聴覚障害者のための工夫とバリアフリーの身近な例は?私たちができることや役立つ道具も紹介!

聴覚障害者は、日常生活において聞こえないことで苦労する場面が多くあるので、ツールを使用するなどそれぞれが工夫して生活をしています。
これから社会に出る準備をする聴覚障害者が家族にいる方のなかには、
「コミュニケーションの問題を解決する方法やツールはどんなものがあるのか?」
「聴覚障害者のためのバリアフリーの身近な例を知りたい」
などと思っている方も多いかもしれません。
そこで本記事では、聴覚障害者のための工夫やバリアフリーの身近な例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
なぜバリアフリーが必要なのか
バリアフリーとは、日常生活を送るうえで妨げとなる障壁(バリア)を取り除く(フリー)ことで生活しやすくする考え方です。
すべての人は、年齢・性別・国籍・個人の能力などに関係なく、自立した日常生活を営み、 自由に移動し、平等に社会参加する権利があります。
こうした権利を保障するためには、 物理的な環境の整備とともに、人々に対する意識啓発や情報提供の充実などによって、さまざまな社会的障壁を取り除かなければなりません。
障害の有無に関わらず、子どもから高齢者まで多種多様な人々が、できるだけ障壁を感じることなく生活できるのが理想です。
しかし、現状はまだまだバリアフリーが行き届いているとはいえず、障害者は日常生活で困難に感じることも多く、障害に対しての偏見や誤解している人も多くいます。
何が障壁になっているのかを正しく理解したうえで、必要なバリアフリーな環境を整えることが大切です。
障害者にとってのバリアフリーとは
バリアフリーとは、もともとは建物の入口や道路にある段差などを取り除くという意味で使われてきた建築用語です。
現在は、すべての人が社会に参加できるよう、すべての分野のあらゆるバリアをなくすという意味で用いられています。
社会のなかには、多様な人がいるにも関わらず、社会の仕組みは多数を占める人に合わせてつくられていることが多いです。
障害のない人が気付かないところで、障害者は多くの不便さや困難を感じながら暮らしています。
バリアフリーとは、多様な人がいることを考えて、誰もが参加しやすい社会に変えていくことです。
聴覚障害者のための工夫とバリアフリーの身近な例
聴覚障害者は聞こえの程度が一人ひとり異なり、コミュニケーションの種類も手話や口話、ジェスチャー、筆談などさまざまです。
多くの聴覚障害者は、簡単なやり取りであれば相手の口の動きを読むことができますが、マスクをしていると口の動きを読めません。
このような時には、透明なマスクやフェイスシールドを使うなど、少しの工夫で問題を解決できます。
ここからは、私たちの生活の身近にある聴覚障害者のための工夫やバリアフリーをさらに詳しくご紹介します。
町中
町中のエレベーターは、聴覚障害者のバリアフリーに対応していることが多いです。
一般的なエレベーター内の液晶モニターは扉上部にあるため、聴覚障害者が気付かない可能性が高いです。
バリアフリーに対応しているエレベーターでは、押しボタンのすぐ上にモニターを設置し、聴覚障害者の見やすさを重要視しています。
非常ボタンのほかにも、聴覚ボタンを設置し、非常時にはボタン自体を点滅させることで緊急事態を伝え、液晶モニターには「係員が向っています」などの文字の点滅表示をさせ、状況がわかりやすいようにしています。
駅
聴覚障害者は、公共交通機関を利用するときに、駅の案内放送、発車ベル、車内放送などが聞こえず困ることがあります。
駅や電車内には電光掲示板や点灯ランプが設置され、視覚的に判断できるような表示機器が増えてきました。
窓口や案内時は、コミュニケーションのとり方を習得した職員による、短く簡潔な文章の筆談、できれば簡単な手話での対応が望まれます。
学校
学校などの人が多くいる場所では、複数の人の口元を一度には見られないため、誰を見ればいいのか迷い、話を聞き取りづらい場面があります。
話し始める前に手をあげたり、聞き手の注意をひく工夫が必要です。
また、授業や行事などの音声情報を、確認できるような文字情報掲示板の設置などが進められています。
自宅
聴覚障害者にとって、換気扇や空調設備などの機械音、テレビや屋外の車や工事の音などは聴覚の妨げになります。
自宅内で必要な音をしっかり聞き取るためには、家電類は必要なとき以外は電源を落とす、止められない音からは距離を取るなどの対策が必要です。
緊急時の連絡や呼び出し音は、点灯ランプなどの視覚で知らせる設備を設置するのも効果的なバリアフリーです。
聴覚障害者のバリアフリーの種類や身近な例は以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
関連記事:聴覚障害者にも必要なバリアフリーの種類一覧!街中や学校の身近な例や珍しい商品も紹介!
耳が不自由な人のために私たちができること

聴覚障害者は、電車やバスの走行音やクラクションが聞こえず、すぐ側まで近づいているのに気付かないことがあります。
事故があって電車が止まってしまった場合、アナウンスがあっても様子がわからず不安に感じることもあるでしょう。
耳が不自由な人のために私たちができることは多くありますが、まずは声をかけてみることです。
声をかけても反応がないときは、その人の視界に入るようにしてゆっくり、はっきりと話してみるといいでしょう。
メモ帳などに文字を書いて伝えると、手話ができなくてもコミュニケーションがとれます。
聴覚障害者の方が生活のなかで感じる困難やストレスは、周囲の環境や対応によっても変わってくるので、周りのサポートが不可欠です。
職場でできること
手話を使う聴覚障害者とのコミュニケーションを円滑にするためには、手話通訳者の雇用や手話講習の提供など、手話を用いたコミュニケーション手段を整備することが重要です。
職場に手話通訳者が常駐していることで、聴覚障害者とほかの従業員とのコミュニケーションをスムーズにおこなうことができます。
手話講習の提供は、聴覚障害者だけでなく、ほかの従業員も手話を学ぶことで、コミュニケーションの壁をなくせます。
また、聴覚障害者とのコミュニケーションを円滑にするためには、文字によるコミュニケーション手段の整備も重要です。
例えば、メールやチャットツールの活用、会議やプレゼンテーションでは、リアルタイムに字幕を表示できるツールを導入することで、職場環境がバリアフリーになります。
従業員全員が互いを尊重し、協力して働くことで、職場のモチベーションや生産性の向上にもつながるでしょう。
聴覚障害者にできる配慮は、以下の記事でも詳しく解説しているのでご確認ください。
関連記事:聴覚障害者に職場でできる配慮とは?障害者雇用への理解を深めて働きやすい環境づくりを!
学校生活でできること
聴覚に障害がある生徒が学校で学ぶためには、視覚的な補助が必要になります。
日常的に学校生活を送る教室や共有スペースでは、聴覚障害者にもわかりやすいような視覚支援を取り入れるなど、目で見てわかるような環境づくりが重要です。
授業中は、先生の声が聞き取りやすく口元の動きが見やすいことを考慮して、座席を配置するようにしましょう。
口頭での説明は、早口にならないようにハッキリとを意識して話すことが大切です。
必要に応じて要約筆記者や手話通訳者などを配置する方法もあります。
要約筆記を手書きでおこなう「ノートテイク」、パソコンで入力する「パソコンテイク」など、生徒の状況に応じた導入が望ましいです。
聴覚障害者が学校生活で困ることは以下の記事を参考にしてください。
関連記事:聴覚障害者が学校生活で困ることは?必要な配慮やコミュニケーション支援ツールも紹介!
災害時にできること
災害時に助けを呼べずに存在に気付いてもらえないことで、緊急時の対応が遅れたり、身の危険が高まる可能性があります。
聴覚障害者は、音声を聞き取って自分の声で応答することが容易ではないので、言葉だけではなく、身振り手振り、ツールを使用するなどコミュニケーション手段を工夫しておこないます。
災害への対策として、地域で防災訓練や防災教室を実施して、非常時の行動を確認しておくことも大切です。
災害が起こったことを聴覚障害者にどうやって知らせるか、コミュニケーションの手段、避難所に入ってからの情報の知らせ方、手話通訳の手配などは事前に決めておきましょう。
以下の記事では、聴覚障害者が災害で困ることや必要な支援を解説しています。
関連記事:聴覚障害者が災害時に困ることは?必要な支援や役立つパンフレットも紹介!
コミュニケーションにおけるバリアフリーとは?
コミュニケーションにおけるバリアフリーとは、聴覚や視覚などの障害をもっている方や高齢者、妊婦の方などのコミュニケーションバリア(障壁)をなくすという意味のある言葉です。
聴覚障害者に必要な情報が伝わりやすくなるような環境を整えることを「情報保障」といいます。
耳からの情報保障は、「磁気ループ」や「FM補聴システム」などの補聴援助システムを使用するとより聞きやすくなります。
目からの情報保障は、音声情報を文字に変えてスクリーンやタブレット端末画面などに映し出す文字提示、要約筆記者や手話通訳者を配置するのも有効的です。
聴覚障害者の抱える悩みや解決するための具体例は以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:コミュニケーションバリアフリーとは?聴覚障がい者の悩み・困りごとに寄り添える具体例も紹介!
バリアフリーリフォームではどんなことができる?

バリアフリーリフォームの目的は、住む人が安全で快適に過ごせる環境をつくることです。
怪我や病気などが理由で今すぐ工事が必要という方もいれば、先々の暮らしを考えてバリアフリー化を検討する方もいます。
例えば、補聴器をつけている方が、必要音をしっかり聞き取るためには、必要音以外の雑音に対する対策をしなければいけません。
屋外の音が補聴器の使用に影響がある場合には、二重窓にするなどの防音リフォームをおすすめします。
日常生活で体への負担を減らし、長く健康を維持するためにも、早めに住環境を見直し、安全に暮らせる環境を整えることが必要です。
バリアフリーリフォームには補助金がある?
バリアフリーリフォームには国や自治体からの補助金があるので、上手に使うことで費用を抑え工事することができます。
補助金対象となる工事や申請方法は自治体ごとに異なるため、詳しい内容は事前の確認をおすすめします。
バリアフリーリフォームをすることで、家庭内の事故のリスクを抑えられるので、これから工事を検討している方は以下の記事もお読みください。
関連記事:バリアフリーの補助金と申請方法は?リフォーム対象や4つの注意点もわかりやすく解説!
聴覚障害者の不自由を軽減できる道具は?
聴覚障害者の不自由を軽減する道具で、聞こえを補助するものには、補聴器や人工内耳、拡張器などがあります。
伝えたいことを文字に変換する道具には、筆談器や文字起こしソフトなどが効果的です。
このほかにも、光や振動で相手に合図を送る呼び出し装置や振動で起こす目覚まし時計があるので、これらの道具を使うと生活の困難が軽減されます。
ほかにも聴覚障害者にとって、便利なサービスはたくさんあるので以下の記事でご確認ください。
関連記事:耳が不自由な人のための道具って?困ることや活用できる便利なサービスもご紹介!
「Pekoe」でできるバリアフリー
コミュニケーションをサポートする支援ツールとして「Pekoe」の活用がおすすめです。
Pekoeは、聴覚障害者と聴者のリアルタイムでのやり取りを円滑におこなうために開発されたツールで、コミュニケーションの壁をなくすために役立ちます。
声に出した言葉がリアルタイムで文字化されるので、学校では友人とのコミュニケーションにも役立ち、画面上で資料を共有したり会議の配信にも字幕表示できるため職場でも活用できます。
Pekoeは音声認識の精度が高いだけでなく、誤変換があった場合もその場で修正ができ正しい情報が共有されるので、本人だけでなくチームのパフォーマンス力やコミュニケーションの向上にもつながります。
無料のお試し期間もあるので、コミュニケーションツールに興味をお持ちの方は、ぜひご利用ください。
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まとめ
今回の記事では、聴覚障害者のための工夫や身近なバリアフリーを解説しました。
日常生活のなかには、聴覚障害者は聞こえないことで苦労する場面が多くあります。
聴覚障害者本人や周りのサポートを工夫するだけで、バリアフリーな生活を送ることができます。
私たちができることや役立つ道具もご紹介しているので、できることから始めてみてください。
