聴覚障害者におすすめの仕事11選!難聴でもできるパートや役立つ資格もチェック!

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聴覚障害者が職業を選択する際には、働くうえでのハードルを理解しておくことが大切です。

これから就職を考えている障害者の方のなかには、

「聴覚障害者におすすめの仕事や、働くうえでのハードルはどのような点なのか?」

と、疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

そこで本記事では、聴覚障害者におすすめの仕事11選と難聴者でもできるパートや役立つ資格を解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

聴覚障害者が働くうえでハードルになることは?

就職や転職をお考えの聴覚障害者の方も多くいらっしゃると思います。

仕事探しをしていてもなかなか条件に合う職場を見つけられなかったり、入社後に仕事を続けられるのか不安に感じている方もいるかもしれません。

聴覚障害者が働くうえで、次の4つのハードルを理解しておくことが大切です。

  • 会話や音声での情報を確認しづらい
  • 多人数での会話は把握しづらい
  • 体調不良が起こりやすい
  • 対応の難しい業務がある

内容を理解して、状況に合わせた対応ができるように準備しておくことで、働くうえでのハードルを下げることができます。

希望の仕事に就いて、長く続けるためにも、事前に職場のサポートや環境を確認しておきましょう。

ここからは、それぞれの内容を詳しく解説していきます。

会話や音声での情報を確認しづらい

聴覚障害のある方は、聞こえの程度は異なりますが、聞き取りが難しいため、会話や音声での情報を確認しづらいなどの問題点があります。

職場では、上司からの指示や会議などでわからないことを質問しにくいと感じている聴覚障害者も多くいます。

そのため、質問をしやすい職場づくりも大切で、正しく理解できたかどうかの確認を習慣づけることも必要です。

特に、口話の場合は単語の聞き分けが難しいため、理解しようとするだけで気力を消耗して疲れやすくなります。

必要に応じてコミュニケーションツールを使用したり、メールやチャットで質問や確認ができる環境にすることで、このような負担を軽減させることができます。

多人数での会話は把握しづらい

聴覚障害者は1対1であればやり取りができることもありますが、多人数での会話は把握しづらい傾向にあります。

人数が増えると、必要な声だけを聞き取ることが難しいため、誰が話しているのかわからず会話についていけないといった場面も多いです。

雑談であれば聞き取れなくても大きな問題にはなりませんが、会議などの大切なビジネスシーンでは、会話が聞き取れないと支障をきたす可能性もあります。

多人数で会話する必要がある場合は、できるだけ1対1の会話になるように配慮したり、音声を文字化するなどのサポートが必要です。

複数人の会話をリアルタイムで文字化できるツールは、以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:【無料】文字起こしアプリおすすめ16選!選び方や活用シーンも徹底解説!

体調不良が起こりやすい

聴覚障害者のなかでも、内耳に障害がある場合は、めまいや吐き気などの体調不良を起こすことがあります。

内耳は平衡感覚をつかさどる器官なので、体調不良が起きやすく、気圧の変化にも弱いとされています。

このほかにも、季節の変わり目や天気の変化で、体調がすぐれない日があることをあらかじめ会社に伝えておくと、周囲の人からも理解されやすくなるでしょう。

体調不良の兆候がある場合は、なるべく早めに休息したり、日頃から体調を整えることも大切です。

対応の難しい業務がある

聴覚障害者にとって対応の難しい業務があるので、仕事を選ぶ際には注意が必要です。

人との会話がメインとなる業務は、話を聞いて適切な対応をすることが重要なので、コミュニケーションで苦労するケースも多いでしょう。

具体的には、電話オペレーター、サービス業における接客業務などがあげられます。

また、外勤営業や現場業務など、外にいることがメインとなる業務は、危険が迫っていても気付けないことがあるため細心の注意が必要です。

障害の程度によっては補聴器を使用すれば困りごとを減らせる場合がありますし、できないことの範囲も、それぞれの聞こえの程度や状況次第で異なります。

聴覚障害者が難しいと感じる業務や支援サービスなどは、以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:聴覚障害者が電話ができない悩みを解決する方法は?支援サービスや電話に変わるツールも紹介!

パートもOK!聴覚障害者におすすめの仕事11選

聴覚障害者におすすめの仕事をイメージした画像

ここからは、パートからでも始められる聴覚障害者におすすめの仕事11選を解説していきます。

聴覚障害者が仕事をするうえで特に多くの人が得意分野としているのは、ひとりで進められる作業やデスクワークなど集中力が求められる職種です。

集中力を活かして業務を正確にこなせる点は長所となるので、その強みを活かせる業務内容であれば、多くの職場で活躍できるでしょう。

聴覚障害のある方に向いている仕事や職種、業務内容などを詳しくご紹介します。

データ入力

決められた数値をパソコンなどで入力していくデータ入力作業は、タイピングのスピードや正確さ、集中力を活かせるので聴覚障害者の方に向いている仕事のひとつです。

主な仕事としては、企業の売上データなどの入力、顧客や社員情報の入力、画像データなどの文章をテキスト入力するなどがあります。

データ入力業務では、パソコンの基本操作に加えて、エクセルやワードが問題なく操作できると業務がスムーズです。

メールやチャットなどで報告するケースもあるので、事前に必要なツールを使用できるようになることで、入社後もスムーズに業務にあたれるでしょう。

備品・伝票管理などのオフィス事務

オフィス事務というと接客応対や電話対応などが求められるイメージがありますが、現在はパソコンの使用が中心となる業務も多いため、聴覚障害のある方にも活躍の場が用意されています。

備品・伝票管理などのオフィス事務や軽作業系の業務は、話を聞いて仕事をするよりも、目で見て判断する作業が多いため、聴覚障害者の方にも向いています。

入力作業やファイリング作業は、集中力や根気が大切なので、集中力が高い方には特におすすめです。

財務・経理

聴覚障害者におすすめの仕事として、財務・経理の仕事もあげられます。

しかし、財務や経理の仕事は、主に会社のお金を使う業務なので、ある程度の専門的な知識が必要です。

ファイナンシャルプランナーや簿記などの資格を持っていると優遇されることもあります。

データ入力や在庫管理などの事務業務からスタートして、働きながら財務・経理の業務にスキルアップも可能です。

ライター・校正者

ライターは、パソコンの使用がメインとなるため、聴覚に頼らず業務を進めやすいでしょう。

依頼された企画に合わせて文章を書いたり、自ら企画を提案して書く場合もあるので、ライティングだけではなく取材や資料の収集から作業をする場合もあります。

校正者の仕事は原稿との相違を確認したり、誤字脱字の訂正をする仕事なので、聴覚障害者でも問題なくできる仕事です。

文章を書くことが好きで好奇心が旺盛、言葉を知っている、文章を素早く読みこなして誤字脱字、文字のサイズや字体、字間・行間の間違いに気付く能力が求められます。

デザイナー

デザイナーは、製品やWebサイト、雑誌、ポスター、服飾などさまざまモノのデザインをする職業のことです。

デザインする対象によってグラフィックデザイナー、Webデザイナー、ファッションデザイナーなどの種類に分かれていて、それぞれ必要な知識やスキルが異なります。

障害の有無に関わらず、未経験からデザイナーになるには、デザインの基礎を学ぶ必要があります。

書籍や動画サイトなどを利用して独学で学ぶ方法もありますが、しっかり学ぶには、デザイン系の大学や専門学校、オンラインスクールに通うのが一般的です。

プログラマー・エンジニア

年々拡大しているIT分野は、プログラマーやエンジニアなどが人手不足なので未経験からでもチャレンジしやすいでしょう。

新しいシステムやアプリは日々誕生していて、IT技術は進化をするスピードがとてつもなく速いです。

そのため、プログラマーやエンジニアなどの技術者は、常に新しい技術や知識を身につけ、変化に適応していく必要があります。

プログラミングスキルは、本やWebサイトなど独学で身につけることが可能ですが、内容が複雑で難しいことから挫折する人が多い傾向です。

プログラミングを学習する際は独学ではなく、プログラミングスクールやIT特化型の就労移行支援などに通うことをおすすめします。

翻訳者

翻訳者の仕事は大きく、文芸翻訳・実務翻訳・映像翻訳の3つに分けられます。

どの翻訳でも、英語やドイツ語、フランス語、そして中国語などが多い一方、タイ語などアジア圏の言語の翻訳者としても聴覚障害者が活躍しています。

翻訳者は外国語の理解力に加えて、読み手に意図を正確に伝えられる表現力が求められます。

そのためには、その言語が使用されている文化への深い理解や、新たな表現を吸収してスキルを磨き続ける努力が必要です。


カスタマーサポート

カスタマーサポートはチャットでの応対も増えてきたので、以前に比べると聴覚障害者でも取り組みやすい仕事といえるでしょう。

最近では、携帯ショップの窓口に耳の聞こえない方向けのコーナーを設置している店舗もあります。

手話や筆談ができる聴覚障害者も活躍できる職場で、お客様の契約などをサポートをします。

カスタマーサポートは、自身の経験やスキルを発揮できる仕事のひとつです。

検査技師

医療現場の仕事は口頭での伝達事項も多く、聴覚障害者にとって困難な場面が多いかもしれません。

それでも医療・健康業界で活躍したい方は、口頭でのコミュニケーションが少ない検査技師などの、検査をおこなう業種がおすすめです。

検査技師は、病院やクリニック、検査センター、保健所などさまざまな職場で活躍できます。

業務内容は就職先ごとに異なるため、求められるスキルも検査関連から、治験・研究・開発までさまざまです。

マッサージ師

マッサージ師やセラピストなど、観察が必要な分野では聴覚障害者の方が非常に優れた観察眼を発揮できます。

国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」は、あん摩・マッサージ・指圧の3つの手法を駆使して、患者さんの身体の不調を和らげる仕事です。

近年ではリラクゼーションを求める風潮が強まったこともあって、プロのマッサージ師に対する需要は拡大しています。

医療マッサージ、スポーツマッサージなどさまざまな業種があり、将来性のあるスキルのひとつです。

福祉系の職種

同じように聴覚障害をもった方に、病院内を案内したり、医療用具の使い方を説明するなど、医療福祉系の仕事で働く聴覚障害者の方もいます。

また、児童福祉に関わる仕事は、言語よりも身体的なコミュニケーションが必要とされるため、聴覚障害者の方もチャレンジできる分野です。

このほかにも、福祉系の職種には、高齢者の生活を支える仕事、相談支援や自立をサポートする仕事などもあります。

活躍できる範囲も多く、自身の経験やスキルを活かせるでしょう。

聴覚障害者の就職にはどんな資格が役立つ?

聴覚障害者が就職する際には、資格があると優遇される場合が多くあります。

障害者雇用は全国的に広まりつつありますが、受け入れる企業によっては、障害者への理解が十分ではないことがあるかもしれません。

そのため、入社試験で自身の能力が正確に伝わりづらいこともありますが、資格を持っていることで、説得力が強まり、アピール材料になるでしょう。

事務系の仕事を希望するのであれば「MOS」や「日商簿記」、福祉の仕事ならば「社会福祉士」や「介護福祉士」などの資格が有利になります。

資格取得をし、専門的な仕事に就いて活躍している聴覚障害者も多くいます。

就職や転職に役立つ資格は以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:障害者の方の資格取得でおすすめは?就職や転職に役立つ資格や支援サポート制度もご紹介!

難聴者は障害者手帳がなくても就職できる?

障害者手帳がなくても就職できるのかをイメージした画像

聴覚障害者が就職をする際には障害者雇用枠に応募することが一般的ですが、難聴者の場合は障害者手帳がなくても一般雇用枠で企業に就職できます。

障害者雇用は、企業が障害者雇用率制度の条件を満たすために設けているもので、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳のいずれかを持っている人が応募できます。

障害者雇用枠は一般枠より採用されやすく、定着率も高い傾向です。

周囲からのサポートを受けやすいため、入社後に職場でうまくやれるか不安を感じている人にとっては、安心して働ける形でしょう。

ですが、障害者雇用枠に応募するには、障害者手帳を持っていることが条件なので、持っていない方は一般枠への応募に限られます。

参考記事:厚生労働省「障害者雇用のルール」

障害があることを周囲に知られたくない方も、一般枠で企業に就職できますが、入社条件や入社後のサポートが行き届いていないこともあるかもしれません。

聴覚障害者の就職については以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:聴覚障害者 手帳 メリット

片耳難聴でもできない仕事がある?

片耳だけが聞こえない、聞こえづらいという片耳難聴者の方は、仕事や日常生活で困難に感じる方が多いです。

安全な業務遂行に必要な要件として、鉄道の運転士、パイロットや客室乗務員、自衛官、警察官などの仕事には聴覚の条件もあります。

片耳難聴ではできない仕事や向いていない仕事もありますが、多くの場合は少しの工夫や周りの配慮やサポートである程度は解消できるでしょう。

具体的には、聞こえない側から話しかけられると気付かないことが多いので、聞こえる側から話してもらえるように事前に共有しておく、インカムは聞こえる側に合わせたものを用意する、などです。

片耳は正常に聞こえ、いつも聞き取りに困るわけではないという特徴があるので、身体障害者福祉法の定めた「身体障害者」の基準に該当しないため、公的支援を受けられないこともあります。

片耳難聴は、目に見えない障害であるために、困っていることが理解されにくい障害のひとつです。

就職する際には、聞こえの状況や配慮してほしい内容を伝えておくことでスムーズに仕事ができるでしょう。

聴覚障害者が仕事でストレスを感じやすいことは?

聴覚障害者が仕事でストレスを感じやすいことの多くは、コミュニケーションに関わることです。

まずは、会議や複数人での会話についていけないという点です。

聴覚障害者は複数人が同時に発言すると音声情報を理解するのが難しく、誰に注力すべきか判断できないことがあるため、会話や会議についていけなくなりストレスを感じてしまいます。

このほかにも、話の速さについていけない、自分の言いたいことがうまく伝わらないなどもあるでしょう。

手話や口話、筆談などいろいろなコミュニケーション方法を選択できる職場環境であれば、ストレスも減らせるかもしれません。

聴覚障害者が抱える仕事のストレスなど、詳細は以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:聴覚障害者が抱える仕事のストレスや悩みは?離職理由や対策も解説!

聴覚障害者が働きやすい企業を探す際の注意点

聴覚障害のある方の就職や転職では、なかなか職場が見つからず苦労している方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、障害者雇用の推進がより一般化している現在においては、以前と比べて有利に就職活動を進められる条件が整ってきていることも考えられます。

聴覚障害者が働きやすい企業を探す際の注意点は次の2点です。

  • 自分の障害とスキルについて理解する
  • 職場の障害配慮に関する対応について確認する

ここからは、それぞれの内容を詳しく解説していきます。

自分の障害とスキルについて理解する

まず、自分の障害の程度やスキルをあらためて確認しておきましょう。

そのうえで、どのような仕事なら安定して長く働くことができるかを考えます。

「障害の影響で会話が苦手だが、パソコンスキルはある」など、ご自身が持っているスキルや仕事に活かせるスキルを再認識し、適職を考えてみてください。

ご自身だけで就職活動を進めるのは難しいことも少なくありません。

障害のある方の就職・就労支援をおこなっている機関を利用することをおすすめします。

障害者就業・生活支援センター、ハローワーク、障害者向け就職・転職エージェントに登録すれば、就職先の選定、選考のアドバイスなどが受けられるようになります。

自分の障害とスキルを理解したうえで、仕事探しではこのような機関を利用してみてください。

職場の合理的配慮に関する対応について確認する

就職活動のゴールは就業することだけでなく、入社後に長く安定して勤めることがひとつの目標です。

入社後、長く定着するためにも、職場の障害に対しての合理的配慮に関する対応について事前に確認しておきましょう。

それぞれの職場の聴覚障害への理解を進めるには、情報保障への対応状況を整えおくこともおすすめです。

情報保障とは、障害などで必要な情報を得られない人に対し、本来得られるべき情報の代替手段での提供が保証されていることを指します。

この情報保障に対応している企業であれば、聴覚障害への理解が期待できるでしょう。

聴覚障害者の方が職場探しをする際は、まずは情報保障への対応状況を確認してみることをおすすめします。

日々のコミュニケーションで重要になる支援機器の活用も重要です。

例えば音声認識ソフト、文字起こしツール、筆談ボード・電子メモパッドなどの利用が可能かどうかを確認します。

さらに、来訪を知らせる聴覚障害者用の光るチャイムや、災害などの危険を知らせるアラームランプなどが設置されているとより安心です。

入社前には、このような職場の合理的配慮に関する対応を事前に確認しておきましょう。

まとめ

今回の記事では、聴覚障害者におすすめの仕事11選をご紹介しました。

聴覚障害者は、日常生活や職場で会話やコミュニケーションが難しい場面がありますが、得意なことを活かしてできる仕事は多くあります。

専門スキルや資格があることで、よりよい採用条件で働くこともできるので、事前に資格を取得しておくことも大切です。

働きやすい企業を探す際のポイントも解説しているので、これから就職活動をする方はぜひ参考にしてみてください。