聴覚障害者の子育ての悩みとは?泣き声に気付ける支援グッズや抱えやすいストレス紹介!

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聴覚障害の子とその両親をイメージした画像

聴覚障害をもつ人は、どのように子育てをおこなっているのか気になったことはありませんか。

生まれたばかりの赤ちゃんは、「おなかが空いた」「眠い」「おむつが気持ち悪い」など、すべての欲求を泣き声で知らせます。

しかし、聴覚に障害があると、赤ちゃんの泣き声に気付くことができません。

そこで今回は、聴覚障害者の悩みや抱えやすいストレスをはじめ、子育てをサポートする支援グッズをご紹介します。

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聴覚障害者の子育てではどうやって泣き声に気付いている?

赤ちゃんは、すべての欲求を泣き声によって知らせます。

赤ちゃんの泣き方によって、危険や欲求の種類を判断するという方も多いと思います。

子育てするうえで、泣き声は重要な役割を果たしていますが、音を聞き取れない聴覚障害者の子育てでは、どうやって泣き声に気付いているのでしょうか。

聴覚に障害があっても、補聴器を使用すれば音を聞き取れる人もいるため、補聴器を着用した状態で眠る人もいるようです。

ただ、補聴器を使用しても完全に聞こえるわけではないため、泣き声になかなか気付かない場合もあります。

そんなときに便利なのが、赤ちゃんの声やインターフォンなどの音に反応して、光や振動で知らせてくれる聴覚障害者向けのアイテムです。

音に対する感度が良すぎると、さまざまな音に反応してしまうため、適切な感度に調節して使用します。

その他にも、すぐに泣いてることに気付きやすくするため、調理中や入浴中なども見える場所に赤ちゃんを移動するなどの工夫をしています。

聴覚障害者が抱える子育ての悩みとは?

まだ自力で動けない状態の赤ちゃんならば、泣き声に気付けるアイテムなどを取り入れることによって、子育てしやすくなります。

一般的には、子供の泣き方や声の状態から体調の変化に気付くことも多いですが、聴覚障害者は気が付くことができません。

多くの聴覚障害者は子供の体調の変化やケガにすぐに気が付けないことに悩みを抱えています。

子供がある程度成長し、自ら伝えてくれるようになったとしても、悩みは子供の体調の変化だけに留まりません。

例えば、子供の体調の変化などで受診を迷うとき、地域には電話で相談できる窓口があります。

しかし、相談窓口の多くは聴覚障害者の利用には対応していません。

また、病院に連れていく際も、症状を伝えるなどのやり取りに苦労をしています。

こうした悩みを解決するためには、相談窓口や医療機関を聴覚障害者にも利用しやすい環境に整えていくことが必要です。

ろうは子供に遺伝する?

子供のろうへの遺伝を気にしているイメージの画像

親が「ろう」だと、その子供にも遺伝するのでしょうか。

「ろう」を含む先天性難聴になる原因は、遺伝によるものが全体の60%~70%程度といわれています。

参考記事:(日本聴覚医学会)先天性難聴の遺伝子診断

数ある先天性の障害のなかでも、最も発症率が高いのが難聴です。

したがって、ろうは子供に遺伝しやすい障害といえます。

両親のどちらか一方に、もしくは両親ともに聴覚障害がある場合など、遺伝のパターンはさまざまです。

また、遺伝によって子供に発症しなかった場合であっても、両親のどちらかに障害の原因となる変異した遺伝子がある場合は、さらにその子供に遺伝する可能性があります。

聴覚障害の遺伝や「ろう」に関する情報は下記のリンク先も参考にしてください。

関連記事:ろう者とろうあ者の違いは?呼び方や難聴者との違い・起こりやすい問題を簡単に解説!

日本で聴覚障害児は何人に一人生まれている?

日本に限らず、世界中でおよそ1,000人に一人〜二人の割合で聴覚障害児が生まれています。

これは、遺伝などの要因によって、先天的に聴覚障害を抱えて生まれる割合です。

聴覚障害児の言語やコミュニケーション手段の発達には、早期に障害を発見し、必要な支援を講じていくことが重要です。

そのために、都道府県や各地域の保健・医療・福祉などが連携をとって、さまざまな支援をおこなっています。

参考記事:難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針

先天的な要因以外にも、後天的に病気・ケガなどによって、聴覚に障害を生じる場合もあります。

下記の記事では、日本における聴覚障害者の割合や、就職に関する情報などをご紹介しています。

関連記事:聴覚障害者は日本では何人に一人の割合?出生率・就職率やできる配慮も解説!

聴覚障害の9歳の壁とは?

子供が成長していく過程にともない、学校教育においてもいくつかの段階があります。

幼少期や小学校低学年までは、教材も生活での経験に基づいた学習が多く、「生活言語」を使用しての学習が中心です。

高学年になると、言語・記号・数式など「学習言語」を使用した学習が中心となり、聞き慣れない言葉がつぎつぎと出てくることに加え、抽象的思考が求められるようになります。

ところが、日本語とは言語が異なる日本手話を使う「ろう者」の場合、言語や思考のレベルが、小学校高学年の発達段階に到達していないことが少なくありません。

このような状況を聴覚障害の「9歳の壁」と呼びます。

「9歳の壁」をなくすためには、助詞・動詞・形容詞の活用など、日本語の文法を正しく理解することが有効です。

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コーダとはどういう子供のこと?

両親のどちらか一方または、両親二人ともろう者の親をもつ「聞こえる子供」をコーダといいます。

コーダ(CODA)はChildren Of Deaf Adultsの略で、ろう者の親とは手話(日本手話)でコミュニケーションをとるのが一般的です。

一方で、ろう者以外の人とのコミュニケーションでは日本語でやり取りするため、コーダはろう者文化と聴者文化を行き来しながら育つのが特徴です。

生まれたときからろう者文化のなかで育つコーダは、ろう者とのコミュニケーションが普通という認識になります。

しかし、学校などで聴者の両親をもつ同級生たちと触れあうようになると、それまであたりまえに感じていたことが、他とは違うということに気付きます。

関連記事:コーダの意味をわかりやすく解説!悩みやコミュニケーション方法を知り理解を深めよう

コーダの「あるある」は?

ろう者文化と聴者文化の違いに悩むようになるのは、コーダには「あるある」といえるでしょう。

例えば、日本手話が母語のろう者は、話すときに身ぶりや手ぶりで話すのが一般的です。

音が聞こえないため、人を呼ぶときは肩や机をたたいて呼んだりします。

聴者は基本的に音声言語で呼ぶため、親しくない人の肩をたたくことはありません。

ろう者文化を知らない人のなかには、ろう者文化ではあたりまえの動作を不快に感じる人もいます。

非常識だと不快感を表す人や、心ない言葉を投げかける人もいるため、コーダが傷つくことも多くあるでしょう。

多くのコーダは聴者文化との違いを知るのと同時に、自分が置かれている状況や周囲とのギャップに葛藤するようです。

このような悩みはコーダ特有のものですが、コーダに適切な配慮をおこなうためには、ろう者について正しく理解することが重要です。

関連記事:ろう者の「あるある」とは?聴者との違いや障がいを知って理解を深めよう

コーダは手話ができる?

ろう者の親に育てられたコーダの多くは手話ができますが、手話が上手かどうかは親との関わり方によって変わるでしょう。

両親がともにろう者だった場合、家庭内のコミュニケーションは手話がメインになるため、手話は堪能になります。

周囲の聴者とのコミュニケーションでも、コーダが通訳の役割を担うケースが多いようです。

しかし、子育てをメインにおこなう親が聴者であれば、コミュニケーションには音声言語を使うのが日常的になります。

両親の一方がろう者の場合は、コミュニケーションをとるために手話も習得しますが、一方の親は聴者であるため、手話を使う機会は少なくなるかもしれません。

ろう者が主に使うのは日本手話ですが、その他にも聴覚障害者のコミュニケーション方法として、日本語対応手話などがあります。

コミュニケーション方法は、個々に異なりますので、下記のリンクも参考にご覧ください。

関連記事:難聴者が使う手話とは?覚える方法や他のコミュニケーション方法も紹介!

聴覚障害者が抱えやすい育児ストレスは?

聴覚障害者の育児ストレスをイメージした画像

育児には悩みがつきものですが、聴覚障害者が抱えやすいろう者特有の育児ストレスがあります。

両親のどちらかが聴者の場合、子供は音声言語で話す機会が多くなります。

ろうの親は、子供の口の動きから音声言語を読み取ろうとしますが、そのためには口元に集中する必要があります。

子供が一人ならばその子供に集中できますが、兄弟がいる場合は一人だけに集中できません。

子供の話をじっくり聞けないことは、親にとっても子供にとってもストレスです。

また、子育てでは、子供の泣き声や呼吸音が、体調の変化に気付く重要な判断材料になります。

ろう者は音による判断ができないため、子供の体調管理に多くの不安を抱えています。

しかし、気軽に相談できる窓口も少ないため、ほかの親よりも、より多くの悩みを抱えてしまうようです。

聴覚障害者の子育てを支援するグッズはある?

聴覚障害者の子育てで困るのは、子供の声を聞き取れないことです。

特に赤ちゃんは、昼夜問わずすべての欲求を泣いて知らせますが、聴覚障害者はその泣き声に気付くことができません。

先にもお伝えしたとおり、聴覚障害者向けのアイテムとして、インターフォンなどの音に反応して光るフラッシュライト(聴覚障害者用屋内信号装置)があります。

固定式のフラッシュライトは、死角からは見えないのがデメリットでしたが、近年は本体と連動させて使える受信器が充実しています。

携帯できる受信器には、常に身に付けられる腕時計型のものや、光のほかに振動で知らせてくれるタイプもあり便利です。

聴覚障害者向けの支援グッズは、赤ちゃんの泣き声にも反応するため、子育て支援グッズとしても活用できます。

枕元に置いておけば、夜泣きにも気付けるので便利です。

参考記事:聴覚支援用専用カタログ

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まとめ

聴者は思った以上に多くのことを音によって判断しています。

子育てには悩みが付きものですが、音や泣き声が聞こえない聴覚障害者の子育ては、私たちが想像するよりも大変です。

また、ろう者の親をもつコーダと呼ばれる子供たちには、特有な環境ゆえの悩みがあります。

ろう者やコーダに対する理解を深め、身近に子育てするろう者がいた場合は、適切に配慮できるように心がけたいものです。