コーダの意味をわかりやすく解説!悩みやコミュニケーション方法を知り理解を深めよう

コーダとは、耳が聞こえない、または聞こえにくい親のもとで育つ子どものことです。
そのため、耳の聞こえない両親とは、幼少期から手話や口話などでコミュニケーションをとっています。
これからコーダについて理解を深めたい方のなかには、
「コーダ特有の悩みはどのようなものがあるのか知りたい」
と思っている方もいるかもしれません。
今回の記事では、コーダの意味をわかりやすく解説し、悩みやコミュニケーション方法、サポートしてくれる団体もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
コーダとはどういう意味?
コーダ(CODA)は、Children of Deaf Adultsの略称で、耳が聞こえない、または聞こえにくい親のもとで育つ子どものことです。
両親ともに、もしくは一方がろう者・難聴者でも、聞こえる子どもはコーダとされます。
コーダは、聴覚障がい者である親の聴覚の世界と、一般的な聴覚の世界との間でバランスをとることが必要となる場合があるため、さまざまな困難や悩みに対処しなければなりません。
親の聞こえの程度には個人差があり、「ほとんど聞こえない」から「聞こえにくい」まで幅があるため、補聴器を使用していても聞こえる言葉が不明瞭であったり、大勢の人がいる場所では話し声の区別が難しい場合もあります。
聞こえない親とのコミュニケーション手段は、手話以外にも口話や筆談などさまざまで、コーダが必ずしも手話ができるとは限りません。
コーダが抱えやすい悩み

コーダは、幼少期から手話や視覚に基づく「ろう文化」と、聞こえる人が前提としている「聴文化」を行き来しながら成長します。
2つの文化に適応しながら成長する中で、コーダは次のような悩みを抱えることがあります。
- コミュニケーション方法の違い
- 周りの親とは違うことへの葛藤
- 相談できる場所が少ない
「自分の親はみんなの親とは違うのではないのか」という疑問から、精神的につらい思いをすることもあるかもしれません。
コーダが抱えやすい悩みについて、詳しく解説します。
コミュニケーション方法の違い
コーダの大きな悩みのひとつが、コミュニケーションの難しさです。
聞こえない親との意思疎通をおこなうためには、手話の学習が必要となる場合があります。
さらに、家庭生活のなかで無意識のうちにろう者と共通する視覚言語や生活習慣を身につけてしまうため、聴文化のなかではギャップを感じることも多いかもしれません。
聴覚障がい者としての親の文化と、聴者としての文化との間でバランスをとる必要があります。
どちらの文化を受け入れるか、どちらの価値観を大切にするかなど、複雑な問題や悩みを抱えることがあります。
周りの親とは違うことへの葛藤
多くのコーダは生まれたときから、手話、身振りや手振り、うなずきや指差しなどの、音声に頼らないコミュニケーション方法を自然に学びながら成長します。
しかし、大きくなるにつれ、生まれたときには当たり前だった親とのコミュニケーションのとり方が、周りの人たちにとっての当たり前とは違うのではないのか、という疑問をもち始めることがあります。
さらに、聴覚障がいの親に対するサポートをすることも多く、早い段階から大人としての責任を感じることになるかもしれません。
家庭内で通訳やコミュニケーションの架け橋となることが求められる環境に、周りの親とは違うことへの葛藤が生まれ、悩みや不安に感じてしまうこともあります。
また、聞こえない親との生活では普通であるやりとりも、聞こえる世界では特別なのだと気付き、他人と違うコミュニケーションをとってしまうのが恥ずかしいと感じることもあります。
相談できる場所が少ない
同じ境遇の人が周囲に少ないことや相談できる人がいないのは、精神的な負担につながります。
親の特異な状況を説明するのは難しく、周囲の人々から理解されにくいものです。
この状況に、孤立感を感じることがあるかもしれません。
コーダの悩みを相談できる場所が少ないことや、機会はあっても理解してもらうのに時間がかかってしまうこともあります。
親に関する悩みは、親本人へはもちろん、友人や教師、身近な人ほど相談しにくいものです。
学校関係者、保健所の関係者、子育て支援や障がい福祉に関わる人などはコーダの悩みを知っておくことが大切です。
コーダが話す言語は?
コーダの親子の会話は、手話や筆談、口話などさまざまです。
じっと相手の顔を見つめたり、テーブルをたたいて人を呼んだり、目上の人にも指差したりと、他人から誤解されそうなしぐさもあります。
このようなやりとりは聞こえない親との間で普通に交わされるため、コーダにも生活習慣として自然と身につきます。
手話が苦手なコーダもいる
聞こえない親と普段から接しているコーダは、手話が使えると思われがちです。
しかし、実際には手話が苦手なコーダも少なくありません。
そのために、親と十分に深い話ができないと感じているコーダもいます。
コーダの日本語は、学校での教育や家族以外の人と接することでレベルがどんどん上がりますが、手話は生活のなかで使う機会が限られています。
コーダが手話を身につけるためには、親がどれだけ自覚的に手話で話しかけ、どれだけ手話表現を見せるかが重要です。
コーダをサポートしてくれる団体がある?

自身の悩みを打ち明け、理解を得るためにも、コーダ関連のコミュニティや関連団体のサポートを受けることも選択肢のひとつです。
現在の日本では、障がいのある当事者への福祉制度は整備されていますが、障がい者家族へのサポートはやや遅れています。
現時点では、コーダをサポートするセルフヘルプ・グループには、以下のような団体があります。
- J-CODA
- WP コーダ育児支援
- 行政のサポート
このような団体は、コーダが直面するさまざまな課題に対する理解と支援を提供するために活動しています。
同じ境遇の人や同じ思いをもった者同士が集まり、共通体験を語り合うことができる場があることは、大きな安心感に繋がります。
J-CODA
J-CODAは、さまざまな年齢のコーダが全国から集まり、同じような体験や悩みを共有できる場所です。
コーダが集い、語り合う場として、定期的にイベントを開催しています。
関東地区を中心に勉強会を開催していますが、最近はオンラインを活用した活動も定期的に実施し、全国から参加者が集まっています。
コーダ同士だから話せることを、楽しく、真剣に話し合い、気持ちを共有できるコミュニティです。
参考記事:J-CODA
WP コーダ育児支援
WPコーダ育児支援では、コーダ子育てに関する情報提供や交流イベントなどを開催しています。
コーダとその家族に対しておこなわれる支援プログラムや特有のニーズ・課題に焦点をあてた教育、情報提供、カウンセリング、コミュニティの形成をしています。
また、聞こえない親とコーダが聞こえる社会で安心して暮らすために、地域の方との連携づくりや、理解を深めていただくための啓発活動にも積極的です。
聞こえない親に向けた妊娠・出産・育児などのサポート、コーダが安心して生活していくためのアドバイスなど、具体的な相談にのってくれる団体です。
さらに、オンラインや対面の手話教室、SNSやブログなどでも情報発信しています。
参考記事:WP コーダ育児支援
行政のサポートサービス
親と聴者の間をつなぐ役割を担うことは、コーダの精神的な負担につながるケースが多いとされます。
親としっかりとコミュニケーションをとることも必要ですが、行政のサポートサービスを通じて負担の軽減を図ることもできます。
- 意思疎通支援(厚生労働省)
各地方自治体の支援のもと、手話通訳者や要約筆記者などの派遣をおこなってくれる
参考記事:厚生労働省「意思疎通支援」
- 電話リレーサービス(一般財団法人日本財団電話リレーサービス)
ろう者と聴者の会話を、通訳オペレータが手話や文字、音声を通訳して電話で双方向につなぐ
参考記事:電話リレーサービス
- ヤングケアラー相談窓口(こども家庭庁)
全国にある窓口にて対面での相談もできますが、電話やメールによる問い合わせも可能
参考記事:こども家庭庁
このように、身近に相談できる人がいないときや第三者に話をしたいときには、行政のサポートを利用するのがおすすめです。
家族の手伝い・手助けをするのはコーダにとって普通のことと思うかもしれません。
しかし、学校生活に影響が出たり、心やからだに不調を感じるほどの重い負荷がかかっている場合は注意が必要です。
さらに、聴覚障がい者の家族を持つ場合、雇用機会や就職活動に関する情報や支援が提供されることがあります。
行政のサポートは地域によって異なるため、詳細な情報は行政機関や関連する団体に問い合わせてご確認ください。
まとめ
今回は、コーダの意味や抱える悩み、問題をご紹介しました。
コーダは、コミュニケーション方法や周囲の親と自分の親の違いに悩みや葛藤を感じることが多く、相談できる場所が少ないことも問題です。
話す言語は、手話や口話、指文字などが一般的ですが、手話が苦手なコーダもいます。
今回の記事で、コーダの理解が深まり、サポートや手助けをするきっかけになれば幸いです。