聴覚障害者に必要なものは?日常的に必要な装置や求めている配慮も徹底解説!

聴覚障害は音が聞こえなかったり聞こえづらかったりする障害です。
音からの情報を得られない場合は、光・振動・文字などから情報を得ていますが、必要なものや配慮は、障害の程度や状況によって異なります。
聴覚障害者への配慮やサポートは、どのようにおこなえばよいのか迷われる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、聴覚障害者が日常的に必要なものをはじめ、求めている配慮を詳しくご紹介します。
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聴覚障害者が必要としている配慮
聴覚障害者の聞こえ方は聴覚の程度によって異なり、まったく音が聞こえない人もいれば、補聴器などの使用によってある程度の音を聞き取れる人もいます。
日常ではそれぞれに合った方法で周囲とコミュニケーションを図っていますが、外出先など慣れない場所では、不便を感じることも多いようです。
音を聞き取りづらい難聴の人は、会話をする際に相手の口元を見ながら聞き取る「読話」という方法を使う人が多くいます。
読話は日常会話などで聞いたことのある言葉には活用できますが、聞きなれない言葉や専門的な用語の場合は、なかなか理解できません。
耳からの情報を取得しづらい聴覚障害者には、その場に合った配慮が必要です。
聴覚障害者が必要としている配慮を、場面ごとにご紹介するので参考にしてください。
公共機関の窓口での配慮
聴覚障害者は自分の視界とは別の方向から名前を呼ばれても、多くの場合は気付くことができません。
公共機関の窓口で戸惑っている人を見かけた場合は、「何かお手伝いすることはありますか?」と正面から声をかけるのがいいでしょう。
どのような方法でコミュニケーションをとれるのかを確認したうえで、ゆっくりと説明するなどの配慮が必要です。
聞き間違いがないように、筆談やメモも添えるなどの配慮をすると、より伝わりやすくなります。
道を歩くときの配慮
私たちは耳からも多くの情報を得て生活をしています。
歩行中も、後ろから自転車や車が近づいてきていることを音で察知しているのではないでしょうか。
しかし、聴覚障害者は道を歩くとき、後ろから近づく音になかなか気付けません。
特に道路脇の電柱や停車中の自転車などの障害物を避ける際は、背後からの接触事故につながる可能性が高くなります。
交通量が多い道路では付き添い、危険が近づいたら伝えるなどの配慮が必要です。
公共交通機関での配慮
聴覚障害者のうち補聴器を使う難聴者は、比較的雑音の少ない場所ならばアナウンスなども聞き取れる傾向にあります。
しかし、他の音が入り混じるなど雑音の多い場所や、ボリュームが大きいアナウンスは聞き取れません。
電光掲示板が設置されたホームや車内なら、乗るべき電車や降りる場所などの認識もできます。
ただ、電車に乗る際に発車ベルやアナウンスの音がいくつも重なると、瞬時の判断が難しくなるため、乗ろうとしたらドアに挟まれるなどの危険も考えられます。
公共交通機関ではドア付近にランプを設置し、発車ベルと連動して光らせるなどの視覚的な配慮が望まれます。
緊急アナウンスがあった場合の配慮
緊急アナウンスがあった場合、さまざまな音が重なる雑踏のなかでは、聴覚障害者に正しい情報は届きません。
耳の不自由な人向けに国や地方公共団体が、災害・避難情報のメール配信をおこなっているので、事前に登録している聴覚障害者も多いと思います。
しかし、状況によってはメールでは配信されない情報が、緊急アナウンスされる場合もあります。
耳が不自由な人のなかには、声に出して助けを求められない人も多くいるので、困っている人を見かけたら積極的に声をかけるなどの配慮が必要です。
聴覚障害者に必要なものは?

聴覚障害者をサポートする道具として思い浮かぶもののひとつに補聴器がありますが、すべての人が補聴器によって聴力を補えるわけではありません。
聴覚障害には3種類があり、伝音性難聴・感音性難聴・混合性難聴(伝音性難聴と感音性難聴の両方を併せ持つ)に分かれます。
外耳から中耳にかけての障害が原因の伝音性難聴は、音の伝わり方が十分ではないため、補聴器を活用すれば普通に会話できる人も多くいます。
しかし、感音性難聴や混合性難聴の場合は聴神経や脳の障害によるものなので、補聴器では聴力を補えません。
また、聴覚障害者は耳が不自由なだけでなく、言語障害をともなっている場合があり、普段の生活や人とのコミュニケーションをとるには工夫が必要です。
聴覚障害者に必要なものは、どのようなものがあるのかをご紹介するので参考にしてください。
補聴器や人工内耳
聴覚障害者が使用する器具として多くの人に知られているのは、内耳に障害のある感音性難聴に有効な補聴器です。
補聴器は耳に装着し、マイクで拾った音を聞きやすい音に調節して耳に入れたレシーバーから出力する装置です。
もうひとつ内耳の障害に有効な方法として、手術によって人工内耳を装着する方法があります。
人工内耳は、音を伝える器官の蝸牛(かぎゅう)の代わりに埋め込む人工臓器です。
人工内耳が蝸牛の役割を果たすことで、聴神経に音が届けられます。
屋内信号装置
聴覚障害者のための屋内信号装置は、在宅時の音による不便を軽減するための装置です。
電話(FAX)の着信・来客時のインターフォン・火災報知器・アラームなどの生活音に反応して、光や振動または臭い(わさび臭)によって知らせてくれます。
屋内信号装置の設置には、有線タイプと無線タイプがあり住宅環境にあわせて選べます。
フラッシュベル
フラッシュベルは閃光式着信表示機器と呼ばれる、電話機に接続する装置です。
耳が不自由な人の自宅に設置するだけでなく、騒音が激しく着信音が聞き取りづらい工場内などでも使用されています。
市販品も多く販売されていて、着信時にベル音やランプの点灯によって着信を知らせてくれるものが一般的です。
ランプの強弱やベル音の有無は好みに応じて調節できます。
補聴援助システム
補聴援助システムは、大勢の人が集まる会議室や教室内で使うシステムです。
話す側が使用するワイヤレスマイクと、屋内に設置する線音源スピーカーで構成されます。
ワイヤレスマイクで拾った音声を、聴覚障害者の近くに置いたスピーカーにデジタル無線方式で送るシステムです。
補聴器や人工内耳だけでは聞き取りづらい空間でも、線音源スピーカーによってクリアな音声を耳もとに届けます。
ヒアリングループ
電磁ループとも呼ばれるヒアリングループは、床などに輪のように這わせたループアンテナ内に誘導磁界を発生させて音声磁場をつくり、補聴器や人工内耳で受信するシステムです。
マイクなどからヒアリングループに音声信号を送ることにより、ループ内で受信可能な補聴器や人工内耳を装着しているすべての人に音声を届けることができます。
広範囲の会場にも設置が簡単にでき、持ち運びができる携帯用のループアンテナや個別対応用のパネル式ループアンテナなど、場所に合わせたシステムが選べます。
どんなシステムのループアンテナが設置してあっても、専用の受信機以外に、自前の補聴器や人工内耳で音声を受信できるところがメリットです。
音声認識ソフト
音声認識ソフトは音声をリアルタイムで文字化することで、聴覚障害者や高齢者とのコミュニケーションをサポートします。
パソコンやスマートフォンにダウンロードすることによって気軽に利用できるアイテムです。
対面での会話だけでなく、ソフトによってはオンライン会議や配信動画などに対応しているものもあります。
近年は最先端のAI技術を駆使し、高い精度で音声を認識するソフトも増え、さまざまな場面で活用する人が増えています。
聴覚障害者用通信装置(FAX・テレビ電話)
聴覚障害者は、一般的な電話を使った通話はしづらい傾向があります。
聴覚障害者用の通信装置としてあげられるのが、文字を送り合えるFAXや相手の顔を見ながら話せるテレビ電話です。
聴覚障害者向けのテレビ電話は、聞こえ方に合わせて着信音量やスピーカーの音量を調節でき、一般的な電話よりも大きな音を設定できます。
お互いに顔を見ながら話せるので、読話や手話を使う人にも有効です。
また、機種によっては自動音声テキストキャプション付きのテレビ電話があり、相手が話した内容を文字化してくれます。
聴覚障害者用情報受信装置
聴覚障害者用情報受信装置は、聴覚障害者向けの放送局「目で聴くテレビ」を受信する装置です。
目で聴くテレビはインターネット光回線によって、手話と字幕でさまざまな情報を配信しています。
視聴するためには、専用の受信器「アイ・ドラゴン4」の設置が必要です。
ニュースや地域の話題をはじめ、スポーツや手話学習なども配信していますが、アイ・ドラゴン4は災害時の緊急信号を受信し、緊急放送開始を光で知らせる機能も備えています。
参考記事:株式会社アステム アイ・ドラゴン 4
携帯用信号装置
携帯用信号装置は銀行や病院の窓口などで、順番待ちをしている聴覚障害者の呼び出しに適したアイテムです。
聴覚障害者は窓口などで名前を呼ばれても、なかなか気付くことができません。
携帯用信号装置は呼び出す側がボタンを押すと、受信器を携帯している聴覚障害者に通知されます。
通知方法は機種によって、光・音タイプと振動タイプがあり、単方向無線式と双方向無線式があります。
双方向無線式は両方向からの通知が可能なため、要介護者が介助者を呼び出すときにも活用できるアイテムです。
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聴覚障害者に出会ったらどうすればいい?

私たちは外出先で、何気なく聞こえる音から多くの情報を得ています。
会話に限らず音声による情報をキャッチできない聴覚障害者は、あらゆる場面で恐怖や不便を感じることも少なくありません。
聴覚障害者に出会ったらどうすればいいのか迷う人もいるかもしれませんが、躊躇せずに声をかけるようにしましょう。
コミュニケーション方法は聴覚障害者によってさまざまですが、基本的にゆっくり話しかけるように心がけます。
相手が音声での会話が難しい場合は、筆談を使うのがおすすめです。
音声が聞き取れる場合でも、複数の音が重なる場所では聞き取りづらいので、可能な限り静かな場所に移動すると会話しやすくなります。
必要な配慮を尋ねる
話しかけるときは、どのようなコミュニケーション方法がとれるのかを確認したうえで、相手に必要な配慮を尋ねます。
音声で会話するときは、相手に口元や表情をよく見せるようにするのがポイントです。
道案内や手続きなど、口頭での説明だけでは混乱しそうな場合は、必要な事柄をメモすると確実に伝わります。
また、交通機関での事故や災害時のアナウンスがあった場合は、状況を説明するなどの配慮が必要です。
アプリなどでコミュニケーションをとれるようにしておく
聴覚障害者とのコミュニケーションには、スマートフォンなどの音声文字変換アプリも有効です。
音声文字変換アプリは、リアルタイムで会話を変換してくれるアイテムで、聴覚障害者向けに提供されているアプリもあります。
無料で使えるアプリもあるので、あらかじめダウンロードしてコミュニケーションをとれるようにしておけば、いざというときに便利です。
下記のリンク先では、音声文字変換アプリの活用方法や無料で使えるアプリをご紹介していますので参考にしてください。
関連記事:聴覚障害者向けの音声文字変換アプリ【無料】をご紹介!チームのコミュニケーションにもおすすめ!
音声認識で会話を見える化するチーム向けツール「Pekoe」
Pekoeはリアルタイムの会話を文字変換するWindows対応の音声認識ソフトで、会社や学校など、聴覚障害者を含めた複数人での会話に特におすすめです。
音声が間違って変換されたときは、気づいた人がその場で修正できるため、認識のズレなどチームの悩みを取り除いていけるのが大きなメリットです。
チャット機能も備わっているため、意見や質問もリアルタイムでやりとりができ、文字化されたテキストや音声は記録されます。
コミュニケーションに必要な機能がそろっているので、聴覚障害者だけではなく、オンラインセミナーやイベント配信にも活用できるツールです。
公式サイトからアプリをダウンロード後、アカウント登録をするだけで簡単に使えるので、まずはチームトライアルから無料で試してみてください。
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まとめ
この記事では「聴覚障害者に必要なものは?」と題し、聴覚障害者が日常的に必要なものや配慮をご紹介しました。
現在は、ほとんどの人がIT機器を活用する時代です。
聴覚障害者とのコミュニケーションにも役立つ、スマートフォンやパソコンで使える音声文字認識アプリを備えておくのもおすすめです。
もし困っている聴覚障害者を見かけたら、積極的に声をかけてサポートしましょう。