聴覚障害者へのバリアフリーは学校にもある?整備の割合や具体例・できる工夫も解説!

ライフスタイル
#バリアフリー
  • TOP
  • ライフスタイル
  • 聴覚障害者へのバリアフリーは学校にもある?整備の割合や具体例・できる工夫も解説!
SNS
Follow us
Twitter
学校のバリアフリーをイメージした画像

聴覚障害があっても安心して学べる機会を提供するために、学校のバリアフリー化が進められています。

これから入学を控えている聴覚障害者の保護者の方のなかには、

「聴覚障害者を助ける学校の支援にはどのようなものがあるのか?」

「入学前にできる工夫やコミュニケーションツールを知りたい」

などの疑問をお持ちの方も多いかもしれません。

そこで本記事では、学校にあるバリアフリーや整備の割合、具体例などを詳しく解説していきますのでぜひ参考にしてみてください。

\聴覚障がい者向け音声認識ツール/

学校のバリアフリーの重要性

学校施設は、障害のある児童生徒が、支障なく安心して学校生活を送ることができるように環境を整える必要があります。

さらに、災害時の避難所など地域コミュニティの拠点としての役割も果たすことから、学校のバリアフリー化は重要です。

このため、文部科学省では、学校のバリアフリー化推進を支援するため、さまざまな取り組みをおこなっています。

学校はバリアフリーが義務付けられている?

令和2年度、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(以下「バリアフリー法」)が改正され、バリアフリー法上の「特別特定建築物」に、「公立小中学校等」が追加されました。

これにより、学校はバリアフリーが義務付けられ、一定規模以上の建築をするときは、バリアフリー基準への適合が義務付けられたほか、既存の建築物にもバリアフリー基準への適合の努力義務が課せられました。

令和3年度より、公立小中学校などの既存施設におけるバリアフリー化工事では、国庫補助の算定割合が引き上げられたほか、行政説明の実施、事例集の作成などの取り組みもしています。

さらに、小中学校は地域の防災でも重要な役割を果たします。

災害時には、高齢者・幼児・妊産婦・障害者などが地域から集まってくるので、すべての人が利用できる施設であることが大切です。

学校のバリアフリーとは子どもたちの学習を保証するだけではなく、地域の人々の命を守る生命の拠点としても期待されています。

参考記事:学校施設のバリアフリー化の推進|文部科学省

聴覚障害者へのバリアフリーは学校にもある?

法律の制定や各校の整備により、多機能トイレやエレベーターなどの設置は徐々に進んでいます。

聴覚障害者へのバリアフリーは、授業についていけるように、 補聴援助システムや、ノイズを制限して聞こえをサポートする機器の設置などです。

聞こえが不自由な方は、口頭で説明するよりも、書面などの文字で表した方が理解しやすいので、事前に資料を配布するなどの工夫もされています。

授業中に、ノートテイクやパソコンノートテイクなどの支援もおこない、聴覚障害者のサポートもしています。

学校のバリアフリーの具体例

学校のバリアフリーの具体例をイメージした画像

どのような障害があっても安心して学校に通えるような、代表的な学校のバリアフリーを5つご紹介します。

  • エレベーター
  • スロープ・階段
  • 点字ブロック
  • トイレ
  • ごみ箱

これから学校生活を始める障害者や保護者の方はぜひ参考にしてみてください。

エレベーター

車椅子の使用などで、階段の上り下りが困難な児童生徒が在籍している、または進学予定の学校ではエレベーターの設置が進められています。

すべての学校にエレベーターを設置しているのではなく、必要な生徒がいる学校が優先されています。

エレベーターは、障害のある児童が使いやすいように、主要な経路に隣接して設置することが重要です。

エレベーターの間口、カゴの形状・大きさ、操作盤の位置、手すりなど、障害のある児童の利用に配慮した構造にすることが求められます。

視覚障害者に配慮して、操作盤に点字・浮き出し文字などを設置したり、聴覚障害者に配慮して文字案内や聴覚ボタンなどの設置も必要です。

スロープ・階段

病気や怪我などにより、上肢・下肢・体幹の機能の一部に障害がある方は、日常生活の中での動作が困難です。

屋外と屋内の段差を解消するスロープや階段は、肢体不自由な方にとって欠かせません。

スロープは、安定性のある「手すり付き組上げ式スロープ」、手軽に設置できる「持ち運び型巻き取り式スロープ」などがあります。

階段は、車椅子のままでも階段を昇れる「階段昇降車」や「階段昇降機」などがあり、学校の構造に合わせて選ぶこともできるので、障害者が移動で困らないような設備設置が重要です。

点字ブロック

視覚障害者が足裏の触感覚で認識できるように、突起を表面につけた点字ブロックは、学校内でも安全に誘導するために地面や床面に設置されています。

まっすぐ歩く、安全に歩く、目的地まで行くための大事な手がかりです。

階段や建物の出入口、女子トイレ前になど、予算に合わせて使用頻度の高い箇所から設置するのが理想的です。

トイレ

車椅子でも入れるようなトイレのバリアフリー化が進められています。

外出先に使えるトイレがあるかどうかは、車椅子を使っていたり、足の不自由な方にとってはとても重要な問題です。

車椅子でトイレを利用するには、スムーズに通過できる出入り口やトイレ内で方向転換できるスペースの確保、車椅子でアプローチできる洗面器、便器への移乗をサポートする手すりなどが必要です。

児童が利用しやすいように校内に複数の多機能トイレを配置しておくと、災害時にも多くの方が利用できるようになります。

ごみ箱

ごみ箱の色や形、置かれる場所などによっては、障害者にとって障壁となっているケースがあります。

例えば、ごみ箱の下のレバーを押して蓋を開けるタイプのものは、車椅子使用者にとって利用しづらく、設置される場所によっては通行を妨げ、衝突の危険性や移動のバリアを生み出します。

教育と直接的な関連性は薄そうにみえるものの、毎日の学校生活を送る学生や教職員の方にとって大切な視点です。

学校のバリアフリー整備の割合は?

令和4年度「学校施設のバリアフリー化に関する実態調査」でのバリアフリー普及率の結果は以下のとおりです。

令和2年度令和4年度
バリアフリートイレ65.2%70.4%
門から建物前までのスロープ78.5%82.2%
昇降口・玄関から教室までのスロープ57.3%61.1%
エレベーター27.1%29.0%

文部科学省では、令和7年度末までの整備目標を設定し、さらなるバリアフリー化の取り組みが進められます。

参考記事:学校施設のバリアフリー化に関する実態調査

学校のバリアフリーで大切な3つのポイント

学校のバリアフリーのポイントをイメージした画像

学校のバリアフリーを推進するために大切にしたい3つのポイントを解説します。

  • 環境のバリアフリー
  • 情報のバリアフリー
  • 意識のバリアフリー

この3つポイントのどれかひとつだけで100点満点を目指すものではなく、相互に補い合うことで、快適な学校施設をつくり出します。

障害の有無に関わらず、どのような生徒も安心して過ごせる施設づくりが期待されます。

環境のバリアフリー

聴覚障害者が感じる環境のバリアは、音が聞き取りづらいことによって、さまざまな情報を得ることができなかったり、周囲とのコミュニケーションをとりづらいことです。

学校の屋内外では、アクセスが確保されていることや、必要な設備が安全に利用できるのかも大切です。

学校施設は広い空間で設備も多いため、優先順位をつけてバリアフリー化をおこなっていくために、まずは全体の現状把握をしなければいけません。

環境面のバリアフリー化には、費用と時間がかかるのも事実で、校舎が歴史ある建造物であるがために改修に困難をともなうなどの場合もあります。

情報のバリアフリー

学校は広い施設に多様な機能をもつことから、バリアフリーマップなどで情報を整備することが重要です。

聴覚障害がある方は、特に耳からの情報が取得できないため、マップや案内図などは有効です。

社会全体のデジタル化が進むなかで、デジタル格差を解消し、障害者をふくむ誰もがデジタル化の恩恵を受けられるように学校設備を整えることが求められます。

意識のバリアフリー

乗り越えることができない段差や、聞き取りづらい放送など、ひとりでは困難なことも、誰かの手助けがあれば解決できるかもしれません。

差別や偏見をなくし、障害をもつ人を受け入れ、手助けをすることは意識のバリアフリーにつながります。

環境面のバリアがある場合に、意識のバリアフリーで補うことによって、学校全体としても絆を深められるでしょう。

聴覚障害者に必要なバリアフリーや身近な例は、以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:聴覚障害者にも必要なバリアフリーの種類一覧!街中や学校の身近な例や珍しい商品も紹介!

聴覚障害者のためにできるバリアフリーの工夫は?

聴覚障害者が学校で困ることは、先生や友人の話を聞き取りづらいことです。

また、授業の開始時刻や終了時刻を知らせるチャイムに気付かなかったり、補聴器を使用している場合は、騒音が気になることもあるかもしれません。

障害の程度によって聞こえ方に違いがあるため、なかなか周囲に理解されないこともあります。

聴覚障害者のためにできるバリアフリーでは、適切な道具や支援ツールを導入することで解決できます。

近年は、聴覚障害をサポートするさまざまなコミュニケーション支援ツールも多くあります。

聴覚障害者のために、周りの人ができるサポートや役立つツールは以下の記事を参考にしてみてください。

関連記事:聴覚障害者のための工夫とバリアフリーの身近な例は?私たちができることや役立つ道具も紹介!

学校におけるユニバーサルデザイン

バリアフリーとユニバーサルデザインの共通点は、考え方の基本に「思いやりや心のやさしさ」があることです。

学校で使う道具や施設の設備など、ハード面のみでは十分なバリアフリーにはなっておらず、使いにくさを感じる人もいます。

トイレに手すりをつけたり、危険な箇所に点字ブロックを設置したり、多様な人の立場に立って、バリアをなくす「心のバリアフリー」の考えをもつことが大切です。

バリアフリーとユニバーサルデザインの違いは以下の記事で詳しくご紹介しています。

関連記事:バリアフリーとユニバーサルデザインの違いは?簡単にわかる具体例や課題も解説!

学校で聴覚障害者との情報のバリアをなくす「Pekoe」

聴覚障害者との情報のバリアをなくすためのツールとしておすすめなのが、「Pekoe(ペコ)」です。

Pekoeはリアルタイムの会話を文字変換するWindows対応の音声認識ソフトなので、聴覚障害者を含めた複数人での会話などに向いています。

Pekoeにはチャット機能も備わっているため、学校内だけではなく日常的なチャットツールとしても活用できます。

聴覚障害者も会話や質問がしやすくなるのと同時に、内容も履歴で残るので、記録としてあとから見返せるのも便利です。

\聴覚障がい者向け音声認識ツール/

まとめ

今回の記事では、学校における聴覚障害者のバリアフリーを詳しく解説しました。

どのような障害があっても安心して過ごせるように、学校のバリアフリー化は義務付けられています。

学校のバリアフリー化では、環境・情報・意識のバリアフリーの3つを考慮して設備を整える必要があります。

バリアフリーの具体例や整備の割合も詳しく解説しているので、大切なポイントなど、ぜひ参考にしてみてください。