SDGs目標10不平等をなくすための解決策は?具体的支援を紹介!

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この記事では、SDGs目標10不平等をなくすための解決策は?具体的事例を紹介!と題し、人や国の不平等をなくすための目標について解説します。

世界的なSDGsの活動として、2030年までに達成すべき17の目標を掲げており、そのなかでも10番目の目標が「人や国の不平等をなくそう」です。

しかし、具体的な解決策については、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、SDGs10番目の目標である「人や国の不平等をなくそう」の具体的な解決策について事例を交えてご紹介します。

SDGs目標10の不平等への解決策とは

SDGs目標10の「人や国の不平等をなくそう」は、本人の努力では解決できない差別や不平等をなくそうという意味であり、不平等への解決策につながります。


SDGsの10番目の目標である「人や国の不平等をなくそう」は、さらにいくつかの目標に分かれています。

細分化された目標のなかで、1番目に挙げられた目標は以下の通りです。

10.1:2030年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。

SDGグローバル指標(SDG Indicators)

開発途上国など国全体が貧しいのはもちろんですが、先進国のなかでも貧困家庭など不平等な状態があり、貧富の差が拡大傾向にある国もあります。

生まれた国・人種・民族・宗教・性別・障がいの有無など、本人の努力ではどうにもならない事柄によって、不利益や差別を受けるのは不平等であり、解決していかなければなりません。

そのためにまずは、現在起きているさまざまな不平等の現状を解説していきます。

さまざまな不平等の現状

世界で起こっているさまざまな不平等の現状として、何らかの要因により負の連鎖から抜け出せず、貧困に陥っている人たちがいます。

世界規模でみると、最も裕福といわれる富裕層は1%です。

残りの99%の人びとすべてが、日々の生活に困窮するほど貧しいわけではありませんが、さまざまな要因から格差が広がっているのが現状です。

格差には、経済格差・性的格差・地域格差・教育格差があり、ほかにも障がいの有無や民族などいろいろな要因があります。

国や地域によって不平等が起きている要因は異なりますが、個々の努力だけでは改善できないことがほとんどです。

また、貧困に陥っている要因によって解決策は異なり、SDGsでは不平等の解決を目指したさまざまな取り組みをおこなっています。

不平等の解決を目指して、私たち一人ひとりが今できることを知り、できる範囲で実行していくことが大切です。

SDGsではなぜ不平等の解決を目指すのか?

SDGsではなぜ不平等の解決を目指すのか?という疑問について解説します。

世界中の35億人の総所得に匹敵する資産を所有する資産家がいて、これによって貧富の二極化が起きているのが現状です。

極端な貧富の二極化は、経済成長や貧困削減への努力を妨げるうえ、国家間の緊張も高めるといわれています。

親が貧しい家庭に生まれた子どもは、生活を支えるために幼い頃から労働を強いられる場合も多く、満足に学習する機会すら与えられません。

学習する機会を与えられなかった子どもはそのまま大人になるため、貧困から抜け出せずに一生を終える可能性が高くなります。

日本においては、大多数よりも貧しい状態である相対的貧困のうち、ひとり親世帯が半数以上、65歳以上の高齢者がいる世帯が27%を占めています。

貧しい国や家庭に生まれたことが、学ぶ自由や働く自由を奪うのは不平等です。

すべての人の尊厳が守られ、幸せに共存できる世界を築いていくことが、経済成長にもつながります。

SDGsの全体的なスローガンは「地球上の誰一人として取り残さないこと」です。

日本ならびに世界中の不平等をなくすためには、組織的・事業的・個人的な取り組みが必要です。

障がい者や人種の不平等への解決策

障がい者や人種の不平等への解決策も課題となります。

日本では障がい者や人種による差別など、差別はしてはいけないものとして小学生のときから教育されますが、実際には不当な差別を受けている人が多くいるのが現状です。

すべての人の人権を守るためには、不平等をなくす必要があり、まず一人ひとりがどんな不平等があるのかを知って理解することが重要です。

ここでは、障がいをもつ人が抱える問題や、人種や民族間の差別を知り、それらの不平等をなくすために私たちができることをご紹介します。

障がいを持つ人への配慮と理解を深める

私たちが今からできることのひとつに、障がいをもつ人への配慮と理解を深めることがあります。

障がいには身体的・精神的・感覚的な障がいがありますが、視覚からもわかる身体的な障がいの場合は、理解している人も多いと思います。

ところが精神的・感覚的な障がいは、視覚的に見えづらいうえ、多様にあるので理解されづらい状況です。

身体障がい者の場合は視覚からもわかりやすいため、道路などの公共の場では設備の設置などの工夫が進んでいますが、精神的・感覚的な障がい者に配慮する工夫は進んでいるとはいえません。

本来ならば、身体的障がい者への配慮が進むのと同じように、精神的・感覚的な障がいに対する理解や配慮も必要です。

障がいをもつ人のなかにはヘルプマークを身につけている人もいますが、ヘルプマークの存在を知らずに、配慮するどころか理不尽な態度を取る人もいます。

残念ながら精神的・感覚的な障がいを理解せずに、差別したり悪い印象を持つ人も少なくないため、ヘルプマークをつけることにためらいを感じる人もいるようです。

障がいの有無に関わらず、すべての人が普通に暮らせるように、街のバリアフリー化とともに心もバリアフリーにしていくことが必要です。

参考記事:街の中のバリアフリーと「心のバリアフリー」

人種や民族への差別をなくす

日本で暮らす外国人は年々増え続けていますが、人種や民族への差別をなくすことも重要です。

急速に少子高齢化が進み、日本の企業では深刻な人手不足に陥っています。

人手不足の原因は少子高齢化だけが問題ではありませんが、特に建設業・運輸業・郵便業

・医療・福祉・農業などの人手不足は深刻です。

人手不足が深刻化する業種では、対策のひとつとして外国人労働者の受け入れが進んでいます。

その一方で、日本に暮らす外国人は賃貸住宅への入居を拒まれたり、理容サービスを拒まれるなどの事案が発生しているのが現状です。

今後、日本で暮らす外国人はますます増えるものと思われます。

さまざまな人種や民族に対する偏見を無くし、それぞれの生活習慣や多様な文化なども理解し、配慮していくことが大切です。

参考記事:外国人の人権を尊重しましょう(法務省人権擁護局・全国人権擁護委員連合会)

性別の不平等への解決策

性別の不平等への解決策をイメージした画像

性別の不平等への解決策として、近年「ジェンダーレス」という言葉を耳にする機会が増えたと思います。

ジェンダーレスは、生物学的な性別によって生じる社会的・文化的性差をなくそうという考え方です。

特に学校ではジェンダーレスを学ぶ機会が増え、性同一性障がいを持つ児童や生徒への配慮なども進んでいます。

日本では古くから、男は外で働き、家事や子育ては女性がするものという考えがありました。

ジェンダーレス化が進んでいるものの、長年にわたって培われた性別に対する偏見は根深く残り、すぐにはなくならないのが現状です。

学校の制服が自認する性に合わせられない、同性同士の結婚が法律で認められないというようなLGBTQの問題も、解決までに長い道のりを歩んできました。

日本だけに限らず、生まれた性別によって役割を決められたり、不当な扱いを受けている人が世界中にはたくさんいます。

LGBTQへの理解を深める

性別の不平等への解決策の第一歩として、LGBTQへの理解を深めることが大切です。

LGBTQとは性的マイノリティの総称で、それぞれの頭文字を取ったものです。

  • Lesbian(同性を好きになる女性)
  • Gay(同性を好きになる男性)
  • Bisexual(両性を好きになる人)
  • Transgender(生物学的な性と性自認が一致しない人)
  • QuestioningまたはQueer(自身の性自認や性的指向が定まっていない人)

参考記事:LGBT+ Guidelines

世の中には、生物学上の男女の概念だけでは分けられない人たちがいます。

生物学上で男性の場合の恋愛対象は女性、女性の場合は男性というのが一般的な考え方でした。

実際には男女ともに性的指向は多様にあり、自分に対する性自認も生物学上の性別と一致しない場合もあります。

LGBTQにあたる人たちは、なかなかカミングアウトできなかったり、日常的に不便を感じることも多くあります。

またLGBTQに対する偏見によって、就職が不利になったり差別を感じたりすることも少なくないのが現状です。

LGBTQは先天的なものともいい切れず、後天的に変わることもありますが、いずれにしても偏見によって自由を迫害されるべきものではありません。

さまざまな性自認や性的指向があることを知り、理解を深めていくことが重要です。

関連記事:マイノリティの種類は?女性と男性だけではない性別を詳しくまとめてみた

雇用条件や待遇の差をなくす

性別による雇用条件や待遇の差をなくすことは、日本で暮らす多くの女性が望んでいることです。

同じ大学を卒業しているにも関わらず、女性というだけで、待遇に差があったりします。

2022年7月に男女共同参画に関する国際的な指数として、GGI ジェンダー・ギャップ指数が発表されました。

調査項目は経済参画・政治参画・教育・健康の4項目ですが、指数が1の場合が完全平等になります。

1位のアイスランドの場合は、4項目のすべてが完全平等に近い0.908でした。

日本の場合は、教育は1で健康は0.973となっており、完全平等に近い状態ですが、それ以外の経済と政治は不平等な状態です。

全体の平均指数は0.65と低く、146ヵ国中116位という結果が出ています。

そのほかGII ジェンダー不平等指数でも、日本女性は男性に比べて不利に置かれているという結果が出ています。

この現状を理解し、性別の不平等への解決策を講じていかなければなりません。

参考記事:男女共同参画に関する国際的な指数(内閣府男女共同参画局)

貧富の不平等への解決策

貧富の不平等への解決策として、世界や日本ではさまざまな取り組みが進められています。

世界的には、国連を中心に開発途上国への開発支援や援助金などをはじめ、さまざまな支援をおこなっています。

日本国内にも貧富の差はあり、厚生労働省が3年ごとに発表している貧困率の状況を見ると、2021年の相対的貧困率は16%で上昇傾向です。

相対的貧困率は、一定基準(貧困線)を下回る所得しか得ていない者の割合をいいます。

貧困線は所得の中央値の50%とされ、2019年度の大規模調査時の所得中央値は248万円で、その50%の124万円が貧困線でした。

貧困線の124万円(調査時の所得中央値によって変動)を下回る場合が、貧困世帯になります。

開発途上国への支援も大切ですが、日本国内にも貧困にあえぐ世帯が16%もいるという現実を把握する必要があります。

貧富の格差をなくすには、具体的にどうすればいいのかを考えていかなければなりません。

参考記事:2019年国民生活基礎調査 各種世帯の所得などの状況(厚生労働省)

貧富の格差をなくす

貧富の格差をなくすことが貧困層を減らすことにつながりますが、日本で格差ができた要因はなんだったのでしょうか。

日本では労働派遣法の改正によって、非正規雇用で雇える業種の制限がなくなったことから、非正規雇用で働く人材が増えたことが要因のひとつになっています。

非正規雇用の場合は、正規雇用の場合と労働内容や責任は変わらないのに、所得が低く社会保障が受けられないなどのデメリットがあります。

格差社会は所得格差を中心に起きているため、厚生労働省ではその解決策のひとつとして「働き方改革」を推進しており、非正規雇用による格差を是正することを目的として、同一賃金同一労働の整備を進めています。

参考記事:同一労働同一賃金特集ページ(厚生労働省)

平等な雇用の解決に向けた取り組み

平等な雇用の解決に向けた取り組みとして、日本では事業主に対して雇用義務制度を設けています。

雇用義務制度では、障がい者雇用率に相当する人数の、障がい者の雇用を義務づけています。

これによって、障がい者(知的・身体・精神ともに)の雇用は増えている傾向です。

障がい者を受け入れる企業側への支援として、納付金制度や数々の助成措置が取られています。

しかし、障がい者は「減額の特例許可制度」の適用に該当するため、一般の従業員に比べて賃金が低く設定されるおそれがあるのも実情です。

SDGsと障がい者雇用のつながりについて、詳しく書いた記事もあるので参考にご覧ください。

関連記事:SDGsと障害者雇用のつながりとは?達成に向けた企業の取組み事例

教育の不平等への解決策

日本での教育の不平等への解決策は講じられてはいますが、まだまだ不十分です。

貧困であっても、義務教育という形で中学生までは通えますが、高校以降の学費の多くは家庭で負担しているのが現実です。

貧困家庭では、十分な教育費を捻出できないため、子どもが学びたいことを自由に学べないという不平等が生まれます。

教育の格差は、社会に出たときの経済格差にもつながり、高卒と大卒での生涯賃金の差額は約7千万円というデータが出ています。

教育の不平等は完全なる機会の不平等であり、日本の未来を担う子どもたちのために、教育の不平等の解決はとても重要な案件です。

家庭における教育費の負担を減らし、自由に教育を受けられる抜本的な政策の実現が待たれています。

参考記事:教育立国実現のための参考資料(内閣府)

募金をする

教育の不平等への解決策のひとつは、募金をすることです。

国内には支援団体がいくつもあり、さまざまな支援をおこなっています。

日本国内では親の経済状況によって、7人に1人の子どもが貧困に陥っているのが現状です。

そんな貧困状態の子どもたちの学習支援や居場所支援をおこなう団体があり、そのような団体に募金することも私たちができるひとつです。

参考記事:子どもの貧困対策(内閣府)

また、ユニセフなどのNPO法人を通じて、発展途上国や紛争地帯、または被災地に寄付をすることもできます。

高額ではなく自分にできる程度の寄付でも、それが世界中から集められれば大きな成果に繋がります。

貧困家庭への支援

貧困家庭への支援として、政府がおこなう「子どもの未来応援国民運動」があります。

子どもの未来応援国民運動では、教育の支援・保護者の就労の支援・生活の支援・経済的な支援など、さまざまな対策を進めています。

その一環として、2019年10月より幼児教育が無償化されました。

また、貧困家庭でも安心して学校に通えるように、高等学校等就学支援金制度や奨学給付金制度のほかに、私立高等学校等の授業料減免制度などがあります。

さらに上の学校の授業料減免制度や大学等奨学金の制度もあるので、以前よりは教育の不平等は改善されつつあります。

参考記事:子どもの未来応援国民運動(こども家庭庁)

貧困格差解決への取り組み

貧困格差から起こる教育の不平等は、日本国内にとどまりません。

日本を含む世界の貧困格差解決への取り組みとして、日本はSDGsに大きく関わる国連の中核的な開発機関である、UNDPに参加しています。

UNDPでは貧困削減に向けての支援をはじめ、自然災害後の復興支援や人びとの健康を守るための医療支援などもおこなっています。

世界の貧困地域では、さまざまな感染病などが蔓延している地域があり、必須医薬品やワクチン・診断薬・機器の導入が重要です。

貧困格差を解決するためには、経済支援なども必要ですが、多くの疾病の蔓延を食い止めることも不可欠です。

参考記事:UNDPについて | United Nations Development Programme

開発途上国への具体的支援

開発途上国への具体的支援の一例として、独立行政法人国際協力機構JICA(ジャイカ)があります。

JICAでは、開発途上国の社会・経済の開発を支援するために、政府やさまざまな機関をはじめ、民間企業など多くの団体が経済協力をおこなっています。

政府開発援助(ODA)を受けて支援や援助をおこないますが、内閣に「海外経済協力会議」が設置されていて、そこでODAの戦略が議論されます。

JICAは2023年度開発協力人材育成事業として、グリーントランスフォーメーション(GX)の戦略立案を担う海外人材の育成制度を立ち上げました。

「GX長期研修プログラム」という名称で、途上国の若年層を対象に募集しています。

日本の大学院において、エネルギーや脱炭素の技術などを学んでもらい、帰国後に母国のGXの旗振り役として活躍するための育成制度です。

そのほかにもJICAでは、途上国の経済発展を目指した民間企業の育成や、開発途上国の経済・社会の発展や復興を目的として、現地で技術や知識を活かしたボランティア活動がおこなわれています。

参考記事:2023年度開発協力人材育成事業

貿易の不平等への解決策

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世界中の人びとが豊かに暮らすためには、貿易の不平等への解決策も必要です。

貿易では、何をどう輸出して何を輸入するかによって格差が生まれます。

例えば、ある途上国では第一次産品の綿花を先進国に輸出していますが、その綿花を使って作った海外製の洋服を輸入しています。

加工品である洋服の価値の方が高いため、綿花を売っても儲けは出ず、債務が増えます。

これはひとつの例に過ぎず、途上国は過去に植民地だったケースが多く、先進国から不公平な貿易を迫られていました。

植民地ではなくなった今でも先進国が優位な貿易が続き、途上国は多額の債務を抱え、社会のシステムも整っていないため、国の開発も進みません。

貿易の不平等を無くすためには、先進国が自国に有利なルールを途上国に押し付けないことが大切です。

途上国の適正な貿易を助けるために、私たちができることとしてフェアトレードがあります。

フェアトレード商品は、公平・公正な貿易によって輸入された商品で、明確な基準が設けられているため、安心して購入できるのがメリットです。

主なフェアトレード商品には、コーヒー・紅茶・スパイス・加工フルーツ・オイルなどの食品のほかに、切り花やコットン製品などがあります。

途上国のサポートになることを意識して、フェアトレード商品を取り入れましょう。

参考記事:フェアトレードで世界の貧困は救えるか?

まとめ

この記事では、SDGs10不平等をなくすための解決策は?具体的事例を紹介!と題し、さまざまな具体的な事例をご紹介してきました。

SDGsを実現させるために個人でできることとして、さまざまな不平等を知り、理解することが大切です。

日本国内にも貧困世帯はあり、身近にもさまざま不平等がおきているのが現状です。

政府が講じる政策は重要ですが、私たち自身も一人ひとりが今日からできることを意識して、不平等をなくすための課題解決に取り組んでいきましょう。