SDGs1の日本の取り組み事例を紹介!世界の貧困問題の要因や企業にできることとは

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SDGs1とは、SDGsの17ある目標のうち1番目の目標「貧困をなくそう」のことをいいます。

ここでいう貧困とは、「絶対的貧困ライン」といわれる極度に貧しい暮らしのことです。

SDGs1に対し、日本の取り組みには、どのような事例があるのでしょうか。

また、世界ではどのような要因により貧困問題が生じているのでしょうか。

本記事では、SDGs1に対する日本の取り組み事例や、企業にできることをご紹介します。

日本のSDGs1の取り組み事例

SDGs1の「貧困をなくそう」は、2030年までに世界で「極度に貧しい」暮らしをしている人をなくすための目標です。

「極度に貧しい」の国際的な基準は、1日あたりに使えるお金(生活に不可欠な衣食住のほか、薬代などにかかるお金も含む)が2.15米ドル(2024年8月現在 約315円)未満の人です。

参考記事:(日本ユニセフ協会)世界中のあらゆる形の貧困をなくそう

世界中から「極度に貧しい人」をなくすためには、外国からの支援に頼らず、その国自体のサービスやインフラを整える必要があります。

さまざまな取り組みによって、世界の「極度に貧しい」生活を送る人の割合は減少傾向にありますが、すべての貧困問題が解消されたわけではありません。

むしろ、先進国では富の集中による格差が拡大傾向にあります。

日本も例外ではなく、全国で生活保護を受けている人の数は約204万人に上り、生活困窮に至る大きな要因には「ひとり親の貧困」があります。

日本のSDGs1の取り組み事例として、生活保護の支給などによる支援のほか、自立支援にも力を注いできました。

その結果、ひとり親世帯の生活保護受給者数は2015年3月をピークに減少傾向に転じています。

一方で、高齢者世帯の受給者は増加傾向にあるため、今後さらなる対策が必要です。

参考記事:(厚生労働省)生活保護制度の現状について

世界のSDGs1の取り組み事例

貧困には大きく分けて、基本的な衣食住を満たせない「絶対的貧困」と、住んでいる国の生活水準と比較して判断する「相対的貧困」の二つがあります。

世界では、特に発展途上国における絶対的貧困に対してさまざまな取り組みがおこなわれています。

世界のSDGs1の取り組み事例のひとつが「フェアトレード」です。

フェアトレードの目的は、安全かつ適正な賃金での労働と、環境に配慮した製品作りです。

近年は、「フェアトレード」認証を受けた製品は、国内でも多く目にするようになりました。

私たちが消費者としてフェアトレード製品を購入することも、こうした取り組みの推進に役立ちます。

また、国際労働機関(ILO)では、労働条件の改善や社会保障などの国際労働基準の策定、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)実現への取り組みがなされています。

参考記事:(厚生労働省)日本とILO

世界の貧困問題で最も大きな要因は?

世界の貧困問題で最も大きな要因として考えられるのは、収入が少ないことです。

収入が少ない理由はいくつか考えられますが、開発途上国では、経済的な理由から十分に教育を受けられず、その結果、仕事を選べない人たちがいます。

また、世界では多くの紛争や災害が起きていて、それらの有事によって収入の道が断たれてしまうケースも少なくありません。

世界で教育を受けられない子ども(5歳~17歳)の数は約3億300万人で、そのうちの3分の1以上は、紛争や災害の影響を受ける国で暮らしています。

貧困は単純な経済的側面ではなく、環境・教育・医療など、さまざまな要因が重なっていることがわかっているため、貧困を解決するためには多角的なアプローチが必要です。

参考記事:(ユニセフ)世界の就学状況報告書

貧困状態で生活している人は何人いる?

貧困を測る指標として代表的なもののひとつに「国際貧困ライン」があります。

「国際貧困ライン」は、以前は一日あたり1.90米ドル(約289円)でしたが、2022年に改定され2.15米ドル(約327円)に引き上げられました。

参考記事:ユニセフ・世界銀行 新たな推計公表

この国際貧困ラインを下回る生活水準で暮らす深刻な貧困に陥っている人の数は、約11億人に上ります。

この調査の対象となったのは、発展途上国の110ヵ国、61億人で、これは発展途上国の人口の92%に相当する人数です。

MPIとは、UNDPとOPHIが2010年人間開発報告書において導入した、貧困を多面的に捉えるための指数です。

通常は金銭的な観点からのみ貧困が定義されますが、このMPIでは教育・健康・生活水準の3つの次元に含まれる具体的な指標項目に重み付けをして算出された点数が基準値よりも高い場合に貧困と定義されます。

MPIは国家間の比較も可能です。

深刻な貧困を抱える11億人のうちの半分は、サブサハラアフリカに暮らす人々です。

子どもの貧困率は27.7%で、貧困層の84%は農村部に暮らす人々で占められているという結果になりました。

また、長期間の比較が可能な国のデータを分析した結果によると、15年間でインド・中国・インドネシアなど25ヵ国においてMPIが半減したという結果も出ています。

参考記事:世界多次元貧困指数(MPI)報告書|国際農研

具体的な数値目標は?

SDGsの具体的な数値目標のひとつ目は、「絶対的貧困」を2030年までに世界全体で3%まで減らすことです。

また、同じく2030年までに「すべての途上国で所得の下位40%の人々の所得拡大を促進する」としています。

世界中の国々で、さまざまなSDGsの取り組みがおこなわれていますが、世界の貧困状況はどのように変化しているのでしょうか。

1990年の貧困層の人口は18億9500万人ほどでしたが、2015年には7億3400万人まで減っています。

貧困層は年々減り続けてきましたが、新型コロナウィルスによるパンデミックの影響で、2020年はここ20年以上で初めて貧困層が増加に転じました。

参考記事:(世界銀行)「新たな貧困層」10人の内、8人は中所得国に集中

SDGs1のターゲット

SDGs1の目的は「貧困をなくす」ことです。

SDGグローバル指標によって7つのターゲットが決まっています。

それぞれの国が、7つのターゲットに取り組むことによって、具体的な数値目標の達成を目指します。

7つのターゲットのうち5つは、国内の貧困に対する取り組みで、残りの2つは後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対する取り組みです。

開発途上国に対する具体的な取り組みは、対象となる国によって適切な支援を見極め、開発協力の強化や金銭的援助をおこないます。

貧困をなくすために必要なサービスには、教育・健康・社会的な保護などが挙げられますが、開発途上国においてこれらのサービスが根付くことを目指します。

参考記事:JAPAN SDGs Action Platform | 外務省

下記のリンクでは、SDGグローバル指標によるSDGs1の7つのターゲットを具体的にご紹介しています。

貧困に苦しむ国々の共通する問題や、世界の貧困の現状などについてもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:SDGs1のターゲットを一覧でわかりやすく紹介!現状や貧困がなくならない原因とは

世界の所得レベルとは

「先進国」と対になる言葉として「開発途上国」がありますが、貧困状況は「貧しい」と「裕福」など、単純に二分化できるものではありません。

世界の所得レベルは、医師であり統計の達人として知られるハンス・ロスリングの2018年の著書「FACTFULNESS」に基づき、所得水準を4つのレベルに分けて考えます。

ここからは、具体的にどのような所得レベルに分けられているのかをご紹介します。

レベル1

現在の国際貧困ラインは、1日あたり2.15米ドル(約327円)に設定されており、レベル1はこの金額未満で暮らす人を指します。

電気や水道などのインフラ整備が進まず、人間らしく生きるために最低限必要な生活水準を維持できていない国が「低所得国」です。

低所得国で暮らす人は、約8億人です。

サブサハラアフリカ地域などが低所得国に該当しますが、低所得国の割合は1987年の30%から、2022年には12%までに減少しています。

参考記事:(世界銀行)世界銀行グループ加盟国の所得水準別分類-2024年度

レベル2

1日あたり3.65米ドル(約556円)未満で暮らす人が多い国を「下位中所得国」といい、インド、フィリピン、ウズベキスタンなどが低中所得国に含まれます。

レベル2の人口は、世界で最も多く26億人います。

レベル2は、最低限暮らせる環境が整い、飢えを感じることなく食べられる健康的な暮らしが送れている状況です。

しかし、「下位中所得国」であっても、コロナ禍やウクライナ紛争などによる物価上昇によって、衣食住を十分に確保できない「低所得国」に転じる可能性が懸念されています。

参考記事:(特定非営利活動法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパン)世界の貧困問題

レベル3

レベル3は「上位中所得国」といわれ、1日あたり6.85米ドル(約1,043円)で暮らしています。

基本的なインフラが整った環境で、移動手段にも車やバイクを使えるほど、生活にゆとりがあって不自由なく暮らせる水準です。

レベル3は、レベル2に次ぐ2番目に多い割合で、世界に24億人います。

中国・マレーシア・タイ・トルコなどが含まれ、ある程度、国内の工業化が進んだ国や地域を中心に50以上の国・地域で構成されています。

レベル4

1日あたり32米ドル(約4,872円)以上の収入がある国が「高所得国」です。

G7諸国やユーロ圏諸国など、いわゆる先進国とされる国々が多く含まれ、約10億人がレベル4に属します。

その人口の割合は、レベル1と同じくらいになります。

多くの人々が車を所有するなど生活には余裕があり、さらに教育や医療・保険などの基本的なサービスが整っている状態です。

SDGs1への企業の取り組み事例

SDGs1の企業の取り組み事例をイメージした画像

「貧困」と聞くと、「低所得国」や「開発途上国」のワードを思い浮かべるかもしれませんが、先進国と呼ばれる日本でも、経済格差によって相対的貧困に陥っている人々がいます。

厚生労働省が2023年7月に公開した「国民生活基礎調査」によると、日本の相対的貧困率は15.4%で、先進国では最悪の結果となりました。

参考記事:(厚生労働省)国民生活基礎調査

相対的貧困率の結果から、先進国においても貧困はすぐ身近に存在します。

この状況を解決するためには、企業をはじめ社会全体で取り組んでいくことが重要です。

SDGs1の目標に対する企業の取り組み事例を、各項目ごとに紹介しますので参考にしてください。

社会的保護関連

日本では、社会的保護に関連するサービスやビジネスが進んでいます。

貧困層向けのサービスもさまざまに展開され、貧困から抜け出すための支援がおこなわれています。

特に日本では、コロナ禍などによって経済格差が増えていることもあり、家庭の経済環境によっては、高校や大学などの中退や進学をあきらめざるを得ない子どもたちがいるのが現状です。

参考記事:(大阪府)若者の貧困

学校に満足に通えなかった子どもたちは、社会に出ようにも仕事に就くのが難しい現実があります。

また、学校を卒業して社会人になっても、奨学金などの返済に追われ、生活に困窮する若者も少なくありません。

こうした若者たちに向け、職業訓練などの自立支援が行われています。

保険

日本では生活困窮状態にあっても、健康保険や制度によって高い医療を受けられる環境にあります。

しかし社会には、貧困が原因で満足な食事ができないなど、深刻な栄養不足に陥る子どもも少なくありません。

こうした子どもたちに食料を寄付したり、寄贈したりするNPO法人などが設立され、多数の企業がこれを支援する形で成り立っています。

参考記事:特定非営利活動法人セカンドハーベスト・ジャパン

また、給食事業(学校・医療機関・介護施設など)を展開し、高齢者・障がい者などの雇用を積極的におこなう企業もあり、あらゆる面から人々の健康的な生活をサポートします。

教育

貧困から抜け出し、不自由なく生活するためには、一定以上の収入を得る必要があります。

しかし、教育が不足していると、満足な収入を得られない傾向があります。

教育分野において、近年はインターネットを通じて、通信教育やテキスト販売などのサービスを手がける企業も増えてきました。

これらのサービスを利用することにより、手頃な価格で学習したり、資格を取得できます。

教育の分野では、あらゆる人が専門知識を得たり、スキルアップを図れるようなサービスが提供されています。

フェアトレード

「フェアトレード」という言葉が世の中に浸透しつつありますが、日本でも「フェアトレード認証」を受けた商品を見かける機会が増えました。

日本では、バナナやコーヒーなど、海外から輸入されているにも関わらず、手頃な価格で購入できるものが多くあります。

しかしその安さは、それらを生産する開発途上国の生産者に対して、正当な対価が支払われていなかったり、生産性を上げるために多量の農薬を使うことで成り立っています。

このような問題を解決するにあたり、開発途上国の原料や製品の適正な価格での購入を目的に「フェアトレード認証」が設けられました。

日本国内でも、多くの企業が「フェアトレード認証」に登録し、開発途上国の発展を支援しています。

参考記事:フェアトレード・ジャパン

雇用

開発途上国では、5歳~17歳までの子どものうち、5人に1人が労働を強いられています。

このような子どもたちに学習する機会を与えるためには、子どもたちが働かなくても済むよう、大人たちの雇用環境を整備しなければなりません。

開発途上国の雇用環境を改善するためには、新たな産業が必要です。

先進国の企業は、開発途上国に自社製品を製造するための工場を建設し、現地で労働者を雇用します。

大人が安定した収入を得ることにより、貧困状況から脱出でき、家族全員が健康的な生活を送ることができ、子どもたちは教育を受けられるようになります。

金融サービス関連

先進国など多くの国々には銀行システムが存在し、ほとんどの人々が銀行口座を持っています。

しかし、開発途上国には銀行口座を持っていない人が多く、ビジネスを展開したくても融資すら受けられない状況です。

金融サービスがないことは、貧困にも大きな影響を与えています。

これを解消するための取り組みとして、小口金融サービス(マイクロファイナンス)を展開する企業が増えています。

小口金融サービスは簡単にいうと、資金のない人でもビジネスのチャンスを得られるように融資をおこなうサービスです。

一定のグループに対して連帯保証を課して融資をおこなうグラミン方式を採用しています。

参考記事:(独立行政法人 国際協力機構)貧困緩和とマイクロファイナンス

SDGs1への支援団体の取り組み事例

日本国内には、生活に困窮し生活保護を受給している人が約204万人います。

以前は生活保護を受給するのは母子世帯が多かったのですが、近年は高齢者世帯が増えている状況です。

生活保護を受ける背景は個々に違いますが、生活が困窮する原因には、物価の上昇や単身世帯の増加などが考えられます。

この状況を解消するために、SDGs1に対するさまざまな取り組みが必要です。

ここからは、支援団体がおこなう主な取り組み事例についてご紹介します。

モノの支援

国内の生活困窮者を対象にした食料の提供をおこなうフードバンクを運営する団体があります。

フードバンクは、まだ食べられるのに賞味期限が近いことやパッケージの印字ミスなどによって廃棄される食品を、困っている人に提供する仕組みです。

行政と連携して運営している場合もありますが、支援団体の多くは運営のほとんどをボランティアでまかなっています。

フードバンクが主に食料を提供する先は「子ども食堂」をはじめ、福祉施設や福祉団体などです。

子ども食堂は、自治体や民間によって運営されていますが、現在では、全国9,000ヵ所以上に設置されています。

フードバンクがあることによって、食に困っている人たちに食料が供給されるだけではなく、食品ロスを減らすことにもつながっています。

参考記事:(むすびえ)こども食堂について

教育支援

日本は先進国でありながら、相対的貧困率や子どもの貧困率は上がる傾向にあります。

子どもがいる現役世帯の貧困率は14.6%で、その半数の世帯が大人1人で子どもを育てている家庭です。

参考記事:(厚生労働省)貧困率の状況

さまざまな支援制度により、ひとり親世帯でもなんとか生活ができるようになってきてはいます。

しかし、勉強をしたくても塾や習い事に通うほどの余裕がなかったり、修学旅行へ参加することもままならない家庭が存在するのも事実です。

経済格差は学歴格差につながり、貧困家庭の子どもたちが学べる環境を整えない限り、負の連鎖は断ち切れないと考えられています。

子どもたちの負の連鎖を断ち切るために、教育を支援する団体もあります。

参考記事:全国子どもの貧困・教育支援団体協議会

食育支援

食育支援活動をおこなう支援団体では、子ども食堂のサポートをはじめ、一人暮らしの高齢者のための配食活動など、食に関するあらゆるサポートをおこなっています。

配食活動は、健康的な食事を届けるのと同時に、高齢者の安否確認にもつながっています。

一般企業や行政などから、食料などの寄付を募るだけでなく、活動に協力してくれる団体などを募り、連携した支援をおこなっているのが特徴です。

また、食育教室や料理教室などをはじめ、来たい人が自由に出入りできるコミュニティカフェやコミュニティレストランの運営も手掛けています。

単に食に関する支援をおこなうだけでなく、あらゆる世代の人が気軽に交流できる環境を整えるなど、孤独に陥る人を防ぐ活動に力を注いでいます。

参考記事:全国食支援活動協力会

居場所づくり

家庭内や学校生活において、複雑な困難に陥る子どもたちの存在があります。

例えば、親の帰宅時間が遅いため、学校から帰宅後の長い時間を一人で過ごす子どもたちがいます。

また、さまざまな家庭環境により、家庭内に安心して過ごせる居場所がなく、困難を感じている子どもも少なくありません。

困難な状況が続く子どもたちは、自分の将来を前向きに考えることができない可能性があります。

そういった子どもたちが安心して過ごせる「第三の居場所」を提供し、サポートしている団体があります。

「第三の居場所」は、学習サポートや正しい生活リズムの指導などを通じて、基本的な生活習慣を身につけられる場所です。

また、保護者が頼ることができる個別相談にも対応しています。

参考記事:(日本財団)子ども第三の居場所

貧困問題に取り組む日本企業とその具体例

貧困問題に取り組む企業をイメージした画像

SDGs1の貧困問題は、政府をはじめ自治体だけでなく、民間の団体や企業などすべての人が取り組むことで解決していきます。

現在、多くの日本企業がSDGsの実現に向けてさまざまな取り組みをおこなっています。

貧困は開発途上国に見られる絶対的貧困と、先進国でも起こりがちな相対的貧困があり、貧困に陥る背景や要因は、複数存在します。

食料や物を寄付するという方法だけでは根本的な解決に至らないため、問題の原因をしっかり見極めて対策を講じることが重要です。

ここでは、貧困問題に取り組む日本企業と具体例をご紹介しますので、参考にしてください。

パナソニックホールディングス

パナソニックホールディングスでは、「Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGs」によって、貧困問題に取り組むNPOやNGOを対象に助成をおこなっています。

「海外助成」と「国内助成」の2つのプログラムの募集をおこない、募集対象となるのは、設立から3年以上の非営利組織です。

各プログラムには「組織診断からはじめるコース」と「組織基盤強化コース」があります。

「組織診断からはじめるコース」は、組織診断から組織の優先課題と解決の方向性を明らかにし、組織基盤強化計画の立案と実施をおこなうコースです。

既に優先課題と解決の方向性が明らかになっている組織や、2年目以降の組織は「組織基盤強化コース」で、具体的な組織課題の解決や組織運営の改善に取り組みます。

参考記事:SDGsへの取り組み|パナソニックホールディングス

株式会社ジモティー

株式会社ジモティーの経営理念は「地域の今を可視化して、人と人の未来をつなぐ」です。

経営理念に基づき、SDGsの実現に向けた取り組みをおこなっていますが、その一環として、グラミン日本のコーポレートサポーターに加盟し、説明会への送客に協力しています。

グラミン日本は、特定⾮営利⾦融法⼈の免許を取得した貸金業をおこなう一般社団法人です。

困窮するシングルマザーなどを対象に「マイクロファイナンス」や「就労支援」などのサービスを通じて、女性の自立をサポートしています。

「就労支援」は、企業・団体・自治体などと協力しておこなうプログラムです。

参考記事:グラミン日本

また、ジモティーでは協賛企業から支援物資を募り、ひとり親家庭を優先に物品の受け渡し会をおこなうなど、継続的なひとり親支援を続けています。

参考記事:SDGsに関する取り組みについて|株式会社ジモティー

クラウドクレジット株式会社

クラウドクレジット株式会社は、海外の事業者と投資家を結ぶ金融系企業です。

SDGs1の取り組みとしては、マイクロファイナンス機関への融資をおこなっています。

マイクロファイナンス機関は、低所得者や貧困層の生活向上や自立を目的とし、少額の融資をおこなう機関のことです。

クラウドクレジット株式会社が「ペルー金融事業者支援ファンド」などの、海外のマイクロファイナンスへの融資をおこなうことは、貧困問題解決に寄与します。

これまで金融サービスへのアクセスがなかった中小企業や個人が融資を受けることで、自立する機会が生まれます。

参考記事:SDGs達成に向けた取り組み|クラウドクレジット

株式会社ユーグレナ

ユーグレナ社では、8つの重要な課題を特定しSDGsの実現に取り組んでいます。

ユーグレナとは、石垣島の豊富な栄養素を蓄えている微細藻類です。

ユーグレナ社では、その栄養素に着目したユーグレナ食品やサプリメントなどの開発をはじめ、健康に関わる商品の製造や販売を手がけています。

同社がおこなう「ユーグレナGENKIプログラム」は、栄養不足に悩むバングラデシュの子どもたちにユーグレナクッキーを届ける取り組みです。

さらにユーグレナ社は、グラミングループと協力して「グラミンユーグレナ社」を立ち上げ、農業を通じてバングラデシュを支援する「緑豆プロジェクト」を進めています。

緑豆は、日本ではもやしの原料などに使われていますが、その多くを輸入に頼っています。

「緑豆プロジェクト」は、日本の食料供給安定を目指すとともに、国民の大半が農業を営むバングラデシュの貧困解消と生活向上を目指す活動です。

参考記事:サステナビリティを実現するための重要課題|ユーグレナ

リコージャパン

リコージャパンでは、社員参加型の支援組織「FreeWill」を立ち上げています。

「FreeWill」は、国内外の災害(大雨、台風、地震など)による被害に対し、支援をおこなう組織です。

支援金は、参加する会員(社員)の給与と賞与の端数の拠出や寄付によって集められ、支援先については会員による推薦と運営委員の審議に基づいて決められています。

東日本大震災復興支援活動をおこなった実績のほか、国内外問わず緊急支援寄付も積極的におこなっています。

また、その他の社会貢献活動もおこなっていますが、そのひとつが「絵本プロジェクト」です。

日本の絵本に翻訳したシールを貼り、貧困や政治体制などによって絵本を一度も読んだことのないアジアの子どもたちに絵本を届ける取り組みです。

関連記事:SDGsへの貢献|リコー

SDGs1の日本の達成状況は?

世界各国のSDGsの達成度を評価した2023年度版の「Sustainable Development Report」によると、日本のSDGs達成度は166ヵ国中21位という結果でした。

SDGsの17ある目標は、それぞれ「SDGs達成」「課題が残る」「重大な課題が残っている」「大きな課題が残っている」の4段階で評価されます。

ランキングは、その総合的なスコアによって決められます。

日本のSDGs1「貧困をなくそう」の達成状況は「課題が残る」でした。

世界的にSDGs1の達成状況は停滞傾向があり、新型コロナウイルスの流行が停滞の一因となっています。

参考記事:Sustainable Development Report 2023

企業がSDGsのためにできること

世界中の企業が、SDGsの目標達成に向けてさまざまな取り組みをおこなっています。

企業によってSDGsのためにできることは異なりますが、どの企業も共通しておこなえる取り組みというのもあります。

例えば、環境保護につながるペーパーレス化・オフィスの節電・通勤手段の見直しなどは、どの企業でもできる取り組みです。

その他にも、テレワークの推進・残業時間の削減・ハラスメント教育の推進などは、どの企業も取り組むべき問題です。

この記事で取り上げている「貧困をなくそう」の達成には、ボランティア活動や慈善団体との連携や寄付などが考えられますが、企業の事業内容によって内容は変わるでしょう。

企業がSDGsに取り組む問題点

日本は、相対的貧困層と呼ばれる世帯と、それ以外の世帯の間で所得格差が拡大し続けており問題となっています。

また、日本国内での貧困状況は、居住地域によっても格差が生じているのが現状です。

特に貧困率が高いとされるのは、沖縄県・高知県・鹿児島県・徳島県で、これには賃金の低さや雇用形態などの労働環境が影響しています。

国内の貧困に対する取り組みとしては、各企業が雇用条件を見直し、所得を底上げするなどの対策が必要とされています。

さらに、国内外のSDGsへの取り組みにおいては、具体的な問題点を把握したうえで企業に適した取り組みをおこなうことが重要です。

関連記事:SDGs1『貧困をなくそう』で私たちにできることは?世界や日本の現状と取り組みを解説!

まとめ

SDGs1を達成するには、まだまだ課題が残された状態です。

企業は、ほかの企業や団体と協力し合うことで、あらたにできることが見つかる可能性があります。

特に貧困問題はさまざまな要因が複雑に絡んでいる場合もあり、資金だけでは根本的な解決には至りません。

貧困問題の背景を正しく理解し、適切な取り組みを講じていきましょう。