ファシリテーターのコツは?オンラインの会議進行に必要な4つのスキルや工夫の事例も紹介

「オンライン会議が上手く進まない」「納得のいく話し合いにならない」などの課題が続くようであれば、会議の進行に問題があるのかもしれません。
近年は、オンライン会議が主流になってきて、ファシリテーターの役割が重要視されています。
「ファシリテーターのコツはどのようなこと?」
「オンライン会議で工夫できることは?」
などの疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ファシリテーターのコツや必要なスキル、工夫の事例を詳しく解説しますので、これからの会議で参考にしてみてください。
目次
オンラインでファシリテーターをするコツは?
会議を有意義なものにするためには、ファシリテーターのコツを理解しておく必要があります。
オンラインの環境では、説明や指示を明確に伝えることが重要です。
さらに、参加者が自分の意見を会議に反映できるように、オンライン投票やチャット機能を使うことで、質問や意見を共有しやすくなります。
また、参加者が積極的に関与できるような活動や演習を組み込むことも効果的です。
システムの不具合も忘れずチェックし、活発なやり取りができる環境を整えるとよいでしょう。
ファシリテーターの役割とは
オンライン会議でのファシリテーターの役割を3つ解説していきます。
- 時間管理
- ルールの明確化
- 雰囲気づくり
対面の会議にも共通するポイントもあるので、参考にしてみてください。
時間管理
オンライン会議では、インターネット環境によるタイムラグや、中断などの予期せぬアクシデントも起こりやすいです。
回線が回復するのを待ってもう一度発言してもらう必要があるなど、予想以上に時間がかかってしまうこともあるので、柔軟な時間管理が大切です。
アクシデントもある程度想定したうえで、少し余裕をもった時間配分にしておくと、会議を順調に進めることができます。
会議スタートの際には、大体のタイムスケジュールと終了予定時刻を参加者に伝えておくことも効果的です。
ファシリテーターがしっかりと宣言し、ゴールまでの道筋を明確にすることで参加者全員に、「時間内に会議を終わらせる」という意識で集中して参加してもらえるでしょう。
ルールの明確化
会議が始まったら、すぐに議題に入るのではなく、まずは会議のルールを明確にし、参加者に伝えることが大切です。
オンライン会議の場合、参加者がそれぞれパソコンの画面越しに議論をするため、ファシリテーターにとって、発言しやすい雰囲気をつくるのが難しいです。
さらに、カメラやマイクのオン・オフなどオンラインならではの機能があるため、それらの機能にルール付けしたうえで、ファシリテーター自身の役割をしっかり認識していないと、会議が円滑に進まなくなります。
ルールを明確にすることで、参加者にも安心してもらえ、発言しやすい雰囲気づくりにもつながります。
カメラのオン・オフのルール、発言する際のルールなど、会議の内容や参加人数に合わせて設定すると効果的です。
雰囲気づくり
カメラオンのときは、ファシリテーターによる雰囲気づくりも大切な要素です。
参加者全員の様子を観察し、全員に気を配ることを忘れず、発言が少ない人にも声をかけて意見を促し、全員に当事者意識を持たせるようにします。
多数派の意見に対立する立場の人の声も十分に聞き、一致点を見つけ、不満を解消して合意を形成していきます。
ファシリテーターの役割は、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
関連記事:ファシリテーターとは?向いている人や役割・障がい者がいる場合のコツも徹底解説!
ファシリテーターが意識すべきこと
ファシリテーターは、必要に応じて参加者に発言を促したり、論点を軌道修正したりするなど、会議の目的を達成する道筋を築くことが役割です。
ビジネスの会議で大きな意思決定をする際、感情や論理がバランスよく融合し納得感のあるものでなければなりませんが、集団の意見を落とし込むことは容易ではありません。
ファシリテーターがサポートして最終的な意思決定へ導くことで、本来の目標としたところへ着地できます。
ファシリテーターは意識して、会議を俯瞰的に見て、気付きや発言を促しながらサポートすることが求められます。
ファシリテーションに必要な4つのスキル

有意義な会議をおこなうために必要なファシリテーションのスキルは以下の4つです。
- 場のデザインスキル
- 対人関係スキル
- 構造化スキル
- 合意形成スキル
「意見が出ない」「結論がまとまらない」など、会議で悩みを抱えている方は参考にしてみてください。
場のデザインスキル
場のデザインスキルは会議が効率よく進むように、開催前にする準備のことです。
いきなり会議を始めても、段取りができていないと生産性の高い議論をおこなえません。
何を目的に質問を投げかけ、どういったやり方で議論していくのか、話し合いの段取りを考えます。
参加者の関係性を把握をして、お互いが話しやすいよう配慮し、話しやすい場を用意することもファシリテーションの重要な役割です。
会議の目的と目標を確認し、それを参加者に共有することや、アジェンダを作成して段取りを明確にしてこそ生産性の高い議論ができ、目標を達成できる会議になるでしょう。
会議が円滑に進み、目的を忘れずによい結果で終わるようにするのが、場のデザインスキルとして求められます。
対人関係スキル
ファシリテーターは、意見を受け止めて引き出す対人関係スキルも重要です。
対人関係スキルには、傾聴力や質問力、観察力などのスキルが該当します。
会議中は、参加者の発言の中身や文脈の両方を掴むように、質問を交えながら相手の話を聴くための傾聴、相手に合わせた相槌やうなづきなどのモーションをふまえて聴くことを心がけます。
質問では、「はい・いいえ」で答えられるようなクローズドクエスチョンではなく、「5W2H」で答えられるようなオープンクエスチョンが効果的です。
「なぜそうなったと思いますか?」「具体的にはどういうことでしょうか?」などひとつの質問から情報をたくさん引き出すことによって、コミュニケーションを深められます。
活発な意見があってこそ納得のいく結論や合意が導き出せ、その意見を多く導き出すのがファシリテーターの役割です。
ファシリテーターは、参加者が発言しやすい雰囲気や環境をつくり、それぞれの意見や考えを中立の立場で受け止め、理解・共感を深める力が求められます。
傾聴力や質問力、観察力をもって議論と参加者の状況を見極めながら議論の舵を取っていくことが大切です。
構造化スキル
構造化スキルとは、参加者が出した考えやアイデア、議論の内容を整理して共有し、論点を明確にするスキルです。
意見がよく出て、活発な議論が進むと、情報が乱立するため、そのまま議論を進めると論点がズレる可能性があります。
そのため、乱立した意見や情報を整理しまとめていく整理力や、シンプルにまとめていくための要約力が必要です。
さらに、矛盾なく物事を考え、整理してわかりやすく伝えられるロジカルシンキングの力も重要になります。
構造化スキルは、議論の方向性を適切に軌道修正し、最終的な目標に到達するために必要なスキルなので、結論や合意に導くには欠かせません。
合意形成スキル
合意形成スキルは、議論の内容をゴールに着地させるスキルです。
「コンセンサス」とも呼ばれ、決定に対する同意を得るスキルともいえます。
異なる意見や考えを融合させ、着地させるためには合意形成スキルが必要になります。
合意を得る過程で意見の対立が起こることも多いものの、こうした対立をうまく収拾するスキルのひとつです。
合意形成スキルにはただ合意を得るだけでなく、その後具体的なアクションに移すための整理と確認が含まれる場合もあるので、ファシリテーターの力量が問われます。
ファシリテーターは対立する意見をうまくまとめ、参加者一人ひとりが自らの意思で結論を導き出したうえで合意を得る力も重要です。
オンラインミーティングで工夫すべきことは?
ファシリテーターは、オンラインミーティングで以下のような工夫をして進行するといいでしょう。
- 技術や環境の整備
ミーティング前に、必要なソフトウェアやアプリをインストールし、インターネット接続が安定していることを確認しましょう。
会議は静かな場所でおこなうことで、周囲の騒音を最小限に抑えます。
また、画面に映る背景を整えることで、専門的な雰囲気を演出できます。
Web会議で使える背景など、以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:Web会議の背景でビジネス用として使える無料サイト15選!おすすめデザインも紹介!
- コミュニケーションの円滑化
発言がおこなわれている間には、マイクをミュートにしたほかの参加者にも気を配ることが重要です。
手を挙げたり、チャット機能を利用して、参加者全員が意見を述べやすい環境を整えましょう。
- 参加者全員の参加
すべての参加者が活発に参加できるように、質問を促したり、参加者の意見を求めることで、ミーティングの質を向上させることができます。
このような工夫で、オンラインミーティングを有意義に、円滑なコミュニケーションと生産性の高い議論を実現できます。
オンラインファシリテーションのための具体的な事例
ここからは、オンラインファシリテーションのための具体的な事例を詳しく解説していきます。
オンライン会議ならではの準備や会議の進め方、参加者の多様性に合わせた意見の引き出し方があります。
開催する会議の種類や参加者に応じて、実践的なファシリテーションの手法をお試しください。
会議前
ファシリテーターを務める際には、まず会議前の準備が必要です。
内容はさまざまありますが、一般的な準備は、会議のテーマや進め方の確認、論点となる部分の整理などがあります。
意見が出づらそうなテーマや会議の時間が短いときには、論点や課題をあらかじめ参加者に共有しておいたり、使用する資料がある場合は事前に配布しておくとよいでしょう。
あわせて、会議にはどのようなメンバーが集まるのかといった参加者の情報や当日のアジェンダなども伝えておくと親切です。
スムーズにファシリテーションをするために、参加者全員が会議の最低限の知識を理解した状態で会議を開始できることも重要です。
それぞれの情報格差がなくなるように配慮すると同時に、ファシリテーター自身も、参加者の専門領域や立ち位置を理解しておきましょう。
事前の理解が不足していると、参加者の考え方や心理状態が会議中に変化したときに効果的なファシリテーションをおこなうことが難しくなってしまいます。
物理的な準備は、使用する会場のレイアウトやインターネット環境、プロジェクターなどの必要なツールが作動するのかどうかの確認も必要です。
スムーズな会議をおこなうファシリテーターの役割は、会議が始まる前から始まっています。
会議中
参加者が会議の目的や進め方を認識したうえで進行できるように、会議が始まったら冒頭に簡単な説明をおこなうといいでしょう。
現時点での課題を明確にし、会議のゴールを全員で共有することで、参加者が議論の方向性を理解しやすくするためです。
会議中は、議論の方向性がずれていないかどうか、定期的に目的を確認したり、ゴールと現状のギャップを整理し、自然に軌道修正できるように誘導します。
参加者の心理状態も議論がスムーズに進むかどうかに影響するので、顔色、態度、発言する声のトーンなどから参加者の心理を読み取り、状況を把握しながら適切な対処をするように努めましょう。
ファシリテーターが場の雰囲気を感じ取れるかどうかが、会議の目的達成のためには重要です。
場の雰囲気を感じながら、介入と放任のバランスを見極め、会議が上手くいくように調整しなければなりません。
会議の目的に到達するように導くことがファシリテーターの役割ですが、そのための会議中のプロセスにはさまざまな工夫の余地があります。
会議後
会議の最終段階では、参加者と議論の内容を振り返って整理するようにしましょう。
どれだけよい討論がおこなわれていても、結果をまとめて次につなげなければ意味がありません。
会議後には、当初の目的に到達したか達成状況を確認し、そこから浮かび上がった課題を次回までの宿題としてまとめます。
誰がいつまでに何をする必要があるのかを確認し、全員が共通の認識を持って終わるのが理想です。
会議で討論した事柄や結論は、誤解や間違いを防ぐためにも、文字にして残すとよいでしょう。
議事録はできるだけスピーディーに作成し、参加者の記憶が新鮮なうちに回覧するのもポイントです。
会議後のことまで気にかけるのが、よいファシリテーターに求められる資質です。
オンライン会議に活用できるツールがある?

オンライン会議に活用できるツールを選ぶ際には、同時接続できるアカウント数やセキュリティ対策、費用対効果などから選ぶとよいでしょう。
ここからはおすすめのオンライン会議システムを3つご紹介します。
- Zoom
Zoomは、近年、テレワークやリモートワークのニーズから、急速にシェアを伸ばしているWeb会議システムのひとつです。
- 端末や回線状況を見ながら通信を最適化するため安定している
- Web会議の動画、音声をクラウドに記録
- パソコン、スマートフォンのどちらからでも参加可能
- URLを共有するだけで簡単にWeb会議できる
- Microsoft Teams
Microsoft Teamsは、Microsoft社が運営する「Office 365」のチームコラボレーションサービスです。
- 最大10,000人の大規模ライブイベントが可能
- 高度なセキュリティ機能
- リアルタイムノイズ抑制
- 「Word」「Excel」などのオフィス製品と連携し共同編集も可能
- Skype Meet Now
Skype Meet Nowは、Microsoft社が運営する「Skype」が2020年4月から開始したWeb会議サービスです。
- 完全無料
- ワンクリックでWeb会議可能
- アカウント不要、アプリインストール不要
それぞれの特徴をご確認のうえツールをお選びください。
関連記事:聴覚障害者とのWeb会議で必要な工夫は?参加しやすくなる便利なツールもご紹介
聴覚障がい者をはじめ、聞こえに課題をお持ちの方とそのチームを支援するコミュニケーションツールとして、株式会社リコーの「Pekoe(ペコ)」もおすすめです。
Pekoeは、Web会議の文字化ツールとして、会議の発言内容をリアルタイムで音声認識し、字幕として表示、文字起こしの機能も搭載しています。
チャット機能も備えており、Pekoeの画面を会議資料と同時に表示させて画面共有することで、Pekoeのなかだけで双方向コミュニケーションが可能です。
障がい者向けツールとしてだけでなく、オンライン会議時のノートやエディタの代わりとして、日常的な会議の内容の振り返り、議事録の作成、動画の文字起こしなど、さまざまなシーンの作業をサポートします。
\聴覚障がい者向け音声認識ツール/
会議の進行が上手いのはどのような人?
会議の進行が上手い人は、まず第一に観察力に優れている人です。
ファシリテーターは場の雰囲気や議論の流れを見極めて、柔軟に対応することが求められます。
そのため、参加者の発言、積極性、議論の進捗などを正しく把握できるだけの観察力が必要です。
例えば、参加者の発言について、ファシリテーターは参加者が何を言っているかを超えて、その背後にある意図やニーズを理解しようとします。
参加者が疑問を投げかける際、その質問の背後にある本当の懸念点を見極めることが重要だからです。
上手い会議進行ができる人の多くは、介入と放任のバランス感覚も優れています。
ファシリテーターには、議論が難航している際に適切に介入し軌道修正する役割があります。
しかし、あまりにもファシリテーターの介入が大きいと参加者による発言機会が失われ、議論の内容にファシリテーターの主観が影響してしまい、結果として議論の質の低下が懸念されます。
そのため、基本的には参加者の発言を尊重して会議を進めるものの、残り時間や議論の進捗を加味して介入するバランス感覚が必要です。
ファシリテーションが上手い人の特徴は以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
関連記事:ファシリテーターが上手い人の特徴は?具体的なやり方やコツ・資格も解説!
ファシリテーターの資格はある?
2024年時点で、ファシリテーターの国家資格や公的資格はありません。
近年、オンライン会議の普及もあり、ファシテリテーションの重要性が広まりつつありますが、公的な資格がないのが現状です。
ただし民間のファシリテーターに関わる資格には、以下のような資格が存在しています。
- FITファシリテーター資格認定講座
日本プロカウンセリング協会が主催しているファシリテーター講座は、「FIT」というプログラムを活用しています。
「FIT」は個々のメンバーが同じ目標に向かって共鳴し、各々が自発的な行動とサポートしあう組織をつくり上げることが目的です。
ファシリテーションの考え方などの基礎的な知識から、メンバーの特性を理解するための方法、チーム課題の対応方法といった実践的な内容までを最短2日間で幅広く学べます。
多様化が進んでいる現代において、個々の話に耳を傾け、上手に集団をまとめながら会議をスムーズに進行させるファシリテーターの存在は、今後さらに需要が増していくことが想定されます。
民間資格を持っておくことでスキルの証明に役立つ可能性があるため、取得しておくとよいでしょう。
このほかのファシリテーターの資格については、以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:ファシリテーター資格のおすすめ3選!難易度や会議に役立つ研修・養成講座も紹介!
まとめ
今回の記事では、オンライン会議でのファシリテーターのコツやスキルを詳しく解説しました。
ファシリテーターを上手に務めるには、事前の準備や時間管理、会議の雰囲気づくりが重要な要素です。
そのためには、場のデザインスキルや対人関係スキルなど、経験を重ねてスキルアップする必要があります。
会議前や会議中、会議後でのファシリテーションの具体例、オンライン会議で使えるツールや資格など、ぜひ今後の会議の際にはお役立てください。
