サステナビリティとは?SDGsとの違いや意味・企業の取り組み事例をご紹介!

近年よく耳にする言葉に「サステナビリティ」というものがあります。
ただ、この言葉について正確に理解できていない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、サステナビリティの概要や3つの柱、SDGsとの違いと実際の取り組みについて解説します。
目次
サステナビリティとは
サステナビリティとは、「持続可能性」を意味する言葉です。
1992年にリオデジャネイロで開催された地球サミットをきっかけに、サスティナビリティという言葉は広まり始めました。
サステナビリティには、経済発展、社会開発、環境保護の3つの柱があり、地球温暖化や貧困・格差といった社会問題を解決しながら、経済的な発展も図ることを目標としています。
これらをバランスよく実現するために、近年、国や企業などが取り組みを始めています。
サステナビリティの考え方
サステナビリティの考え方とは、人々が生活のために必要とするものを満たしながら、将来の世代についても配慮するというものです。
日常生活でエコな選択をすることや、地域社会やグローバルな課題に関心を持つことなどが挙げられ、これらを意識して生活することで、サステナビリティの実現に貢献が可能です。
具体的には、節電・節水を心がける、食べ物を無駄にしない、リサイクルを意識するなどといった行動の積み重ねが将来につながります。
大きなことはできなくても、一人ひとりの意識が積み重なるという考えを持つことが大切です。
企業としては、自社の利益を追い求めるだけでなく、社会全体のことを長期的な視点で考えて事業活動をおこなうべき、という考え方になります。
これは企業価値が決まる重要なものであり、今後企業にとっては欠かせないテーマです。
もともとサステナビリティは、環境保護の文脈で用いられる言葉でした。
しかし近年は、企業が果たすべき社会的責任と結び付けられることが増えているため、サステナビリティへの認識を高め、取り組んでいくことが重要になります。
サステナビリティの3つの柱

サステナビリティとは、環境・社会・経済が持続的に発展する社会の実現を目指す考え方です。
サステナビリティには、
- 経済開発(Economic Development)
- 社会開発(Social Development)
- 環境保護(Environmental Protection)
の3つの柱があります。
ここでは、それぞれの項目について詳しく解説します。
経済開発(Economic Development)
サステナビリティにおける経済開発とは、人々のニーズを満たしながら、将来世代のニーズを損なわないように、人々の所得や生活水準を向上させることです。
経済開発は、サステナビリティのひとつの側面ですが、環境や社会に悪影響を及ぼす可能性もあります。
ただ、サステナビリティと経済開発は、相反するものではなく、補完できるものとなっています。
もしサステナビリティを無視して経済開発を進めた場合、資源の枯渇や環境汚染などの問題により、将来の経済成長を阻害してしまうかもしれません。
反対に、経済開発を無視してサステナビリティを重視した場合、貧困や不平等などの問題が解決されず、社会的な不安や不満が高まることになります。
サステナビリティと経済開発を両立させるためには、環境に配慮した技術や、リサイクル活動、環境教育や啓発活動などが重要です。
社会開発(Social Development)
サステナビリティにおける社会開発とは、人々の住宅や交通、保健、医療、衛生、社会福祉、教育といった社会サービスを改善し、発展させていくことです。
そのために、平等に教育を受ける機会を与えたり、多様性のある働き方の推進などが必要になります。
サステナビリティの社会開発には、教育や健康、ジェンダーや人口など、さまざまな分野が関わっていて、人々の生活の質を向上させるとともに、人権や多様性を尊重することが重要です。
サステナビリティの社会開発には、国際社会や国家、地方自治体だけでなく、企業や市民団体や個人も積極的に関わることが求められています。
環境保護(Environmental Protection)
サステナビリティにおける環境保護とは、森林の保存、水資源の節約、海洋汚染の対策など、現在の地球環境を将来に残していくための活動のことです。
そのため、自然環境や生物の多様性を守り、気候変動や汚染などの問題に対処する必要があります。
サステナビリティの環境保護には、個人だけでなく、企業、政府などが協力して取り組む必要があります。
例えば、個人では日常生活でエコな行動を心がけたり、環境に配慮した製品やサービスを選んだりすることで、サステナビリティの環境保護に貢献が可能です。
また、企業においては、環境に配慮した製品を販売したり、再生可能エネルギーの活用や脱炭素社会に向けた取り組みをおこなうなどの活動が挙げられます。
サステナビリティとSDGsの違い
サステナビリティと似た言葉にSDGsというものがありますが、この2つの違いが分かりにくいと思う方も多いようです。
サステナビリティとSDGsは、共通の理念がありますが、具体的な内容やアプローチが異なります。
サステナビリティは、環境・社会・経済の3つの側面をバランスよく考慮しながら、現在の世代のニーズを満たしつつ、将来世代のニーズを損なわないようにすることです。
サステナビリティは、一般的な概念であり、具体的な指標や基準はありません。
一方SDGsは、サステナビリティの実現に向けて、国際社会が共有する具体的な目標とターゲットです。
SDGsでは、貧困や飢餓、気候変動など、地球規模の課題に対処するために、全ての国や地域が協力して取り組むことを目指しています。
SDGsは、各目標やターゲットに対して、定量的な指標や進捗状況を測ることができます。
サステナビリティとSDGsは、相互に関連していて、サステナビリティを実践することで、SDGsの達成に貢献が可能です。
また、SDGsを達成することで、サステナビリティを高めることができます。
サステナビリティとSDGsの違いの詳細については、関連記事を参照してください。
関連記事:サステナビリティ企業とは?SDGs目標達成に重要な取り組みや活動も紹介!
サステナビリティな取り組みとは
サステナビリティな取り組みとは、経済的、社会的、環境的な観点から、現在の世代のニーズを満たしながら、将来世代のニーズを損なわないようにおこなう活動のことです。
サステナビリティな取り組みは、企業や団体、政府だけでなく、個人や家庭でも重要になります。
サステナビリティな取り組みをおこなうことで、地球環境の保護や資源の有効活用、社会的な公正や平和、経済的な発展や安定の実現が可能です。
具体的には、資源エネルギーの節約や再生可能エネルギーの利用、廃棄物の減量やリサイクル、地域社会への貢献やボランティア活動、人権や多様性の尊重、教育など、多岐にわたります。
サステナビリティな取り組みは、一人一人が日常生活で意識しておこなうことが重要です。
サステナビリティの取り組み事例
ここでは、実際におこなわれているサステナビリティの取り組み事例をいくつかご紹介します。
・自動車業界
自動車は化石燃料を使用して移動するため、その排出ガスが大気汚染や地球温暖化の原因になっているとして、これまでもさまざまな対策がおこなわれていました。
サステナビリティの取り組みとしては、自動車の二酸化炭素の排出量を削減するという目標を掲げています。
また、自動車の生産や企業活動で排出される二酸化炭素についても、同様に削減目標を設定しています。
・ファッション業界
服作りにおいては、環境負荷を削減するよう工夫したり、素材選びやエコバッグの普及などにより持続可能性を追求しています。
また、労働者についても、安心かつ安全な労働環境の確保、ダイバーシティの推進などの環境作りをおこなっています。
・飲食業界
原材料の生産者や生産地域に対してフェアトレードを守ったり、生産者の労働環境を守ることで、生産性向上を支えるという活動をおこなっています。
サステナビリティに取り組む企業

ここでは、実際にサステナビリティに取り組む企業についてご紹介します。
まず、自動車業界のトヨタ自動車では、2019年に「サスティナビリティ推進室」を設立しました。
取り組み内容としては、SDGsやESGを本格的に取り組む体制作りを進め、社長自らSDGsに本気で取り組むと発言しています。
内燃機関で脱炭素を目指す水素エンジンの開発や、自然について学ぶ機会を提供する「トヨタの森」、多様な人事採用など、さまざまな活動があります。
ファッション業界のユニクロでは、売れ残った衣類をリユースして、NGOやNPOを通じて被災地や難民キャンプに届ける活動を実施しています。
また、リユースが難しい衣類については、加工を施すことで防音材や燃料としてリサイクルするなどがサステナビリティの事例です。
電機メーカーのコニカミノルタでは、気候変動対応としてカーボンニュートラルを目指し、社会貢献として健康的で良質な生活の実現を掲げました。
他にも、コニカミノルタでは、働きがいの向上、企業の活性化、資源の有効利用などを重要課題としています。
サステナビリティ経営とは
サステナビリティ経営とは、サステナビリティの3つの柱である経済・社会・環境のすべてにおいて持続可能な状態を実現する経営のことです。
企業活動は経済・社会・環境に影響を与えるため、企業としてはサステナビリティを無視できなくなっています。
サステナビリティ経営の事例としては、廃棄物を削減することで環境への負荷を軽減したり、ジェンダーやLGBTを尊重した人材を活用することで、多様性のある社会の実現につなげているケースがあります。
このように、長期的な視点に立っておこなう企業経営がサステナビリティ経営です。
企業がサステナビリティに取り組む意味
企業がサステナビリティに取り組む意味として、サステナビリティを意識した経営をおこなうことで、社会問題や環境問題の解決に貢献できることが挙げられます。
サステナビリティ経営をアピールすることで、投資家などからの評価も向上させることができ、資金調達が容易になったり、顧客の獲得につなげることも可能です。
また、労働環境が改善されれば、優秀な人材を獲得しやすくなるというメリットもあるため、企業としてサステナビリティに取り組む意味があります。
まとめ
ここまで、サステナビリティについての概要や、3つの柱、SDGsとの違い、取り組み事例などについて解説しました。
サステナビリティは、自然環境や社会・経済などが、将来にわたって価値を失うことなく続くことを目指す考え方で、経済発展、社会開発、環境保護の3つの柱があり、これらをバランスよく実現することが重要です。
SDGsとの違いについては、理念は共通していますが、サステナビリティは概念であり、具体的な基準がないのに対し、SDGsには具体的な目標とターゲットが設定されています。
取り組み事例としてはさまざまなものがあり、実際にサステナビリティ経営をおこなっている企業も存在します。
サステナビリティは、個人や企業などの行動や意識にも関わるため、今後もさらに重要な考え方となっていくでしょう。