ファシリテーターが上手い人の特徴は?具体的なやり方やコツ・資格も解説!

会議やワークショップをスムーズに進行し、有意義な意見交換の場をつくるにはファシリテーターの役割が重要になります。
会社で多くの人の意見をまとめたり、これから大きなプロジェクトを控えている方のなかには、
「ファシリテーションのコツを学んで話し合いを円滑に進めたい」
「ミーティングや議論の場でリーダーシップを発揮したい」
などとお考えの方も多いと思います。
本記事では、ファシリテーターが上手い人の特徴や実践的なコツ、資格を詳しく解説していきます。
会議やプロジェクトの進行でスキルアップしたいとお考えの方は参考にしてみてください。
目次
ファシリテーターには向き不向きがある?
会議を任せられた際に意見を引き出せなかったり、話が脱線してうまく進行できず、ファシリテーションに苦手意識を持っている方も多いかもしれません。
ファシリテーターは、会議やワークショップで、参加者が円滑に意見交換できるようにサポートする役割です。
誰でも簡単にできるわけではなく、ファシリテーターには向き不向きがあります。
普段から、ひとつのテーマを掘り下げて討論するのが苦手な方や、大勢のアイデアをまとめるのが難しいと感じる方には、やや不向きです。
ただ、初めからファシリテーションが得意な人はいないので、トレーニングで経験を積むことでスキルアップできる可能性は大いにあります。
苦手意識をなくして、スキルを身につけたいと考えている方は、まずはファシリテーションの理論や知識を学ぶことから始めてみるのがおすすめです。
ファシリテーターが上手い人の特徴
「話が脱線して収拾がつかなくなってしまった」「なかなかアイデアを引き出せなくて時間ばかり過ぎてしまった」など、会議の失敗は多くの方が経験しているかもしれません。
ファシリテーターが上手い人の特徴は、以下のような行動ができる人です。
- 参加者からの信頼がある
- 雰囲気づくりができる
- 分け隔てなく対応できる
- 意見からアイデアを出せる
- 意見の取りまとめや軌道修正ができる
- 裏方に徹することができる
それぞれにどのような特徴があるのか解説していきます。
参加者からの信頼がある
いつも会議を上手く進める人は、参加者からの信頼が大きいのもひとつの要素です。
普段から気軽に声をかけてくれたり、業務をフォローしてくれる人がファシリテーターをすると、「この人になら思ったことを伝えられる」と安心して会議に参加できるのではないでしょうか。
このような信頼があれば会議も円滑に進められ、決定事項や反対意見があっても納得が得やすくなります。
雰囲気づくりができる
会議の雰囲気づくりが上手くできるのも求められるスキルです。
深刻な雰囲気、高圧的な空気のなかでは、アイデアを出しにくいので黙ってしまう人も多くなります。
話し合いのはじめに自己紹介やアイスブレイクなどをして、緊張をほぐしてからスタートできると望ましいです。
快適な空間を整え、全員がリラックスして話し合いに集中できるように、適切な室温、照明、座席の配置に配慮するのも大切です。
楽しい会話や雑談では穏やかな表情や雰囲気を意識し、議論の本題に入る際には真剣な声のトーンや態度で進行するなど、メリハリをつける空間づくりに優れています。
分け隔てなく対応できる
発言者の役職やポジションに関わらず、分け隔てなく対応できるのかどうかも大切です。
上司の意見にばかり同調したり、ピックアップして進めると、反対意見を持つ人はなかなか発言しづらくなってしまいます。
特に、新入社員や経験が浅い人は萎縮して黙ってしまうこともあるかもしれません。
そうすると偏った方向に流れてゴールがズレてしまったり、決定事項に納得できない人も多くなります。
「なぜそう思ったのですか?」など、フラットな立場で発言を掘り下げ、発展させる質問をする工夫も大切です。
意見からアイデアを出せる
議論が行き詰まって難航したときには、参加者の意見から自身のアイデアを出すことで打開します。
自分の考えを押し通すわけではなく、これまでの経験や知識から出したアイデアは、参加者にヒントを与えたり突破口となる可能性もあります。
意見が衝突して、全体が停滞した際にも、落としどころを見つけて柔軟に打開策を見つける発想も必要です。
その場の流れをつくるスキルもありますが、それまでの豊富な経験を通して、議論に対しての自分なりの考えや広い知識を持っている人が多いです。
意見の取りまとめや軌道修正ができる
議論の内容がゴールから逸れた際には、意見の取りまとめをしたり、軌道修正できるのも特徴です。
話し合いの場で議論が白熱したり、脱線することはよくあることです。
早い段階で軌道修正しないと収拾がつかなくなるので、参加者の意見を尊重しつつ、もう一度その日の会議の目的やゴールを明確にし話を自然に戻していきます。
よりよい意見交換のなかから、参加者が納得できるゴールにするためにも、話をまとめる力も必要です。
出された意見のなかから、具体的にどの意見を採用して深掘りすべきか、参加者が自分たちの意思で最後まで議論する支援をします。
裏方に徹することができる
話し合いの先頭にいて、場の空気を上手にコントロールしているので、ファシリテーターはその場の主役のように見えますが、あくまでも裏方です。
当日の進行がスムーズにいくような事前準備や場づくり、セッティングなど、裏方の作業が多くなります。
話し合いの中心となり場をつくりながらも、客観的に状況を判断しながら裏方として話し合いを進行するスキルが求められます。
ファシリテーターの具体的なやり方

会議の内容や参加者によってやり方が異なりますが、ファシリテーターの具体的なやり方は、以下を参考にしてみてください。
- 準備と計画
会議やワークショップの目的や目標を明確にし、必要な資料づくり、リソースを準備をします。
参加者に合わせて、どうやって進行するのか、アイスブレイクなどは何を採用するのか、スムーズに会議を進めるための手順を考えます。
- 参加者のサポートと促進
参加者が思ったことを自由に発言できるように、コミュニケーションを促進します。
発言していない人はいないか、全員が同じ目的に向かって進んでいるのか、全体を見回しながら個人個人をサポートするのが効果的です。
- コミュニケーションの促進
もっと多くの意見を引き出すための投げかけやアイデアを出しながら、コミュニケーションを促進します。
意見や感情を読み取りながら意見を活性化させるには、踏み込んだ質問が効果的です。
- 意思決定の支援
最終的にどの意見を採用するのか、全員が納得して決定するのに足りない要素を補っていきます。
これまで出された意見をまとめて、意思決定をサポートします。
- フィードバックと改善
次回の会議に活かすために、今回の会議の内容をまとめて自己評価をおこないます。
フィードバックを受けたり、会議をレコーディングしておくことで、ゆっくりと振り返りもできるでしょう。
このように、会議中だけでなく、会議前の準備や会議後の振り返りも大切なプロセスです。
ファシリテーターの役割とは
ファシリテーターの役割は、参加者が円滑にコミュニケーションをとりながら、ゴールに向けて会議を進めるサポートです。
会議中にどのような役割を果たしているのか具体的に解説します。
- 会議進行
まずは、全員が気軽にアイデアを出せるような場づくりからスタートします。
初対面の人がいる場合には自己紹介やアイスブレイクなどを通して、お互いの理解から始めることが多いです。
普段から同じ職場で働く人同士でも、いきなり本題に入らず、雑談などを通してその場の空気をつくることから始めます。
- 参加者のサポート
偏った人ばかり発言していないか気を配りながら、口数の少ない人に話題を振って話す機会をつくりましょう。
異なる視点や自身のアイデアを踏まえつつ、最終段階の意思決定に向けて、反対意見にはどう対処し、合意を得るのかをイメージしながら進行していきます。
- 意思決定の支援
ゴールに向けてどのような意見が出されたかまとめていきます。
出されたアイデアを尊重しつつ、参加者へのフォローも忘れません。
多数決やポイント制など、どの方法で最終決定するのか、あらかじめ決めておくことも大切です。
「ゴールまで到達せず中途半端なところで終わってしまう会議ばかりになる」「決まった人の意見しか採用されないので意味がない」など、不満や悩みを感じている方は、積極的にファシリテーターを活用するといいでしょう。
ファシリテーターが気をつけておきたいこと
さまざまな場面で活躍が期待されていますが、これからの会議や話し合いに参加する際に、ファシリテーターが気をつけておきたいことがあります。
それは、参加者のバックグラウンドやマイノリティの理解です。
障害者雇用が促進され、これからは会議に障がい者が出席する場面も増えるはずです。
障がい者の多くは、「思っていること言えずに終わってしまった」「内容についていけずに混乱してしまった」などの経験をしています。
SDGsの観点やオンライン会議の普及による働き方の変化の観点からも、今後ファシリテーターの活躍の場は広がるでしょう。
誰がどのような方法で参加するのか、あらゆるケースを想定して会議の進め方を事前に考えることも必要です。
障がい者がいる場合の進め方やポイントは、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:ファシリテーターとは?向いている人や役割・障がい者がいる場合のコツも徹底解説!
ファシリテーターが苦手な場合の対処法
冒頭からテンションの高く始まる話し合いは少なく、序盤はアイドリング状態で、様子をうかがいながら、という雰囲気が多いのではないでしょうか。
ファシリテーターをやるのが苦手な場合には、まずはスタートで場の空気をつくることから始めてみるのがおすすめです。
話し合いでは、序盤にどこまで意見を出せるのかによって、その後の議論の深さが決まるといっても過言ではありません。
出された意見に対して、「どうしてそう思いますか?」「この考えに対してどのように思いますか?」など、相手の意見を評価する姿勢をもたないことがポイントです。
明らかに同意できないものであったとしても、相手が何を考えているのか、なぜそう考えているのかをすべて話してもらうことに徹しましょう。
全体の雰囲気をよくするため、まずは意見を聞き出すことに注力することから始めてみてください。
ファシリテーションの練習問題はある?
「スキルを身につけたいけど、どうやって勉強したらいいのかわからない」という方も多いかもしれません。
これからファシリテーションを学ぶ方は、実践的な練習問題にチャレンジするのがおすすめです。
企業やNPOによる講座も増えてきたので、自分の目的やレベルに合った内容で受講できます。
人材育成のユーキャンが主催している「ファシリテーション講座」は、中堅社員から管理職まで幅広い方が受講している人気の講座です。
講座では、必要なスキル、やり方・コツなどの基本的な知識をeラーニングで学習できます。
動画やワークに加え、学習前後に習熟度テストもあるため成果も実感しやすい内容です。
スキルを短期間で身につけて、会議やミーティングを活性化させたい方の第一歩におすすめの勉強です。
参考記事:人材育成のユーキャン
ファシリテーターの資格とは
ファシリテーターには、国家資格や公的資格などはありません。
ただ、民間団体や企業が、独自の審査基準をもうけて任意で認定する民間資格はいくつか種類があります。
会議やワークショップ、グループディスカッションで、発言を引き出したり、問題解決や意思決定をするためのスキルを持つことを示すものです。
一般的に特定の機関や団体が提供しているトレーニングコースや認定プログラムを修了すると資格を取得できます。
自身のレベルや目的に合った資格については、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:ファシリテーター資格のおすすめ3選!難易度や会議に役立つ研修・養成講座も紹介!
Web会議でのファシリテーターのコツは?

Web会議でのファシリテーターのコツは、説明や指示をわかりやすく伝えることです。
画面越しのやり取りになるため、参加者はその場の空気を感じることが難しい状況です。
オンライン投票やチャット、リアクション機能を上手に使うことで、質問や意見を共有しやすく、アイデアも出しやすくなります。
質問する際には、「◯◯さんは、どのように思いますか?」など、相手を特定した投げかけも効果的です。
オンライン会議に必要な4つのスキルは、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:ファシリテーターのコツは?オンラインの会議進行に必要な4つのスキルや工夫の事例も紹介
ファシリテーターが上手い人がいるメリット
会議や話し合いがスムーズに進められないなどのお悩みのある方は、上手いファシリテーターを導入すると効果的です。
以下のようなメリットがあります。
- ゴールが明確になる
- 思ったことを口に出しやすくなる
- アイデアが生まれやすくなる
- 合意形成しやすくなる
- 時間が適切に管理される
- 無駄のない会議ができる
会議をどのように進行させるのか詳しい内容を解説していきます。
ゴールが明確になる
「いつも中途半端に会議が終わってしまう」「話が脱線してしまう」など、目的やゴールにたどり着けない話し合いの場は徒労に終わってしまいます。
進行が上手い人を会議に参加させることで、参加者が何に向かって議論しているのか明確になり、適切な意見を出しやすくなるでしょう。
ゴールが明確になれば、参加者は目的意識を持って積極的に参加できるようにもなるので、論点の停滞や脱線を防ぐこともできます。
万が一、議論がうまく進行していないときには、ファシリテーターが軌道修正することでゴールの再確認も可能です。
思ったことを口に出しやすくなる
「初めての会議で何も発言せずに終わってしまった」「上司の意見とは違うことを考えていたので口に出せなかった」など、立場や性格によっては、思ったことを口に出せない人も多くいます。
その結果、偏った意見が続いたり、新しいことにチャレンジできないなど、企業にとってもマイナスです。
上手いファシリテーターは、役職や意見の内容に関わらず、思ったことを口に出しやすい会議にするために、全員に話を振ったり、聞く姿勢によってコントロールします。
「この人がいれば話しやすいな」という心理的安全性を高められるようなスキルを持っている点が重要です。
アイデアが生まれやすくなる
会議中に意見が出づらい時間帯があったり、難航する議題があるかもしれません。
ファシリテーターを起用することは、参加者のアイデアを引き出し、集団の創造力や閃きを引き立てるのにも役立ちます。
ホワイトボードやポストイットなどの視覚的なツールを上手に使用するので、集まった意見を視覚で確認しながら、参加者は頭のなかを整理できるでしょう。
オープンな環境や視覚的なツールの使用でアイデアがよく出る生産性が高い会議につながります。
合意形成しやすくなる
話し合いでは多くの意見が出るので、どの意見を採用して決定するのか、議論のゴールに向けてファシリテーターは多くの意見を精査します。
一般的な会議では、多くの意見は出せても、最後の合意形成が曖昧になってしまうこともあります。
意見が対立したり、参加者の人間関係や立場などが複雑になると、さらに難易度が上がるでしょう。
上手いファシリテーターは、参加者を巻き込みながら話を進行させ、多くの人が納得した結論に導くことができます。
時間が適切に管理される
限られた会議時間を有効にフル活用するのも大切です。
ファシリテーターは、全体の時間配分を調整して、適切に管理しながら会議を進行します。
その日のポイントとなりそうな議題には時間を確保して深掘りし、バランスよく話し合いをしながら議論の要点を整理し、参加者が理解しやすい形で時間内に結論を導き出します。
無駄のない会議ができる
無駄のない会議を実現するためにも上手なファシリテーターの活用が効果的です。
「今回の目的はなんだったのか」「議題の関係者でないのに参加させられた」など、無駄な会議が多いと参加者のモチベーション低下や時間の無駄にもなって非効率的です。
話し合い全体の舵をとれるファシリテーターがいれば、このような無駄もなくなります。
会議の生産性を高め、参加者が積極的に議題に取り組めるようにサポートすることで、日ごろの業務の質の向上や意思決定のスピードアップにもつながります。
聴覚障がい者の意見もくみ取る「Pekoe」
ファシリテーターはどんな参加者の意見も円滑に聞く必要があるため、参加者によっては配慮が必要となる場面があります。
そのようなケースには、便利なツールを使うのもひとつの手段です。
たとえば、会議の進行や発言の声を聞き取れない聴覚障がい者が会議に参加している場合には「Pekoe(ペコ)」をおすすめします。
Pekoeは、話している言葉をリアルタイムで文字化するツールで、パソコンで立ち上げれば、対面でもオンラインでも利用が可能です。
誤変換があった際には気付いた人が即座に修正できるので、正しい情報をスムーズに共有することができます。
また、リアクション機能やチャットを使用することで、聴覚障がい者自身の意見もくみ取れ、より円滑に会議を進められるでしょう。
\聴覚障がい者向け音声認識ツール/
まとめ
今回の記事では、ファシリテーターが上手い人の特徴を解説しました。
話しやすい雰囲気づくりをしたり、適切なタイミングでアイデアを出せる人がいると会議が活性化されて生産性の高い会議になります。
スキルアップするためには、練習問題にチャレンジしたり、資格取得もおすすめです。
ファシリテーションの具体的なやり方やコツなども紹介したのでぜひ参考にしてください。
