中途失聴者のコミュニケーション方法を解説!抱えやすい悩みに寄り添えるツールを活用しよう

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中途失聴者とコミュニケーションしているイメージの画像

さまざまな種類がある聴覚障がいですが、割合としては、生まれつき耳が聞こえない人が2割で、中途失聴者または難聴者が占める割合が8割程度といわれています。

生まれつき耳が聞こえなかった場合は、コミュニケーションをとる方法として手話を習得するのが一般的です。

では、後天的に聴力を失った中途失聴者は、どのような方法でコミュニケーションをとっているのでしょうか。

この記事では、中途失聴者のコミュニケーション方法や抱えやすい悩みなどをご紹介するとともに、中途失聴者に寄り添えるコミュニケーションツールをご紹介します。

\聴覚障がい者向け音声認識ツール/

中途失聴者のコミュニケーション方法は?

中途失聴者のコミュニケーション方法には、口話・筆談・手話・要約筆記などの方法があります。

ひとつの方法だけを使うのではなく、複数の方法を組み合わせて活用する人が多いようです。

中途失聴とは病気やケガなどが原因で、後天的に両耳の聴力を失った状態です。

先天的に障害があった「ろう者」と異なり、音声言語を使っていた経験があるため、音は聞き取れないけれど音声言語は話せるという人も少なくありません。

ここでは、中途失聴者が使うコミュニケーションの口話・筆談・手話・要約筆記について詳しくご紹介します。

口話

相手の口の動きと、前後の話の流れから言葉を予測して読み取る方法が口話です。

中途失聴者のなかで、両耳の聴力レベルがそれぞれ100デシベル以上のもの(両耳

全ろう)は、障害等級2級に認定されます。

障害等級2級の聴覚障がい者の多くは、コミュニケーション方法として手話と口話を使うという結果があります。

自分から発する側の方法として、手話が60.6%であるのに対し、口話は2.4%でした。

また、相手から受け取る側のコミュニケーション方法として使いたいのは、手話が56.5%で口話が2.8%という結果が出ています。

以上の結果から、中途失聴者のコミュニケーション方法の多くは、手話の補助として口話を利用したい人が多いようです。

参考記事:(厚生労働省)聴覚障害者情報提供施設における支援の在り方等に関する調査・研究事業

筆談

筆談は、お互いに文字でコミュニケーションをとる方法です。

前出の参考記事としてあげた資料によると、聴覚障がい者のコミュニケーション方法として、手話の次に多いのが筆談という結果が出ています。

調査対象になっている聴覚障がい者のうち、中途失聴者にあたる障害等級2級以上の聴覚障がい者は80%以上含まれています。

お互いに手話が使える環境であれば手話を使い、手話が使えない場合は筆談を使う場合が多いという結果です。

関連記事:聴覚障害者との筆談で大切なことは?筆談の方法やメリット・デメリットも解説!

手話

中途失聴者は自分が音声言語を話せても、音声言語を聞き取ることはできません。

聴覚を失ってから、音声言語に代わる第一言語として手話を習得する人もいます。

日本で使われている手話は、大きく分けて「日本語対応手話」と「日本手話(ろう的手話)」の2種類があります。

日本語対応手話が日本語の一語ずつ語順に沿って使うのに対し、日本手話は必ずしも語順に沿って使うわけではありません。

ほとんどのろう者は日本手話を使います。

日本手話は顔の表情で疑問形を表すなど、日本手話独自の文法にあわせた視覚言語本来の表現力をともなうのが特徴です。

要約筆記

要約筆記(ノートテイク)は、音声言語をリアルタイムで文字化することです。

要約筆記する人のことを要約筆記奉仕員(ノートテイカー)と呼び、聞いた内容すべてを文字化するのではなく、聴覚障がい者に内容が効率よく伝わるように要約します。

要約筆記奉仕員の能力によって、伝えられる内容に誤差が生じてしまうのが難点です。

地方自治体などでは、要約筆記奉仕員の派遣や遠隔要約筆記の支援をおこなっていますが、地域によって支援状況にはバラつきがあります。

参考記事:(厚生労働省)意思疎通支援事業の実施体制整備状況(令和3年度)

中途失聴者が困ること

中途失聴者が困っているイメージの画像

中途失聴者は音声言語を使っていた経験があるため、口話ができるメリットがありますが、逆にそれが要因となって困ることもあるようです。

まずあげられるのは、ほかの聴覚障がい者と同じように音声による情報が入りづらいことです。

また、中途失聴者は口話ができることから耳が聞こえていると勘違いされたり、手話ができると思われることもあります。

ここでは聴覚障がい者共通の困りごとから、中途失聴者ならではの困りごとについて、詳しくご紹介します。

緊急時など大切な情報が伝わってこない

災害や緊急時などの大切な情報は、音声アラートで知らせるのが主流ですが、聴覚障がい者には、音声情報は伝わってきません。

危険が近づいているのに、その情報を得られないことはとても怖いことです。

自宅などの屋内では、全国瞬時警報システム(Jアラート)と連携している聴覚障がい者向け防災システムを取り入れることによって、大切な情報を得ることができます。

また、外出先で大切な情報をキャッチできるようにスマートフォンのアプリなどを活用することも有効です。

社内に聴覚障がい者がいて音声による緊急情報が入ったときは、積極的に声をかけ、ジェスチャーや筆談などの方法で状況を知らせる配慮を心がけましょう。

見た目からは聞こえないことがわかりにくい

中途失聴者の多くは音声言語を習得後に聴覚を失っているため、相手の口の動きから会話を読み取れる人もいます。

また、口話によって相手の言葉を読み取るだけでなく、発音に支障なく発話できて、補聴器も使わないため、見た目からは聞こえないことがわかりにくいのが特徴です。

発音にも問題なく音声言語を話せると、耳も聞こえていると思われることが少なくありません。

しかし、実際には音声は聞こえていないため、複数人での会話や早口で話されるのは、とても苦手です。

中途視聴者とのコミュニケーションでは、1対1で顔を向かい合わせて会話するなどの配慮が必須で、そういった配慮をおこなえば会話が成立しやすくなります。

普通に会話ができると勘違いされる

中途失聴者は音声言語を使用していた経験があるため、相手にゆっくりと話してもらえれば、口話を使って相手が話してる内容を理解できます。

また、自分で発話することもできるので、周囲からは聴覚障がい者だと気付かれず、普通に会話ができると勘違いされる傾向があります。

しかし、中途失聴者は音が聞こえているわけではありません。

口話では母音が同じ言葉を読み取ることが困難なため、話の流れから相手の言葉を読み取ることもあります。

口話は、周りが想像するよりも集中力を使います。

口話を使う聴覚障がい者と会話するときは、明るい場所で、相手から口元の動きが見えやすい方向に移動したり、ゆっくりとはっきりした口調で話すなどの配慮が必要です。

手話がコミュニケーション手段だと思われる

コミュニケーション方法のひとつに手話がありますが、すべての聴覚障がい者が手話を使うと思っている人は少なくありません。

中途失聴者の困りごとに、「手話がコミュニケーション手段だと思われてしまうこと」が挙げられます。

障がいの有無に関わらず日常的に手話を使う人は限られます。

音声言語で会話していた経験を持つ中途失聴者は、口話でコミュニケーションがとれるからです。

聴覚障がい者全体のなかで手話を使う人は約14.1%です。

中途失聴者の障害等級は2級になりますが、2級の手話習得率は約36.3%で4割を満たしていません。

手話を使う割合が少ないのは、聴覚障がいは後天的な要因から起こることのほうが多く、言語障害をともなっている場合が少ないからです。

関連記事:聴覚障害者は手話ができない?日本での普及率や私たちが気をつけるべきポイントもご紹介!

仕事をするのが困難になってしまう

中途失聴は病気や事故などのなんらかの要因によって、耳が聞こえなくなってしまう障害です。

今まであった聴力を失うことで、ほとんどの人が仕事をするのが困難になります。

特に接客業や営業職など、人とのコミュニケーションが必要な仕事に就いていた人は、転職を余儀なくされます。

障がいの有無に関わらず、まったく違うジャンルの仕事に転職するのはとても大変なことです。

しかし、近年は働き方も多様化しているため、工夫次第では以前の仕事を継続できる場合も多々あります。

令和4年の障害者雇用状況によると、民間企業の障害者雇用率は上昇傾向にありますが、法定雇用率2.3%までは達していない状況です。

参考記事:(厚生労働省)令和4年 障害者雇用状況の集計結果

社内会議やオンライン会議にも活用できる、聴覚障がい者向け支援ツールなどの導入により、さらに聴覚障がい者が働きやすい環境が整備されるのが理想です。

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中途失聴者が抱えやすい悩みは?

中途失聴者が抱えやすい悩みをイメージした画像

聴覚障がい者は、職場などで直面する問題として、人よりも情報が遅れて伝わる点や、自分が意見を言うタイミングがうまくつかめないことに悩むことが多いようです。

中途失聴者に限ったことではありませんが、それまで普通にできていたことが、急にできなくなってしまうことは想像するよりも大変です。

中途失聴者が抱えやすい悩みは数々ありますが、主な悩みを具体的にご紹介します。

自分でも対処の仕方がわからない

長い間、耳が聞こえる生活を送っていた人が、突然聴覚を失うのは想像以上に怖いことです。

中途失聴者の場合、音が聞こえない状況に慣れるまではどうしたらいいのか具体的な対処方法がわかりません。

特に人とのコミュニケーションの場合は、口話などで一生懸命相手の話を聞きますが、実際に聞こえているわけではないため、間違った解釈をしてしまうことがあります。

何度も繰り返し確認することで解決できる問題ではありますが、忙しい職場などでは重ねて質問しづらい場合もあります。

聴覚障がい者への理解が浅く、コミュニケーション方法への配慮も少ない職場では、聴覚障がい者が孤立しがちです。

コミュニケーションのとり方がわからずストレスを感じる

中途失聴者の場合は、発音に不自由なく言葉を話せる人も多いため、普通に会話ができると勘違いされてしまう傾向があります。

聞こえると思って相手に早口で話されてしまうなど、コミュニケーションのとり方がわからずにストレスを感じることが多くあります。

相手の話す言葉が理解できなかったり、コミュニケーションをうまくとれないことが続くと、コミュニケーションをとること自体に消極的になりがちです。

コミュニケーションがうまくとれないと、障がい者本人ばかりか一緒に働く周囲の社員のストレスにもなり兼ねません。

コミュニケーションを円滑におこなうために、手話通訳者や要約筆記奉仕員を依頼するのも企業側の支援のひとつです。

正確な情報を得ることができない

中途失聴者の多くは口話を使いますが、口話だけでは、言葉を間違って読み取ってしまう可能性が高くなります。

音声による情報が得られないため、口話だけで正確な情報を得ることは困難です。

例えば、「ねんない」と「けんない」のように、文字数が一緒で母音の組み合わせが同じ言葉は、前後の話の流れから言葉を予測して会話を理解します。

そのため、間違った解釈をしてしまうこともあります。

日常会話では差し支えがないかもしれませんが、正確な情報が必要な場面では不便です。

正確な情報のやりとりが必要な場合は、必要事項のメモをとったり筆談にするのがおすすめです。

リアルタイムでの意思疎通ができない

中途失聴者を含む聴覚障がい者は質問や意見があったとしても、発言するタイミングを逃してしまうため、リアルタイムでの意思疎通ができません。

音声言語を訳してくれる手話通訳者や要約筆記奉仕員がいても、理解するには健聴者よりも時間がかかってしまいます。

複数人で会話する場合は、意見を言おうと思ったときには、すでに次の話題にうつっているケースもあるでしょう。

そのため、中途失聴者を含む聴覚障がい者は、自分が発言することをあきらめてしまいがちです。

一緒に働く仲間として、すべての社員が聴覚障がいへの理解を深め、ていねいなコミュニケーションを心がけるなど、中途失聴者に必要な配慮や職場環境を整えることが重要です。

中途失聴者ともコミュニケーションがとれるツール

中途失聴者も参加する職場での会議などには、コミュニケーションがとれるツール「Pekoe(ペコ)」の利用がおすすめです。

PekoeはWindows対応の音声認識ソフトで、複数人が話す会話をリアルタイムで文字変換してくれます。

言葉が誤って変換されても、気付いた人がその場で修正できることにより、間違った情報が伝わるのを防げます。

また、チャット機能が備わっていて、聴覚障がい者もその場で意見を発信したり質問したりできるため、リアルタイムでの意思疎通も可能です。

会話の内容はすべて記録されるため、あとから内容を確認できるのも便利です。

Pekoeは公式サイトからアプリをダウンロード後、アカウント登録をするだけで簡単に使えるので、まずはチームトライアルから無料で試してみてください。

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まとめ

この記事では、中途失聴者のコミュニケーション方法や、中途失聴者ならではの悩みをご紹介してきました。

中途失聴者は、見た目には普通に会話できるため、耳が聞こえていると勘違いされてしまうことが、さまざまな悩みに直結しています。

周囲は「伝わっているだろう」と決めつけず、確実に情報を伝えあえる工夫が必要です。

中途失聴者がいる職場では、社員一人ひとりが聴覚障がいの特性を理解し、円滑にコミュニケーションがとれる環境づくりを心がけましょう。