サステナビリティの社会問題とは?環境問題の種類一覧や現状・個人でできる活動も紹介!

サステナビリティとは、環境や社会が長期にわたり、機能やシステムを良好な状態にして持続させるという考え方で、企業や個人で社会問題として取り組まなければならない課題です。
これからサステナビリティの知識を身につけて実践していきたい方のなかには、
「環境問題には具体的にどのような種類があるのか?」
「なぜ環境問題が解決しないのか?」
などの疑問をお持ちの方も多いかもしれません。
本記事では、サステナビリティの社会問題について詳しく解説していきます。
地球全体で重要な課題となる環境問題や、個人でできるサステナビリティな活動をご紹介するので、参考にしてみてください。
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目次
サステナビリティの社会問題とは?
深刻化する自然環境の問題に対応するため、サステナビリティへの取り組みが活発化し
しています。
産業革命のころから、人々の経済活動により大気中の二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスが増加し、それにともない地球の平均気温も上昇して地球温暖化が引き起こされています。
地球温暖化による気候変動で、これまでに集中豪雨や熱波などの異常気象が世界中で発生しました。
このまま地球温暖化が続けば異常気象は加速し、私たちの生活、社会、経済など深刻な社会問題を及ぼすでしょう。
環境破壊の危機から脱し、持続可能な社会を実現するためにもサステナビリティな取り組みが推奨されています。
SDGsやサステナビリティの取り組みは以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
関連記事:サステナビリティとは?SDGsとの違いや意味・企業の取組事例をご紹介!
地球全体でサステナビリティの重要課題となる「環境問題」
現代の暮らしは経済発展により豊かな生活を手に入れましたが、その結果として生命の基盤となる自然環境の悪化をもたらしています。
このような現状では、自然環境の維持と社会の発展は共存できないと思う方も多いかもしれません。
しかし、社会の発展を目指しながら環境問題の解決に取り組むことは可能です。
それを実現するためにも、国や企業のみならず、地球全体でサステナビリティの重要課題となる「環境問題」を解決するための取り組みが必要になります。
環境問題に注目が集まる理由とは
環境問題に注目が集まっているのは、2015年に国連がSDGsを採択したことが理由のひとつです。
SDGsは「持続可能な開発目標」という意味で、貧困や環境問題、不平等などに対する17の目標について、2030年までの達成を目指しています。
このSDGsに賛同してサステナビリティへの取り組みを進めている企業も少なくありません。
SDGsの目標を経営戦略に組み込むなど、サステナビリティ経営の推進が加速し、消費者やステークホルダーからの評価基準としても注目されています。
社会問題への関心が高い若年層を中心に広まったこともあり、今後も環境問題は全世界の関心ごとのひとつとなるでしょう。
環境問題と公害の違いは?
環境問題と公害の違いについて疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、公害は環境問題の一部で密接な関係をもっています。
環境問題は加害者と被害者が不明確であり、問題は地球全体です。
大気、水、土壌などの自然環境において、有害物質や物理的な影響が生じ、人の健康や環境に悪影響を及ぼします。
一方、 公害は、加害者と被害者が明らかで、問題が生じた場所が特定の地域に限定される、という点で環境問題とは異なります。
代表的な公害は、水俣病や四日市ぜんそく、イタイイタイ病などです。
身近な環境問題の種類一覧

現在の日本でも、公害問題は存在しますが、過去と比べるとさまざまな法律の制定により徐々に改善している問題もあります。
逆に、私たちの身近には深刻化している環境問題は多く、国や企業、個人でも解決するための行動が必要です。
ここからは日本が抱えている環境問題にはどのような種類があるのかを解説していきます。
気候変動
気候変動は、気温や気象パターンの長期的な変化を指します。
これらの変化は太陽周期の変化によるものなど、自然現象の場合もありますが、1800年代以降は主に人間活動が気候変動を引き起こしており、その原因は化石燃料の燃焼です。
化石燃料を燃やすと温室効果ガスが発生し、地球を覆う毛布のように太陽の熱を閉じ込め、気温が上昇します。
気候変動を引き起こす温室効果ガスの二酸化炭素は、ガソリンを使用して自動車を運転したり、石炭を使用した暖房などが原因です。
土地を開拓したり森林を伐採することでも二酸化炭素の増加につながります。
大気汚染
大気汚染とは、人為的に発生した大気汚染の原因となる物質が大気中で増加したり、拡散、反応して空気が汚れる現象です。
原因物質の発生源は、工場や事業場などの固定発生源と、自動車などの移動発生源に分けられます。
大気汚染物質としては、硫黄酸化物、窒素酸化物、揮発性有機化合物、光化学オキシダント、浮遊粒子状物質、ベンゼン、ジクロロメタンなどが代表的です。
これらは人への健康被害だけでなく、酸性雨や光化学スモッグを誘発します。
水質汚濁
河川や湖沼、海域などの水が汚染される環境問題が水質汚濁です。
人間の社会経済活動によって発生する排水で、工場や事業場などからの産業排水、家庭から出る生活排水、農地からの農薬を含んだ農業排水が原因です。
川や湖、地下水などは、人間や動植物の生命維持に欠かせない淡水の供給源になっていて、汚濁した公共用水域の利用は人への健康被害や、水辺の自然生態系の破壊にもつながります。
足尾銅山鉱毒事件、水俣病やイタイイタイ病などは水質汚濁による公害として知られています。
土壌汚染
土壌汚染とは、人体に有害な物質によって土壌が汚染されていることを指します。
工場からの有害な排水の流出、農薬の散布、有害物質を含む廃棄物の埋め立てなどが原因です。
土壌は水や大気のように移動をしないことから、いったん汚染されると汚染状態が継続され、自然浄化が困難だとされています。
地盤沈下
地盤が徐々に沈んでいく地盤沈下も環境問題のひとつです。
地下水の大量採取、天然ガス開発、土木工事、地震などが要因にあげられます。
沈下した地盤がもとに戻ることはないとされており、未然の防止策が重要です。
ヒートアイランド現象
ヒートアイランド現象とは、郊外に比べて都市の中心部が温暖化する現象です。
その原因は、緑地や水面の減少、アスファルトやコンクリートで被覆された地面の増大、人工排熱の増加、建物の密集による風通しの悪化などです。
東京や名古屋などの大都市では、1900年〜2000年の100年の間に平均気温が2.2度〜3.0度上昇しています。
ヒートアイランド現象の影響は多岐にわたり、気温の上昇だけでなく、熱中症や熱帯夜の増加、大気汚染や集中豪雨の誘発、都市型洪水の発生、植物の育成の阻害、エネルギー消費量の増大などが懸念されます。
資源の枯渇
現代社会において、人々の生活や産業を支えている資源は、石油や石炭です。
電子機器などに使用されている鉱物資源は、あと30年〜40年で発掘できなくなるともいわれ、資源の枯渇が懸念されています。
また、石油や石炭などを使ったエネルギーは二酸化炭素を排出するため、温暖化の原因です。
資源の枯渇問題を解決するためには、太陽光や水力、風力などの再生可能エネルギーへの転換が求められています。
化学物質問題
化学物質による環境汚染も環境課題のひとつです。
化学物質の使用で、大気汚染や水質汚染、海洋汚染などが発生しています。
車の排気ガスや工場から排出される煙に含まれる有害物質によって、大気が汚染され、光化学スモッグやPM2.5など人体への影響も及ぼしています。
海洋汚染の大きな要因となっているのは、プラスチック製品や化粧品などから流れ出るマイクロプラスチックです。
マイクロプラスチックは自然分解できないため、海に住む生き物や海洋環境に悪影響を及ぼします。
廃棄物問題
日本では高度経済成長期以降、所得増加や大量生産・大量消費・大量廃棄の社会経済システムにともなって、廃棄物が急激に増加して、廃棄物の最終処分場の不足とひっ迫が起きました。
近年では、陸上からのプラスチックなどを原因とする海洋ごみ、震災や自然災害で生じた災害廃棄物、原子力発電所の稼働によって発生する放射性廃棄物なども問題視されています。
このほかに、「コロナごみ」という新たな廃棄物の問題も浮上しています。
感染症対策用の使い捨て衛生用品、巣ごもり需要拡大によって家庭から排出されるプラスチックごみなどの廃棄物問題も深刻化しています。
騒音・振動・悪臭
騒音・振動・悪臭は、都市化にともなって発生する都市生活型公害です。
人の感覚を刺激する感覚公害とも呼ばれ、その感じ方には個人差が生じますが、精神的ストレスや健康被害に発展する可能性もあります。
騒音の要因は、自動車や航空機・鉄道に起因するもの、風力発電所から発生するもののほか、生活騒音、低周波音です。
振動や悪臭のおもな発生源は、自動車や鉄道、建設現場、工場、事業場などがありますが、複数の要因が考えられます。
生物多様性の危機
生きものたちの豊かな個性とつながりが喪失してしまう、生物多様性の危機も懸念されます。
自然現象などの影響によっても大量絶滅は起きていますが、現在は第6の大量絶滅と呼ばれています。
人間活動による影響がおもな要因で、地球上の種の絶滅のスピードは自然状態の約100倍〜1,000倍にも達し、たくさんの生きものたちが危機に瀕しています。
環境破壊に加えて、遺伝子組み換え作物や、ゲノム編集作物の栽培・利用による生物多様性の損失も危機的状況です。
一番深刻な環境問題は?
地球環境問題として一番深刻とされているのは、地球温暖化です。
化石燃料を大量消費したことで、大気中の温室効果ガスの濃度が上昇し、大気中に蓄熱されるエネルギーが増加して地表温度が上昇し続けています。
大気中の二酸化炭素濃度の増加は、このまま二酸化炭素の放出が続くと、世界の平均気温も上昇させると予測されています。
地球をひとつの生きものとしてとらえると、人や生きものの変化に適応する機能があります。
しかし、現在はその適応機能が人間の二酸化炭素排出量に追いつかず、対応がエスカレートした結果、地球温暖化やそれにともなう生物多様性の減少、気候難民問題などが起こります。
人間の変化に地球は適応できますが、その変化を緩めたり、遅くすることが現代には必要です。
サステナビリティを日本はどのくらい実現できている?

SDGsという言葉だけでなく、サステナビリティへの取り組みが着実に広まってきています。
日本はどのくらいサステナビリティを実現できているのか、世界のSDGsランキングを解説します。
2023年世界のSDGs目標すべてを対象にした世界ランキングで、日本は21位にランクインしました。
SDGs17の目標のうち、取り組みが順調に進んでいる目標は以下の4つです。
- 目標4「質の高い教育をみんなに」
- 目標6「安全な水とトイレを世界中に」
- 目標8「働きがいも経済成長も」
- 目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」
達成度と進捗度が低く、取り組みの強化が必要な目標は以下の6つです。
- 目標5「ジェンダー平等」
- 目標10「不平等をなくす」
- 目標12「つくる責任つかう責任」
- 目標13「気候変動対策」
- 目標14「海の豊かさ」
- 目標15「陸の豊かさ」
達成の進んでいる目標への取り組みを維持しながら、遅れが出ている目標への取り組みも意識変革によって推進していく必要があります。
さらに詳しい日本のサステナビリティの取り組みは以下の記事を参考にしてください。
関連記事:サステナビリティランキングの日本の順位は?SDGs達成状況や政府・企業の取り組みも紹介!
環境問題が解決しない理由
環境問題は、世界全体で解決に向けて協力して取り組んでいく必要がある切迫した問題です。
世界全体で環境問題が解決しない理由にはさまざまな要因が考えられます。
かつての公害問題は、工場など特定の発生源から出される排煙、排水、騒音などが周辺の環境に悪影響を与え、悪化した環境が原因で起きています。
このような問題は、その発生源、影響および因果関係の認識が容易で、問題の重要性やその所在がわかりやすく、対策実施を求める意見や行動も高まりやすい状況でした。
しかし、今日の環境問題では、その影響が実感しにくく、原因や因果関係が複雑です。
地球温暖化、生物多様性の減少などのように、将来になって大きな影響を生じるという意味で時間的ずれがある問題で、現在に生きる世代が実感しにくい面もあります。
その結果、地球上で暮らす一人ひとりの生活が変わらず、環境問題への対策も後手になってしまうことが解決を遠ざけてしまう要因のひとつです。
サステナビリティのために個人でできる活動は?
サスティナビリティな社会をつくりSDGsの目標を達成するには、国や企業単位だけでなく、個人の取り組みが必要です。
ここからは、個人でできる活動の具体的な取り組みをご紹介します。
私たち一人ひとりが日常生活で少し意識を変えるだけで、SDGsのさまざまな目標達成へ貢献できるので、参考にしてみてください。
サステナビリティの知識を深める
まずは私たち一人ひとりがサステナビリティの知識を深めることが大切です。
書籍やインターネットで情報収集するのもいいですが、どの分野を学べばいいのかわからないという方にはサステナビリティに関する資格取得がおすすめです。
金融機関の全行職員、一般企業のSDGs担当者はもちろんのこと、高校生や大学生など、多くの世代の方が資格を得るため受験しています。
サステナビリティに関する資格は、難易度の高いものから、比較的始めやすい認定資格まで幅広く、SDGsに取り組んでいる民間企業や官公庁・自治体も多いため、資格分野の発展も著しいです。
資格取得のメリットや難易度は以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:サステナビリティ資格11選!SDGsの資格取得のメリットや受験方法・難易度も解説!
サステナビリティのマークを意識する
買い物をするときに、サステナビリティのマークを意識することも大切です。
オーガニック食品から化粧品、家電、建物やホテルを対象としたもの、企業が取得するマークまで、国内外には数多くのマークがあります。
例えば、日本国内の有機食品であることを証明するマークは「有機JAS」です。
JAS法に基づいて有機JASに適合した生産がおこなわれていることを認証し、農畜産業において、化学合成肥料や農薬を使用しないことを証明します。
さらに、遺伝子組換え技術の使用禁止など、環境への負荷を低減しながら持続可能な生産ができる基準です。
このほかのサステナビリティのマークは以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:サステナビリティのマークとは?認証の種類や意味を知り取り組もう!
食べるものを意識する
近年、食品ロスや環境破壊の改善を期待できるようなサステナブルフードも多く出ています。
代表的なサステナブルフードは、地球を傷つける農薬や殺虫剤などを使用せずに生産されたオーガニック食材や、大豆ミート、昆虫食などがあります。
食べるものを意識するのも、私たちができるサステナビリティな取り組みです。
以下の記事では、フードロスをなくすための工夫などをご紹介しているので参考にしてみてください。
関連記事:サステナブルフードとは?ロスをなくす持続可能な食品の例について
身につけるものを意識する
近年、ファッション産業が環境に与える負荷が大きいと指摘され、国際的な問題です。
この課題解決のためには、生産から廃棄に至るまで環境への負荷を考慮した「サステナブルなファッション」が求められます。
サステナブルなファッションを実現するためには、国や企業レベルでの取り組みも必要ですが、私たち消費者にもできることが多くあります。
手元にある服をできるだけ長く着ること、冒険したおしゃれにチャレンジしたいときは衣類のシェアリングサービスや古着を利用するのがおすすめです。
流行のシーズンが終われば処分するというサイクルをストップし、一着を長く着るなど、身につけるものを意識することもサステナブルにつながります。
サステナビリティの社会問題への企業の活動事例
持続可能な社会を実現するための取り組みが加速する現代で、目先の利益だけにとらわれないサステナブル経営をおこなう企業が評価される傾向です。
サステナビリティの実現に向けた社会問題への取り組みをしている「日本マクドナルドホールディングス」をご紹介します。
マクドナルドの目標は「2050年までに、店舗、オフィス、サプライチェーン全体でネット・ゼロ・エミッション達成」とし、以下の取り組みをしています。
- 再生可能エネルギーを使おう
- エネルギーを効率化しよう
- 環境を考えた素材選びを
- 使用したものを再利用しよう
- 食品ロスをなくそう
- 地域産業の活性化を
- 街をきれいに
世界的な気候変動や環境課題に社会の一員として積極的に取り組み、環境保全や事業活動における環境負荷軽減を常に検討し、行動しています。
参考記事:日本マクドバルドホールディングス「サステナビリティ」
サステナビリティにおけるリコーの環境への取り組み
リコーグループでは「脱炭素社会の実現」「循環型社会の実現」をマテリアリティとして位置づけ、「リコーグループの環境目標」を設定し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めています。
気候変動は、世界全体が直面している重要な社会課題のひとつです。
リコージャパンでは、2030年までに自社における脱炭素社会実現のために、以下のような取り組みをおこなっています。
- 再生可能エネルギーの積極的な利活用
- 徹底的な省エネ・CO2 削減活動の展開
さらに、自社の脱炭素化だけではなく、社会の脱炭素化への貢献に向けて以下のような省エネ・創エネ関連ビジネスの提供を進めています。
- 脱炭素貢献製品の開発
- プリント環境での環境負荷削減をトータルでサポート
- スマートエネルギービジネス
このように、事業を通じた環境負荷削減の取り組みと同時に、生物多様性保全活動やステークホルダー協働による森づくりなど、地球の再生能力の向上と地域コミュニティへの貢献にも継続して取り組んでいます。
まとめ
今回の記事では、サステナビリティの社会問題を詳しく解説しました。
私たちの身近には深刻化している環境問題が多く、国や企業、個人でも解決するための行動が必要です。
日本はサステナビリティをどのくらい実現できているのか、なかなか環境問題が解決しない理由を詳しく解説しました。
個人ではどのような活動ができるのかを考えて、行動するきっかけにしてみてください。
