更新日:2026年6月29日

スタジアム全体で情報を届ける、新しい挑戦――ユニバーサルデー2026レポート

2026年4月5日、秩父宮ラグビー場で開催されたNTTジャパンラグビー リーグワン2025-26 第14節 リコーブラックラムズ東京 vs コベルコ神戸スティーラーズ戦は、「ユニバーサルデー」として実施されました。昨年3月30日に引き続き、2回目の開催となります。
「みんなでつくる、誰もが楽しめるラグビー観戦環境」をテーマに、障がいのある方をはじめ、これまでスタジアムでの観戦にハードルを感じていた方々にも安心して楽しんでいただける一日です。

「第14節 コベルコ神戸スティーラーズ戦「ユニバーサルデー2026」開催のお知らせ」
https://blackrams-tokyo.com/news/information/2025-2026/20260330a.html

会場で配布されたマッチデープログラム。ユニバーサルデーの実施内容が記載されています。Pekoeの接続の2次元コードも案内しています。
会場で配布されたマッチデープログラム。ユニバーサルデーの実施内容が記載されています。Pekoeの接続の2次元コードも案内しています。

多彩な取り組みが集結した一日

手話体験、介助犬紹介、UNiRUG体験会、フードドライブなど、この日はさまざまな取り組みが行われました。全体の内容はリコーの社会貢献活動ブログをぜひご覧ください。
― ブラックラムズ東京を起点としたリコーの社会貢献活動 ―(リコー社会貢献活動ブログ)
https://blog.ricoh.co.jp/sustainability/2026/0421_032101.html

本コラムでは、Pekoeチームが関わった取り組みを中心にご紹介します。

スタジアムビジョンへのPekoe文字表示、初の試み

これまでのホストゲームでは、Pekoeを使った場内MCの内容をリアルタイムで文字配信してきました。スマートフォンやタブレットを通じて文字情報を確認できるため、聴覚に障がいのある方にも試合の臨場感を届けてきました。

今回のユニバーサルデーでは、さらに一歩踏み込んだ取り組みを行いました。Pekoeの文字情報をスタジアムの電光掲示板(スタジアムビジョン)に表示するという、初めての試みです。

秩父宮ラグビー場のスタジアムビジョン右下にPekoeの文字が表示されている様子。スタンドの観客全員が同じ情報を目にできます。
秩父宮ラグビー場のスタジアムビジョン右下にPekoeの文字が表示されている様子。スタンドの観客全員が同じ情報を目にできます。

当日は試合開始前から、スタジアムビジョンへの最適な表示方法を映像担当のスタッフと一緒に検討しました。文字の表示位置、文字の大きさ、話者名を表示するかどうか……さまざまなパターンを実際に画面に出しながら試行錯誤を重ねました。「席の場所によって見やすさが変わる」という気づきもあり、試合開始直前まで調整を続けました。

試合前に試したスタジアムビジョンの表示パターン。文字の位置、大きさ、話者表示の有無など、さまざまな見せ方を検討しました。
試合前に試したスタジアムビジョンの表示パターン。文字の位置、大きさ、話者表示の有無など、さまざまな見せ方を検討しました。

試合中は、個人の端末に限らずスタジアム全体でMCのアナウンスをテキストで共有でき、より多くの来場者が同じタイミングで同じ情報を受け取ることができました。「ラグビー用語が難しくてわからない」という方にも、文字があることでアナウンスの内容をすぐに理解できると好評でした。

スタジアムビジョン表示がもたらした、修正メンバーへの新たな緊張感

今回も、リアルタイムで誤認識を修正するメンバーが大活躍しました。スタジアムビジョンに表示されることで、これまで以上に多くの観客の目に触れます。そのため、音声認識が始まってすぐのテキストは表示せず、3文目から3行分を表示するという工夫も行いました。表示されるまでのわずかな時間に誤認識の修正を行い、より正確な文字情報をスタジアム全体に届けました。「いつもより緊張しました」——修正メンバーにとっても新たな挑戦の場となりました。

試合中、誤認識はリアルタイムで修正しています。スタンドを見渡せるポジションからの作業です。
試合中、誤認識はリアルタイムで修正しています。スタンドを見渡せるポジションからの作業です。

当事者の声から見えてきた課題

一方で、実際に利用された方からは次のような声もありました。「アナウンスと同時に大型スクリーンを見ることができず、文字を見逃してしまう」というものです。聴覚に障がいのある方は、アナウンスが流れているタイミングを音で察知することができません。スクリーンに文字が表示されていても、そのタイミングで別の場所を見ていれば、情報を受け取れないまま流れてしまうのです。「スマホなら自分のペースで見返せるのでいい」という声も聞かれました。

スタジアムビジョンへの表示は、聴こえる方も含めた「全員への情報共有」という点で大きな可能性を持っています。同時に、聴覚障がいのある方にとってより確実に情報が届くのはスマートフォンでの配信であることも、改めて確認できた試みとなりました。どちらか一方ではなく、両方を組み合わせながら「誰もが取りこぼさない観戦環境」を探っていきたいと思います。

リコー手話クラブの体験ブース、順番待ちの盛況に

場外イベントエリアでは、Pekoeチームのメンバーも参加するリコー手話クラブが体験ブースを出展しました。リコー手話クラブは1990年代から続く社員有志のクラブで、現在は週1回オンラインで勉強会を開催しています。

「頑張れ」「押せ押せラムズ!」など、ラグビー観戦でも使える基本的な手話表現を来場者に紹介するブースには、順番待ちができるほど多くの方が集まりました。

盛況だったリコー手話クラブの手話体験コーナー、多くの方に手話を体験いただきました。
盛況だったリコー手話クラブの手話体験コーナー、多くの方に手話を体験いただきました。

手話は言葉だけではなく、表情や体全体で伝えるもの。実際に体験した方からは「表情も大切なんですね」という声が聞かれ、コミュニケーションの豊かさに触れていただく場となりました。

介助犬もスタンドで観戦

また、介助犬がユーザーの方と一緒にスタンドで観戦する姿も見られました。スポーツ観戦の場で自然に共生できる環境が、着実に広がっていることを感じる場面となりました。

介助犬もユーザーの方と一緒にスタンドで観戦。誰もが楽しめる観戦環境が広がっています。
介助犬もユーザーの方と一緒にスタンドで観戦。誰もが楽しめる観戦環境が広がっています。

「誰もが楽しめる」を、一緒に育てていく

Pekoeはこれからも、スタジアムでの情報アクセシビリティ向上に取り組んでいきます。スタジアムビジョンへの文字表示という初の試みで見えてきた課題も、次への糧です。

聴こえる・聴こえないに関わらず、誰もが同じ時間をスタジアムで楽しめる。そんな当たり前の未来に向けて、Pekoeは取り組みを続けていきます。


Pekoe公式X
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Pekoe公式Instagram
https://www.instagram.com/pekoericoh

リコーブラックラムズ東京
https://blackrams-tokyo.com

Pekoeについて
https://pekoe.ricoh/

「誰もが楽しめるラグビー観戦環境:ユニバーサルデーに出展しました」(2025/3/30)
https://pekoe.ricoh/blog/4829