リコージャパン株式会社は株式会社リコーの日本における販売・サービス会社で、従業員数18,000名を超え、全国に拠点があります。
今回はお二人に、Pekoeを活用した職場での様子やそのメリットについて伺いました。お二人はDX推進センターというリコージャパン内の社内業務のIT化を推進する部署に所属し、社内システムの保守、監視やサーバー保守を担当しています。リーダーの大塚さんは名古屋事業所勤務、冨澤さんは神奈川県にある川崎西口事業所勤務で、月1回の定例会以外はすべてオンライン会議でコミュニケーションしています。

リーダー 大塚 恵さん
リコージャパン株式会社 経営企画本部 DX推進センター IT活用推進室 推進3グループ
今年4月からリーダーに就任しましたが、3年ほど前に冨澤さんが大塚さんのグループに異動して来たときから冨澤さんのサポートをしています。
冨澤 大樹さん(聴覚障がいを持つ当事者)
リコージャパン株式会社 経営企画本部 DX推進センター IT活用推進室 推進3グループ
中途入社して4年半。Pekoeを活用し、積極的に仕事に取り組んでいます。
入社面接での驚きと感動
―リコージャパン株式会社に入った時のエピソードを教えてください。
冨澤 4年半前に中途入社しました。最終面接の前に待合室で緊張して汗をかいていたら、後に上司になる面接官が簡単な手話で、「落ち着いて、リラックスして」と伝えてくれ、面接の雑談でも手話を使ってくれたのは、これまでにないことでした。
そして面接のときには自分用のパソコンが用意されていて、そこには音声認識ツールがインストールされ、面接中はこれを使うように指示がありました。後で確認したところこれがPekoe(ペコ)でした。口話がうまく伝わらない時はPekoeのチャット機能を使ってスムーズに答えることができました。
それまで聴覚障がい者向けの就職支援担当者から口話や筆談での面接の指導を受け、聴覚障がい者は健聴者に近づくように努力することが当たり前のように思っていましたが、この会社では違いました。早めに入社してもらいたいと言われたとき、障がい者でも戦力として期待されていると感じて驚きました。この会社なら聴覚障がいがあってもでも働きやすく、自分にとって大きなチャンスになると強く感じ、すぐにでも入社したいと思いました。
今思うとこの最終面接の日は私にとって運命の日となりました。
― Pekoeに出会う前はどのような情報保障を受けていましたか?
冨澤 前職では会議や打ち合わせには基本的に参加せず、後から議事録で内容を確認していたので、意見を言うことができませんでした。
音声認識システムを使ってみましたが誤変換が多く使いにくかったです。研修などではノートテイクや手話通訳の派遣を依頼することもありましたが、必ずしも対応されるわけではありませんでした。
―Pekoeを使っている時の様子を教えてください
大塚 打ち合わせ、会議などグループでコミュニケーションを取る場合には必ずPekoeを利用しています。
利用当初は、話し手側が慣れていないため、音声認識率が低くなることがありました。現在では、話し手側もpekoeの画面を見ながら口調やスピード、声の大きさなどを工夫することで認識率が上がっています。
そうすることで、冨澤さんに積極的に会話に入ってもらえて、チームメンバー全員での意見交換ができています。少人数の対面での会話の場合には、Pekoeを利用せずに口話によって、表情やリアクションを楽しみながらコミュニケーションをとることもあります。
冨澤 初期のPekoeには修正機能がなかったため、誤変換の言葉を頭の中で変換する必要がありました。現在は、修正機能やテキスト入力、リアクションボタンなどがついてとても便利になり助かっています。
私はオンラインで学習動画を見る時にも使っています。

オンライン会議での工夫
― Pekoeを使う時に工夫していることがありますか?
大塚 リモート会議はTeamsを利用していますが、音声認識はPekoeを使っています。会議開始時に、冨澤さんがPekoeのURLを配布し、メンバーは自分のPCのブラウザでPekoeを開きます。
ファシリテーターは、画面共有を行い、画面の右側にPekoeを表示してから会議を進めます。発言していない人が文字修正をしますが、会話が飛び交うような場面では時々文字が修正されないことがありました。そのため、最近では事前に文字修正の担当を決めるようにしています。
会議中は、Pekoeの入力欄も活用しています。例えば、音声認識しづらい専門用語を直接入力したり、会話の中で重要なポイントをメモ代わりに入力したりできるので便利です。
冨澤 私が発言する時は誤変換が多いので、オンライン会議では私がPekoeを起動して、自分の声は認識させないようにPekoeのマイクの設定をOFFにしています。
月1回は名古屋か川崎で定例会議がありますが、対面では周りの人の声を拾わないように、各自がヘッドフォンを付けてTeams会議で音声を取るようにしています。
また、議事録にはPekoeのリンクを貼りつけておくので、後から確認することができて便利です。
― 他のツールではなく、あえてPekoeを使っている理由はなんですか?
冨澤 聞こえる人はTeamsのトランスクリプションでよいと思うかもしれませんが、誤変換が多く聞こえない自分にとっては意味の分からない文字起こし結果が表示されると戸惑います。前後の文脈から内容を想定して、正しい内容を想像しますが、これが正しい内容かがわからないと自信が持てず、発言できなくなります。
Pekoeは誤変換の修正ができ正しい情報が分かります。また、辞書登録もでき、より精度が上がるため聴者とのコミュニケーションが円滑になると思い、自分からグループでの使用を提案しました。
大塚 冨澤さんは入社時からPekoeを使っていましたので、冨澤さんの慣れているツールが良いかと思いこのグループでもPekoeを利用することにしました。Pekoeは他のツールにくらべて「修正」して正しい情報を伝えられる点が良いと思います。
特に研修や定例会議など、発表者が決まっている場合には、Pekoeの修正機能や辞書登録が役に立ちます。また普段からPekoeの画面を見て修正しながらコミュニケーションを取ることで、お互いの一体感も生まれるように感じます。
認識結果が表示されるまでのスピード、発話者の認識、声が重複した場合の認識など、少し気になる点もありますので、ぜひ改善していただき、より使いやすくなることを期待しております。
ディスカッションできることが何より嬉しい
― Pekoeを使うようになって何か変わったことはありますか?
冨澤 情報保障があることで、仕事の幅が広がりました。
あるテーマのリーダーを任されるようになり、週次の定例会を自分で取り仕切って進めています。まさか聴覚障がいのある自分がテーマリーダーに選ばれるなんて、とても驚きました。不安もありましたがチャレンジしてみようと思いました。
今はメンバーとディスカッションできることが何より嬉しいです。Pekoeが記録として残るので、議事録としてまとめるのにも活用しています。Pekoeのおかげで考えや気持ちのズレが少なくなったと感じています。
― 今後仕事でチャレンジしたいことはなんですか?
冨澤 「不可能を可能に変える」ことです。これまでの経験を生かし、聴覚障がい者でもできるような働きかた改革を提案していきたいと思います。聴覚障がい者だからと諦めず、今後はより大きなプロジェクトのリーダーにチャレンジしたいです。
大塚 冨澤さんは、他の聴覚障がいの方と意見交換したり、障がい者のことを知ってもらえるように情報発信をしたりしています。自分だけでなく、お互いにとってより良い職場環境にしたいという前向きな姿勢がとても素敵だと思っています。今後も冨澤さんからの要望や率直な意見を反映しながら、チーム力をさらに向上させていきたいと考えています。

受け身にならず自分の考えを伝えること
― Pekoeを知らない聴覚障がいの方や、その方と一緒に働く皆さんに伝えたいことはありますか?
大塚 Pekoeの修正を聞こえる人に頼まないといけないという理由でPekoeの利用をためらう障がい者の方もいるとお聞きしたことがあります。コミュニケーションが円滑になり聴覚障がいの方に活躍してもらうことで、業務効率の向上や、業務達成が期待できます。Pekoeはお互いにとって有効なツールですので、是非、ご活用されることをお勧めします。
冨澤 Pekoeを使うようになって、自分にもチャンスがあると思えるようになり、自信を持って取り組むことができるようになりました。Pekoeを使うことで円滑なコミュニケーションができ、信頼関係が生まれます。「聴覚障がい者には打ち合わせや会議には参加してもらうのをやめよう」などと決めつけるのではなく、よく話し合ってほしいです。聴覚障がい者も受け身にならず自分の考えをしっかり伝えることが大切です。
編集後記
今回のインタビューを通じて、Pekoeが業務やコミュニケーションにどのように役立っているのかを伺うことができ、私たちPekoeチームとしても非常に励みになりました。冨澤さんが新しい責任ある役割に挑戦し、大塚さんとともにPekoeを活用して業務の幅を広げている様子は、「情報の壁を取り除き聴覚障がいの方に今まで以上に活躍してもらいたい」という私達の想いが形になったものだと感じました。
これからも、Pekoeが皆さまの業務におけるコミュニケーションの手助けとなることを願い、より使いやすいツールとして進化させていけるよう努力してまいります。
大塚さん、冨澤さんありがとうございました。