サステナビリティ資格11選!SDGsの資格取得のメリットや受験方法・難易度も解説!

持続可能な未来を築くためのSDGsやサステナビリティの考え方を学び、取り組むことは自身のキャリアにプラスになる可能性があります。
これから社会や環境に貢献できることはないかと考えている方のなかには、
「サステナビリティに関する資格にはどのようなものがあるのか?」
「資格を取得するメリットや難易度はどのくらいなのか?」
などの疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事ではサステナビリティやSDGsの資格を詳しく解説していくので、これからチャレンジする方はぜひ参考にしてみてください。
目次
サステナビリティに関する資格がある?
サステナビリティに関する資格は、難易度の高いものから、比較的始めやすい認定資格まで幅広いです。
SDGsは、目標達成のために世界中の多くの人々が努力していて、日本でも積極的な動きがあります。
近年ではSDGsに取り組んでいる民間企業や官公庁・自治体も多く、それにともない資格分野の発展も著しいです。
金融機関の全行職員、一般企業のSDGs担当者はもちろんのこと、高校生や大学生など、多くの世代の方が資格を得るため受験しています。
サステナビリティの国家資格はある?
サステナビリティの国家資格である2つをご紹介します。
- エネルギー管理士
エネルギー資源の少ない日本では、SDGs目標7「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」に大きく貢献できる資格です。
エネルギー管理士は、エネルギーを消費する設備の維持、エネルギー使用方法の改善および監視業務をおこなうことを目的としています。
一般財団法人省エネルギーセンター(経済産業大臣指定試験機関)がおこなう試験で、「エネルギー管理者」「エネルギー管理員」の職に就くには必須の国家資格です。
参考記事:エネルギー管理士|経済産業省
- 労働安全コンサルタント/ 労働衛生コンサルタント
どちらの資格も労働者をサポートするもので、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」に貢献します。
厚生労働大臣が認めた労働安全、労働衛生のスペシャリストとして、労働者の安全衛生水準を向上し、事業場の診断・指導をおこなう国家資格です。
このような国家資格を取得することで、特定の仕事に就くことができます。
サステナビリティの国際資格はある?
サステナビリティとSDGsに関連する国際資格や認定は、多くの機関や組織によって提供されています。
代表的なサステナビリティの国際資格をご紹介します。
- 国際環境管理協会(IEMA)資格
IEMAが提供する持続可能性や環境マネジメントに関する資格や認定プログラムです。
環境マネジメントや持続可能性戦略の専門家としての能力を証明するのに役立ちます。
国際資格は、持続可能性に焦点をあてた能力や知識を評価し、専門家やリーダーとしての能力を有していると証明することができます。
このほかにも、国際資格は複数あるため、職業や業界に応じて適した資格の選択が重要です。
サステナビリティの代表的な資格3選

サステナビリティやSDGsの目標を達成するためには、国や自治体はもちろん、企業や個人がそれぞれの立場から取り組んでいくことが不可欠です。
資格取得は、取り組みに役立つことはもちろん、キャリアにプラスになる可能性もあります。
そうした学びの証明として活かせるのが、以下のような関連資格です。
- サステナビリティ検定 サステナビリティ・オフィサー
- サステナブル経営/CSR検定
- FSA Credential
すぐに始められる社会課題解決のためのアクションのひとつとして、資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
サステナビリティ検定 サステナビリティ・オフィサー
サステナビリティ・オフィサー資格は、持続可能性に関する深い知識と理解を証明する試験です。
この資格は、国連が掲げる持続可能な開発目標を基盤とし、企業の経済活動、ガバナンス、ファイナンス手法における進化の促進を目的としています。
資格取得者は、企業とそのステークホルダー間の対話やコンサルティングで、サステナビリティに関する専門的な知識を活用する能力があることが認められます。
サステナビリティのリテラシー向上を図りたい金融機関の行職員、事業会社や投資家などにSDGsの取り組みの提案・支援をおこなう金融機関担当者、一般事業会社のサステナビリティ担当者などから人気の資格です。
受験資格や勉強方法は?
受験資格は特にないので、どなたでもチャレンジできます。
実施団体による、出題方式・出題テーマをカバーした問題集を反復学習するのがおすすめの勉強方法です。
詳細な解説欄も含めて学習すれば、問題集だけで合格できる内容となっています。
難易度や合格率は?
合格率は公開されていませんが、SDGs・ESGに加えて、サステナビリティ・ファイナンスに関する出題もあります。
そのため、「SDGs・ESGベーシック」よりも難易度は高いとされています。
参考記事:サステナビリティ検定 サステナビリティ・オフィサー
サステナブル経営/CSR検定
サステナビリティとSDGsを課題とした1級〜4級までの級別試験です。
各級では、下記課題への知識が求められます。
4級:SDGsの基礎(SDGsを初めて学ぶ社会人や学生などが対象)
3級:サステナビリティとSDGs(CSRについて学びたい社会人や学生などが対象)
2級:ESGとサステナビリティ経営(3級合格者やサステナビリティ経営、SDGsに関心がある社会人、研究者などが対象)
1級:サステナビリティ経営の真髄(2級合格者のうち、さらに高いレベルを目指す方が対象)
1級試験の実施は年1回で秋に1次試験、翌年2月に1級2次が実施され、2級・3級の試験は年2回、4級はオンラインで毎月実施されています。
受験資格や勉強方法は?
受験資格は、2級〜4級は特にありませんが、1級は企業のCSR担当者や関連業務の従事者などで、CSR検定2級試験合格者(学生は不可)です。
4級から2級までは、公式テキストがあるので熟読し、過去問題を繰り返し解くことが重要になります。
1級は上級レベルで、3級と2級の内容を習得していることが前提です。
特定のテキストはなく、「サステナビリティ経営についての基本軸」の理解が求められます。
自身の経験や研究に基づいて深く理解し、独自の視点で小論文にまとめることが評価の対象となります。
難易度や合格率は?
サステナブル経営検定の合格率は、3級が65%前後、2級が55%、1級の1次が50%程度、2次が70%程度です。
難易度としては普通〜やさしいレベルとなっています。
ただし、1級は2級合格者で実務者のみ受験できるため、合格率の数字より難易度は高くなるでしょう。
各級においては、理論だけでなく実践的な視点からの学習が重要であり、CSRやサステナビリティに関する最新の情報を常に押さえておくことが有効です。
FSA Credential
サステイナビリティの公認会計士のような資格ですが、財務・経営情報を体系的に理解したうえで、その財務・経営情報と企業価値がどのように関係しているのか、などのファイナンスについて理解していることを証明できるプロフェッショナル資格です。
ESGやサステナビリティに関する全世界的な関心の高まりが見られる近年、FSA Credential は、国際的に注目されています。
会計・財務・法務・投資家・サステナビリティ専門家などの幅広い職種の方の取得が推奨されています。
受験資格や勉強方法は?
FSA Credentialの試験はテキストや試験問題、申し込みなどはすべて英語です。
受験資格は特にありませんが、英語は必須となります。
ホームページから登録を進めると、サンプル問題を含めたテキストのダウンロードができるので、テキスト学習が可能です。
難易度や合格率は?
LEVEL1、LEVEL2ともに、合格率は70%程度です。
実際のテキストは約300ページあり、英語スキルも必要になります。
サステナビリティ会計に関する言語、知識・財務・経営情報がどのように企業のファイナンスを含めた戦略に影響するのか、企業にプラスに働くことを適切に伝えていけるスキルです。
その他のSDGsに関する資格8選
2015年国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された国際目標であるSDGsに関する資格もたくさんあります。
SDGsは持続可能な世界を実現させるための17のゴールと169のターゲットから構成され、「誰ひとり取り残さないこと」を掲げた世界共通の目標です。
目標達成の動きは近年急速に広がってきていますが、国家政府や自治体だけが達成を目指す
ものではありません。
私たち一人ひとりの取り組みが目標達成には不可欠です。
SDGsの目標に貢献するためのツールとしておすすめの資格8選をご紹介します。
SDGs検定
SDGsへの基本的な理解と、社会課題への取り組みに関する幅広い知識を得るための検定です。
SDGs検定をきっかけに、なぜSDGsへの取り組みが必要であるかを学び、「誰ひとり取り残さない世界の実現」を目的に開催されています。
受験資格は特になく、オンライン上で受けられる資格です。
参考記事:SDGs検定
SDGs@ ビジネス検定資格/ビジネス検定上級資格
SDGs@ビジネス検定資格は、これからのビジネスに必須のSDGs知識が学べる認定資格です。
学習システム上のテストで合格すると、一般社団法人SDGs活動支援センターより「デジタル合格証」が配布されます。
ビジネス検定上級資格は、より深くビジネス的な観点からSDGsを学べる検定です。
参考記事:SDGs@ビジネス検定上級講座
SDGsライフアドバイザー&エデュケーター
一般消費者へ「SDGsライフ」について伝えることを目標とした認定資格です。
受講後に提出物をメールで送信することで、一般社団法人日本防災共育協会が発行する「SDGsライフアドバイザー」認定書が送付されます。
エシカル消費、フードロスなど消費者側の課題を解決できる、生活に密着したSDGsライフを伝える人材が求められる時代に必要なスキルを学べます。
eco検定(環境社会検定試験)
環境意識が高まり、社会全体でエコ活動への取り組みが進んでいます。
「環境教育の入門編」として、幅広い業種・職種の方に向けて環境社会の知識を学んでもらうことを目的とした資格です。
ビジネスシーンにおけるキャリアアップはもちろん、生活者として健康で安全な暮らしを送るために、社会のさまざまな場面で役立ちます。
参考記事:eco検定(環境社会検定試験)
環境再生医資格認定
環境省「環境人材認定事業」の登録資格で、認定NPO法人「自然環境復元協会」が制定した資格制度です。
SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」の達成へとつながります。
「自然とつながり、自然と人をつなげる人材」の育成を目指した資格で、初級・中級・上級の3級制です。
参考記事:環境再生医資格認定(特定非営利活動法人 自然環境復元協会)
GRI認定サステナビリティ・プロフェッショナル
GRI認定サステナビリティ・プロフェッショナルは、GRIが認定するサステナビリティ報告の専門家資格です。
事前にGRIの3つの認定研修のすべてを修了する必要があり、試験は英語のみで、日本語での試験は実施されていません。
オンデマンド形式で実施されるため、インターネット接続があれば、いつでもどこでも受験可能です。
サステナビリティ報告の専門家としての知識、能力、コンピテンシーを広く示すことができる資格です。
参考記事:GRI認定研修|国際開発センター
英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー資格
英国の主要団体Chartered Management Institute(CMI)から資格が付与される、世界で認識されている資格です。
サステナビリティの幅広い内容が網羅されており、世界を見据えてサステナビリティの観点から何が企業にとって重要かを学ぶことができます。
英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー資格を取得することで、組織内外でのサステナビリティ計画・戦略・プログラムをより効果的に実施できるようになります。
参考記事:英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー資格講習説明
3R・低炭素社会検定
3R・低炭素社会に関して学ぶことで、生活や仕事の現場で活用できる知識や考えの取得を目的とした資格です。
環境問題における時代の常識を先取りでき、3R部門と低炭素社会部門の2つの分野から目的に合った検定を選択できます。
3R・低炭素社会検定は、SDGs目標7「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」と関連しています。
参考記事:3R・低炭素社会検定
サステナビリティ資格を取得するメリット

サステナビリティの資格をご紹介してきましたが、取得すると以下のようなメリットがあります。
- SDGsの知識が深まる
- 仕事での活躍や昇進につながる
- 就職・転職に有利になる
- 社外の人とのつながりが広がる
- パートナーシップによる事業の拡大
どの資格がよいかは個人の目的にもよりますが、SDGsの実践になるのでぜひチャレンジしてみてください。
SDGsの知識が深まる
環境破壊、資源の枯渇、人口爆発、貧富の格差、食料問題などのSDGsが掲げる課題は、地球規模で取り組むべき社会問題です。
現代社会では、このような社会課題解決は最重要であり、今後の世界情勢や動きを知るためにも、SDGsの知識を深めることは重要です。
SDGsに関連した資格を取得する過程で、社会課題の発見や解決策の考案など、大きな気付きとなります。
仕事での活躍や昇進につながる
企業経営でも、サステナビリティ、SDGsへの取り組みは重要な課題となりつつあります。
今後、SDGsに取り組む部署が会社の主要部署となっていく可能性もあり、より一層活躍の場が広がり仕事での活躍や昇進につながるチャンスがあります。
また、SDGsを知ることで、世界の流れがつかめるようになるでしょう。
そこから得られる大きなビジネスチャンスへの気付きは、大きな武器になるはずです。
就職・転職に有利になる
サステナビリティ、SDGsについて学ぶことで、下記のような「社会が企業に対して求める考え方」を知ることができます。
- IR(投資判断に必要な企業情報)
- CSR(企業の社会的責任)
- CSV(共有価値の創造)
- ESG(環境、社会、ガバナンス)
このような知識は、SDGsコンサル会社など今後需要が高まる企業への就職や転職に有利となる可能性があります。
また、SDGsへの取り組みをおこなっている企業自体が増加している現状では、業界を問わず就職・転職のアピール材料にできるでしょう。
採用試験でSDGsについて問われるものも出てきているので、学生のうちに理解を深めておくことをおすすめします。
社外の人とのつながりが広がる
SDGsに関する知識への需要は、近年急速に高まっており、多くの方が資格取得や知識の獲得などに取り組んでいます。
SDGsを学ぶために関連したセミナー・ワークショップなどへ参加することで、社外の人とのつながりが広がることにもなるでしょう。
受験資格にチームディスカッションやグループワークが含まれていることもあるので、単なる知識習得だけでなく、SDGs推進者としてどう動いていくべきかという実用的な話からも多く学ぶことができます。
パートナーシップによる事業の拡大
サステナビリティ、SDGsに詳しい人材のいる企業は、行政やNPO、教育機関、福祉事業など、これまで交わることがなかった組織ともパートナーシップによる事業の拡大ができる可能性があります。
持続可能な社会の実現は、SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」で示されています。
国・行政・企業・家庭などがパートナーシップを組んでSDGsが促進されることを重要視しているからです。
SDGsの取り組み事例として紹介されているものの多くは、行政と企業、企業とNPOなど、異業種がパートナーシップを組むことで展開されています。
サステナビリティとSDGsの違いは?
サステナビリティとSDGsは似たような意味で使われていますが、それぞれの意味を解説します。
- SDGs(Sustainable Development Goals)
2015年に開かれた国連サミットで、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている国際目標。
貧困・飢餓・健康・福祉など17のゴールが構成され、2030年までによりよい世界を目指す。
2001年に定められた、ミレニアム開発目標(MDGs)の後継。
- サステナビリティ
社会や環境、経済のバランスを整え、世の中全体を持続可能な状態にする考え方。
企業がサステナビリティに取り組むことを、コーポレート・サステナビリティという。
簡潔にいえば、SDGsはサステナブルな世界を目指すための世界共通目標、サステナビリティは世界全体を持続可能な状態にしていく考え方を意味しています。
詳しい内容は以下の記事でも詳しくご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:SDGsとサステナビリティの違いは?CSRとの使い分け方法について
まとめ
今回の記事では、サステナビリティの資格についてご紹介しました。
国家資格や国際資格、難易度も簡単な内容から高度な知識が必要な資格があります。
サステナビリティやSDGsの目標を達成することは、社会問題を解決するためにも今後ますます注目されるでしょう。
資格を取得することで、活躍の場が広がり、スキルアップのチャンスになる可能性もあるので、これから取得を目指す方はぜひ参考にしてください。
