聴覚障害者が電話ができない悩みを解決する方法は?支援サービスや電話に変わるツールも紹介!

聴覚障害者は、耳が聞こえないことにより、日常生活でさまざまなコミュニケーション上の問題を抱えています。
特に、電話は音声のみでやりとりする方法であるため、できないのが悩みです。
この記事では、聴覚障害者の電話ができない悩みを解決する方法や支援サービスについて解説します。
聴覚障害者の電話の代替手段になる方法をご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
\聴覚障がい者向け音声認識ツール/
目次
聴覚障害者は電話できないことに悩んでいる?
日常生活において、電話をする必要があることがあります。
例えば、体調不良が原因で仕事を休まなければならない時や、保育園に子供を迎えに行くのが少し遅れてしまう場合、店舗や病院などが開いているか確認する場合などです。
これらは日常生活におけるちょっとした連絡ですが、すぐに知らせたり、回答が欲しい内容であるため、メールなどでは代用できないものとなっています。
聴覚障害者は電話ができないため、このような連絡ができません。
そのため、日常生活で不便に感じるケースが多くなっています。
聴覚障害者でも連絡をとるための手段はありますが、どれも電話ほどの気軽さがないため、悩みを感じる原因となっています。
緊急や確認の連絡ができない
電話にはさまざまな利便性がありますが、そのひとつに挙げられるのが緊急時の連絡です。
近年ではコミュニケーションの手段としてメールやチャットなどが普及していますが、緊急時の連絡目的には不向きです。
特に、110番や119番などの通報のような、すぐに伝える必要があるものには電話が必須になります。
聴覚障害者は、緊急な通報が必要となる事態に直面した場合でも、電話での連絡ができないことが問題です。
また、簡単な確認の連絡についても、電話であればすぐに完了しますが、電話ができないことで確認をとるのが難しくなります。
メールでのやりとりは時間がかかる
電話のように音声を使用しないコミュニケーションの方法として、メールがあります。
メールは近年普及が進んでいて、多くの場面で利用されています。
ただ、メールでのやりとりは時間がかかるのが問題です。
メールはこちらが送信したとしても、相手がいつ読むのかがわかりません。
メールを確認するのは相手側の都合によるため、いつ確認してくれるかは不確実です。
そのため、簡単な確認のメールであっても、やりとりに時間がかかることもあります。
特に、緊急時の連絡には不向きで、相手がメールを確認したタイミングでは、すでに意味がなくなっていることも考えられます。
周囲に電話をお願いする必要がある
聴覚障害者がどうしても緊急連絡をしなければならない場合は、家族や友人など周囲の人に電話をお願いする必要があります。
近くに家族や友人がいない場合は、手話通訳者が常駐している市役所などに行ったり、近くに住んでいる手話通訳者を訪ねたりして、電話をしてもらう形になります。
ただ、電話をしてくれる人を探す必要があり、さらに電話で伝える内容をその人に説明しなければなりません。
すぐ近くに家族などがいる場合はこの方法でも問題ありませんが、近くに手話通訳者がいない場合は探すまでに時間がかかります。
また、電話で伝えてもらいたい内容を説明することにも時間がかかるでしょう。
このように、緊急連絡に電話を使おうとしても、人を探したり説明をするために、普通に電話をするよりも多くの時間が必要になります。
通訳してもらえず内容が把握できない
もし手話ができる家族や友人に電話をしてもらった場合でも、手話通訳をしてもらえるとは限りません。
通訳には特別のスキルが必要であるため、電話をかけた相手と家族や友人が直接話を進めてしまい、本来の意図と異なる形で伝わるかもしれません。
また、聴覚障害者は電話でどのようなやりとりがなされているか確認できないため、途中で話がずれていても、そのまま話が続いてしまうことがあります。
結果として、電話で伝えたい内容や確認したい内容がわからず、電話の意味がなくなってしまうかもしれません。
このように、電話を依頼することには多くの問題があります。
連絡がスムーズになる電話の支援サービス

ここまで解説したように、聴覚障害者は電話ができないため、多くの問題を抱えているのが現状です。
このような問題を解決するため、連絡がスムーズになる電話の支援サービスがいくつか存在します。
ここでは、以下のサービスについて解説します。
- 電話代理支援
- 電話リレーサービス
電話代理支援(東京都)
電話代理支援は、東京都が提供しているサービスです。
聴覚障害者でもスムーズに問い合わせができるようにするためのサービスとなっています。
具体的には、ビデオ通話などを利用して聴覚障害者からの問い合わせを手話などで受け付け、コールセンターのオペレーターが聴覚障害者の代わりに東京都へ電話をかけます。
基本的には、電話を代理でしてもらうサービスで、聴覚障害者は手話などでオペレーターに内容を伝え、それをオペレーターが電話する形です。
ただし、電話をかけられる相手は都本庁舎や都事業所などの東京都に関連する場所のみで、一般的な用途には利用できません。
電話代理支援は便利なサービスですが、用途が限られているため注意しましょう。
参考記事:電話代理支援
電話リレーサービス
電話リレーサービスは、耳が聞こえない聴覚障害者と耳が聞こえる人との会話を、通訳オペレーターが手話や文字と音声を通訳することで、電話で即時に双方向につながることができるサービスです。
電話リレーサービスは、24時間365日利用可能で、双方向での利用や緊急通報機関への連絡にも使用できます。
110番、119番通報などの緊急連絡だけでなく、病院などの予約や連絡、仕事の相手先への連絡にも利用可能です。
利用方法は簡単で、スマートフォンのアプリやパソコンのブラウザから電話リレーサービスを起動し、ログインしてから相手先の電話番号を入力します。
また、手話や文字など通訳の方法を選ぶことが可能です。
参考記事:電話リレーサービス
電話リレーサービスのデメリットは?
電話リレーサービスは、緊急連絡や日常生活の連絡などにも使える便利なサービスですが、デメリットも存在します。
ここでは、このデメリットについて以下の項目から解説します。
- 目の前の相手とは話せない
- 要約や交渉などはできない
- 通話内容の記録はできない
- オンライン会議での使用はできない
電話リレーサービスを利用する際は、これらのデメリットを理解したうえで使用するようにしましょう。
目の前の相手とは話せない
電話リレーサービスは、オペレーターが仲介して電話をするサービスです。
そのため、目の前にいる相手との会話には利用できません。
あくまでも代わりに電話をしてもらうサービスであるため、会話の代わりにはならない点に注意しましょう。
目の前の相手と話したい場合は、筆談や手話、手話通訳者を介しておこなう必要があります。
要約や交渉などはできない
電話リレーサービスは、通訳オペレーターが会話の内容をそのまま通訳して電話で伝えるサービスです。
聴覚障害者からの用件を預かり伝えるだけで、会話の内容を要約してまとめたり、質問や交渉の代理をしてもらうことはできないため注意しましょう。
そのため、通訳オペレーターは内容をそのまま伝えるだけということを前提として利用する必要があります。
通話内容の記録はできない
電話リレーサービスでは、通話内容を記録することはできません。
また、映像や文字・音声を記録として使用したり、保持することも禁止されています。
そのため、内容を記録したい場合は、別の手段を利用する必要があります。
電話リレーサービスを利用する場合は、内容を記録する必要がない使い方をするようにしましょう。
オンライン会議での使用はできない
オンライン会議などのテレビ会議は、電話リレーサービスの対象外となっているため利用できません。
あくまでも1対1の会話のために使うサービスとなっています。
もしオンライン会議で同様のサービスが必要であれば、オンライン会議ツールの「Pekoe」がおすすめです。
Pekoeではオンライン会議などの音声をリアルタイムで文字化できるため、聴覚障害者のサポートにつながります。
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連絡を取る手段として活用できるオンラインツール

現在では、聴覚障害者が連絡をとる手段として活用できるオンラインツールがいくつかリリースされています。
特に、聴覚障害者が参加するオンライン会議などをおこなう企業も増えてきており、会議をスムーズに進めるためにも、聴覚障害者をサポートするためのツールは重要です。
聴覚障害者のためのサポートツールとしては、音声を文字化してくれるツールが便利です。
具体的には、音声をリアルタイムで文字化することができる「UDトーク」や、オンライン会議で幅広く活用されている「Zoom」にも音声をキャプションとして表示する機能があります。
聴覚障害者をサポートするオンラインツールについては、以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:聴覚障害者とのWeb会議で必要な工夫は?参加しやすくなる便利なツールもご紹介
電話のようにリアルタイムで伝えられる「Pekoe」
聴覚障害者の電話をサポートするためのサービスは存在しますが、基本的にはオペレーターが内容を通訳して相手に伝えるという内容です。
そのため、通常の電話のようにリアルタイムで相手に伝えたり、会話のやりとりをできるわけではありません。
聴覚障害者が電話のようにリアルタイムで伝えられるツールとして「Pekoe」があります。
Pekoeは前出のとおり音声をリアルタイムで文字化できるツールで、オンライン会議などに導入すると便利です。
音声の文字化ツールでは、誤変換が問題になりますが、その誤変換についてもリアルタイムで修正することができるため、間違って伝わるリスクを軽減させることができます。
また、動画に字幕をつけることもできるため、動画を視聴する場合にも便利です。
ツールの導入も簡単にできるため、興味がある場合は気軽にお問い合わせください。
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まとめ
ここまで、聴覚障害者が電話ができない悩みを解決する方法と支援するためのツールについて解説しました。
電話はすぐに連絡したい場合や、回答がすぐに必要な場合に便利ですが、音声のみでやりとりするため、聴覚障害者は使うことができません。
そのため、通訳オペレーターが聴覚障害者の代わりに電話をするサービスが提供されています。
ただし、このようなサービスは基本的に1対1での会話に使うもので、オンライン会議などには使用できません。
便利なオンラインツールもあるので、導入も検討してみてください。
