多文化共生の身近な例は?地域自治体や学校での取り組みや問題点も紹介!

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多文化共生をイメージした画像

近年ではグローバル化が進み、人の動きが活性化されたことで、日本全国で外国人の人口が急速に増加しています。

多文化共生は今後の社会で不可欠になる取り組みですが、これから多くの文化を理解したいとお考えの方のなかには、

「多文化共生の取り組みや身近な例にはどのようなものがあるのか?」

などの疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

そこで本記事では、多文化共生の身近な例をわかりやすく解説します。

地域自治体や学校での取り組みや問題点、多文化共生が進んでいる国の取り組みもご紹介していくので、ぜひ参考にしてください。

多文化共生とはどのような内容?

多文化共生とは「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員としてともに生きていくこと」をいいます。

日本人でも外国人でも、地域の一員としてともに認め合い、互いに力を合わせながら、社会を発展させていこうという考え方です。

外国人を観光客や一時的な滞在者としてだけではなく、 生活者、地域住民として認識する視点が、以前にも増して地域社会には求められています。

地域に暮らす人々が地域の一員としてともに認め合い、言葉の壁、心の壁を取り除き、安心して暮らすことができる多文化共生のまちづくりが必要です。

多文化共生の詳しい内容は、以下の記事でも解説しているので参考にしてみてください。

関連記事:多文化共生とは?推進する理由や自分にできることもわかりやすく解説!

多文化共生の取り組みとは?

日本では海外からの移住者や留学生、観光客に対して多文化共生を実現させるために、さまざまな取り組みがなされています。

例えば、通訳や外国人向け多言語相談窓口などの「コミュニケーション支援」や、日本語指導が必要な子どもたちのための日本語教室、外国人の安定した職場環境づくりなどの「生活支援」です。

グローバル化がどんどん進んでいくなかで、日本に来る外国人観光客や、留学・就労のために移住してくる人は今後も増えていくでしょう。

多文化共生の取り組みは、以下の記事でもご紹介しているのでぜひご覧ください。

関連記事:多文化共生の取り組みとは?海外と日本の成功例や課題・外国人の生活支援も紹介!

多文化共生の取り組みの身近な例は?

多文化共生の身近な例をイメージした画像

多くの外国人が日本で暮らすようになり、会社や学校、地域のなかでも以前より外国人住民が身近な存在となってきています。

ここからは、多文化共生の取り組みについて、地域自治体と学校における身近な例をご紹介します。

文化や言葉の異なる外国人住民と共に支えあって暮らしていくためには、お互いに理解し合い受け入れる、多文化共生の考え方を持つことが大切です。

身近な例を参考に、多文化共生の理解に役立ててください。

地域自治体における多文化共生の取り組み

コミュニケーション支援や生活支援など、地域自治体における多文化共生の取り組みをご紹介します。

  • 宮城県仙台市「コミュニケーション支援」

仙台市は、令和元年6月に公益財団法人仙台観光国際協会が運営する外国人向けの相談窓口「仙台多文化共生センター」を開設しています。

外国人住民の方が利用できる窓口では、常勤の相談員が英語または中国語での生活相談が可能です。

さらに、仙台市内の公共機関窓口などで相談をする際には、三者間通話による通訳サポート電話、出入国在留管理局や労働局、弁護士会、税理士会、行政書士会と連携し専門的な相談のサポートもしています。

  • 大阪府大阪市「生活支援」

Minamiこども教室実行委員会が夜間学習支援教室「Minami こども教室」を開設し、外国人家庭の子どもを対象に学校の宿題支援や独自の日本語学習に取り組んでいます。

大阪市中央区は繁華街に近いため、夜間の仕事で生計を立てる家庭やひとり親家庭が多く、夕方以降に子どもだけで過ごす外国人家庭も多いという背景から設置が決定されました。

学習支援のほかにも、保護者への生活相談会を実施し、行政手続支援や食料配布、医療機関への同行支援、在留資格更新の相談など、活動の幅を子どもだけでなくその家庭にまで拡大しています。

このように、それぞれの地域の特性に合わせて多文化共生の取り組みが進められています。

参考記事:地域の国際化の推進|多文化共生の推進

学校における多文化共生の取り組み

日本語指導が必要な児童生徒は増加傾向で、それぞれの学校における多文化共生の取り組みも進められています。

例えば、小学校では言葉の壁を乗り越えるために、学校文書にアンダーライン・日本語ルビ・多言語への翻訳を記載したり、やさしい日本語で表現することも必要です。

外国人の保護者にも分かりやすいように、QRコードで学用品の使用方法、購入場所、ピクトグラムの意味が理解できるような工夫もあります。

中学校では、学校での支援だけでは難しくなる生徒も多いことから、地域やNPO法人が運営する外国人向けの居場所づくりも進められています。

生徒の進路相談や保護者への進学の情報提供、自治体によっては塾代の助成金事業もあるので、詳細を知りたい方は各都道府県の教育委員会のホームページなどを参照してみてください。

学校での多文化共生の取り組みは、外国人児童の受け入れ環境の整備、日本語指導補助者や支援員の一層の充実を図っています。

参考記事:外国人児童生徒等教育の現状と課題

多文化共生が進んでいる国の取り組みは?

多文化共生が進んでいる国の取り組みとして、オーストラリアの政策をご紹介します。

オーストラリアでは国の政策として移民や滞在者に対する定住支援政策を実施しています。

5年に一度、すべての滞在者を対象に国勢調査を実施し、出生地・話す言語・宗教・出身民族、または英語面での補助の必要性などの調査結果を反映させた政策です。

連邦政府が提供するサービスは、成人移民向けの英語学習プログラムや翻訳・通訳サービスです。

地方自治体でも多文化共生の取り組みとして、年に一度、文化の祭典が実施されています。

それぞれの民族衣装に身を包み、歌や踊りを披露したり、伝統的な食事を販売したりと、非常に賑やかなこのイベントは2万人以上の観光客が訪れる一大行事です。

祭典に参加する多くの人が、さまざまなルーツの文化を受け入れるきっかけとなっています。

参考記事:オーストラリアの多文化主義政策

多文化共生の具体的な問題点は?

多文化共生の問題点をイメージした画像

多文化共生を進めるうえでの具体的な問題点は、大きく以下の4つです。

  • コミュニケーションの障がい
  • 安全に対する懸念
  • 問題への対処や制度の不備
  • プロセスが見えず理解が進んでいない

多文化共生を推進するためには、問題点を理解しておくことが大切です。

ここからは、それぞれの内容を詳しく解説していきます。

コミュニケーションの障がい

多文化共生に取り組むためには、コミュニケーションの障がいが問題とされています。

言葉の壁があることで、ルールの説明ができない、学校や職場での教育が困難になるなど、さまざまな問題が生じることがあります。

特に日常生活の問題で多くの外国人が不便に感じることは、病院などの公的機関でのサービスを受ける際にコミュニケーションがとれないことです。

日本語が十分にできなくて困ったり、嫌な体験をしたことがある方も多いようです。

言語の壁やコミュニケーションの課題を解決し、共生できるような施策が求められます。

安全に対する懸念

多文化共生を進めるうえで、地域によっては安全に対する懸念もあります。

近年、来日外国人の犯罪は、検挙件数や検挙人員などの統計上の数字だけでは把握できず、犯罪までもがグローバル化している状況です。

世界規模で活動する犯罪組織が日本に拠点をつくり、組織の構成員が多国籍化しているという特徴があったりと深刻度を増しています。

このような脅威から、外国人に賃貸住宅を貸すことに不信感を抱いたり、地域のコミュニティに参加させたくないと感じる人もいるかもしれません。

多文化共生の取り組みでは、ごく一部の人の行動で、外国人全体を受け入れられない状況になっていることが問題点です。

問題への対処や制度の不備

日本人から外国人に対しての苦情や問題点はよく行政などに寄せられますが、外国人側の声は把握できていない状況です。

問題への対処や制度の不備は、外国人側の意見も重要になることから、意見を寄せる場が求められます。

行政やNPO法人で専用窓口を設置している地域もありますが、そもそもそのような窓口があることを知らない外国人も多いかもしれません。

情報を周知させ、うまく機能させることで問題への正しい対処や制度の整備、多文化共生を進めることにもつながります。

プロセスが見えず理解が進んでいない

なかなか多文化共生の取り組みが進められない理由は、プロセスが見えずに理解が進んでいないことも考えられます。

まちの将来像が描けていないと、外国人と日本人とで「まちづくり」を進めることに対して拒否反応を示す人がいるかもしれません。

地域社会の一員として、お互いの文化を理解し共同生活ができるような施策や取り組みが必要です。

参考記事:外国人と共生する豊かなまちづくり(多文化共生)

多文化共生推進のために必要なこと

多文化共生推進のために私たちに必要なこととして、日本に住む外国人に日本語を教えたり、日本の社会の習慣を伝えることもできます。

現在、実際に日本でおこなわれていることは、来日外国人たちが日本社会にとけ込むために手助けをするという内容が多いです。

このような取り組みに加え、多文化を受け入れる体制を整えることも大切です。

そのためにも、多文化共生の目的や取り組みを一人ひとりが理解する必要があります。

まとめ

今回の記事では、多文化共生の身近な例や取り組みをご紹介しました。

日本では、都道府県や行政ごとに外国人の生活を支える支援やコミュニティをつくっています。

地域自治体や学校での取り組みや問題点、多文化共生が進んでいる国の取り組みも解説しています。

私たちがすぐに実践できることも多いので、まずは小さい取り組みから実践していくことで多文化共生を進められるでしょう。