障害支援区分には目安がある?認定基準や手続き方法もわかりやすく解説!

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障害者支援区分には目安があるのかをイメージした画像

障害者支援区分には目安があり、認定された区分によって受けられる支援やサービスが異なります。

これから福祉サービスを受けようとするのであれば、自分がどの区分に該当するのか正しく把握しておく必要があります。

しかし、これから認定手続きをとる方の中には、

「どの区分に認定されて、どのようなサービスを受けられるのかわからない」

と思う方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

今回の記事では、障害者支援区分の目安や、認定基準や手続き方法もわかりやすく解説します。

ぜひ参考にしてください。

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障害支援区分とは?

障害者区分とは、障害者が必要とされる標準的な支援の度合いを総合的に示すもので、障害のレベルや状態によって1〜6段階で区分されています。

数字が大きいほど対象者への支援が必要です。

障害の特性や心身の状態には個人差があり、なかには医療的支援が必要な方もいます。

障害支援区分は、支援が必要となる程度の総合的な判断基準となっていて、福祉サービスを受けるためには認定が必要です。

もともとは「障害程度区分」と呼ばれていましたが、課題を見直したうえで「障害支援区分」に改められ、2014年4月から施行されました。

申請は市区町村ごとにおこなわれ、さまざま認定調査項目があります。

参考記事:障害支援区分|厚生労働省

障害支援区分の目的は?

障害者支援法では「障害の有無に関わらず、皆が地域社会で分け隔てなく生活すること」を実現させるために、障害福祉サービスを充実させ、日常生活と社会生活を総合的に支援する制度を定めています。

障害支援区分は、障害者個人に対して支援がどの程度必要なのかを判断する指標となっています。

日常生活で社会福祉サービスを受けたいと思ったときには、障害者支援区分認定を受けなければいけません。

その際、認定調査員は、障害者支援区分の分類を参考にしながら判定します。

障害支援区分は、障害者の方が生活に必要な支援を受けるためにとても大切な役割を果たします。

障害支援区分の対象者は?

障害支援区分の申請ができる対象者は、下記にあてはまる方です。

  • 身体障害者

障害者総合支援法では、身体障害者手帳を交付されている18歳以上の人とされています。

  • 知的障害者

知的障害は法律によって明確に定義されておらず、知的障害者は精神障害者と同じ区分に入ることがあります。

実際に市区町村の窓口に相談、申請し、障害支援区分の範囲に入れば支援サービスを受けることができます。

  • 発達障害者

発達障害者支援法による規定では、自閉症やアスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥・多動性障害、その他の脳機能の障害をもつことが発達障害にあたるとしています。

障害者手帳のような書類の交付は条件としていません。

  • 精神障害者

精神保健および精神障害者福祉法では、統合失調症や何らかの精神作用物質による急性中毒もしくは依存症をもつ人と定義されています。

さらに、知的障害や精神病質、その他の精神疾患をもつ人もふくまれ、精神障害者保健福祉手帳が交付されているかどうかは関係ありません。

  • 8歳に満たない児童で、身体・知的・精神に障害のある方
  • 18歳以上で障害者総合支援法で指定されている難病患者

さらに、厚生労働省が指定する難病によって障害がある方にも適用されます。

参考記事:障害者総合支援法における「障害支援区分」|厚生労働省

障害支援区分認定の手続きをわかりやすく解説!

障害支援区分認定のためには、市区町村の担当窓口へ申請をして、認定調査を受ける必要があります。

区分認定は、訪問調査や医師の意見書などから総合的に判定されます。

審査する側へ向けたマニュアルはありますが、判定は総合的に決定するため、申請希望者が「この症状ならこの区分」と自己判断できるものではありません。

認定調査では、身体や精神の状態についての聞き取り、医師の意見書、そしてそれぞれの個人の状態や特記事項などをふまえて市町村審査会で審査がおこなわれます。

次の項目では、障害支援区分認定までの流れをわかりやすく解説しているので、参考にしてください。

障害支援区分認定までの流れ

障害支援区分認定手続きは、対象者の住む市区町村の窓口でおこないます。

障害支援区分認定を受けるには、主治医の意見書が必要になるため、あらかじめ受診しておくと申請がスムーズに進みます。

認定までの流れは、以下を参考にしてください。

  1. 市区町村の窓口へ申請
  2. 認定調査員による認定調査
  3. 一次判定
  4. 二次判定
  5. 市区町村による認定

障害者支援区分認定の申請は、障害者ご本人または障害児の保護者がおこないますが、代理人による申請も可能です。

市区町村の窓口で申請をすると、認定調査員が自宅に訪問し、聞き取りや行動の調査をおこないます。

その後、認定調査の結果と主治医の意見書をもとに、コンピュータの一次判定、市町村審査会による二次判定がおこなわれるので、認定までは約2ヵ月ほどかかるケースもあります。

参考記事: 障害者総合支援法における「障害支援区分」の概要

障害支援区分の判定方法や認定基準は?

障害支援区分の判定方法や認定基準のイメージ画像

障害支援区分は、以下の5つの項目に沿って認定調査をおこない判定をします。

  • 移動や動作などに関連する項目(12項目)

寝返りや立ち上がり、歩行ができるか・着替えができるか・床ずれができていないか・飲み込みはできるかなど

  • 身の回りの世話や日常生活などに関連する項目(16項目)

食事の状況・排せつの状況・入浴の状況・掃除や洗濯、買い物はできるか・日常の意思決定・危険の認識・電話や交通手段の利用など

  • 意思疎通などに関連する項目(6項目)

視力・聴力・コミュニケーション・読み書き・感覚過敏・感覚鈍麻など

  • 行動障害に関連する項目(34項目)

昼夜逆転・こだわり・多動・行動停止・集団への不適応・水中毒になるほど水を飲み過ぎていないか・自傷、他傷行為など

  • 特別な医療に関連する項目(12項目)

透析・酸素療法・経管栄養・モニター測定など

参考記事:認定調査員マニュアル|厚生労働省

このような内容は、障害の特性、対象者の調査時の意欲、慣れていない状況や場所などが理由でいつもできることができない状態をふくめて判断されます。

基準となる80項目と医師の意見書により、認定調査員マニュアルに示された基準で認定の可否が決定されます。

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障害支援区分の目安はどれくらいの状態?

障害支援区分は、区分1〜区分6に分類され、数字が大きくなるほど障害の程度が大きいとされています。

しかし、どのくらいの状態で該当するのかという目安は、明確な基準が定められていません。

たとえば厚生労働省では、区分1・2を以下のように定義しています。

  • 認定調査の結果や医師意見書により確認された「申請者に必要とされる支援の度合い」が、これまでに「区分1」と判定されるケースが最も多い状態像に相当する場合
  • 認定調査の結果や医師意見書により確認された「申請者に必要とされる支援の度合い」が、これまでに「区分2」と判定されるケースが最も多い状態像に相当する場合

このように、定義といっても具体的な状態の説明がなされていないので、最終決定は担当者の裁量によって決定されます。

そのため、認定者はこれまでの申請者の状態像から判断することもあるようです。

知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者で認定の傾向が異なるとされ、障害支援区分の審査判定実績によると以下のようになります。

  • 知的障害者

知的障害者は重度の判定を受ける傾向が強く、区分5と区分6に該当する障害者のうち半分ほどを占めている

  • 精神障害者

区分2・区分3がほとんどであり、どちらかというと軽度の判定を受けやすい

基本的には回復可能な疾患が多く、見た目では生活困難な状況がわかりにくいため、重度の判定にはなりにくい

  • 身体障害者

区分4~6が非常に多く、重度の判定を受けやすい

身体障害者は外見的または内臓に障害があり、明らかに障害が存在して生活に支障があるとわかりやすく、重度の判定になりやすい

  • 難病患者

病気によって体の内部に明らかな異常が起こっており、医師の診断によって生活が困難であることがわかりやすく、区分3~6になりやすい

障害支援区分の重度とは?

障害支援区分の重度に分類されるのは、区分6に該当する「意思疎通に著しい困難を有する者」で、このように定義されています。

  • 重度訪問介護の対象者であって、四肢すべてに麻痺などがあり、寝たきりの状態である障害者のうち、以下のいずれかに該当する方。
Ⅰ類型人工呼吸器による呼吸管理をおこなっている身体障害者(筋ジストロフィー・ALSなど)
Ⅱ類型最重度知的障害者(重症心身障害者など)
Ⅲ類型障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目の合計点数が10点以上である方

このように、常に介護が必要な知的障害者や身体障害者、難病患者は重度に分類されることが多いです。

障害支援区分の非該当とは?

障害支援区分は、程度が軽いものから1〜6へと上がっていきます。

障害支援区分1が最も障害の程度が軽く、6が最も重いです。

この6つのほかに「非該当」とよばれる区分があり、 非該当と判断された場合、支援の必要性が低いとみなされ、受けられる障害福祉サービスが制限されます。

認定調査員マニュアルでは、非該当を以下のように定義しています。

  • 非該当

認定調査の結果や医師意見書により確認された「申請者に必要とされる支援の度合い」 が、これまでに「非該当」と判定されるケースが最も多い状態像に相当する場合

非該当は、区分1よりも症状が軽度とみなされ、支援の必要性が低いということになるため、受けられる障害福祉サービスが制限されます。

障害福祉サービスでは障害支援区分認定が重要

障害福祉サービスで重要な障害支援区分認定のイメージ画像

障害者が日常生活を送るにあたって利用する障害者福祉サービスでは、障害支援区分認定が重要とされています。

それは、障害支援区分によって、受けられる福祉サービスの内容が異なるからです。

例えば障害者グループホームを利用する場合、施設によって対象となる区分が異なるため、事前に役所などに確認しておきましょう。

さらに、障害支援区分によって、受けられる給付金もあるので、あわせてご確認ください。

障害支援区分認定を受けることで申請できる自立支援給付

障害支援区分認定を受けることで、利用する福祉サービスの費用の一部を行政が給付する自立支援給付を申請できます。

自立支援給付は、国が定めるルールにしたがって、障害に関する医療や福祉サービス、福祉用具などの費用が給付されます。

  • 介護給付
  • 訓練等給付
  • 自立支援医療
  • 補装具支援制度
  • 相談支援

このような支援を受けるためにも、障害支援区分認定を受けることが大切です。

障害支援区分認定から自立支援給付までは数ヵ月かかるケースが多いため、希望される方は早めの申請がおすすめです。

自立支援給付は障害者総合支援法の定めるサービスのひとつで、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

関連記事:障害者総合支援法とは?サービスの種類や対象者・目的なども簡単にわかりやすく解説!

障害支援区分の有効期間は?

一度認定された障害支援区分の有効期間は3年とされています。

市町村審査会は、現在の状況がどの程度継続するか、などの観点から以下に該当する場合、認定の有効期間を3ヵ月から3年の範囲内で短縮することができます。

  • 身体上または精神上の障害の程度が変動しやすい状態にあると考えられる場合
  • 施設から在宅に移るなど、置かれている環境が大きく変化する場合
  • その他、審査会が特に必要と認める場合

有効期限以降も、引き続きサービスを希望する際は、再度、障害支援区分認定調査をおこなう必要があります。

参考記事:障害程度区分の有効期間について|厚生労働省

障害支援区分の目安はシュミレーションでわかる?

これから障害者支援区分の申請をする予定の方が活用できるツールとして、事前にシュミレーションで目安を確認できるサイトもネット上には存在します。

認定調査の資料をもとに作成されたシュミレーションサイトで、障害の程度を回答していくと、認定区分の目安がわかります。

参考記事:障害支援区分シミュレーション

しかし、こちらのシュミレーション結果は、目安にはなりますが確約された結果ではないので、あくまでも参考程度にしてください。

申請の前に確認したい場合は、専門機関に相談することをおすすめします。

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まとめ

今回の記事では、障害支援区分の目安や認定基準を詳しくご紹介しました。

障害者区分は区分1〜6に分類され、数字が大きくなるほど障害の程度が大きくなります。

どの区分に分類されるかは、申請をしてから、認定調査や医師の意見書によって判定が下されます。

どのような福祉サービスを受けられるのかは、この判定をもとに決定するため、障害者支援区分認定はとても大切です。

有効期限は3年と定められているので、期間に注意し、延長する場合は再度認定調査をおこなう必要があります。

認定の目安は、市区町村や担当者によっても異なるため、専門機関に確認しながら申請を進めてください。