ユニバーサルデザインマークは何個知っている?数や意味・歴史も理解しよう!

近年では、暮らしやすい社会にするために、誰もが使いやすいデザインであるユニバーサルデザインが広がっています。
このユニバーサルデザインを示すために「ユニバーサルデザインマーク」が作成され、さまざまな場所で使用されています。
しかし、マークは見たことがあるものの、具体的な意味についてよく知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ユニバーサルデザインマークの数や意味、歴史などについて具体的にご紹介します。ぜひ参考にしてください。
目次
ユニバーサルデザインマークとは?
ユニバーサルデザインマークとは、誰もが理解できるような図記号で、特定の場所や意味を示すためのマークです。
ユニバーサルデザインマークの「ユニバーサルデザイン」とは、「すべての人に優しいデザイン」という意味で、年齢や性別・国籍・障がいの有無に関係なく、誰もが理解できるデザインとなっています。
ユニバーサルデザインの基本的な考え方が、どんな人でも使いやすいデザインにすることで暮らしやすい社会をつくるというものであるため、ユニバーサルデザインマークは周囲の身近な場所に導入されています。
ユニバーサルデザインのマークにおける歴史
ユニバーサルデザインのマークの歴史は、1963年にデンマークで「ノーマライゼーション」というユニバーサルデザインの概念に近い思想が提唱されたことがきっかけで誕生しました。
ノーマライゼーションとは、障がい者が普通の生活を送り、権利が保障されるための環境整備を目指すための理念です。
この考え方が世界中に広まり、その後、ユニバーサルデザインにつながっていきます。
その後、アメリカで戦争による障がい者が急増した背景から、ユニバーサルデザインが提唱されました。
ユニバーサルデザインは、日本でも1990年代に広まっています。
このユニバーサルデザインの考え方に基づいて、現在までさまざまなマークが使用されています。
参考記事:日本におけるバリアフリーの歴史
ユニバーサルデザインの具体的な例は?
現在、日常生活のさまざまな分野にユニバーサルデザインが適用されています。
多くの店舗などに設置されている自動ドアはユニバーサルデザインの代表例です。
自動ドアは、ドアを開けることが困難な障がいを抱えた人や車いすを利用している人だけでなく、両手に荷物を持っている場合や子どもを連れている場合など、すべての人にとって便利な存在です。
日常生活で行う動作が省略され、誰にとっても便利になる工夫であるため、ユニバーサルデザインの原則を兼ね備えているといえるでしょう。
また、乗降口の段差を無くしたノンステップバス、誰もが快適に利用できる多機能トイレなど、公共施設などで採用されています。
ユニバーサルデザインについての他の具体例については、以下の関連記事を参考にしてみてください。
関連記事:ユニバーサルデザインの例と7つの原則とは?家や街中を探してみよう!
ユニバーサルデザインマークは何個ある?
現在、多くの種類のユニバーサルデザインマークがあります。
このユニバーサルデザインマークは、都道府県などの自治体や団体によって個別にマークが存在するため、その種類と数は多く存在しています。
例えば、障がい者に関連するユニバーサルデザインマークとしては、障がい者が日常生活を送りやすくするためのものや、配慮を求めるためのもの、障がいがあることを知らせるためのものなどです。
どれもシンプルでわかりやすいデザインのマークとなっていますが、団体によってデザインが異なるため、気になるマークについて、意味を理解しておくようにしましょう。
代表的なユニバーサルデザインマークの一覧と意味

現在では、さまざまな種類のユニバーサルデザインマークが存在しますが、そのなかでも代表例なものとして、以下のマークについて解説します。
- ヘルプマーク
- マタニティマーク
- 耳マーク
- ほじょ犬マーク
- 国際シンボルマーク
街中などで見かけることが多いマークですので、意味を理解しておくといいでしょう。
ヘルプマーク
ヘルプマークとは、援助や配慮が必要な障がい者や病気の方などが、日常生活や災害時などの困ったときに周囲に示すことで、支援や理解を得られやすくするためのマークです。
もしヘルプマークをつけている方がいれば、支援を必要としているため配慮するようにしましょう。
電車やバスの中では席を譲り、駅や商業施設などではどのような支援が必要か声をかけましょう。
また、災害時は、安全に避難することが難しい場合があるため、避難のサポートをするなどの援助が必要です。
このようにヘルプマークは、見た目では支援が必要かどうかわかりにくい場合に身につけておくことで、サポートが得られやすくなります。
マタニティマーク
マタニティマークとは、妊産婦が公共交通機関などを利用する際に身につけておくことで、周囲に妊産婦であることを認識してもらい、配慮を得やすくするためのマークです。
また、交通機関や飲食店、職場、公共機関などが、この取り組みや呼びかけについてポスターなどで示すことで、妊産婦にやさしい環境構築を推進するという目的もあります。
妊産婦は時期によっては外見でわかりにくいため、マタニティマークをつけておくことで、周囲から配慮してもらいやすくなります。
マタニティマークをつける時期に決まりはなく、妊娠がわかった時からつけても問題ありません。
もしマタニティマークをつけている人を見かけたら、電車やバスの席を譲ったり、周囲での喫煙を避けたりといった配慮を心がけましょう。
耳マーク
耳マークとは、耳が不自由なことを表すと同時に、聞こえない人・聞こえにくい人への配慮をうながすためのマークです。
耳が聞こえない・聞こえにくい人は、外見からはわかりにくいため、誤解されたり不利益を被ったりなど、日常生活で多くの困難があります。
耳が不自由なことが周囲にわかれば、配慮をしてもらうことが可能です。
そのため、耳が不自由であるという自己表示が必要であることから、耳マークが考案されました。
もし耳マークをつけている人を見かけた場合は、ゆっくり話すことや筆談をするなどの配慮をしましょう。
ほじょ犬マーク
ほじょ犬マークは、補助犬について広く理解してもらうために作られたマークです。
現在、すべての公共施設や交通機関、ホテルやレストランなどの民間施設では、身体障がい者が補助犬を同伴することを受け入れる義務があります。
ただ、補助犬の同伴の義務については周知されていないケースがあるため、この「ほじょ犬マーク」が作られました。
このマークは、店舗などに貼られていることが多いのですが、マークがない場所であっても補助犬の同伴は可能です。
補助犬はペットではなく、訓練されたうえ、衛生面も管理されています。
マークの有無に関係なく、補助犬を同伴している方には援助が必要な場合があります。
もし困っている場合は、どのような支援が必要か尋ねてみましょう。
国際シンボルマーク
国際シンボルマークとは、障がい者が利用できる建築物・施設であることを明確に示すための世界共通のマークです。
国際シンボルマークには、「障害者のための国際シンボルマーク」と「盲人のための国際シンボルマーク」があります。
「障害者のための国際シンボルマーク」は、障がい者が利用できる建物・施設に表示されているマークです。
マークのデザインは車いすですが、車いすの方だけではなく、すべての障がい者が対象です。
「盲人のための国際シンボルマーク」は、視覚障がい者に配慮した建物・設備・機器に表示されているマークです。
例えば、このマークがある押しボタン信号機は、青信号の時間を長くするものがあります。
参考記事:障害者に関係するマークの一例(内閣府)
街中にあるシンボルデザインマーク
現在、街中にはユニバーサルデザインマークの他にも、さまざまなシンボルデザインマークが存在します。
ここでは、そのシンボルマークのなかから、以下をご紹介します。
- 駐車スペース
- 赤ちゃんの駅
- 運転者のマーク
それぞれのマークには、意味と必要な配慮があるため、理解しておくようにしましょう。
駐車スペース
街中の店舗などの駐車場には、駐車スペースのマークがつけられている場合があります。
特に、スーパーやショッピングモールでは、障がい者が乗り降りしやすいように、広めの駐車スペースに車いすがデザインされたマークが設置されています。
このマークが設置されている駐車場は、スペースが空いていても、障がいがない方は利用を控えましょう。
また、障がい者用の駐車スペースの他に、「思いやり駐車場」「ゆずりあい駐車場」などの名前の駐車スペースを設置している自治体があります。
こちらも障がい者用の駐車スペースと同様に、乗り降りが困難な高齢者や妊産婦などのために、確保された広いスペースです。
参考記事:兵庫ゆずりあい駐車場について
赤ちゃんの駅
赤ちゃんの駅は、乳幼児を抱える保護者が気軽に外出できるようにするため、授乳やオムツの交換などで立ち寄ることができる施設です。
この「赤ちゃんの駅」であることを示すマークがあります。
赤ちゃんの駅には、授乳のための場所とオムツ交換のための場所の2つがあり、どちらか一つを提供している施設と、両方を提供している施設があります。
赤ちゃんの駅は、各自治体により指定されており、マークのデザインも自治体によって異なります。
共通のデザインはありませんが、わかりやすい見た目です。
対象施設にはマークが表示されていますが、詳細については自治体などで確認しましょう。
参考記事:赤ちゃん・ふらっと(千代田区)
運転者のマーク
運転者のマークとは、対象となる運転者の自動車につけることが義務化されているマークです。
代表的なものに、「初心運転者標識(初心者マーク)」「高齢運転者標識(高齢運転者マーク)」があります。
「初心運転者標識(初心者マーク)」は、いわゆる若葉マークで、自動車免許の取得後から1年以内の運転者がつけるマークです。
「高齢運転者標識(高齢運転者マーク)」は、もみじマークと呼ばれていたもので、年齢が70歳以上の運転者がつけるマークです。
運転者のマークには他にも、聴覚障がいがある運転者がつける「聴覚障害者標識(聴覚障害者マーク)」、身体障がいがある運転者がつける「身体障害者標識(身体障害者マーク)」があります。
バリアフリーのマークとは?

バリアフリーマークとは、障がい者の安全やバリアフリーに考慮された建物・設備・機器などにつけられているマークです。
バリアフリーマークはユニバーサルデザインマークと似ている部分がありますが、ユニバーサルデザインマークはすべての人が対象であるのに対し、バリアフリーマークは主に高齢者や障がい者が対象です。
そのため、バリアフリーは「特に高齢者や障がいをもつ人を考慮したユニバーサルデザイン」とも呼ばれています。
ただ、近年ではバリアフリーの対象が「社会参加が困難であるすべての人」になってきているため、バリアフリーとユニバーサルデザインの違いが少なくなりつつあります。
参考記事:建築:建築物におけるバリアフリーについて – 国土交通省
県で取り組むバリアフリーマークの実例
バリアフリーマークは、世界共通のデザインのものがありますが、それ以外にも各市区町村や都道府県のバリアフリーマークも存在します。
実例を挙げると、岡山県では「おかやまバリアフリーマーク」を作成しています。
この「おかやまバリアフリーマーク」は、岡山県民が全員でバリアフリーを進めていくためのシンボルマークです。
岡山県では、障がい者が感じているさまざまなバリアを取り除き、安全で自由に行動し、快適に生活できるバリアフリー社会の実現を目指しています。
「おかやまバリアフリーマーク」は、この運動を促進するためのマークとなっています。
参考記事:3つのバリアフリー – 岡山県ホームページ(障害福祉課)
まとめ
ここまで、ユニバーサルデザインマークの概要と種類、意味などについて解説しました。
ユニバーサルデザインマークは、誰もが理解できるような図記号によって場所や意味を示すマークです。誰もが使いやすいデザインにすることで、暮らしやすい社会をつくることが目的です。
ユニバーサルデザインマークには、「ヘルプマーク」「マタニティマーク」「耳マーク」などがあり、妊産婦や障がい者など、日常生活を送るうえで困難なことがある方を対象としています。
ユニバーサルデザインマークにはそれぞれ意味があり、必要な支援や配慮が異なります。
この意味を理解し、支援や配慮を積極的におこないましょう。