エシカル消費を簡単に解説！メリット・デメリットや商品例もわかりやすくまとめてみた
SDGsの取り組みが注目されるようになり、エシカル消費という言葉を耳にする機会が増えてきました。
環境や人に配慮した消費をしたいと思っている方のなかには、
「エシカル消費のメリットやデメリットを詳しく理解したい」
と思っている方も多くいらっしゃるかもしれません。
そこで本記事では、私たちができる具体的な消費行動や、エシカル商品の選び方やマークについて詳しくご紹介します。
エシカル消費とは？簡単に解説
エシカル消費とは、商品やサービスを選ぶ際に、環境への影響や社会的な側面を考慮し、倫理的な価値観に基づいた選択をする消費行動です。
価格の安さや便利さで商品やサービスを選択するのではなく、それらがどのように生産・流通されているか、誰かにとって不都合がないのかにも目を向けて購入を考えます。
「この商品はどのように作られているのか」、「購入するとどのような影響があるのか」などを考えながら購入することがエシカル消費への第一歩です。
さらに、エシカル消費はSDGs目標12「つくる責任つかう責任」に該当する考え方です。
持続可能な生産と消費についての目標で、主に天然資源の利用問題、食品ロス問題、廃棄物問題、リサイクル、途上国の生産や消費の支援などが記載されています。
エシカル消費は、社会的課題を解決するための手段でもある点が非常に大切な考え方になっています。
参考記事：エシカル消費とは｜消費者庁
エシカル消費のための具体的な行動やメリットは？
私たちが日常生活でエシカル消費を実践するためには、以下の3つを意識して行動するといいでしょう。
- 人や社会に優しい消費
- 地域に優しい消費
- 環境に優しい消費
具体的に行動できるように、詳しい内容やエシカル消費のメリットを解説します。
人や社会に優しい消費
エシカル消費の人や社会に対する理念には、「社会的な不平などを助長させないこと」があげられます。
立場の弱い人を低賃金で労働させる問題や児童労働問題などを助長させないフェアトレード商品の購入は、人や社会に優しい消費です。
障がい者がつくったものを購入する、フードバンクで生活困窮者への支援をすることもエシカル消費です。
私たちの身の回りにある製品や食品が手元に届くまで、たくさんの人が関わっています。
商品やサービスの裏に隠されたストーリーに、思いを巡らせ、人や社会に優しい消費を実践することで、より多くの人が持続可能な生活を送れる社会につながります。
地域に優しい消費
エシカル消費の地域に対する理念には、「地域活性化を狙い、地域経済を損なわないこと」や「地元の産品を買うことで、地域社会や地域経済を応援する」などがあげられます。
たとえば、地産地消や応援消費などの言葉を聞いたことはないでしょうか。
地域の農産物や特産品は、なるべく地元で消費すると、地域の経済を損なわずより発展させていくことができます。
簡単・便利に購入できることは魅力的ですが、地域の振興も買い物では大事な視点のひとつです。
地元の食材を選ぶことや地元のお店で商品を買うことのメリットは、地元を応援することにつながり、地域に優しいエシカル消費といえます。
環境に優しい消費
エシカル消費の環境に対する理念には、「エコ商品を選び自然環境をよくすること」があげられます。
作物を栽培する際に水質や土壌を汚染しないような配慮や、天然資源を使いすぎないようにすれば、自然環境の維持につながるでしょう。
消費者には自然環境に優しい製品を選ぶことも求められます。
環境に優しい消費では、エコバッグやマイボトルを持ち歩くことも水質汚染や天然資源の使いすぎ、環境負荷の軽減になるのでエシカル消費です。
さらに、食品ロスをなくす持続可能な食品として「サステナブルフード」も注目されています。
すべての人にとって欠かすことのできない食品の環境に優しい消費については、以下の記事で詳しく解説しているのでご確認ください。
関連記事：サステナブルフードとは？ロスをなくす持続可能な食品の例について
エシカル消費のデメリット
メリットが多いエシカル消費ですが、以下のようなデメリットもあります。
- 認知度が低い
- コストがかかる
- エシカル商品の知名度が低い
- 認証マークの取得が難しい
海外に比べて、日本でエシカル消費が普及しないのには、これから解説するデメリットが深く関わっています。
認知度が低い
世界的には拡大傾向にあるエシカル消費ですが、日本ではあまり普及しておらず、認知度が低いのが現状です。
「エコ」や「ロハス」などの言葉はよく使われているのに比べ、エシカル消費という言葉はあまり浸透していません。
言葉と意味をどのように広く浸透させるかが課題のひとつです。
コストがかかる
エシカル商品は、ほかの商品に比べて高価になる傾向にあります。
販売価格が高いため、一般消費者の経済的負担が重くなるのはエシカル消費のデメリットです。
環境や人権に配慮した商品の価格が高いことには、下記のような製造コストがかかるなどの要因があります。
- 人件費
エシカル商品が製造され消費者の手に届くまでには多くの人が関わっており、そこにかかる正当な人件費を確保するためには、商品の販売価格を上げることが必要です。
- 原材料などの管理コスト
環境に配慮した商品は、大量生産が難しく、商品一つひとつを管理するために大きなコストが発生します。
たとえば、環境に優しい商品であるオーガニックコットンの生産では、有機原料の含有率を上げることや化学薬品の使用を最小限に抑えるなど、自然環境に対する配慮をしているためコストが上昇し、それが販売価格に反映されます。
このような要因からエシカル消費にはコストが多くかかり、生産する企業も購入する消費者も経済的な負担が大きくなります。
エシカル商品の知名度が低い
エシカル商品の知名度は一般的な商品に比べて高くありません。
その要因は、コストの面から製造や販売ができる企業が限られてしまい、消費者が小売店でエシカル商品を目にする機会が少ないからです。
エシカル商品は、貧困や環境などの社会的な問題への配慮を最優先としているため、デザインや機能性などが劣る場合もあります。
そのため消費者には、デザインがよくない・値段が高い・機能性が乏しいなどのデメリットが目につき、なかなか購入に結びつかない傾向です。
認証マークの取得が難しい
エシカル商品は、認証マークを取得していれば商品をアピールできますが、取得には手間とコストがかかります。
そのため、認証マーク取得の条件を満たしている商品であっても、マークを付けずに販売しているケースも多くみられます。
エシカル消費自体の認知度の低さと、マーク取得のハードルの高さが相まって、消費者にマーク自体の存在があまり知られていないのが現状です。
マークが付いている商品であっても購買につながらない、企業側もマークの取得やマークを取得できる製品の開発に至らないなどの悪循環は、エシカル消費のデメリットとして考えられます。
エシカル商品の選び方
私たちがエシカル商品を選ぶときには、人・社会・地球環境に配慮して選ぶ必要があります。
商品の種類や特徴によって選び方のポイントは変わりますが、買い物をするときは、一度立ち止まって考えることが大切です。
あらゆる点でエシカルに当てはまる商品を探すのは難しいかもしれませんが、自分が気になる点を解決してくれる商品を選ぶようにしましょう。
エシカル商品の選び方は以下のポイントを参考にしてください。
本当に必要かを考える
まずは、今欲しいと思っているものや買おうとしているものが、本当に自分に必要なのか考えることが大切です。
購入する前に、すでに持っているもののなかで、工夫や修理をすれば使えるものがないか考えてみます。
たとえば、洋服の買い替えを検討するときにリメイクやお直しをすればもう少し長く着れないか考えたり、工夫次第で代用できるものがないかアイデアを出してみます。
買ってから無駄にしないためにも、今使っているものの見直しはとても大切です。
今まで使い捨てだったものを、繰り返し使えるものに変更できないかを考えるのもいいかもしれません。
商品の素材を確認する
商品の素材を確認してから買い物することも大切です。
たとえば、プラスチックは自然分解されずに半永久的に残るといわれているため、海に流れ出ると海洋生物の生態系に影響を及ぼします。
またプラスチックの原料は石油で、生産時にも廃棄焼却時にも地球温暖化の原因となる温室効果ガスを排出しているため、リサイクルポリエステル素材も含めてなるべく避けるのがベターです。
選ぶ素材は、コットン、麻、毛、シルク、木、竹など、土に還る天然素材や自然素材がよいでしょう。
コスメやボディシャンプー、歯磨きなどは、マイクロビーズと呼ばれるプラスチックが含まれている製品があるので、天然由来成分のものを選ぶようにします。
また、パッケージもプラスチック包装でない簡易包装の商品を選んだり、果物や野菜はバラ売りを優先的に買うなど、プラスチックを減らすように心がけることはエシカル消費につながります。
エシカル消費のマークを探す
商品を購入するときには、エシカル消費のマークを探すことがポイントです。
エシカル消費に該当する認証マークにはさまざまなものがありますが、第三者機関が基準を守って運営しているかどうか監査して認証しています。
商品に認証マークやラベルがついているか、商品を販売する企業・団体が認証機関などへ加盟したり、認証を取得しているかどうかを確認してから購入するようにしましょう。
エシカル消費のマークと商品例
エシカル消費のマークは、商品やサービスが環境への配慮や社会的な責任を尊重していることを示すために使用されるラベルやシンボルです。
消費者が、環境に優しい社会的に責任ある倫理的な選択肢を特定しやすくするための重要なガイドとなります。
ただし、これらのマークやラベルは国や地域によって異なる場合があり、信頼性を高めるためには詳細な情報の確認が重要です。
ここからは、日本で使用されているエシカル商品の認証マークをご紹介していくので、ぜひお買い物の際には参考にしてください。
エコマーク
エコマークは、生産から廃棄までのライフサイクルで、環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられる環境ラベルです。
消費者が環境を意識した商品選択をしたり、関係企業の環境改善努力を進めていくことにより、持続可能な社会の形成をはかっていくことを目的としています。
商品カテゴリごとの認定基準を満たしているキッチン用品、食品容器、おもちゃなどにみられます。
グリーンマーク
グリーンマークは、原則として古紙を40％以上利用した製品であることを示すマークです。
このマークを表示することにより、古紙の利用を拡大し、紙のリサイクルの促進をはかることを目的としています。
古紙を利用したトイレットペーパー、コピー用紙、ノートに多くみられるマークです。
参考記事：グリーンマーク_環境ラベル等データベース
国際フェアトレード認証ラベル
国際フェアトレード認証ラベルは、国際的なフェアトレードのシンボルであり、世界的にもっとも認知されている倫理的ラベルのひとつです。
開発途上国の原料や製品が、公平な条件で取り引きされていることを認証するマークとして、コーヒー、果物、カカオなどの食品に多くみられます。
このラベルがついた製品は、社会的、環境的、経済的基準を定めた国際フェアトレード基準を満たしてる証明です。
フェアトレード製品を購入することは、小規模生産者と労働者の生活とコミュニティの改善につながります。
参考記事：フェアトレードジャパン
再生紙使用マーク
再生紙使用マークは、古紙パルプがどのくらい配合されているのかが一目でわかるようにしたもので、申請や届出は不要で、誰でも自由に無料で使用できます。
再生紙を使用した製品につけられ、ごみ減量化推進国民会議によって、再生紙の利用促進・普及啓発をしていくためのシンボルマークとして定められました。
トイレットペーパー、ノート、封筒などに多くみられます。
参考記事：再生紙使用（R）マーク
ASC
ASCは、責任ある養殖水産物のみに認められるマークです。
このマークのついた商品は、環境と社会への影響を最小限に抑えて養殖された水産物であると認められています。
生態系の維持や水質環境の保全、地域社会への配慮と適切な労働環境、管理体制などの75の原則基準を満たしていることが認定条件です。
ASCマークは、鮮魚、水産加工食品、缶詰などに多くみられます。
参考記事：ASC Japan
MSC「海のエコラベル」
海のエコラベルは、持続可能な漁業で漁獲された水産物であることを証明するマークです。
国際的な非営利団体MSC海洋管理協議会がラベルの管理・推進をしています。
一定の基準を満たす、健全な漁業で獲られた天然の水産物である鮮魚、水産加工食品、缶詰などにみられます。
参考サイト：MSC（海洋管理協議会）
MEL
MEL（マリン・エコラベル）は日本発の水産エコラベル認証制度です。
水産資源の持続性と環境に配慮している事業者を第三者が審査し認証します。
漁業が適切に管理されている・対象資源が持続的に利用できる水準にある・生態系の保全に適切な措置がとられている、などの基準を満たしている鮮魚、水産加工食品、缶詰などにみられます。
参考記事：マリン・エコラベル・ジャパン協議会
エコレールマーク
エコレールマークは、環境に優しい貨物鉄道を利用して運ばれている商品や、積極的に取り組みをしている企業を知らせるマークです。
500km以上の陸上貨物輸送のうち30%以上の輸送に鉄道を利用している企業が認定されます。
距離が満たない場合にも、環境に配慮した輸送手段に積極的に取り組んでいる企業が参画できるよう、相当量以上を鉄道貨物輸送していることも認定基準に含まれます。
参考記事：エコレールマーク
GAP認証
GAP認証とは、農業者が実施する持続可能な農業の取り組みを第三者が審査し証明する民間の認証制度です。
環境保全をしながら安全な労働環境で安全な農産物をつくることは、すべての農業者がおこなうべきことです。
農産物の販売で、GAP認証を取得することは必須ではありませんが、農場管理の良し悪しを買い手に判断してもらうためにわかりやすいマークです。
参考記事：GAP認証について
ノウフクJAS
ノウフクJASマークは、障がい者が生産行程に携わった食品に認証されるマークです。
正式名称は、「障害者が生産行程に携わった食品の農林規格（平成31年3月29日農林水産省告示594号）」といいます。
規格とは本来、均一的で効率的であることを求めるものですが、ノウフクJASは多様であることに価値を見出します。
産地や品種、栽培方法を軸とするブランドではなく、農福連携商品の背景にある社会的価値を認めるこの規格に認証されているマークです。
参考記事：ノウフクJAS（日本農林規格）
SDGsやサステナビリティに深く関係のある認証マークやシンボルは以下の記事でも解説しているのでご覧ください。
関連記事：サステナビリティのマークとは？認証の種類や意味を知り取り組もう！
まとめ
今回の記事では、エシカル消費について詳しく解説しました。
人や社会、地域、地球環境に優しい消費の具体的な行動を実践するとSDGsの目標達成にもつながります。
具体的な行動やエシカル商品の選び方、メリット、デメリットを理解して、日常生活でお役立てください。
