障害者とのコミュニケーションは難しい?理解や対応の仕方で大切なこととは?

インクルージョンや障害者雇用を進めるにあたって、障害者とのコミュニケーションは難しいと感じるかもしれません。
障害には種類があり、どんな障害をもっているかによってさまざまなコミュニケーション手段があります。
この記事では、障害者とのコミュニケーションは難しい?理解や対応の仕方で大切なこととは?と題し、障害者とのコミュニケーションのとり方を中心に解説します。
コミュニケーションの具体的な方法やツール、コミュニケーションをとる際に大切にしたいことなどもご紹介しますので参考にしてください。
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目次
障害者とのコミュニケーションは難しい?
障害者と交流をもったり、サポートをしたいと思っていても、障害者とのコミュニケーションは難しいと感じる人は少なくないと思います。
困っている人を見かけたら助けたいけど、どのように声をかけたらいいのかわからないということもあります。
障害者をサポートするような場面に備えて、日頃から障害の種類などを知り、どのようなコミュニケーション方法が可能なのかを知っておくことも大切です。
障害者とのコミュニケーションでは、具体的な方法を知るとともに、接し方や心構えも重要です。
障害者と接するにあたり、どのような点に気をつければいいのかを解説していきます。
障害者とのコミュニケーション対応で大切なこと
障害者とのコミュニーケーション対応で大切なのは、相手がどんなことに困っているかということや、支援してほしい具体的な内容を把握することです。
障害の内容を把握するのではなく、相手にはどんなサポートが必要なのかを確かめることが重要です。
障害の種類によって、コミュニケーションが難しい場合や、同じ障害であってもコミュニケーションをとる方法が異なる場合もあります。
相手がどんな障害であっても、ゆっくりと丁寧に理解することに努め、一人での対応が難しい場合は、周囲に協力を求めることも必要です。
説明するときは、「あれ」や「それ」などの曖昧な指示語ではなく、「〇cm右側にある」などの具体的な説明を心がけることが大切です。
知的障害者とのコミュニケーションや対応
知的障害には発達障害のほかに、自閉スペクトラム症、学習障害、注意欠陥・多動症などがあります。
知的障害者とのコミュニケーションや対応の基本は、対象者の特徴をよく理解し、パニックになる環境を避けることです。
障害の種類や程度によって特徴は異なりますが、知的障害者に共通する特徴として、こだわりが強く、対人関係の構築が苦手な傾向があります。
知的障害者が自信を持てないことも、対人関係が苦手な理由のひとつなので、いいところを褒めて自信をもたせるようにするのも良いです。
もしパニックを起こして周囲が危険を感じるなど、対応しきれない場合は、無理をせず対象者の家族や関係機関に連絡してください。
精神障害者とのコミュニケーションや対応
精神障害者とは、主にストレスなどの原因によって、精神的な病気を抱える人です。
統合失調症・うつ病・てんかん・アルコール依存症などが精神障害に該当しますが、ここでは、精神障害者とのコミュニケーションや対応について解説します。
精神障害者が、ほかの障害者と大きく異なるのは、外見では障害をもっていることがわからないため、障害者であると周囲に把握されづらいということです。
精神障害についての理解が得られず、周囲から心無い言動を浴びることも多いため、病気であることを隠す人も少なくありません。
なかには、社会生活が苦手で対人関係に恐怖感を抱いている人も多くいます。
精神障害者は、感覚が過敏だったり不安を抱いている場合が多いので、不安を感じさせないような穏やかな口調や対応を心がけることが大切です。
視覚障害者とのコミュニケーションや対応
視覚障害には、まったく見えない全盲の場合と少しなら見える弱視の場合があります。
視覚からの情報を得られないため、慣れない場所を一人で移動することは困難です。
そのため、移動を手伝うことにも視覚障害者とのコミュニケーションや対応を要します。
視覚障害者は、耳からの情報を頼りに行動していることが多いので、こちら側から声をかけて対象者の目的を確認したあと、会話によってサポートします。
視覚による情報がないため、対象者に伝わるような会話を心がけることが大切です。
場所の説明であれば、何歩先かということや方向など、対象者が具体的な距離を認識しやすい言葉を選びます。
物などの説明も、対象者が認識しやすいように具体的な表現を意識することが重要です。
聴覚障害者とのコミュニケーションや対応
聴覚障害には、全く聴力がない人と聞こえづらい人がいて、さらに言語障害をともなっている場合もあり、それによって聴覚障害者とのコミュニケーションや対応は異なります。
聴覚障害者は基本的に音や声による情報を得にくいため、視覚を中心に情報を得ています。
聴覚障害者の場合は、人によって円滑にコミュニケーションをとる方法が異なるため、対象者に合った方法をとることが重要です。
会話方法には、手話・指文字・筆談・口話(こうわ)・読話(どくわ)などの方法があるので、どの方法が良いのかを確認します。
口話・読話は、話している相手の口の動きを見て言葉を読み取るため、できるだけハッキリかつ、ゆっくりと話すことを心がけてください。
筆談の場合は紙に書くだけでなく、スマートフォンやパソコンでもおこなえるので、離れた場所でのやりとりにも有効です。
聴覚障害者とのコミュニケーションで、配慮すべきことをさらに詳しく書いた記事がありますので、あわせてご覧ください。
関連記事:聴覚障害者へのコミュニケーション時の配慮とは?私たちにできること
障害者と接する時に大切なことはなにか?

障害者は、健常者と比べるとサポートが必要なことも多いかもしれませんが、できることに目を向けるべきです。
障害者と接するときに大切なことは、健常者と同じように自尊心を傷つけないように接することです。
障害の有無が、見下されたり優劣をつけられたりする要因になってはいけません。
障害者と接するときは、否定せずにゆっくりと話を聞くことや、障害や病気を理解したうえで、対象者の調子の変化に気づいて対応することが必要です。
障害がある人は、健常者以上に周囲の状況や状態に敏感であることが少なくありません。
障害者のメンタルに負担をかけないためには、具体的にどんな点に配慮して接すれば良いかを解説します。
障害者との接し方を知る
障害者との接し方を知るには、まず障害についての理解を深めることが重要です。
これまで解説してきたように、ひと口に障害といってもさまざまなケースがあります。
障害者と接する機会がある場合は、事前に障害に関する知識や接し方を知ることが必要です。
そのうえで、常にポジティブに笑顔を心がけて相手に不安を与えないようにします。
相手に説明するときは、相手のペースにあわせてゆっくりとした会話を心がけ、信頼関係を築きましょう。
また、知ったかぶりは相手に不快感を与えてしまうばかりでなく、トラブルにつながる可能性があります。
知識があっても対処しきれないこともあるので、常に相手の変化に注意し、自分だけで対処しきれない場合は無理をせず、関係機関に相談してください。
環境を整える
障害者に負担を与えないためには、さまざまな環境や設備を整える必要があります。
車いすなどを使っていても移動しやすいように、段差をなくすほか、出入口・通路・トイレなどは広めに確保し、障害物を撤去します。
そのほか、エレベーターのボタンの位置や、乗降時のドアの開閉時間を長めにするなどの配慮が必要です。
また、健康面や通勤面への配慮も必須で、フレックスタイム制や在宅勤務制を取り入れたり、通院のための休暇制度を設けたりすることも必要です。
障害者の状況によって適切な対応に備えるため、保健師や支援スタッフとの定期的な面談や、連携を取りやすい環境を整えておくことも重要です。
職場でのコミュニケーションを円滑にするために
職場に障害者を雇用する場合、雇用主や担当者だけが障害を理解しても、環境が整ったとはいえません。
職場でのコミュニケーションを円滑にするためには、同じ職場で働く従業員全体の理解を深めることが大切です。
障害者雇用で一番重要なのは、労働者に合った仕事をマッチングすることですが、そのために、適材適所に配置する人事体制や、フォロー体制を整備する必要があります。
現在、企業で働く障害者の多くは、事務や軽作業の仕事に就いています。
マッチングがうまくいっていれば、極端な特別扱いが必要ないので、障害者にとっても周囲の従業員にとっても余計なストレスがかかりません。
そして、どのような人材を雇用しても、円滑に仕事を進めるためには、対人関係の構築は重要です。
日頃からコミュニケーションをとって、従業員全体で適切な対処法を周知する必要があります。
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従業員全体に理解を得る
障害にはさまざまなケースがありますが、近年増加傾向にあるADHD(注意欠陥・多動性障害)やASD(自閉症スペクトラム障害・アスペルガー症候群など)は、見た目で障害者とはわからない場合がほとんどです。
ADHDは、不注意・多動性・衝動性が見られ、ASDは、社会生活においてさまざまな困難をともないます。
ADHDとASDを合併しているケースも多く、人によって症状の出方はそれぞれです。
ADHDの場合は、じっとひとつのことを繰り返しおこなう事務作業や、マルチタスクを苦手とする特性があります。
逆にASDの場合は、決まったことを黙々とする仕事は比較的得意ですが、イレギュラーなことへの対応が苦手です。
それぞれ適材適所に配置されれば問題なく仕事をできる人材なので、関わる周囲の人たちが、障害がある人の苦手なことを理解してフォローしていくことが重要です。
できること・できないことを明確にしておく
できることとできないことは、人によって違います。
障害者それぞれのできること・できないことを明確にして、周知することが大切です。
障害者に限りませんが、頑張ってもどうにもならないことを押し付けるのは、パワーハラスメントにあたります。
一緒に働く仲間として、周囲が障害を理解することは、信頼関係を築いて気持ちよく仕事をするために、最も重要です。
障害がある人のなかには、コミュニケーションをとること自体が苦手な人も多いので、何が苦手なのかを理解し、無理なく働ける環境を作りましょう。
障害ごとに適した配慮や工夫をする
この記事では、障害者への配慮を中心にご紹介していますが、障害者だからといって特別視するのではなく、人として尊重する気遣いが重要です。
人は誰しも得手・不得手があるので、一人ひとりがほんの少しサポートするという心構えで、障害ごとに適した配慮や工夫ができるのが理想です。
障害のある人は、社会に対して何らかの隔たりを感じています。
段差があってちょっと歩きづらいなと感じる場所や、いつも話してる言葉や仕草が、ある人にとっては弊害になっている可能性があります。
同じ社会で共存するためには、さまざまな障害をもった人がいることを理解し、自分ができる範囲で配慮していくことが大切です。
街や建物の環境を整えるのと同時に、働き方の工夫など、相手の立場や状況に合わせて配慮する必要があります。
コミュニケーション支援ツールの活用

聴覚障害者は、音声による情報を入手しづらいため、さまざまなコミュニケーション支援ツールを活用しています。
聴力が少し残っている場合は、補聴器を使用して自分の耳で聞き取りするほか、話している相手の唇の動きで読み取る読唇を使うこともあります。
そのほかにも、手話やスマートフォンの音声認識ツールを活用している人もいますが、特に筆談は世代を問わず取り入れやすいコミュニケーション方法です。
聴覚障害の場合は、聞き取りづらさはあるものの自分で話せる人もいれば、話すことが困難な人もいます。
聴覚障害者とやりとりする際は、どのようなコミュニケーションをとるのが良いのかを確認することが必要です。
ここで、聴覚障害者向けの支援ツールがありますので、ご紹介します。
聴覚障害者向け支援ツール「Pekoe」
聴覚障害者向け支援ツールPekoe(ペコ)は、聴覚障害者が会議に参加する際、会議の内容をリアルタイムで文字化してくれる便利なツールです。
これまでも、その場にいる同僚がチャットや筆談でサポートしてくれることで、成り立っていたかもしれません。
しかし、文字起こしなどの場合は、多少のタイムラグが生じるのがデメリットです。
聴覚障害者向け支援ツールPekoe(ペコ)は、簡単な操作でリアルタイムに文字化してくれます。
それによって、聴覚障害者も瞬時に会議の内容を把握でき、その場で質問したり意見を言うことができます。
また、リモート会議や動画配信などの音声認識ツールとして幅広い活用が可能です。
公式サイトからダウンロードするだけで、無料でトライアルができるので、ぜひお試しください。
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実際に導入している企業の声
ここでは、実際に聴覚障害者向け支援ツール「Pekoe」を導入している企業の声をご紹介します。
スチール家具全般の製造・販売をしている株式会社オカムラ様では、聴覚障害者とのコミュニケーションを密にすることを目的に、Pekoeを導入いただいております。
ツール導入前には、聴覚障害者とのコミュニケーションにおいて、文字起こしの誤変換で物事が違うニュアンスで伝わってしまう問題があったということです。
また、些細な会話や小さな笑いを文字に起こせないこともデメリットでした。
Pekoeは、高度な音声認識システムによって些細な会話も瞬時に文字化してくれます。
万が一、誤変換された場合は、その場で修正できます。
複数人が参加するリモート会議の場でも、些細な会話まで文字化してくれるので、Pekoe導入前に感じていた問題を解決していただけているようです。
関連記事:聴覚障がい者向けの会議ツールPekoe(ペコ)の導入事例
まとめ
この記事では、障害者とのコミュニケーションは難しい?と題し、さまざまな障害者とのコミュニケーションや対応の仕方で大切なことをご紹介しました。
障害者としてひと括りにせずに、それぞれの対象者に合ったサポートが必要です。
私たちがすぐにはじめられることとして、まずはいろいろな障害の特徴を知って理解することが大切です。
そのうえで、同じ社会で共存できるように、相手の立場に立ち無理なくできることからはじめましょう。