手話通訳者の報酬はどのくらい?必要性や仕事内容についても詳しく解説!

インクルーシブな社会づくりが進むなかで、聴覚障がい者の社会進出も進んでいます。
聴覚障がい者が社会進出するうえで懸念される課題に、周囲とのコミュニケーション問題があります。
この課題を解決するひとつの方法として挙げられるのが、手話通訳者の存在です。
そんな手話通訳者の報酬はいったいどのくらいなのか、気になりますよね。
そこで本記事では、手話通訳者の報酬をはじめ、手話通訳の必要性や具体的な仕事内容をご紹介します。
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目次
手話通訳者の報酬はどのくらい?
近年は、大学に進学したり社会に出て働く聴覚障がい者が増える傾向にあります。
聴覚障がい者の社会進出に比例して、手話通訳者の需要も高まっているため、これから手話通訳者を目指そうと考える人も増えると思います。
そこで気になるのは、手話通訳者の報酬はどのくらいなのかです。
厚生労働省の職業情報提供サイトによると、手話通訳者の平均年収は579.8万円でした。
現在、手話通訳者として活躍している多くの人は、都道府県で実施されている「手話奉仕員養成」や「手話通訳者養成」の講習会などで学んだあと、仕事に就いています。
参考記事:(厚生労働省)jobtag 手話通訳者
手話通訳をお願いする場合の費用相場は?
手話通訳をお願いする場合の費用は、どこに依頼するかによっても異なります。
聴覚障がい者は、障がい者総合支援法に基づく地域生活支援のひとつ「意思疎通支援」を利用すれば、手話通訳費用が無料になる可能性があります。
意思疎通支援は、身体などの障がいや難病によってコミュニケーションが困難な人に、手話通訳者や要約筆記者などの派遣をサポートする支援です。
参考記事:(厚生労働省)意思疎通支援
意思疎通支援は、実施している自治体ごとに規定が異なります。
意思疎通支援を利用せず、手話通訳者を派遣する団体などに依頼する場合の費用は、拘束時間によって決まります。
手話通訳者1人あたりの費用相場は、1時間あたり約7,000円〜8,000円で、時間ごとに料金が加算されるシステムです。
交通費込みなどの場合は、もう少し高くなる傾向があります。
各団体によって時間ごとの料金設定が異なりますので、ご確認ください。
手話通訳の仕事内容や必要な資格は?

手話通訳者になるために必要な学歴や資格はありませんが、仕事をするには専門的に学ぶ必要があります。
働くためには、都道府県が実施している「手話奉仕員養成」や「手話通訳者養成」の講習会を受講します。
講習会を受講したのち、地域の手話サークルで聴覚障がい者と交流するなど、経験を積んでから仕事に就くのが一般的な流れです。
特に資格がなくても仕事には就けますが、「手話通訳士」や都道府県公認の「認定手話通訳者」という肩書きを得るには、別途資格試験が必要になります。
政見放送の手話通訳など、手話通訳士の肩書きがなければできない業務もあります。
手話通訳者の資格試験や仕事内容については下記のリンク先でもご紹介しているので参考にしてください。
関連記事:手話通訳とは?必要な試験や合格率・仕事内容についても徹底解説!
手話通訳者の給料はどのくらい?
手話通訳者として働く場合の給料は、どのくらいなのでしょうか。
ハローワークの求人統計データによると、月給の平均は26万円です。
ただし、常勤か非常勤か、どのような形態で働くかによっても異なります。
都道府県などの公的機関や障がい者施設などに勤務して、常勤で働く場合は月給として支払われますが、団体に所属して派遣で働く場合は、実労働時間に応じた金額です。
派遣として働くためには、都道府県や市区町村の「登録手話通訳者」として所属するか、手話通訳を派遣する団体に登録する方法があります。
自治体の登録手話通訳者として登録する際は、各自治体が課している試験に合格しなければなりません。
試験は自治体によって異なりますが、多くの場合、社会福祉法人全国手話研修センターが主催する「手話通訳者全国統一試験」を導入しています。
参考記事:(厚生労働省)jobtag 手話通訳者
手話通訳者の派遣料金はどのくらい?
手話通訳者を依頼する場合の派遣料金はどのくらいなのでしょうか。
厚生労働省が発表している資料によると、手話通訳者の平均派遣単価は1時間あたり
2,235円です。
地域間や事業間で格差があり、最高で3,500円、最低で1,400円という調査結果です。
また、政令指定都市では最高額が4,000円のところもあるため、全国的な標準単価を、最低3,000円以上とするのが適切であるという見解も出ています。
さらに、専門的な内容に対応できる手話通訳士には、割り増しした単価が求められています。
参考記事:(厚生労働省)手話通訳者等の派遣に係る要綱検討事業
手話通訳者は必要なのに足りていない?
これまで日本では、手話通訳は多くのボランティアの人たちによって支えられてきた現状があります。
正規雇用という形ではなく、必要なときに派遣されて働くのが主流でした。
近年、多方面でマイノリティへの理解が進むなかで、日本でも聴覚障がい者の社会進出がますます進んでいます。
それにともない手話通訳者が必要な場面も増えていますが、それに対して人員が足りていない状況です。
今後は、手話通訳者の正規雇用も増えていくと思われます。
2019年2月頃に総務省が発表している調査状況によると、登録手話通訳者の人数は約3,700名いて、そのうちの88.2%は女性です。
年齢別に見ると50代がもっとも多く、その次に60代が続き、50代〜60代が全体の65%以上を占めています。
手話通訳者の正規雇用は増えていくかと思われますが、現時点での20代〜40代の手話通訳者の登録者は全体の36.5%で、今後の担い手となる世代の手話通訳者が足りていません。
参考記事:(総務省)手話通訳士実態調査事業結果
聴覚障がい者にとっての手話とは?
手話は、すべての聴覚障がい者が使用するわけではなく、難聴者や中途失聴者の場合、手話を使うのは20%程度に過ぎません。
音が聞こえづらくても、口話を併用したりして相手の言葉を読み取り、自らは音声言語を発話する場合がほとんどです。
しかし、音声言語を習得する前から聴覚がなかった聴覚障がい者にとっての手話は、第一言語です。
手話を第一言語とする聴覚障がい者にとっては、手話が使える人が身近にいない場合、コミュニケーションをとるのが困難になります。
下記のリンク先では、手話を覚える方法や、その他のコミュニケーション方法をご紹介しています。
関連記事:難聴者が使う手話とは?覚える方法や他のコミュニケーション方法も紹介!
手話通訳で一人前になるにはどのくらいの経験が必要?

手話通訳者として一人前に仕事ができるようになるためには、最低でも4年~5年の経験が必要といわれています。
これは一般的な年数なので、実際にはどのくらいの頻度で仕事をするのかによっても変わります。
手話は誰でも始められますが、都道府県公認の「認定手話通訳者」になるためには、手話通訳者全国統一試験や手話通訳者認定試験に合格しなければなりません。
特に実務経験を積まずに仕事を始める人は少数派で、多くは3年以上の訓練や実務経験を積んでいます。
手話はコミュニケーションをとるひとつの方法なので、いかに相手の伝えたいことをくみ取れるようになるかなど、聴覚障がい者との交流のなかで学んでいきます。
手話通訳のように聴覚障がい者をサポートする「Pekoe」
聴覚障がい者の社会進出がますます進むなか、コミュニケーションに必要な手話通訳者の人手不足が気になりますよね。
聴覚障がい者とのコミュニケーション方法として、会話をリアルタイムで文字化する音声認識ツールがあるのはご存じですか。
音声認識ツール「Pekoe(ペコ)」は、会話をその場で文字化して、手話通訳のように聴覚障がい者をサポートしてくれます。
聴覚障がい者とのコミュニケーションの場では、手話通訳者が1人では不十分な場合もありますが、Pekoeは複数人での会話にも適しています。
チャット機能があるので聴覚障がい者も発言しやすく、誤変換に対する修正も、気付いた人がその場で対応できるツールです。
無料のトライアル期間もあるので、試してみてください。
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まとめ
この記事では、手話通訳者になるための方法や報酬についてご紹介しました。
聴覚障がい者の社会進出のためには、手話通訳者は重要な存在ですが、今後を担う若手の人材が足りていません。
近年は、聴覚障がい者向けの音声認識ツールもあり、聴覚障がい者とのコミュニケーションにも役立てられます。
手話通訳者を目指す方は、聴覚障がい者との交流に活用しながら、経験を積んでいきましょう。
