視覚障害者を助ける道具ランキング!生活に役立つ便利グッズや助ける工夫も一気に紹介!
視覚障害者は視覚からの情報を得られないため、生活のなかで不便を感じる場面が多くあります。
そんな視覚障害者の生活を助ける道具や便利グッズには、どのようなものがあるのでしょうか。
視覚障害者が携帯する道具として白杖を思い浮かべる人も多いと思いますが、その他にもいろいろなグッズがあります。
この記事では視覚障害者を助ける道具ランキングをはじめ、生活で困ることや、それを解消するための工夫や便利グッズをご紹介します。
目次
視覚障害者の見え方ってどんなもの?
視覚障害には「全盲」と「弱視」の2種類があります。
全盲は視覚からの情報をまったく得られないか、光の明暗のみがわかる状態で、弱視は視力はあるものの、眼鏡などで矯正しても視力が低い状態です。
見え方は人によってそれぞれで、ぼやけて見える場合や極端にまぶしさを感じるなどの障害があるほか、視野が極端に狭い「視野狭窄」や、中心だけが見えない「中心暗点」などがあります。
参考記事:視覚障害|日本学生支援機構
私たちは朝陽の光を感じて目覚めるところから始まり、日中から眠るまでのあいだ、あらゆる情報を視覚から取得して生活しています。
外出先に限らず、職場や生活スペースである屋内にも、さまざまな物が置いてあります。
物の場所を把握したり、ぶつからずに避けられるのも視覚があるからです。
また、日常的にあたり前に見ているテレビからの情報も、私たちの生活に欠かせない情報です。
視覚は、五感のなかでも特に多くの情報を得ている感覚で、情報を得るだけでなく、その情報によってさまざまな状況を判断しています。
では、視覚からの情報を得づらい全盲や弱視の人は、どのような工夫をして生活しているのでしょうか。
視覚障害者を助ける道具ランキング
視覚障害者を助ける道具は、障害者本人が持ち歩くものだけではなく、街のなかにもあります。
視覚からの情報が得られない生活は、私たちが考える以上に怖さや危険をともないます。
視覚障害者の生活を助けるそれらの道具は、安全を確保したり生活を支えるために欠かせない大切なものです。
ここでは、視覚障害者が使う道具のなかでも代表的な5つの道具を、ランキングに沿ってご紹介します。
1位:白杖
白杖は視覚障害者が外出時に持ち歩く白い杖で、日本製の白杖には、車や周囲に注意を促すための反射板(赤色)が杖の先に付けられたものがあります。
視覚障害者が外出時に持ち歩く道具としてよく知られている道具ですが、常に使用しているわけではありません。
視覚障害は光の射し方によって見え方が異なることも多いため、比較的見えやすいときは使用しない人もいます。
そのため、1本ものの強度の高い直杖(ちょくじょう)のほか、携帯しやすい折り畳み式やスライド式などの形状があります。
白杖は視覚障害者の移動を補助するだけではなく、周囲に視覚障害者であることを知らせる役目も果たすものです。
道路交通法では、目が見えない者が道路を歩行する際は、白杖を持たなければならないことを定めています。
道路交通法
- 第十四条 目が見えない者(目が見えない者に準ずる者を含む。以下同じ。)は、道路を通行するときは、白色に塗つたつえを携えていなければならない。
また、目が見えない者以外の人が、白杖を持つことを禁じている法律もあります。
2位:視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)
視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)は、道路や駅のホームなどに設置されている黄色の点字状のブロックです。
点字ブロックには誘導ブロックと警告ブロックの二種類があり、誘導ブロックは突起が線状に並んだもので、線の向きによって道路の進行方向を確認できます。
一方の警告ブロックは、点状の突起が並んだ点字ブロックです。
駅のホームの端や道路の交差点などの場所に、注意喚起をする目的で設置されています。
点字ブロックは、視覚障害者にとって外出時の大切な道しるべです。
点字ブロックの上に立ち止まったり、車や自転車などを置かないように心がけましょう。
参考記事:(社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合)点字ブロックについて
3位:音響信号機
音響信号機は、視覚障害者に信号が青に変わったことを知らせるための歩行者専用信号機です。
信号が青に変わると、鳥の声やメロディによる誘導音が流れます。
全国で約20,000基を超える音響信号機が設置されていますが、そのなかの約98%は鳥の異種鳴き交わし(ピヨピヨとカッコウ)による擬音式です。
ほとんどの音響信号機が擬音式に変わりつつあるのは、平成15年頃より警察庁が擬音式への整備を進めているからです。
また、音響信号機とは異なりますが、押しボタン式の信号機が設置されている交差点では、押しボタンが「信号が青に変わりました」と発するものがあります。
押しボタン式は、一般的な音響信号機よりもコストを抑えて設置できるため、比較的狭い道路など、交通量が少ない場所への設置に適しています。
参考記事:(社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合)音響式信号機
4位:点字表示
点字表示は、街のなかでは公共の場にある階段の手すりやエレベーターのボタンなどに設置されています。
また、駅の券売機や自動販売機のほか、家庭内で使う家電など、あらゆるものに点字表示が施されています。
言語が変われば点字体系も異なるため、言語がわからない海外製品の点字は読み取ることができません。
ただ、エレベーターの操作ボタンなど、点字の表示場所を統一する国際規格を定めたことによって、以前よりも利便性が向上しています。
国際規格の策定を踏まえたうえで、国内製品に対する点字表示も日本工業規格(JIS)によって規定が定められました。
規定で定められた点字表示を適切な位置に表示することにより、ボタンの押し間違いなどがなくなり、視覚障害者も安全に製品を利用できます。
5位:音声パソコン
視覚障害者が使う音声パソコンは、専用につくられたものではないので、見た目は一般的なパソコンと同じです。
市販のパソコンに視覚障害者向けのソフトをインストールして使います。
ソフトによって仕様が異なりますが、文章を読み上げる機能や音声案内によってキーボードを操作できるものなどがあります。
近年はあらゆることのデジタル化が進んでいるため、音声パソコンは視覚障害者にとって、便利で快適に暮らすための画期的なアイテムです。
音声パソコンがあれば、視覚障害があっても知りたい情報を気軽に調べられますし、オンラインショッピングやネットバンキングなどの利用が可能になります。
チャットツールを使えば、外部とコミュニケーションをとりやすくなりますし、エクセルなどが使えれば、事務系など仕事の幅もひろがります。
視覚障害者が生活で困ることとは?
私たちは日常的に多くの情報を視覚から得ています。
視覚障害者が生活するうえで困るのは、目からの情報を取得しづらいほか、視覚によるとっさの判断が難しいことです。
視覚障害は、視野などの視機能の障害によって見えなかったり見えづらかったりします。
視機能の程度によっては、ぼんやりと見える人もいれば、明るければ見やすい人もいるため、昼間は普通に外出できるという人も少なくありません。
しかし、はっきりと見えているわけではないので、慣れた場所であっても近づく自動車や自転車にはなかなか気付けないこともあります。
視覚障害者は外出する際に不自由なことが生じますが、屋外だけではなく屋内でも困ることはたくさんあるようです。
下記の関連記事では、視覚障害者の困りごとについて詳しくご紹介しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:視覚障害者が生活で困ることは?私たちができることや助ける道具も解説!
視覚障害者を助けるためにできる工夫
街では、白杖を使っている人や盲導犬を連れている視覚障害者を見かけることがあります。
慣れた場所であれば、困ることは少ないかもしれませんが、いつも通っている道がいつもどおりに通れるとは限らず、迷ってしまう場合もあると思います。
そんな視覚障害者を助けるためにできる工夫は、以下の通りです。
- 声をかけるときの工夫
- 一緒に歩くときの工夫
- 食事をするときの工夫
場面ごとにできる工夫をご紹介しますので、街なかで困っている視覚障害者を見かけたときは、積極的なサポートを心がけましょう。
声をかけるときの工夫
視覚に障害があると、いざ助けを求めようと思っても周りに声をかけられる人がいるかがわかりません。
困っているのを見かけたら、サポートする側が気付いて声をかけることが大切です。
白杖を利用する人が、立ち止まって周りを見回していたり、同じ道を行ったり来たり繰り返しているのを見かけたら声をかけてみてください。
声をかけるときの工夫としては、後ろからだと気付かれづらいため、なるべく正面側から「お手伝いしましょうか?」など、声をかけるようにします。
道や場所の説明が必要な場合は、方向や距離などの情報をできるだけ具体的に伝えてください。
口頭の説明だけで伝わりづらいときは、一緒に付き添って案内しましょう。
一緒に歩くときの工夫
一緒に歩くときは「目的地まで案内するので、私の肘か肩を持ってください」と対象者に言って、持ってもらってください。
歩くときは対象者のスピードに合わせ、半歩先を歩くイメージで誘導します。
通路が狭くなるときや、障害物や段差などがあるときは、対象者が避けやすいように具体的に説明しながら歩きましょう。
階段があるときは、下り階段なのか上り階段なのかを伝えたうえで、一段目のところで「ここから上ります(下ります)」と声をかけてください。
上りの場合は、対象者の一段あとを上るようにして、万が一に備えます。
視覚障害者を誘導するときは「右側に〇〇があります」など、周囲にあるものや距離を詳しく説明しながら歩くと歩きやすくなります。
食事をするときの工夫
食事をするときも、視覚障害があると何がどこに置いてあるかがわかりません。
視覚障害者がテーブルの上の食べ物の位置をイメージしやすくするために、アナログ時計の文字盤に例えて「〇時の方向に、お肉があります」などと説明するのがおすすめです。
文字盤に例えて説明するために、あらかじめ食べ物の位置をそろえておくと説明しやすくなります。
食事のときだけではなく、物や場所の方向を説明するための工夫として、時計の文字盤のイメージは広く活用できます。
視覚障害者を助ける便利グッズもある?
視覚障害があると、外出先だけではなく自宅での日常生活においても、さまざまな不自由があります。
そんな視覚障害者の日常生活を助けるための便利グッズが数々発売されています。
便利グッズは、視覚障害者の生活にも欠かせない家事をサポートするものや、健康をサポートするアイテムです。
代表的な便利グッズをご紹介するので、参考にしてください。
規定量を測れる計量器具
計量した数値を音声で知らせてくれる計量器具は、視覚障害があっても規定量を測れて便利です。
1g単位で計量でき、最大5kgまで対応しています。
通常の計量に加え、その次の計量を加算したり、容器の重さを差し引いた計量も可能です。
視覚障害があると、目分量や一般的なスケールでは測れないので、材料の計量をg単位で音声で知らせてくれることによって料理の幅が広がります。
音声ガイド付きのタイマーや温度計
音声ガイド付きタイマーは、お知らせ時間を設定する際に音声で案内をしてくれるタイマーです。
通常のタイマーは設定した時間が来ると音声で知らせてくれますが、視覚障害があるとまず時間の設定ができません。
音声ガイド付きのタイマーならば、視覚障害があっても時間の設定が可能です。
キッチンタイマーとして使えるほか、外出するまでの時間を設定するなど、いろいろな場面で活躍します。
また、室内の温度を測れる音声付きの温度計もあると便利です。
近年は猛暑と呼ばれる日も多く、室内の温度を気にする必要があるので、音声付きの温度計で室温の確認ができると安心です。
音声ガイド付きの炊飯器やレンジグリル
日常に欠かせないキッチンまわりの器具や調理家電も、音声付きのものが充実しています。
音声付きの炊飯器やレンジグリルは、視覚障害者の日々の生活に欠かせないものです。
通常の炊飯器やレンジグリルは、液晶画面に表示されるガイドに沿って操作するタイプが主流です。
スタート時のコース設定から、でき上がりまでの時間なども音声によって知らせてくれ、視覚障害者の調理をサポートしてくれます。
近年は視覚障害がある人だけではなく、操作が難しいと感じる人向けにも、音声ガイド付きの一般家電が数多く発売されています。
一定量を注いだことがわかるコップ
目が見えづらいと、コップに飲み物を注ぐ際にどこまで注いでよいのかわかりません。
コップの内側に絵柄などの目印が付いたものだと、一定量を注ぎやすくなります。
視力がまったくない場合は、容器の縁をはさむと、容器内の液面の高さを知らせてくれる用具が便利です。
用具の下部に液体が達すると音声アラームで知らせ、液体があふれるのを防げます。
液面の高さをセンサーによって知らせてくれる音声アラームには、容器に縁にかけるものもあります。
ペットボトル用の点字ストラップ
ペットボトル用の点字ストラップは、アクリル製のプレートにそれぞれの飲み物(水・緑茶・ウーロン茶・コーヒーなど)を点字で表記したものです。
複数のペットボトルがあるときに、ペットボトルの首にかけておくと中身が判別できて便利です。
点字テープを作れる点字ラベラーを使って、点字ストラップを作るのもおすすめです。
自分で好きな文字を印字して貼れるので、物を管理したり手にしやすくするのに役立ちます。
音声読み上げ機能が付いた腕時計
視覚によって時間を確認できない視覚障害者にとって、音声読み上げ機能が付いた腕時計は、外出時の必需品です。
電波式の腕時計を選べば、時刻を合わせる必要はありません。
一般の腕時計と同じように、デザインはデジタル式とアナログ式のものがあるので、お好みで選べます。
また、アナログ式の時計のふたを開けて針の位置で時間を確認する触読(しょくどく)式腕時計や、置き型タイプも販売されています。
音声対応の体重計や血圧計
毎日の健康管理に必要な体重計や血圧計も音声対応のものが増えています。
家庭用の体重計も、体重のほかに体脂肪率・基礎代謝量・内臓脂肪レベル・筋肉量などが測定できるタイプがあり、機能が充実するほど使用方法が複雑化します。
音声対応の体重計や血圧計は使い方を音声でガイドしてくれ、計測結果も読み上げてくれるので、視覚障害者やお年寄りも使いやすいのが特徴です。
近年は身の回りや街なかにも、子どもからお年寄りまで、誰でも簡単に使える物が増えています。
誰もが使いやすくデザインしたものをユニバーサルデザインと呼び、近年はあらゆる業界でユニバーサルデザイン化が進んでいます。
ユニバーサルデザインには「すべての人に優しい」という意味がありますが、下記の記事を参考に身近にあるユニバーサルデザインをぜひ探してみてください。
関連記事:ユニバーサルデザインの例と7つの原則とは?家や街中を探してみよう!
まとめ
視覚障害者を助ける道具や便利グッズは視聴覚障害者の生活に欠かせないものです。
この記事では、視覚障害者を助ける道具をランキング形式でお伝えするとともに、工夫して生活するための便利グッズの数々をご紹介しました。
視覚障害は、私たちが想像する以上に、いろいろな場面で危険をともないます。
もし、視覚障害者が困っているのを見かけたら、積極的に声をかけてサポートするようにしましょう。