サステナブルフードとは?ロスをなくす持続可能な食品の例について

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この記事では、サステナブルフードとは?ロスをなくす持続可能な食品の例についてと題し、食品のサステナブルについて詳しく解説します。

近年、あらゆる場面で「サステナブル」や「サステナビリティ」などの言葉を耳にします。

なんとなく環境に関わる言葉、ということはわかっているものの、正しい意味をご存じでない方も多いのではないでしょうか?

今回は、サステナブルフードにどんな食品が含まれるのかということや、サステナブルフードが注目される理由などについて、詳しくご紹介します。

近年注目されるサステナブルフード

ここでは、近年注目されるサステナブルフードについて解説します。

サステナブル(Sustainable)は、「sustain(持続する)」と「able(〜できる)」という2つの単語から成り立っています。

「持続可能な」や「ずっと続けていける」という意味を持ち、世界共通の目標として、現在取り組んでいるのがサステナブルです。

すべての人にとって欠かすことのできない食品についても、サステナブルな取り組みがはじまっています。

サステナブルフードとは?

サステナブルフードとは、どんな食品のことを指すのかを具体的にご紹介します。

たとえば、最近よく話題になるコオロギを原料に使った昆虫食も、サステナブルフードの一つです。

無印良品では、コオロギせんべいの販売を2020年頃から始め、翌年にはコオロギチョコも発売しました。

現在では、スーパーなどでも他メーカーのコオロギを原料にした食品が多数販売されています。

サステナブルフードは持続可能を目標とし、自然環境や労働環境など、私たちの暮らしへと関わることに配慮した食品のことです。

さまざまな食品産業において、自然環境や社会にできるだけ負担をかけない取り組みがおこなわれています。

サステナビリティとは

サステナビリティとは、サステナブル(持続可能)な考えや取り組みを意味しています。

私たちが、これまで文化を発展させる一方で、自然や環境を破壊してきた事実は否めません。

今後もさらなる発展を続け、すべての人々が自然と共存しながら豊かに暮らすためには、企業努力や一人ひとりの努力が重要です。

これまでの環境悪化を改善し、目先の利益や成果だけにとらわれず、将来を見据えて考えるのがサステナビリティです。

現在、世界規模でおこなわれているサステナビリティの取り組みから、さまざまな商品やサービスが生まれています。

詳しいサステナビリティの取り組み事例や、SDGsとの違いについては、下記のリンクをご覧ください。

関連記事:サステナビリティとは?SDGsとの違いや意味・企業の取組事例を解説!

サステナブルフードが注目される5つの背景

ここでは、サステナブルフードが注目される5つの背景について解説します。

サステナブルフードは、自然や社会にできるだけ負担をかけないという考えを基本にした、食品に対する多角的な取り組みです。

サステナブルフードが注目される理由として、次の5つがあります。

・食品ロス(フードロス)

・人口増加と食糧危機

・食肉による環境破壊

・河川や海洋汚染

・地球温暖化

それぞれの項目の具体的な取り組みについて、ご紹介します。

食品ロス(フードロス)

食品ロス(フードロス)は、食品を廃棄することを指し、現在はこれを減らす取り組みが盛んです。

日本では食べられるのに捨てられてしまう食品を、食品ロスまたはフードロスと言い、さらにそこから二種類に分けられます。

外食産業なども含む流通段階で生じるものを「事業系食品ロス」、自宅などでの食べ残しを「家庭系食品ロス」と呼びます。

食品を廃棄することは単純に無駄にするだけでなく、労働力や環境への負担を強いられるため、改善することが課題です。

各自治体や企業がさまざまな取り組みをしていますが、私たちも消費者として食品ロスを理解し、減らす努力をすることが大切です。

参考記事:食品ロスポータルサイト(環境省)

人口増加と食糧危機

食品ロス問題がある一方で、叫ばれているのが人口増加と食糧危機です。

日本国内での人口は年々減少していますが、世界的な人口は増加傾向にあります。

特にアフリカを中心とする開発途上地域での人口増加は目覚ましく、それにともない懸念されているのが食糧危機です。

食糧とは、穀物や食肉など主食になる食べ物のことで、人口増加によって食糧の需要に対する供給が追いつかなくなることが懸念されています。

あらゆる食物を輸入に頼っている日本だけでなく、世界的に食糧自給率を上げることが最も重要です。

食肉による環境破壊

ここからは、食肉による環境破壊について解説します。

食肉は畜産業によって供給されますが、畜産業は多くの環境問題に直面しています。

具体的な問題として、飼育段階で生じる排せつ物による悪臭問題や、排出される温室効果ガス、水質汚染などが上げられます。

また、家畜は飼料として穀物や草などを消費しますが、食肉になるまでに与えられる飼料の量は膨大です。

以前は輸入に頼っていた飼料を、エコフィード(パン屑・規格外農産物など)を利用することで、自給率を上げる取り組みなどがなされています。

また、家畜排せつ物から生産されるバイオガスも注目されています。

参考記事:畜産物の国内生産を巡る状況(農林水産省)

河川や海洋汚染

産業だけでなく、食品ロスを含むすべての廃棄物は、河川や海洋汚染につながっています。

生産過程における改善や、食品ロスをはじめ廃棄物を削減することによって、水質汚染を防げます。

水質汚染の原因のひとつとして、プラスチック生産量と廃棄量があげられます。

プラスチック製品が増えるにつれプラスチックごみが増え、その多くは回収されても埋め立てられるか、海洋などに投棄されていました。

プラスチックは、食品トレーなどにも使用されるリユースやリサイクルが可能な資源ですが、ごみになると有害です。

近年はストローを紙製のものに代えたり、プラスチックを再利用するなどの取り組みが積極的におこなわれています。

参考記事:プラスチックを取り巻く国内外の状況(環境省)

地球温暖化

地球温暖化対策は世界レベルの問題として、さまざまな方法が講じられていますが、年々進んでいるのが現状です。

温室効果ガスの排出が原因ですが、今後も最重要課題として世界中が取り組んでいかなければなりません。

サステナブルフードに関わるところでは、食品ロスや食肉による環境破壊が地球温暖化につながっています。

企業レベルでの取り組みも大切ですが、家庭においても食品ロスやCO2排出を減らす努力が必要です。

参考記事:地球温暖化対策(環境省)

サステナブルフード商品にはどんなものがある?

サステナブルフードのイメージ

サステナブルフード商品には、食品ロスなどによる環境破壊の改善を期待できる商品が多く出ています。

私たちがすぐに取り入れられるサステナブルフードについて、具体的にご紹介します。

サステナブルフードとして代表的なのは、地球を傷つける農薬や殺虫剤などを使用せずに生産されたオーガニック(有機)食材です。

その他には、食肉に代わる代替品として使用する、大豆ミートなどがあります。

サステナブルフードを見分けるひとつとして、有機JASマーク・MSC認証などの認証マークがありますが、必ず認証マークが必要なわけではありません。

農作物などへの鳥獣害対策の一環として提供されているジビエや、規格外の野菜を食生活に取り入れることもサステナブルと言えます。

私たちが、サステナブルフードを日常的に取り入れることも、食品ロスや環境破壊の削減につながります。

参考記事:サステナブルで健康な食生活の提案(環境省)

サステナブルフードの市場規模は?

サステナブルフードの市場規模は、世界的な環境意識の高まりから、年々拡大しています。

富士経済グループのレポート「SDGs社会にむけて変革するサスティナブルフード市場の現状と将来予測」では、2021年の段階で国内サステナブルフードの市場規模は、1兆6,104億円と推計されました。

これは、サステナビリティを訴求している商品をサステナブルフード と定義し、市販用の食品を対象におこなわれた調査で、前年比13.7%増となりました。

内容としては、プラスチックフリーやラベルレスなどのエコパッケージ、エコレールマーク認証品やMSC認証品に加え、生産地・労働者サポートを訴求する家庭用の一般加工食品などが含まれます。

このサステナブルフードの市場は今後も成長が続くと予想され、2030年には2兆6,556億円に達すると見込まれています。

参考記事:SDGs社会にむけて変革するサスティナブルフード市場の現状と将来予測

サステナブルフードの例

ここからは、サステナブルフードの例をご紹介します。

サステナブルフードは、食品ロス・食肉による環境破壊・将来予測される食糧危機など、自然環境や社会問題に配慮した食品です。

サステナブルフードとして開発されているものもありますが、宗教的な問題やアレルギーなどでお肉を食べられない人に開発された代替肉もサステナブルフードです。

代表的な5つのサステナブルフードを詳しく解説します。

代替肉

代替肉(だいたいにく)は、従来の食肉の代用品として開発されました。

大きく分けて二種類あり、大豆などの植物性原料からつくられたものと、動物の細胞を培養して作る培養肉です。

一般的に多く出回っているのは、植物性原料の大豆ミートなどですが、食肉の代わりに代替肉を食べることで、畜産に伴う環境負荷を減らせます。

また、代替肉は、宗教上の理由から肉を食べられない人やヴィ―ガンの人の料理にも活用されています。

サステナブルシーフード

サステナブルシーフードは、水産資源と環境に配慮した漁業で獲られた水産物や、環境と社会へ配慮して養殖された水産物です。

海のエコラベルと呼ばれるMSC認証や、責任ある養殖により生まれた水産物の証であるasc認証のラベルが付いたものがサステナブルシーフードです。

私たち消費者が、サステナブルシーフードを積極的に選ぶことで、海の環境や資源を守ることにつながります。

認証コーヒー(フェアトレードコーヒー)

認証コーヒー(フェアトレードコーヒー)は、サステナブルな観点から非営利団体や第三者機関によって認証されたコーヒーです。

認証は、一定の査定方法にのっとって評価され、認証コーヒーは、環境配慮・自然保護・生産者支援を目的におこなわれます。

コーヒー農園で働く人たちに適正な対価を支払うことを目的とするのが、フェアトレードです。

また、熱帯雨林・野生動物・水資源などの環境保全を目的とするレインフォレスト・アライアンス認証もあります。

参考記事:フェアトレードとは?

オーガニック食品

オーガニック食品(有機食品)は、農薬や化学肥料にできるだけ頼らず、環境に負荷をかけないように栽培された有機農産物や有機畜産物です。

また、それらを原料に加工された有機加工食品もオーガニック食品です。

オーガニックと聞くと、健康志向の人が食べるイメージがありますが、積極的に取り入れることで、環境保全に役立ちます。

日本でオーガニック認証された食品を購入するときは、有機JASマークを目印に選んでください。

昆虫食

コオロギをはじめとする昆虫食は、食糧危機を救う食材として注目されています。

イナゴ・バッタ・ハチノコなども食用として取り入れられますが、特に養殖費用が安価な食用コオロギが話題です。

コオロギは出荷までの生育期間の短さと、たんぱく質・カルシウム・鉄分・ミネラルなどの栄養素を豊富に含むことから注目されています。

家畜などとくらべると環境に配慮した養殖ができるほか、コオロギのフンや抜け殻は農産物を育てるための堆肥として活用できます。

参考記事:コオロギが食用って…なぜ?

サステナブルフードには認証マークがある

サステナブルフードには認証マークがあるということで、どんな認証マークがあるのかを解説します。

私たちが日常的に使用する食品や商品にも、認証マークがついたものがたくさんあります。

認証マークは、環境保全や労働環境改善に配慮された商品という証です。

日頃、何気なく使用しているものを認証マーク付きの商品に切り替えるだけで、サステナブルに貢献できます。

食品以外にも認証マークはありますが、ここではサステナブルフードに対して付けられる認証マークをご紹介します。

サステナブルフードの認証マークは、水産物に対して認証されるMSC認証・asc認証や有機JAS認証などです。

これらは、水質汚染や環境汚染に配慮されて栽培や養殖された食品類の認証マークです。

そのほかにも、労働環境改善を推進するフェアトレード認証などがありますが、詳しくは下記の関連リンクでご紹介していますのでご覧ください。

関連記事:サステナビリティのマークとは?認証の種類や意味を知り取り組もう!

サステナブルフードのデメリット

サステナブルフードのデメリット

ここからは、サステナブルフードのデメリットをご紹介します。

サステナブルフードに取り組むことや生活に取り入れることは、自然環境や人々の暮らしを守るうえで、とても重要なことです。

一見するとメリットしかなさそうなサステナブルフードにも、いくつかのデメリットがあります。

どんなデメリットがあるのかを解説するので、参考にしてください。

コストがかかるため小売価格が高くなる

サステナブルフードの一番のデメリットは、コストがかかるため小売価格が高くなることです。

自然や水質環境に配慮して栽培または養殖をおこなう場合は、一般的な食品にくらべて時間や費用がかかります。

生産に手間や費用がかかる分、小売価格も高くなります。

サステナブルフードは環境保全に役立つだけでなく、健康のために積極的に取り入れたい食品です。

丁寧に生産されたオーガニックの農産物は、安全に食べられるうえ、栄養価も高い傾向があります。

しかし、一般的な食品にくらべると価格が高いのがデメリットです。

セブン&アイホールディングスやイオントップバリュでは、MSC・asc認証を受けたサステナブルシーフードの販売をおこなっています。

お近くのイトーヨーカドーやイオンにも並んでいると思いますので、チェックしてみてください。

安定しないため同じものを入手しにくい

サステナブルフードは、供給が安定していないため同じものを入手しにくいのもデメリットです。

サステナブルフードの生産数がまだ十分でないことが大きな要因ですが、認証も申請すればすぐに取れるものではありません。

MSCやascなどの各認証制度の審査基準はとても厳しく、一度認証されても5年ごとの更新が必須になります。

また、漁業の場合は実際に養殖する漁業者のほか、加工や流通・販売に関わるすべての事業者が、別途CoC認証の取得する必要があります。

CoC認証は、適切に管理・加工していることを認める認証です。

サステナブルフードの供給量の拡大には、生産者の数とともにCoC認証をうけた企業が増えることが必要です。

多くの商品が集まる「サステナブルフードEXPO」

多くの商品が集まる「サステナブルフードEXPO」の第1回目が、2022年秋に東京ビッグサイトで開催されました。

2022年秋におこなわれたイベントの正式名称は、「第1回サステナブルフードEXPO【秋】」でしたが、2023年8月にもリニューアルして開催される予定です。

リニューアル後のイベントの名称は、「ウェルネスフードジャパン2023」で、サステナブルフードは、サステナブルフードゾーンとして展開されるようです。

サステナブルフードゾーンには、有機食品や無添加食品をはじめ、ビーガン・ベジタリアンフードや代替食などを扱う多くの企業が出店する予定です。

企業ベースのイベントなので一般参加はできませんが、こうしたイベントが定期的に開かれることで、サステナブルフードのさらなる発展が期待されます。

参考記事:JETRO:第1回サステナブルフードEXPO【秋】

実はサステナブルフードである日本の「和食」

サステナブルフードは認証をうけた特別な物ばかりとは限りません。

実はサステナブルフードである日本の「和食」を食べることは、健康になるだけでなく、サステナブルにもつながります。

日本は島国という土地柄、新鮮な海産物をはじめ、山や農地で育まれる新鮮な農産物をいつでも手にできる状況です。

地産地消という言葉があるように、地元で収穫した食材を積極的に取り入れて、消費することもサステナブルな行動になります。

日本食の伝統的な一汁三菜は、主菜・副菜(二品)・汁物で構成される和食で、1食で五大栄養素が補えると言われます。

環境保全や健康を考えて、和食を日常的に取り入れるのもサステナブルのひとつの方法です。

地産地消

地産地消は、地域で育てた農林水産物をその地域で消費することです。

近年、地域の野菜は道の駅や直売所のほか、スーパーにも地産地消の専用売り場が設けられています。

消費者にとっては、収穫したばかりの新鮮な食品が手に入るうえ、生産者や収穫までの過程がわかるので、安心して購入できるのがメリットです。

輸送コストを減らせるため、一般的な食品よりも安く購入できます。

地産地消は生産者や消費者側のメリットだけでなく、食品の輸送量を減らすことで燃料も減らせるので、結果的に環境負荷の減少にも役立ちます。

旬の食べ物や素材を味わう

旬の食べ物や素材を味わうことで、環境負荷を減らせます。

日本国内では温室栽培や海外からの輸入によって、旬ではない食品も季節に関係なく手にできます。

しかし、温室栽培や食品の輸送には膨大な燃料が必要です。

近年は、燃料が高騰傾向にあり、その影響で食品価格の高騰も止まりません。

日々の食事に旬の食材を意識して取り入れることで、食費の負担が減らせるほか、栽培や輸送にかかる燃料も減らせます。

食品の調達を温室栽培や輸入に頼らないことが、環境保全にも役立ちます。

一汁三菜や発酵食で栄養を補える

サステナブルや健康面からの観点では、伝統的な一汁三菜や発酵食で栄養を補うのがおすすめです。

一汁三菜は和食の基本で、主食に主菜とふたつの副菜、そして味噌汁などの汁物を組み合わせた献立を指します。

三菜を一から手作りするのは大変ですが、主菜は手作りして副菜には漬物や納豆などを取り入れれば、簡単です。

味噌汁に使う味噌や納豆などの発酵食品は、微生物の作用により一緒に摂る食品の味や栄養素の働きを高めてくれます。

いきなり一汁三菜が難しい場合は、毎日の食事に具だくさんの味噌汁を取り入れる一汁一菜という考え方もあるので参考にしてください。

参考記事:一汁一菜でよいという提案

まとめ

この記事では、サステナブルフードについての解説や具体的な食品をご紹介しました。

サステナブルフードは環境や人に配慮した食品で、配慮の仕方や考え方によって多様な食品があります。

サステナブルフードとして認証マークを得た食品はまだ少ないのが現状ですが、地産地消や旬の食材を意識して取り入れることもサステナブルです。

すぐにできるサステナブルな行動として、サステナブルフードを試してみてはいかがでしょうか。