雇用実態調査結果

聴覚障害者の就職率や離職率は?

令和4年の障害者雇用状況の集計結果によると、民間企業の実雇用率は2.25%で、法定雇用率2.3%以上を達成している企業の割合は48.3%です。

聴覚障害者の就職率は40.3%という調査結果がありますが、聴覚障害者に限定する離職率はわかっていません。

ただ、就労している障害者への調査をみると、「今と別の会社で働いたことがある」という問いに回答した人は56.0%でした。

就労経験のあるうちの半分以上は、離職経験があることになります。

令和3年の厚生労働省発表のデータによると、全体的な離職率は13.9%なので、障害者の離職率はとても高いです。

参考記事:令和4年 障害者雇用状況の集計結果

どのような理由で離職したのか、定着のための企業に求められる配慮はどのようなものかは以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:聴覚障害者の雇用率は?離職理由や定着のために企業に求められる配慮も徹底解説!

障害者雇用と一般雇用の違いは?

障害者雇用とは、企業や自治体などが障害のある方だけを特別な雇用枠で採用することです。

障害があっても個人の能力や特性を活かしながら、快適に働ける環境づくりを目指し、障害者雇用促進法に基づいた規則を遵守します。

障害者雇用と一般雇用の違いは、応募できる条件などにあります。

一般雇用の場合は、企業が定める条件を満たしていれば、誰でも応募が可能です。

障害者雇用枠で採用されるには、障害者手帳を持っていることが条件で、入社後は障害に配慮された環境で働くことができます。

参考記事:事業主の方へ|厚生労働省

障害者の給料が安いといわれる4つの理由

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障害者の雇用は給料が安いと思われる方が多いですが、以下の4つが主な理由として考えられます。

  • 雇用形態
  • 週所定労働時間
  • 仕事内容に制限がある
  • 職種によりキャリアアップが難しい

ここからは、なぜ障害者の給料が安いのか詳しく解説していきます。

雇用形態

障害者雇用枠は非正規雇用スタートとなるケースが多いことが、給料が安い理由のひとつです。

雇用形態には大きく分けて「正社員」と「契約社員」の2つがあり、アルバイトやパート、嘱託職員は契約社員にふくまれます。

企業側はできれば、採用する人が「業務をきちんとこなせるかどうか」「継続的に勤務できるかどうか」などを判断してから、正社員として雇用したいと考えています。

そのため、まずはパート社員や契約社員として採用するケースが多いです。

非正規雇用の場合、正社員よりも給与が低めに設定されていることもあるため、平均給与を下げる要因となっています。

週所定労働時間

労働時間に関する調査では、障害者雇用の場合、障害者の心身に負担がかからないように、時短勤務を採用している企業や事業所が多いです。

障害者雇用枠で働く方のなかには週30時間未満で勤務する方も一定数います。

非正規雇用のケースが多いことに加え、長時間勤務は心身の負担が大きく短時間勤務を希望する方がいるためです。

勤務時間が短くなればその分給与も下がるため、障害者雇用枠全体の平均給与を下げる要因となっています。

これは障害者だけの話ではなく、時短勤務では労働者が提供できる労働力が少なくなるため、短縮された労働時間分の給料しかもらえません。

仕事内容に制限がある

一般雇用と比べて、仕事内容の面で差が出てしまう点も給料が低くなる原因です。

障害の程度によっては、仕事内容に制限があります。

自由に身体を動かせないことで重い物を運べない、顧客のもとに直接足を運ぶのが難しい場合もあるかもしれません。

障害者雇用では、障害を考慮した業務が用意されていることが多く、比較的難易度の低い業務である場合があります。

一般的に、リーダーやマネジメント職になると、役職手当が支給されたり昇給したりするケースが多いですが、簡単なルーティンワークが中心の方は、昇進に必要な評価を受けにくく、結果的に給料が低い水準のままになってしまいがちです。

そのため、専門性や難易度の高い業務に取り組む社員にくらべると、給料は低くなってしまいます。

職種によりキャリアアップが難しい

仕事内容に制限がかかるということは、キャリア形成の面でも不利です。

職種によってはキャリアアップが難しいので給料が上がらない原因となります。

一般的に、管理職になると管理職手当がつくようになり、給与の大幅アップが期待できます。

しかし、管理職になるためには、チームのマネジメントなどのこれまでと異なる業務をこなす、勤続年数が一定以上、などが求められることが多いです。

障害の特性によっては担当できる業務の幅が限られているために、昇格・昇進が難しい方もいます。

長期間勤務できないなどの理由から、管理職になることが難しく、平均給与額に影響していると考えられます。

障害者雇用でも給料は上がる?

障害者雇用で採用された場合、年収が上がるかどうか気になる方は多いかもしれませんが、統計的にみると一般の社員の方と変わらないです。

障害者採用で入社しても、評価基準や給与テーブルは一般の社員と同じとしている企業がほとんどなので、障害の有無に関わらず、仕事で成果を出せば昇給する可能性があります。

入社後何年か経験を積んで、年収が上がったという障害者の方は多いので、障害者雇用だから年収が上がらないということはありません。

大手企業の障害者雇用の平均年収

聴覚障害者の平均年収は250万円程度とご紹介しましたが、大手企業の場合は、250万円〜350万円程度です。

大手企業の障害者雇用で正社員になると、ボーナスがもらえるようになったり、昇給のチャンスもあるので、給料が上がる可能性もあります。

多くの大手企業は、障害者雇用を推進しているので、障害をもった方でも働きやすい環境が構築されていて、周りの社員の障害に対する理解も浸透しているので安心できます。

サポートや教育支援が整っている大手企業は、キャリアアップの機会も多いです。

働く環境が良く離職率が低いため勤続年数が長い、正社員登用や昇格のチャンスも多いことから、中小企業よりも大手企業の方が年収が高いということになります。

聴覚障害者が給料を増やす方法は?

障害者雇用で仕事をされている方のなかには、もう少し給料を上げたいと思っている方も多いかもしれません。

これから聴覚障害者が給料を増やす方法は、以下の2点を参考にしてください。

  • 資格を取得する
  • 転職をする

どのような方法が効果的なのか、具体策を解説していくのでぜひ参考にしてみてください。

資格を取得する

資格試験に挑戦して資格を取得することで、仕事に関わる技術や知識を高めることができます。

担当できる業務の幅が広がり、仕事給のアップや資格手当につながる可能性があるかもしれません。

資格手当は、一時金タイプと毎月の給料に上乗せして支給されるタイプがあり、上乗せされる場合は、1ヵ月あたり数千円〜数万円ほど増やすことができます。

企業や事業所によっては、資格手当などの職務関連手当がつく場合もあり、資格は転職時にも大きな武器となります。

企業に資格手当がない場合でも、資格取得を目指す価値はあります。

働きながら資格取得を目指すことは、現在の業務に対して高い意欲や熱意があるからで、その努力は企業にも伝わり、大きく評価される場合があるかもしれません。

特に、難易度の高い資格ほど専門性があることから、資格取得によって新しい業務を任され、より高い給料をもらえる可能性もあります。

これまでの経験を証明する手段として、資格取得にチャレンジするのもよいのではないでしょうか。

障害者におすすめの資格や転職・就職に役立つスキルは以下の記事を参考にしてみてください。

関連記事:障害者の方の資格取得でおすすめは?就職や転職に役立つ資格や支援サポート制度もご紹介!

転職をする

もし現職での昇給が難しいようであれば、思い切って転職するという選択肢もあります。

最初は契約社員でも、正社員登用をしている企業であれば、頑張れば正社員となって、高い給料がもらえるようになります。

今いる企業に障害者の正社員登用の事例がないのであれば、転職することを考えてもいいでしょう。

給与は、労働に対する対価なので、給与を上げるには、企業が求める実績や結果を出すことが必要です。

しかし、企業にとって人件費には限界があり、頑張っていても無限に給与を上げられるわけではありません。

これ以上年収が上がる見込みがない場合、転職をするのも手段のひとつとしてご検討ください。

聴覚障害者におすすめの仕事は、以下の記事で詳しくご紹介しています。

関連記事:聴覚障害者におすすめの仕事11選!難聴でもできるパートや役立つ資格もチェック!

給料を増やす以外にも収入アップの方法はある?

障害者の収入アップの方法をイメージした画像

ここまでは、給料を増やす方法を細かくお伝えしましたが、それ以外にも収入をアップさせる方法があります。

給与額にこだわらず、支出を抑えることで収入や貯蓄を増やすのもひとつの方法です。

どのような方法が有効的か、具体的な方法を解説していきます。

福利厚生や手当が充実している会社を選ぶ

福利厚生制度は、正社員だけでなく契約社員やパートタイム労働者など全従業員が対象です。

福利厚生や手当が充実している会社を選ぶことで、生活費などを抑えることができるので、結果として手元に残る現金が増え、その分を貯蓄に回すことも可能です。

企業には法律で義務付けられた福利厚生として「法的福利厚生」があり、社会保険や労働保険、子ども・子育て拠出金など、企業が費用の負担を担います。

法律に関係なく企業が独自に設けている「法定外福利厚生」は、従業員の定着率とモチベーションアップをはかることを目的にしたさまざまな制度です。

たとえば、住宅手当やリーズナブルな社員食堂などの福利厚生が充実していると、毎月の生活費負担を減らせて、レジャー施設優待などを利用すれば、あまりお金をかけずにプライベートが充実します。

まずは、自分が所属する企業にはどのような福利厚生や手当があるのか把握し、活用できる取り組みがあるのかご確認ください。

公的な制度を利用する

障害年金は病気やけがで働けなくなった場合や、生活が制限される場合に受け取れる年金です。

給料以外の収入をアップさせる方法として、このような公的な制度を利用することもできます。

一般的に、年金は障害基礎年金と障害厚生年金に分類され、障害の原因となった病気やけがで初めて病院を受診した日に、どの年金制度の被保険者であったかによって、受給する障害年金の種類が違ってきます。

受け取れる金額は障害等級によって異なり、申請して審査に通らなければ受け取れません。

年金の加入状況によっても、支給を受けられるかどうかが変わりますが、働ける状態でも、申請すれば受け取れる可能性があるので、かかりつけ医に相談してみるといいでしょう。

納税者本人や扶養家族が障害者である場合に受けられる「障害者控除」も、障害者雇用で働きながら収入を増やすために使える制度です。

障害者控除は原則として、障害者手帳を持っている人が対象で、年末調整や確定申告をすることで、課税所得から障害の程度や本人との関係によって27万円〜75万円が差し引かれます。

障害等級や所得、家族状況によって異なるので、さらに詳しく知りたい方は、市役所の納税課などへお問い合わせください。

参考記事:国税庁「障害者控除」

聴覚障害者におすすめの仕事の探し方は?

障害者雇用枠で現状よりもよい条件の仕事を見つけるためには、転職・就職のプロのサポートを受けることがおすすめです。

自力での就職活動には限界があり、仕事をしながら転職先を探すとなると、なおのこと大変でしょう。

障害者雇用に詳しい専門機関を利用すれば、希望条件や障害特性などを考慮したうえで、自分に合った求人情報を探してもらうことができます。

求人情報の紹介のほか、給与などの待遇に関する交渉や、面接についてのアドバイスなど、さまざまな面でサポートをしてもらうこともできます。

利用する転職支援サービスを選ぶ際には、障害者雇用枠の求人を積極的に取り扱っているかどうか、障害者雇用のサポート実績、専任エージェントの有無などを基準にするとよいでしょう。

仕事探しをサポートしてくれる機関はある?

障害者の就職や転職は、「採用してもらえるか不安」「会社がどのような配慮をしてくれるかわからない」など、不安な点もたくさんあると思います。

聴覚障害者が就職・転職で利用できる支援機関は以下の4つが代表的です。

  • 障害者就業・生活支援センター
  • ハローワーク
  • 就労移行支援事業所
  • 障害者向け就職・転職エージェント

自分に合った支援を受けながら就職活動をするのが効率的なので、以下の記事で詳しい支援内容をご確認ください。

関連記事:聴覚障害者の働き方は?就職の支援機関や向いている仕事・必要な心構えも徹底解説!

障害者の就職を支援している機関に相談に行く前には、自分はどのようなことで困っているのかを伝えられるようにしましょう。

どの機関でも、障害者の就労支援の専門家がいるので、丁寧に話を聞いてくれます。

就職活動や就業中の不安や心配なことを伝えることで、よりスムーズに就職活動ができます。

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まとめ

今回の記事では、障害者の平均年収を詳しく解説してきました。

障害者雇用は一般雇用に比べて年収は下がりますが、その理由は就労時間によるものが大きいです。

収入を上げる方法としては、資格取得して専門知識を深め、できる仕事の幅を増やしたり、よりキャリアアップするために転職するのも選択肢のひとつです。

給料を増やす方法や転職するための支援機関も詳しく解説しているので、これから新しい仕事にチャレンジしたい方はぜひ参考にしてみてください。