SDGsと障害者雇用のつながりとは?達成に向けた企業の取り組み事例
世界一丸となって取り組んでいるSDGsの視点から、障害者雇用に取り組む企業が増えてきました。
実際に障害者雇用することで、「仕事の効率が上がる」「業務を内製化しコストが削減できる」など、成果を出す企業もあります。
本記事では、SDGsと障害者雇用のつながりや達成に向けた企業の取り組み事例をご紹介します。
これを機に、障害者が活躍できる職場作りを考えてみてはいかがでしょうか。
目次
SDGsの達成と障害者雇用のつながり
はじめに、SDGsの達成と障害者雇用のつながりについて解説します。
近年では、企業での障害者雇用をSDGsの視点でとらえることが増えてきました。
一見、障害者雇用は人材活用の面でダイバーシティに関する取り組みのように思われていますが、SDGsとも深く関連があります。
これまで障害者雇用はCSR(企業の社会的責任)としてとらえられていましたが、これをSDGsの視点で考えていくと、障害者が新たに活躍できる可能性があるのです。
障害者雇用の目的は、障害者の雇用率を上げるだけではありません。企業の事業に継続して貢献できる人材として障害者を採用し、障害者それぞれの業務適性に合った配置を行うことが大切です。
障害者雇用はSDGsの何番の目標?
障害者雇用は、SDGsの何番の目標なのでしょうか。
外務省が運営するサイト「JAPAN SDGs Action Platform」では、障害者雇用は以下のように触れられています。
8.5:働きがいも経済成長も
2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一価値の労働についての同一賃金を達成する。
引用元:JAPAN SDGs Action Platform
このように、障害者雇用はSDGsの8番の目標に該当しています。
詳しくは、関連記事をご覧ください。
関連記事:SDGs×障害者は何番の目標?達成に不可欠な関係性を詳しく解説!
障害者に対する日本の取り組み
障害者に対する日本の取り組みをみていきましょう。
日本では、障害者への取り組みとして
- バリアフリー導入
- ユニバーサルデザイン
などが挙げられます。
バリアフリーは、駅やトイレなど公共施設でも見かけることが多いと思いますが、ユニバーサルデザインは具体的に何を指すものか知らないという方も多いかもしれません。
ユニバーサルデザインとは、左手でも使いやすいデザインのハサミなどのように、性別・年齢・障害・文化などにかかわらず、誰もが暮らしやすい生活環境にするためのデザイン手法です。
日本の障害者に対する取り組みについて、詳しくは関連記事をご覧ください。
関連記事:SDGsの障害者への取り組みとは?今スグできる目標達成への貢献!
障害者雇用の実態と課題は?
障害者雇用の実態と課題をみていきます。
日本の障害者雇用義務は、どのようになっているかご存じでしょうか。
2021年に改正された「障害者雇用促進法」では、2.3%(43.5人に対し1人)の割合で障害者を雇用する必要性があると示しています。
厚生労働省のデータによると、2020年6月時点で働く障害者は57万8292人と公表されています。
17年連続増加傾向にあるものの、雇用率は2.15%と決定雇用率を遥かに下回っているのが現状です。
障害者の雇用のために、周りの社員の業務が増えて負担がかかるといった消極的な声を聞くことも少なくありません。
ですが、障害者を雇用することで組織にメリットがもたらされることもあります。
具体的には、ダイバーシティの実現やCSR(企業の社会的責任)の達成、業務の効率化といったメリットがあります。
各企業が障害者雇用を前向きに検討できるよう、これまでとは異なる視点で考えていくことが大切です。
参考記事:厚生労働省「障害者雇用対策」
障害者雇用の目標は?
今後の障害者雇用の目標について、ご紹介します。
2023年度現在、障害者の決定雇用率が2.3%なのに対し、2026年で2.5%、さらに2028年には2.7%に引き上げられることが厚生労働省から発表されました。
雇用規定に満たない場合、雇用障害者1人につき月50,000円を会社が国に納付する義務があります。
これにともない、業務拡大を目指す企業は障害者の雇用を積極的に考える必要があります。
企業の障害者雇用への取り組み事例
日本企業の障害者雇用への取り組み事例を、一部ご紹介します。
1.楽天ソシオビジネス株式会社
楽天グループ子会社である「楽天ソシオビジネス株式会社」では、従業員の約8割が障害をもっています。
会社の特徴は、障害者も健常者と同じように生き生きと働けるよう、環境整備に力を入れていることです。
採用活動も障害の特性に合わせて独自の方法を取り入れているため、組織づくりの視点で他企業も参考にしています。
2.株式会社LORANS.
ブライダル装花やフラワーギフトの事業を展開している「株式会社LORANS.」の従業員は、約7割が障害者です。
代表取締役をはじめ、特別支援学校の免許保持者や福祉経験のある社員が複数在籍しています。
就活している障害者をターゲットにした、ジョブトレーニングもおこなっています。
さらに、以下の参考記事で厚生労働省が紹介している、「障害者雇用事例リファレンスサービス」は、業種、障害、従業員数などを選択して、実際に障害者雇用している企業の事例を検索することができるツールです。
「障害者雇用を検討しているけれど、どのように始めたらよいのか分からない」
「似た業種の企業ではどんな雇用取り組みをしているのか知りたい」
といった際に役に立ちますので、ぜひご活用ください。
参考記事:雇用・労働 好事例集(厚生労働省)
聴覚障がい者コミュニケーションサービスPekoe導入事例
最後に、聴覚障がい者コミュニケーションサービスPekoe導入事例をご紹介します。
「Pekoe」とは、些細な会話や文字に起こしづらいような些細な言葉もすべて文字化してくれる、聴覚障害者用の音声認識サービスです。
聴覚障害者が感じる不便なことの1つに、他者とのコミュニケーションが十分に取りづらいことが挙げられます。
会議前に取り交わされる挨拶や雑談が聞き取れないことで、集団の中で疎外感をもってしまうケースも少なくありません。
ですが、音声認識の精度が高いPekoeを活用すれば、文字起こしで誤認識されてしまうような細かい部分の修正が可能です。
このように、音声認識ツールを取り入れるなどして、聴覚障害者がより働きやすい環境づくりをすることなどが企業に求められています。
関連記事:音声認識で聴覚障がい者とのコミュニケーションもより密に。コミュニケーションを支える「Pekoe」
まとめ
SDGsと障害者雇用のつながり、さらに企業が取り組んでいる事例を解説しました。
現在、障害者雇用は国の法律で定められており、さらに障害者の決定雇用率は今後上がっていくため、どの企業でも障害者雇用が増えていきます。
障害をもつ方と一緒に働くことに消極的なイメージがあるかもしれませんが、現在は障害者の方が働きやすい便利なサービスやツールも普及しているので、積極的に活用してみてはいかがでしょうか。