難聴者とは?難聴の定義や後天的な難聴の特徴もわかりやすく解説!
難聴者とは聴覚障がい者のなかでも、主に耳が聞こえづらくなった人を指します。
聴力の程度は人それぞれで、電話ができる軽度難聴から周りの音がほとんど聴こえない高度難聴まで段階があります。
難聴者とコミュニケーションをとりたいけれど、どのように関わればよいのかわからないとお困りではないでしょうか。
本記事では、難聴の定義や後天的な難聴の特徴もわかりやすくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
難聴者とは?定義をわかりやすく解説
難聴者の定義は、耳が聞こえづらい、もしくはまったく聞こえない人です。
難聴は大きく2種類に分けられます。
- 伝音性難聴:外耳や内耳の障害が原因で音がはっきりと伝わらない
- 感音性難聴:脳や内耳に問題が生じ音を感じ取りにくい
さらに、伝音性難聴と感音性難聴の両方の症状を併せ持つ混合性難聴があります。
伝音性難聴と感音性難聴それぞれの主な原因は以下の通りです。
- 伝音性難聴:外耳炎、中耳炎、耳垢の詰まりなど
- 感音性難聴:突発性難聴、加齢性難聴、騒音性難聴、メニエール病など
難聴は、聴覚検査や画像検査をおこない、障害が起きている場所や原因を判断します。
難聴を発症すると、周りの音や会話が聞こえず日常生活に支障がでたり、友人や家族とのコミュニケーションがとりづらくなったりとあらゆる場面で影響が出ます。
耳が聞こえづらいことで、自信がなくなり社会で孤立してしまう場合も考えられ、精神的な苦痛も生じる障害です。
参考記事:難聴|e-ヘルスネット(厚生労働省)
難聴者とろう者の違い
難聴者とろう者の違いは、残存聴力がどの程度あるかです。
難聴者のなかには、残存聴力を利用し少しの音なら聞き取れる軽度難聴の方もいますが、ろう者のほとんどの方は、補聴器をつけても音の判別が難しいです。
また、難聴者は補聴器をつけることが多いのに対し、ろう者の主なコミュニケーションは手話が多いのも違いのひとつです。
難聴者とろう者の違いについては関連記事で詳しくご紹介していますので、こちらも併せてご覧ください。
関連記事:難聴者とろう者との違いは?コミュニケーション方法やできる配慮も解説!
難聴者と中途失聴者の違い
難聴者と中途失聴者の違いも、残存聴力がどの程度あるかということです。
難聴者のなかには聴力が残っている人もいますが、中途失聴者の多くは聴力がほとんど失われています。
また、難聴者と違い、中途失聴者は発話できる人が多く、なかには手話ができない人が多いため、それぞれコミュニケーション方法が異なるのも特徴です。
難聴者と中途失聴者の違いについては関連記事で詳しくご紹介していますので、こちらも併せてご覧ください。
関連記事:中途失聴者とは?定義や特徴・原因や遺伝との関係もわかりやすく解説!
難聴者は障がい者になる?
難聴者は、聴覚障がい者として身体障害者手帳を受け取ることが可能です。
難聴者が障害手帳を受け取れる判定基準は、以下のようになります。
| 等級 | 判定基準 |
| 6級 | 両耳の聴力が70dB以上または片耳の聴力が90dB以上 |
| 4級 | 両耳の聴力が80dB以上または両耳で音を聞く際、語音明瞭度が50%以上 |
| 3級 | 両耳とも聴力が90dB以上 |
| 2級 | 両耳とも聴力が100dB以上 |
| 1級 | 両耳とも聴力が100dB以上かつ言語障害 |
このように、聴覚の程度によって等級が決められます。
等級が最も低いのが6級で、カラオケや室外機の前など騒音がある場所以上の音でなければ聞こえない程度です。
2級になると、線路のガード下のような場所以上の音でないと聞こえない聴力になります。
3級以上では、補聴器があっても会話を成立させるのが困難になるため、手話や筆談などその他のコミュニケーション方法を考える必要があります。
参考記事:身体障害者障害程度等級表
日本の難聴者数はどのくらい?
日本の難聴者数は平成30年度時点で約34万人といわれ、約1,400万人以上の人が聞こえにくさを感じています。
さらに、難聴を自覚している人は、平成28年度時点で約3,400万人におよび、3人に1人が聞こえにくさに悩みを抱えていることになります。
参考記事:聴覚障害者の情報アクセシビリティ
日本の難聴者数は世界で3番目に多いのに対し、補聴器を使用する人は約13.5%と少数です。
これには、補聴器が使用しづらい、補聴器はうるさいなど、補聴器への満足度が低いことが理由として考えられます。
脳が補聴器に慣れるまでには約3ヶ月かかるといわれているので、この期間を乗り越えることで、補聴器本来の機能が発揮されます。
聴力の低下は、認知症のリスクが高まるというデータもあるため、耳が聴こえにくいなと思ったら、早めに耳鼻科に受診することが大切です。
参考記事:JapanTrak2022 調査報告
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難聴は生まれつきだけではない?
難聴は、耳の聴こえづらい状態で生まれた先天性難聴の他に、加齢性難聴、突発性難聴、騒音性難聴のように何らかの原因で発症するものがあるため、生まれつきだけでなるわけではありません。
4つの難聴について、ひとつずつ詳しくご紹介していきます。
先天性難聴
先天性難聴をもつ人は、生まれつき耳が聴こえづらい状態で、新生児の1000人に1人の割合といわれています。
先天性難聴の原因は、遺伝子異常や母親が妊娠中にトキソプラズマ症、風疹などの感染症にかかる、出産時にトラブルが発生し新生児仮死の状態になるなどが挙げられます。
難聴の程度は、少し聞き取りづらい人からまったく聴こえない人まで、人それぞれです。
新生児の場合、先天性難聴があってもなかなか気が付くことができないため、近年では出生時に聴覚スクリーニング検査という耳の聞こえを検査する病院が増えています。
先天性難聴の治療は、軽度から中等度では補聴器を使用し、高度から重度になると受信した音を内耳に送信する電極を埋め込む人工内耳手術をおこなうことが多いです。
加齢性難聴
加齢性難聴は、加齢が原因で発症するものです。
内耳の蝸牛の有毛細胞が加齢によりダメージを受け、細胞数が減少したり聴毛が抜けたりすることで、音を感知して脳に送る機能が低下し、耳が聴こえにくくなります。
聴覚の衰えは40代から始まるといわれており、60代になると軽度難聴の状態になる人が増えます。
70代を超えると、ほとんどの方が軽度難聴から中等度難聴の状態になり、さらに、75 歳以上になると約半数の方が耳が聴こえづらい問題を抱えています。
加齢性難聴は、加齢による聴力の低下のため根本的な治療方法はありませんが、補聴器をつけて聞こえをよくするなど早期から予防することが大切です。
突発性難聴
突発性難聴は、ある日突然発症する原因不明の難聴です。
今回ご紹介している難聴のなかで、最も聞き馴染みがあるのではないでしょうか。
原因は明らかになっていませんが、過労やストレス、睡眠不足の他に、糖尿病などの基礎疾患などにより引き起こされやすいと言われています。
耳鳴りやめまい、吐き気などの前触れがある人もいれば、突然耳が聴こえなくなってしまう人など、症状の出方は人によってさまざまです。
突発性難聴は、発症してから1〜2週間以内にステロイドの内服や点滴投与などの治療をおこなうことが望ましいです。
それ以上期間が空いてしまうと、完治する可能性が低くなってしまうため、耳の異変を感じたら早めに病院へ受診することをおすすめします。
騒音性難聴
騒音性難聴は、長時間騒音環境にいることで発症します。
身近な例だと、イヤホンやヘッドホンで音楽を大音量で聴き続けることが騒音性難聴のリスクにつながりやすいです。
80dB以上の音を長時間聴くと難聴が発症しやすいので、電車やガード下などの騒音環境で音楽を聴く際は、ノイズキャンセリング機能がついているものを使用するのがおすすめです。
一時的な音響の外傷の場合、ステロイドの内服で症状が落ち着きますが、長期間の音響外傷による難聴の場合、治療は困難です。
どうしても騒音環境を避けられない場合は、耳栓を使用したり、その場から離れる時間を定期的につくるなどして、耳を休ませる必要があります。
騒音性難聴になるリスクを抱えている場合は、定期的に病院を受診し、聴力検査をおこなうことも大切です。
聴覚障がいの種類については関連記事で詳しくご紹介しているので、こちらも併せてご覧ください。
関連記事:聴覚障害の種類をわかりやすく解説!タイプや症状・原因についても理解を深めよう
難聴者のコミュニケーション方法
難聴者の主なコミュニケーション方法には、以下のようなものがあります。
- 手話
- 指文字
- 読話
- 補聴器
- 筆談
難聴者は、一人ひとり聴力に差があるように、コミュニケーション方法も異なります。
難聴者とコミュニケーションをとるには、相手の聴力の程度や普段どんな方法でコミュニケーションをとっているのかを知っておくことが大切です。
難聴者とのコミュニケーション方法については関連記事で詳しくご紹介しているので、こちらも併せてご覧ください。
関連記事:難聴者とコミュニケーションをとる際のコツは?すれ違う原因や視聴者の悩みも解決!
難聴者とのコミュニケーションを円滑にする「Pekoe」
Pekoe(ペコ)は、音声言語をリアルタイムで文字化することができる、聴覚障がい者向けのサービスです。
オンライン会議や過去の研修動画などに会話の字幕をつけられるため、難聴者も周りの参加者と同様に正しい情報を正確に共有できます。
「自分だけ音声が聞き取りづらく内容についていけない…」
というように、難聴者が孤立を感じることも少なくなります。
その場で誤変換の修正も可能なため、難聴者とコミュニケーションがとりやすくなるのがPekoeのメリットです。
インターネット環境さえあればすぐに始められるので、ぜひ活用してみてください。
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まとめ
難聴者について、定義や特徴を詳しくご紹介しました。
難聴は、生まれつきだけでなく加齢やストレス、病気などで発症する後天性のものもあり、聴力の程度も少し聴こえにくい人からほとんど聴こえない人まで人それぞれです。
難聴者とのコミュニケーションのとり方にお困りの方は、まず難聴者の特徴やコミュニケーション方法を理解することが大切です。
手話や筆談のような方法以外に、難聴者のためのアプリやツールもあるので、うまく活用してみてください。
