耳が不自由な人が困ることとは?聴覚障がい者への必要な配慮も詳しく解説!
耳が不自由な人は、耳が聞こえない、聞こえにくいなどが原因で、日常生活を送るうえで必要な情報が得られなかったり、コミュニケーションがとりづらいなど、普段から困るケースが多いのが現状です。
この記事では、耳が不自由な人が困ることや、聴覚障がい者への必要な配慮について解説します。
コミュニケーションの方法なども解説しますので、参考にしてみてください。
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目次
耳の聞こえない人が困ること
日常生活において耳が聞こえない人が困ることには、さまざまなケースがあります。
耳が聞こえない人の悩みは気付きにくく、何で困っているのかわからないことがあるのも事実です。
- 周囲の情報を得るのが難しい
- 生活音を聞き取れない
- 緊急時の対応が難しい
- コミュニケーションをとるのが難しい
- 外見からは気付いてもらえない
ここでは、以上のような困りごとについて詳しく解説します。
周囲の情報を得るのが難しい
耳が聞こえない人は、周囲の情報を得るのが難しいという問題があります。
周囲の音の情報には、車のエンジン音やクラクション、電車の踏切の音やアナウンスなどがあり、どれも日常生活を送るうえで必要です。
これらの情報が得られないことで大きな不便を感じてしまい、場合によっては命に関わる問題になるケースもあります。
生活音を聞き取れない
耳が聞こえない人は、生活音を聞き取ることができません。
そのため、普段自分がどの程度の生活音を出しているか、本人は知ることができません。
場合によっては、近隣に迷惑をかけたり、トラブルに発展するケースもあります。
また、クレームがきた場合でも何が原因かわからないため、改善しにくいことも問題です。
他にも、インターホンの音に気付けない場合もあり、対応できずトラブルに発展する可能性もあります。
緊急時の対応が難しい
耳が聞こえない人は、音声だけで会話することは困難です。
そのため、緊急時の対応が難しいケースがあります。
例えば、緊急時に110番や119番に通報したり、エレベーターの非常停止ボタンを押して音声で状況を伝えるなどの方法が使えません。
結果として、緊急時の対応が遅れ、身の危険が高まるケースがあります。
コミュニケーションをとるのが難しい
耳が聞こえない人は、コミュニケーションをとるのが難しい点も問題です。
耳が聞こえない人とのコミュニケーションの方法には、筆談、手話、口話などがありますが、どの方法にもデメリットがあるため、スムーズにコミュニケーションがとれないケースがあります。
筆談の場合は、コミュニケーションのスピードが遅いという問題があり、手話は理解している人がかなり少ないのが問題です。
口話については、近年の新型コロナウイルスの影響でマスクをする機会が増えたため、コミュニケーションに使用することが難しくなっています。
外見からは気付いてもらえない
耳が聞こえないという障がいは、外見からは気付いてもらえないという問題があります。
外見だけでは判断できないため、耳が聞こえないことを知らない人からは、話かけたのに無視された、と誤解されることも考えられます。
また、困っている場合でも、他の人からは何に困っているのかわからないことがあり、助けを得にくいという点も問題です。
耳が聞こえない人はどうやって話すの?
耳が聞こえない人はどうやって話すのか、よくわからない人も多いのではないでしょうか。
耳が聞こえない人のコミュニケーションの方法には、手話、筆談、指文字、口話などがあります。
どの方法も耳が聞こえない人とのコミュニケーションに有効な手段ですが、使用される方法は場面によって異なります。
また耳が聞こえない人でも、人によって話しやすい方法が異なるため、手話だけなど、ひとつの方法でコミュニケーションがとれるとは限りません。
そのため、実際に交流しながらどのコミュニケーション方法が有効なのか理解することが重要です。
耳が聞こえない人とのコミュニケーションの詳細については、以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:耳が不自由な人とのコミュニケーションは?大切ポイントを押さえ便利なツールも活用しよう!
耳が聞こえない人の生活の工夫
ここでは、耳が聞こえない人の生活の工夫についてご紹介します。
外出時には、店舗などでコミュニケーションをとる必要がありますが、会話がうまく噛み合わない場合があります。
そのための工夫として、普段から筆談ボードを持ち歩き、筆談でコミュニケーションをとるという方法があります。
また、最近では筆談ボードを設置している店舗も増えてきています。
関連記事:聴覚障害者との筆談で大切なことは?筆談の方法やメリット・デメリットも解説!
最近では、話した内容を文字で表示するスマートフォンのアプリがあるため、これを使ったコミュニケーションをおこなうことがあります。
他にも、聴覚障がいがあることを示す「耳マーク」というものがあり、外見ではわかりにくい聴覚障がいに気付づいてもらえるという点がメリットです。
関連記事:耳が不自由な人のマークの意味は?聴覚障害者がどんなことで困るかも知っておこう!
耳が聞こえない人の便利な道具
耳が聞こえない人のために、コミュニケーションなどをサポートするための道具が存在します。
耳が少し聞こえる人向けの道具として一般的なものに補聴器がありますが、補聴器の他にも、本体を握り耳に当てることで音声を拡大して聞き取れる拡張器という器具もあります。
また、耳が聞こえない人向けの目覚まし時計として、振動式目覚まし時計があり、これは枕の下にシェイカーという振動部を入れ、振動で起こす目覚まし時計です。
その他、電話の着信や来客を光などで知らせる道具や、音声を文字にして放送する字幕放送、コミュニケーションをとりやすくするアプリやツールなどもあります。
耳が聞こえない人向けの道具の詳細については、以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:耳が不自由な人のための道具って?困ることや活用できる便利なサービスもご紹介!
耳が聞こえない人のためのバリアフリーとは?
耳が聞こえない人にとっては、日常生活においてさまざまな「バリア(壁)」があります。
このバリアを取り除く考え方としてバリアフリーがあり、これは障がい者にも適用されます。
ここでは、耳が聞こえない人にとって、どのようなことがバリアになるのかを以下の3つに分けて解説します。
- 物理的バリア
- 情報のバリア
- 心のバリア
バリアフリーを意識するために、参考にしてみてください。
物理的バリア
「物理的バリア」とは、例えば足が不自由な人にとっては、階段や段差などが物理的バリアに該当します。
車椅子が通れない幅の通路には「幅のバリア」があり、青信号や踏切の開放時間が短いため高齢者などが渡りきれない場合には「時間のバリア」があります。
このように、日常生活では立場の違いによる物理的バリアが存在するため、何が物理的バリアになっているのか確認することが重要です。
情報のバリア
日常生活を送るうえで、耳が不自由な人は目からの情報しか入ってきません。
このように、障がいがあることで情報が得られない「情報のバリア」が存在します。
この情報のバリアを解消するために、耳の不自由な人には、音や言葉を文字で伝えるなど、目から情報を得られるようにすることが必要です。
また、文字を大きくして見えやすくするなど、情報が伝わりやすくすることも有効です。
心のバリア
耳が聞こえない人にとっては、物理的バリアや情報のバリアの他にも、「心のバリア」が存在します。
心のバリアとは、障がい者に対する差別や偏見から起こるもので、目に見えないため解決が難しいのが現状です。
また、障がい者には支援しなければいけないという考え方も、障がい者を理解しているように見えますが、障がいがない自分の方が上だという思いからきている場合があります。
心のバリアを解消するためには、共に行動する機会を増やすなど、差別や偏見をなくしていくことが大切です。
参考記事:日本国政府:街の中のバリアフリーと「心のバリアフリー」
耳が聞こえない人のために私たちができること
耳が聞こえない人のために私たちができることは存在します。
ここでは、そのポイントとして、
- どんな配慮が必要か尋ねる
- 話し方や伝え方に配慮する
- 手話ができなくてもコミュニケーションを諦めない
の3つを解説します。
どんな配慮が必要か尋ねる
聴覚障がい者といっても、耳の聞こえ方は人によって異なり、まったく聞こえない人から、少しは聞き取れる人まで、程度には差があります。
そのため、聴覚障がい者とコミュニケーションをとる際に必要な配慮は、ひとつではありません。
どんな配慮が必要かについては、どんな配慮が必要かを本人に教えてもらうのが一番です。
この方法ならコミュニケーションがとれるはず、という思い込みには注意が必要です。
話し方や伝え方に配慮する
聴覚障がい者とコミュニケーションをとる場合は、話し方や伝え方に配慮することが大切です。
特に、音声で会話をしている場合は、話ができているから聞こえているはず、と誤解してしまいます。
実際は、聴覚障がい者が会話を聞き取ることは難しい場合が多く、1対1の会話は聞き取れても、複数人で会話すると聞き取れなくなることがあります。
補聴器をつけていた場合でも、完全に聞き取ることはできません。
そのため、聞き取りやすくするために、丁寧にゆっくり話したり、複数人が同時に話さないよう、ひとりずつ話すようにするなどの配慮が必要です。
手話ができなくてもコミュニケーションを諦めない
聴覚障がい者とのコミュニケーションには、手話が必要になると思っている人は多いかもしれません。
しかし、実際は手話ができなくてもコミュニケーションを諦める必要はありません。
手話以外にも、筆談などの方法でもコミュニケーションは可能で、話し方によっては聞き取れる場合もあります。
株式会社リコーでは、聴覚障がい者とのコミュニケーションを支援するツールである「Pekoe(ペコ)」をリリースしています。
Pekoeは会議などの会話を音声認識し、リアルタイムで文字化することができます。
このようなツールを利用することでもコミュニケーションは可能です。
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まとめ
ここまで、耳が不自由な人が困ることについての概要や、聴覚障がい者に必要な配慮、コミュニケーションの方法について解説しました。
耳が聞こえない人は、周囲の情報が得られず、コミュニケーションが難しい場合があることから、日常生活を送るうえで困るケースが多くなっています。
そのため、耳が聞こえない人のための配慮が必要です。
聴覚障がい者とのコミュニケーションを支援するツールなどもあるため、これらをうまく併用することで、バリアフリーを目指しましょう。