合理的配慮とわがままの違いは?特別扱いと感じてしまう理由や過度な負担の具体例も紹介!

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合理的配慮とわがままの違いをイメージした画像

障がい者が社会生活をスムーズに送るために障壁をなくす行動を「合理的配慮」といいます。

SDGsへの関心が高まってきたので、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

これから、実際に合理的配慮に取り組んでいこうとお考えの方のなかには、

「合理的配慮とわがままの違いはなに?」

「過度な負担の具体例や、特別扱いと感じてしまう理由は?」

などの疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

今回の記事では、職場や学校での合理的配慮とわがままの違いを詳しく解説していきます。

配慮を求める際のポイントや過度な負担になる具体例など、これからの参考にしてみてください。

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合理的配慮とわがままの違いとは

合理的は「道理や論理にかなっている、無駄がなく能率的な」、わがままは「相手の意に反しても、自分がしたいままにする」を意味します。

障がい者が社会生活を送るうえでの問題を、周囲と相談してうまく進むように配慮するのが合理的配慮。

相手の意向を無視して、自分の都合だけを押しとおすことはわがままと判断されるケースが多いです。

障がい者から「配慮をしてください」と提案された際には、どちらか一方の意見を採用するのではなく、お互いが納得できるかたちで決定するのが大切です。

合理的配慮とは簡単にいうとどんなこと?

世のなかには多種多様な人がいて、得意なことや苦手なことの基準は人それぞれです。

この基準の違いによって、障がいを理由に差別的な扱いをしたり、教育や就業の機会を与えないことは禁止されています。

どのような人も平等に社会生活を送るために、さまざまな障壁を取り除くことが「合理的配慮」です。

参考記事:「合理的配慮」を知っていますか?|内閣府

合理的配慮が義務化された背景や具体的な例は、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。

関連記事:合理的配慮とは何かを簡単に解説!具体例や問題点・どこまでおこなうべきかも紹介!

合理的配慮と特別支援の違いは?

合理的配慮は、障がい者に対して、その状況に合わせて個別に対応する行動です。

例えば、「視力が低いので席を前の方にする」「読み書きが苦手なのでタブレットを使用する」などです。

一方、特別支援は、最低限の保障を基準にして、一般的な環境をつくることをさします。

特別支援学校のほか、通級による指導、特別支援学級が設置されている学校もあり、生徒一人ひとりの学習を保障する観点から「基礎的環境整備」としておこなわれているものです。

参考記事:合理的配慮及びその基礎となる環境整備|文部科学省

合理的配慮とわがままの違いの具体例

ここからは実際に学校や職場における合理的配慮とわがままの違いを具体例で解説していきます。

2024年4月から障害者差別解消法によって、配慮が義務付けられたため、障がい者からの申し出には、無理のない範囲での対応が求められます。

障がい者が配慮を求める際にも、相手にわがままと捉われないようにすることが大切です。

それぞれのケースにおける違いを参考にしてみてください。

職場における具体例

職場では、入社前の面接などで配慮を申し出るのが一般的です。

合理的配慮わがまま
新しい環境での仕事がストレスなので、スタート時は時短勤務から始めたいストレスに感じることがあった際には、早退や欠勤をさせてほしい
口頭指示では理解に時間がかかるので、指示はできるだけ資料などで事前にほしい基本的に抽象的な言い回しなどは避けてほしい
上司から指摘を受けると萎縮してしまうので、伝える際には、あらかじめどのような指導なのか告知してほしい人に注意されるのが苦手なので、ミスしても指摘しないでほしい
満員電車での通勤が困難なので、時差出勤やリモートワークをさせてほしいタクシーや自家用車の通勤を許可してほしい
聴覚過敏のため状況によってイヤホンや耳栓をして仕事をしたい聴覚過敏のため音楽を聴きながら仕事をしたい
時間管理が苦手なのでアラームをかけたり、朝礼で1日の流れを確認させてほしい随時スケジュールを教えてくれる担当者をつけてほしい

配慮してほしい点を何パターンか用意しておくと、会社との着地点も見つけやすくなります。

学校における具体例

学校生活で障がい者は、登校時や授業中、テストや成績評価、給食や行事など、多くの場面で困難が予想されます。

具体的な内容は、両親も交えた話し合いをしておくことでトラブルも避けられます。

合理的配慮わがまま
板書に時間がかかるため、タブレットで撮影をして、休み時間に書き写したい板書が苦手なので、あらかじめその日の板書計画を渡してほしい
右半身が不自由で、一人での着替が難しいため、体育のある日は体育着で登校したい着替えが難しいので、サポートしてくれる担当者をつけてほしい
テストでは緊張して冷や汗をかいてしまうことがあるので、別室やパーテーションなどで仕切って受けたいテストなどは緊張するため免除してほしい
片耳が聞こえないため、音声ツールを使用したり、先生の口の動きが見えるように前の席にしてほしい授業中聞こえにくいことがあるため、授業内容はすべて事前に資料にしてほしい
理解力が乏しいので、宿題や課題の提出期限を延ばしてほしい宿題や課題は出さないでほしい

ほかの生徒との兼ね合いも含めて、学校全体で検討する必要があります。

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合理的配慮をわがままや特別扱いと感じてしまう理由

合理的配慮を受けている障がい者をわがままだと感じたり、特別扱いをされていると感じてしまう人もいます。

仕事中に何度も休憩をしたり、時短勤務をしている障がい者に対して、一緒に働く同僚から不満が出てしまうと、職場環境も悪化し退職の要因にもなるでしょう。

学校でのほかの生徒と違う行動は、「あの人は特別扱いされている」などと思われ、周囲の目が気になって不登校にもつながるかもしれません。

このような誤解は、事前に周りからの理解を得られていないことが原因になるケースが多いです。

得意なことや苦手なこと、能力にも個人差があり、負荷のかかり方はそれぞれ異なります。

合理的配慮をするうえで重要なポイントは個人への理解です。

障がいの特性をよく理解し、お互いを尊重して行動できるように環境を整えることで、偏見のない社会生活につながります。

トラブルをなくすためにも、研修や勉強会を通して、障がいや合理的配慮を学ぶ機会をつくることも必要です。

合理的配慮を求める際に大切な5つのポイント

合理的配慮を求める際のポイントをイメージした画像

ここからは、実際に合理的配慮を求める際に気をつけるべき5つのポイントをご紹介します。

  • 配慮を求めるための申し出をする
  • 自身の障がいと改善案をしっかり伝える
  • 当事者自身がルール作りに関わる
  • 情報共有やフォロー体制を構築してもらう
  • 定期的に見直しの機会をつくってもらう

わがままや特別扱いと思われないようにするためにも、時間をかけて取り組むことが大切です。

学校や職場によって決定までの流れに違いはあると思いますが、5つのポイントに注意をして提案してみてください。

配慮を求めるための申し出をする

まずは、本人や支援者、家族が配慮を希望する旨の申し出からスタートします。

基本的には「このように配慮してほしい」という提案がないと、受け入れ側では具体的なアクションは期待できません。

ハード面を整えるためには、打ち合わせをしたり、費用を捻出する必要があるので、時間の猶予も必要です。

入学前や就職前の面接時には、合理的配慮をしてほしい旨を担当者に伝えておきしましょう。

自身の障がいと改善案をしっかり伝える

次のポイントは、配慮を求める際の伝え方です。

「私は身体障がい者なので施設をバリアフリー化してください」と言われても、相手にも伝わりづらく、一方的な提案だなと思われてしまうかもしれません。

まずは、自身の障がいの程度をわかりやすく伝えましょう。

聴覚障がい者の方の場合、補聴器を利用すればほとんど聞こえる、口の動きを見れば手話がなくても問題ない、片方は聞こえるなど、より具体的に伝えることが効果的です。

自分で申告しないと、相手はわからないので、細かい状態を伝えておくとよいでしょう。

そのうえで、してほしいことを具体的に提案をすると、配慮を受けやすくなります。

当事者自身がルール作りに関わる

組織で合理的配慮のルールを決める際の打ち合わせや会議には、できる限り自身も同席させてもらえるように依頼しましょう。

合理的配慮は、双方が無理なく取り組むことが求められます。

どちらか一方の負担になったり、認識にズレがあると、間違った配慮になってしまう可能性もあります。

そのためにも、自身が参加をして、よく話し合いをしたうえで決定することが大切です。

情報共有やフォロー体制を構築してもらう

受け入れてもらう職場や学校での情報共有やフォロー体制を整える必要があります。

なぜ、配慮を受けるのか、周囲の人に理解してもらうと、「特別扱いされている」などの誤解を防ぎ、その後のトラブルも回避できます。

あらゆることを想定して、困った際には誰に相談してフォローしてもらうのかを明確に決めておくのも安心です。

また、障がいをオープンにしたくない方も多いかもしれません。

このような場合には、どこまでの人に情報を開示しておくのか事前に話しておきましょう。

定期的に見直しの機会をつくってもらう

合理的配慮では、一度決定した内容を続けるのではなく、定期的に見直すのも大切です。

時間が経つとスムーズにいかない点や、もう少し改善した方がいい点があるかもしれません。

障がい者が効率的に行動できているか、面談やアンケートの提出などで、定期的に意見をすり合わせることで、より効果的な配慮が受けられるようになるはずです。

このように、合理的配慮を求める際には、少しの工夫や伝え方で申し出を採用してもらいやすくなります。

障がいへの理解の求め方や、働くうえで必要な心構えは、以下の記事を参考にしてみてください。

関連記事:聴覚障害者の働き方は?就職の支援機関や向いている仕事・必要な心構えも徹底解説!

合理的配慮における過度な負担とは

合理的配慮の過度な負担をイメージした画像

合理的配慮があまりにも過度な負担をともなう場合は、「合理的」ではないという理由で断ることができます。

過度な負担にあたるのかの判断基準は明確ではないため、個別のケースごとに判断すべきとされています。

費用や人手には限界があるので、そのなかで効率的な方法を考えなければいけません。

過度な負担にあたるという理由で、職場や学校で配慮を断った具体例をいくつかご紹介していきます。

職場における過度な負担の具体例

障がい者を雇用する際、職場で過度な負担とされる事例には以下のようなものがあります。

  • 車椅子で混雑した電車に乗るのが困難なので、タクシー通勤にかかる費用を負担してほしい

会社の費用負担や事業活動の本質に関わる配慮ではないと判断し、タクシー代全額の負担はできない。

  • 精神障がいを患っていて、体調が悪い日はリモートワークを許可してほしい

工場での軽作業を担う社員で、リモートワークでできる作業がないため、許可できない。

  • 身体障がいのため、作業着に着替える際には他の社員に介助してほしい

女性の障がい者からの申し出だったが、同じ時間帯に働く社員は男性なので、着替えの介助は配慮できない。

企業の規模や財務状況によって、過度な負担と判断した際には、このような申し出を断ることができます。

学校における過度な負担の具体例

学校での過度な負担の具体例は以下のような内容です。

  • 車椅子を利用するので、校舎全体をバリアフリー化してほしい

全体のバリアフリー化には高額な費用がかかるため工事はできない。

  • 精神障がいのため、授業への出席が難しいので、出席免除と自宅でオンライン配信で受講させてほしい

教育の目的や内容、学びの本質的な変更になるうえ、オンライン配信の設備導入に高額な費用がかかるため提供できない。

  • 修学旅行の際に、発達障がいの生徒と同伴する保護者の交通費を負担してほしい

同伴は認められるが、費用の負担は学校側でする必要はないと判断した。

まずは、それぞれのケースごとに、生徒や保護者、学校側でよく話し合いをしたうえで、どのような対応をするのか決定する必要があります。

職場や学校での合理的配慮に取り入れたい「Pekoe」

聴覚障がい者への合理的配慮ができる支援ツールとして「Pekoe」の活用がおすすめです。

Pekoeは、聴覚障がい害者と聴者のやり取りを円滑におこなうために開発されたツールで、コミュニケーションの壁をなくすために役立ちます。

声に出した言葉がリアルタイムで文字化されるので、学校では友人とのコミュニケーションにも役立ち、画面上で資料を共有したり会議の配信にも字幕表示できるため職場でも活用できます。

Pekoeは音声認識の精度が高いだけでなく、誤変換があった場合もその場で修正ができ正しい情報が共有されるので、本人だけでなくチームのパフォーマンス力やコミュニケーションの向上にもつながります。

職場や学校で、聞こえをサポートしてほしいという聴覚障がい者の方がいる際には、無料のお試し期間もあるので、コミュニケーションツールに興味をお持ちの方は、ぜひご利用ください。

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まとめ

今回の記事では、合理的配慮とわがままの違いをご紹介しました。

合理的配慮を求める際に、相手の意向を無視して、自分の都合だけを押しとおすとわがままと判断されることが多いです。

そして、周囲から特別扱いと思われないようにするためには、障がいについて事前に共有しておくことでトラブル回避につながります。

受け入れ側は、過度な負担の具体例を参考に、内容をよく検討したうえで配慮を決定しましょう。