SDGs×障害者は何番の目標?達成に不可欠な関係性を詳しく解説!

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SDGs×障害者は何番の目標のイメージ

SDGsは、持続可能な開発目標として、「誰一人取り残さない」をスローガンに17の目標を掲げ、2030年までに全世界で達成することを目指しています。

そのなかには障害者に関連する内容も多く含まれており、SDGsの何番の目標に含まれるのか、気になる方も多いと思います。

そこで今回は、障害者に関するSDGsの目標は何番に含まれるのか、また障害者が抱える課題解決に向けておこなわれている取り組みの例もご紹介します。

障害者に関するSDGsの目標は何番?

SDGsの目標で障害者は何番目なのかをイメージした画像

「誰一人取り残さない」としたSDGsの目標は全部で17項目あり、そのなかに障害者の生活に関わる目標は、全部で8つあります。

すべての目標は、障害者だけでなく脆弱な立場にある人々が、安全で快適に暮らすためのものです。

最終的には、脆弱な立場になる人が一人もいなくなるのが理想です。

それでは、障害者に関するSDGsの目標の詳細を解説していきますので、参考にしてください。

SDGs目標1:貧困をなくそう

SDGsの目標で、まず1番目に掲げられているのが「貧困をなくそう」です。

貧困には、生活を維持していくことが難しい「絶対的貧困」と、その国の生活水準や文化水準を下回る「相対的貧困」の二種類があります。

日本の貧困は、相対的貧困が多い状態です。

日本における相対的貧困率の割合は15.4%(2018年時)で、OECD加盟国(先進国)36ヵ国のうち8番目に高い水準です。

日本で相対的貧困率が高い背景には、単身高齢者世帯や一人親世帯が増えていることがあります。

また、障害者がいる世帯も相対的貧困に陥りやすい状況です。

障害者本人の労働の場が極端に限られるほか、働くことはできても生活水準を満たすほどの収入を得られないこともあります。

さらに重度の障害者がいる世帯の場合、介護にあたる家族が働けない場合もあります。

貧困をなくすためには、労働環境の整備や介護制度のさらなる改革が求められます。

参考資料:各種世帯の所得等の状況(厚生労働省)

SDGs目標3:すべての人に健康と福祉を

次に障害者と関わりがあるのは、目標3「すべての人に健康と福祉を」の中にある、3−4「2030年までに、予防や治療をすすめ、感染症以外の病気で人々が早く命を失う割合を3分の1減らす。心の健康への対策や福祉もすすめる」という項目です。

ここでは「心の健康への対策や福祉」の部分を見ていきます。

日本は、身体的に障害を持つ脆弱な人に対しての保障制度は、他国よりも整っているほうかもしれません。

しかし、心の障害については対策が追いついていない状況です。

国内では毎年2万人以上の人が自殺しているという現状で、主要先進7ヵ国の中でも最も高く、深刻な問題となっています。

自殺者の多くは、何らかの精神的障害を抱えているといわれています。

精神障害を抱えるにいたった原因はさまざまですが、身体的な部分だけではなく、精神的に脆弱な状態に陥っている人への支援が求められます。

政府が推進すべき自殺対策として「自殺総合対策大綱〜誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して〜」が令和4年10月に閣議決定されました。

精神的に脆弱な人に対しての保障制度をこれまで以上に充実させるほか、国民一人ひとりがモラルの向上を図れるような改革が必要です。

参考記事:自殺対策の概要(厚生労働省)

SDGs目標4:質の高い教育をみんなに

性別や障害、出身、生活環境に左右されることなく、すべての子どもが平等に学べる環境を整えていくというのが、目標4の「質の高い教育をみんなに」です。

現在のところ、日本はジェンダーレスに対する教育や環境は発展途上で、決して整っているとはいえませんが前進傾向にあります。

また、障害を持った人や海外の人も教育を受けられる環境への改善も進められています。

現状では、障害者が通う特別支援学校から大学へ進学する割合は、わずか1.7%にとどまる程度です。

学力があって学びたい障害者が大学に通えない状況は、変えていく必要があります。

障害者も通えるような大学側の受け入れ体制も必要ですし、さまざまな視点から環境を整える抜本的な政策が必要です。

参考記事:SDGグローバル指標「質の高い教育をみんなに」(外務省)

SDGs目標6:安全な水とトイレを世界中に

日本の水道水は飲料水として飲める場合がほとんどで、水環境は整っているといえます。

ここでは「安全な水とトイレを世界中に」という目標のなかで、トイレの環境整備に注目します。

車いす利用者用にスペースや設備が整えられていたり、オスメイトに対応するなどのバリアフリートイレの設置場所は限られているため、障害を持つ方は外出するときに、目的地やルート上に自分が問題なく使えるトイレがあるかどうかをあらかじめ確認しておく必要があります。

障害を持つ方が気兼ねなく外出できるために、バリアフリートイレの充実化は重要といえます。

また、商業施設など公共の場において、おむつ交換台が設置されていますが、設置場所の多くは女子トイレです。

近年は男女問わず使える場所に設置されている場合もありますが、ジェンダーレスな子育てを推進するうえで、おむつ交換台のジェンダーレス化も急務です。

参考記事:SDGグローバル指標「安全な水とトイレを世界中に」(外務省)

SDGs目標8:働きがいも経済成長も

目標8は、一人ひとりが働きがいのある仕事に就くとともに、一人当たりの経済成長率を上げる「働きがいも経済成長も」という目標です。

福祉を充実させることも大切ですが、その福祉を充実させるためにも国の経済を安定させることが重要になってきます。

多くの企業では、少子高齢化が進み、労働力が減少傾向にあります。

企業が持続的な発展を続けるために労働力の確保は必要不可欠ですし、人材を確保するためには、将来を見据えた発展的な改革が必要です。

働き盛り世代の再雇用をはじめ、障害者や若年層などの多様な人材の雇用が鍵となります。

生産性や経済成長率を上げるうえで、労働者の人としての尊厳を守るほか、働きがいのある環境を整えることが大切です。

そのためには、働き方改革をはじめ、性別や学歴、障害の有無などにとらわれない適正賃金の設定が求められます。

参考記事:SDGグローバル指標「働きがいも経済成長も」(外務省)

SDGs目標10:人や国の不平等をなくそう

10番目の「人や国の不平等をなくそう」は、生まれた地域や環境による、経済的な不平等をなくそうという目標です。

そのなかでも、障害者に深く関わるのは次の項目です。

10.2:2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。

SDGグローバル指標(SDG Indicators)

10.3:差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、並びに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。

SDGグローバル指標(SDG Indicators)

日本でも、年齢や性別をはじめ、障害の有無や人種によって得られるべき権利が迫害されることがあります。

いろいろな事柄に共通することですが、差別的な法律や政策は撤廃し、すべての人が安全で平等に暮らしていける国づくりが必要です。

参考記事:SDGグローバル指標「人や国の不平等をなくそう」(外務省)

SDGs目標11:住み続けられるまちづくりを

目標11に掲げられる「住み続けられるまちづくり」は、主に公共機関や公共施設におけるバリアフリー化を指します。

バリアフリー化は移動することが困難な人にとって必要なものです。

近年では、エレベーターのない駅や点字ブロック上に物が置かれた歩道などが問題となっているように、障害者にとって移動の妨げとなるものは多くあります。

都市開発を進めるうえでは、一般的な利便性だけではなく、さまざまな障害をもった人々、および高齢者や育児をしている人など、すべての人にとって利用しやすい環境を考慮しなければいけません。

すべての人が慣れ親しんだ場所で、孤立せずに快適に住み続けられるまちづくりが必要です。

参考記事:SDGグローバル指標「住み続けられるまちづくりを」(外務省)

SDGs目標17:パートナーシップで目標達成しよう

住み続けられるまちづくりなどの改革を推進するために、具体的な不便さを知る必要があります。

そのための目標が17番目の「パートナーシップで目標を達成しよう」です。

日常的な不便さは、障害をもたない人には気づけない部分もたくさんあります。

想像するよりも、実際に不自由さを感じている障害者の意見に耳を傾けることで、問題を発見し解決していこうという考え方です。

公共的な場所だけでなく、企業においても障害者や多様な人々の意見を積極的に取り入れることは、商品開発やサービスの向上に役立ちます。

サービスを提供する側と受ける側がパートナーシップを築くことで、より早く目標を達成することができます。

参考記事:SDGグローバル指標「パートナーシップで目標達成しよう」(外務省)

SDGsの17の目標と障害者の関係性

ここまでは、SDGsの17の目標のなかで、障害者に関わるものについて解説してきました。

SDGsの17の目標と障害者の関係性は、深いものであることがわかっていただけたと思います。

世の中において脆弱な立場にある障害者に焦点をあて、問題を見つけて解決することは、すべての脆弱な立場にある人の生活を向上することになるからです。

では、実際に障害者がSDGs達成に不可欠である具体的な理由について解説していきます。

SDGs達成に不可欠である

SDGs達成に不可欠であるとは、障害者の不自由を解決することがSDGs達成につながっているからです。

障害者とは、何かしらの障害がある人のことをいいますが、障害の種類や程度は人によってさまざまです。

足や目や聴覚など、身体的な部分に障害を抱えている場合は気づけることも多いですが、視覚からは気づきづらい内面的な障害を抱える人もいます。

今後、SDGsを達成するには、すべての障害者に目を向け、理解していくことが最も重要です。

現在、脆弱な立場にあるすべての人が、人としての尊厳を失わずに快適に暮らせる世の中になるのがSDGs達成の目的です。

参考記事:SDGsの取組みと障害者の関係性

バリアフリーはSDGsの何番に該当する?

障害者の生活に大きく関連することとして、バリアフリー化がありますが、バリアフリーはSDGsの何番に該当する?という疑問について解説します。

障害者をはじめ、脆弱な立場にある人々が安全で快適に暮らすためには、公共交通機関や公共スペースのバリアフリー化が必須です。

バリアフリー化は、SDGs目標の11番目である「住み続けられるまちづくりを」に該当し、以下の項目に詳細な目標が掲げられています。

11.2:2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子供、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、全ての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。

SDGグローバル指標(SDG Indicators)

11.7:2030年までに、女性、子供、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。

SDGグローバル指標(SDG Indicators)

公共の場所のバリアフリー化は進んでいますが、特に車いすやベビーカーなどは、まだまだ不自由を感じる場所がたくさんあります。

ですが、SDGs目標のひとつ「住み続けられるまちづくりを」という目標に沿って、環境整備は進められています。

環境整備とともに、私たち一人ひとりが脆弱な立場にある人々の不自由な部分を理解し、配慮していくことも重要です。

参考記事:SDGグローバル指標「住み続けられるまちづくりを」(外務省)

障害には主に3つの種類がある

障害について3種類あることを説明する画像

障害には主に3つの種類があり、身体的障害・精神的障害・知的障害に分かれます。

視覚や聴覚をはじめ、肢体の障害や内臓疾患などの先天的なものもあれば、病気や事故による後天的なものもあり、障害の種類はさまざまです。

レベルも、自活できるレベルから常に介護を必要とするレベルまでありますが、障害者として受けられる控除や補助は、国が定める障害者等級によって決まります。

障害者等級は第1級〜第14級まであり、市区町村の障害福祉担当窓口に申請後、審査のうえで等級が決定します。

それでは、身体的障害と精神的障害について、具体的にどんなものがあるのかを詳しく解説していきます。

参考記事:障害等級表(厚生労働省)

身体的障害

身体的障害とは、身体の機能の障害を指します。

視覚・聴覚・肢体・臓器など、身体の機能に何らかの障害があることによって、日常生活や社会生活を制限せざるをえない状態です。

視覚・聴覚・肢体の障害は、他者からも比較的見えやすい障害ですが、内臓機能や免疫機能の障害など、外見からはわかりづらい障害もあります。

肢体の障害で義足や人工関節を使用している場合や、内臓機能などの障害があり、周囲からの配慮やサポートが必要な人もいます。

地方自治体によって希望者に配布される、ヘルプサポートマークの存在をご存じでしょうか?

ヘルプマークは「配慮やサポートが必要」という目印です。

電車やバスなどでヘルプマークを付けている人を見かけたときは、席を譲るなどの配慮が必要かもしれません。

また、障害者が補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)を同伴している場合もあります。

補助犬を同伴していてもサポートを必要とするときもあるので、困っていたら声をかけるのが望ましいです。

参考記事:障害者等の理解促進(厚生労働省)

精神的障害

精神的障害は、後天的に生じる精神的な病気のほかに、先天的な脳の障害による発達障害・アスペルガー症候群・高機能自閉症などが含まれます。

後天的な精神的な病気は、何らかのストレスが原因で発症する統合失調症やうつ病、または薬物やアルコールなどによる依存症です。

精神的障害も軽度のものから重度のものまであり、日常生活や社会生活における困難さを基準に障害者等級が決まります。

長期にわたり日常生活または社会生活への制約がある場合は、精神障害者保健福祉手帳の申請ができます。

精神的障害の診断は専門医でも難しいうえ、症状の現れ方も人によって大きく差があるため、身体的障害よりも理解されづらいのが現状です。

今後、社会において精神的障害へのより深い理解や協力が望まれています。

参考記事:精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について(厚生労働省)

知的障害

知的障害は脳に障害があり、読み書きや計算などに障害がある状態です。

また、知的発達に遅れはないものの、読み書きや計算ができないなど、特定の能力に遅れがみられる学習障害や自閉症なども知的障害に含まれます。

昨今話題となっているADHD(注意欠如・多動性障害)も知的障害です。

何となく生きづらさを感じてはいるものの、自分ではADHDと気づいていない例も多くあります。

ADHDの場合も症状の種類や出かたは人それぞれで、程度によっては精神障害者保健福祉手帳の申請が可能です。

理解することがSDGs達成の第一歩

障害者といっても、外見的にわかりやすい障害から聞かなければわからない障害まで、いろいろな障害があります。

脆弱な立場にある障害者を理解することが、SDGs達成の第一歩です。

株式会社リコーでは、聴覚障害者向けのコミュニケーションサービスPekoe(ペコ)を開発しました。

Pekoeは聴覚障害をもつ担当者がサポートに加わり、実際にサービスを利用したユーザーの要望なども反映させながら進化を続けています。

PCに音声を認識させることで、会議での会話をリアルタイムでテキスト化できるため、聴覚障害者とのオンラインや対面での会議に活用できます。

テキスト変換に間違いがあってもすぐに修正ができ、チャット機能も備わっているため、聴覚障害者とのコミュニケーションも取りやすいのが特徴です。

動画に字幕をつけて配信もでき、会議だけでなく、情報保証としても活用できます。

関連記事:Pekoe | 聴覚障がい者向けコミュニケーションサービス

まとめ

SDGs×障害者は何番の目標?達成に不可欠な関係性を詳しく解説!と題し、SDGsで掲げる17の目標のうち、障害者に関連する目標は何番かについてご紹介しました。

SDGsは「誰一人取り残さない」をスローガンに掲げています。

私たちがまずできることとして、脆弱な立場にある障害者への理解を深めることが重要です。

SDGsの目標を実現させるために、一人ひとりが意識して、できることから取り組んでいきましょう。